mnsさんの映画レビュー・感想・評価

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二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)

4.0

自分の人生は自分で背負わなければならない、だからお前の寂しさがわかるとも、私の寂しさをわかってほしいとも思わない、思わないけれども…それが幼稚なナイーブさの何よりの証左なんだと言われたときに返す言葉を>>続きを読む

労働喜劇(1988年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

労働の酸いも甘いも知らない若造は、サラリーマン/プロ失業者両者が体現する「労働哲学」を額面通り咀嚼していた。結果、銀行員的哲学をなぞるのが私にとってはよりマシな生き方になるのだろうと、やっぱりねな回答>>続きを読む

地下鉄の改札(1984年製作の映画)

4.0

改札飛び越えたい欲はずっとある、あとはですから法律が許しさえすれば、です。

ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦(2003年製作の映画)

2.5

敬愛する監督に向くデカい感情が「好き故にめちゃくちゃにしたい」なの、本当に…ラースフォントリアーというやつは…

エレファント(1989年製作の映画)

3.5

それ以上でもそれ以下でもない、「射殺」という行為の反復。いつ来るだろうとか、次はどっちだとか、慣れちゃいけないものに慣れていく。

サンタクロースの眼は青い(1965年製作の映画)

3.0

情けなさダサさをナルシシステイックな自己憐憫にすり替えなかったユスターシュえらい。

関心領域(2023年製作の映画)

3.5

寝坊でチケット代をパーにしてから1年、数多あった機会をこれ観るために割かなかったという事実が、結局私が私の生活以外へと向ける関心の程度を暗に示しているような気がしている。事象として知ってはいるけどそれ>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

2.0

ニコラス・ケイジにとりあえずめちゃくちゃやらせる(めちゃくちゃやられる)ノリのおもろさというのをまだおれはわかってない。

万事快調(1972年製作の映画)

3.0

会社の断面図、工場の作業風景、スーパーでの横移動など画がキマりすぎている、人がありえん長さで口上を垂れる固定ショットすらも。5月革命失敗への失望と怒りを題に託すサーカスティック・ゴダール。私は字面通り>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

3.5

この映画自体が、まさに2人が夢中になった「絵で物語ること」に執心していて、その点筋通ってて(?)良いなと思う反面、音楽は説明調で念入りに煽られた。こちらはちゃんと心動かされるから心配しないでほしい(;>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.5

肌の下で蠢くものを微かに感知しながらも徹底して「触れない」ダンスの反動で、「触れる」行為が決定的なものになる。距離を一気に詰め、噛みちぎるように均衡を破る暴力性は外来魚の如く。触れても触れなくても不穏>>続きを読む

キネッタ(2005年製作の映画)

-

多分相当寝た。中途覚醒時にランティモス的キショ言語感覚や突然の平手打ちにお目にかかれて、この人は形式は異なれど多分根っこには同じ理があるんだろうと思った。とにかく人を即物的に、そこには自由意志がないか>>続きを読む

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

3.5

アノーラが人に対価として与えられるのは「アニー」としての「サービス」になってしまうという悲しい性(さが)。騒ぎ尽くしたあと、ふと訪れた静寂の中でやっと痛みに向き合う、嵐のような時間が過ぎたあとの、冷静>>続きを読む

カップルズ 4Kレストア版(1996年製作の映画)

4.5

人生はままならないし運命はいつも残酷だけれども、それでもしかと握りしめた一抹の希望に賭けてみる映画的ラスト!エドワード・ヤンの悲喜交々の描き方が良い、悲惨が振り切れたシーンのあとに多幸感が溢れたりする>>続きを読む

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

劇中の有害シネアストをほどほどに腐すことで"映画現場の倫理観"を問い直してみる。こういう「自己言及的」な作品は特にハイソな映画祭の人らにウケそうだと想像はできるものの、肝心の子どもたちの話や、それをド>>続きを読む

ワイルドツアー(2018年製作の映画)

3.5

メインビジュアルが映画の雰囲気を言い表しすぎている。この絶妙な距離感と表情が頻出する。みんな良い顔をしているのだ。こんぐらいのときに出会った4,5歳上は、すごく大人に見えていた。名前とか背格好とか憧れ>>続きを読む

やくたたず(2010年製作の映画)

1.5

足立智充の悪徳警察官臭を拭いきれずなんか普通に見方がおかしくなった、全然こちら側の問題です。

HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)

3.0

個々人の事情と、だからこそパイプラインを爆破するしかなかったのだという主張はよくわかったけども、同時に石油企業側に恐らくもっと冷静な反駁の余地があるということも想像はできる。受け止め方がむずいなあ

ヒューマン・ポジション(2022年製作の映画)

3.5

悲しみや痛みがただ傍らに在ることを許すこの映画の姿勢は、とにかく克服を善として強者になるためのハウツーに食傷した精神には沁み入る。カギカッコニッポンカルチャーが癒しとして機能しているのもここでは微笑ま>>続きを読む

運命のつくりかた(2003年製作の映画)

4.5

偶然の連続に運命という言葉を与え、必然であったということにしてしまう、したくなってしまう人間、愛すべき存在すぎる、と無論野性にだけに突き動かされているライチョウから逆説的におもう。

垂直のまま(2016年製作の映画)

4.0

どこに着地するのかわかんなくてまじで面白かった。まさかピンク・フロイドをBGMに、驚く二人組の寝バックに至るとは。逃避のユートピアのはずの森のシークエンスが何気に全てボケだったりする。本当を撮ることに>>続きを読む

描くべきか愛を交わすべきか(2005年製作の映画)

4.0

盲人の若妻がスケッチ頼むシーンで、この人着痩せするタイプなんだなとかどうでも良いことを考えていたら、あれよあれよと様相がおかしくなり、気づくと家侵入モノ、夫婦とりかへ、スリリングなご隠居生活へ。定義と>>続きを読む

キング・オブ・エスケープ(2009年製作の映画)

3.0

ギロディー映画クリシェ、警察の介入→中断の流れ毎度ほんとに居た堪れないし、森はこちらでも妖しい理想郷である。私的ギロディ1本目は『湖の見知らぬ男』だったので戻ってきた感があった。リヨンのDVD屋でこれ>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.5

通しで観たことあると錯覚するほど抜粋を目にしたやつ。クローズアップの効果が最大限引き出されている。ただファルコネッティの相貌に圧倒される。

ミゼリコルディア(2024年製作の映画)

4.0

詳細には明かされない過去に確実に何かがあった!死んだ男、生きている(生きていた)男たち・女たちのうちに秘められた欲望は視線にこれでもかというほど宿り、稀に身体から発露する。マダムはチャンネルをサッカー>>続きを読む

ノーバディーズ・ヒーロー(2022年製作の映画)

4.0

1人の中年男性の徒歩(走)圏内で、彼と彼を取り巻く人々がまとう欲望と疑惑がモゾモゾモゾモゾし続ける。蠢くそれぞれの事情は、完遂や断定といった所作とはわりと無縁で宙吊りに終わる要素が多い、メデリックが何>>続きを読む

ロザリー(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ポスターから想像するノリではない。数奇な夫婦間の"L’amour sans condition"の物語としては救いがある一方、社会からの迫害は苛烈で、トータルではツラい印象が全然勝つ。

後半には、規
>>続きを読む

マルサの女(1987年製作の映画)

4.0

こちらもオモロー!タンポポのエンディングと繋がるオープニング^ ^女女してない宮本信子のキャラも良い。

タンポポ(1985年製作の映画)

4.0

スポ根ラーメン修行のむちゃくちゃ展開やら、顔を赤く塗る"赤面"やら、漫画のようなお笑いが続く。これオモロー!と観てると、メシにまつわる挿話もすごいインパクトだったりする。食べ物で遊ぶ白服は下品と官能な>>続きを読む

タンジェリン(2015年製作の映画)

3.5

Red Rocketと同じオーナーさんがやってる、五感を刺激するもの全てが安っぽくて人工的なドーナツ屋は、浮気だ風俗だなんだの悶着カオスの舞台としてかなり良い。そしてそれぞれの最悪クリスマス・イブのあ>>続きを読む

ぼくら、20世紀の子供たち(1993年製作の映画)

3.5

ストリートチルドレンからカンヌ受賞作の主演となるもその後塀の中で暮らすパーヴェル青年に、自らの手で人生を立て直すことの難しさをみた。上の世代へ転嫁される責任と下の世代へ引き継がれる困難の連鎖は、21世>>続きを読む

ひとりで生きる(1991年製作の映画)

4.0

『動くな、死ね、甦れ!』の無二性は、子どもの無垢さが全てを相対化し、地獄のような世界にも僅かに残る希望を掴んだところにあったのだと続編をみて気づく。時を経てイノセントのかけらもなくなった少年が今作で遭>>続きを読む

ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

4.0

勝利陣営にインタビューする妻に元夫が絡む、ドキュメンタリーでありフィクションでもある、両者のあわいが剥き出しになったあたりから加速度的に面白くなった。1本目から夫婦喧嘩シークエンスは白眉。

Instruments of a Beating Heart(2024年製作の映画)

4.0

小学校の先生が使うあの言い回しというか構文というか、「目で前ならえ」とかめちゃ懐かしい。昼休みの掃除も楽器のオーディションも一年生を迎える会も全部おぼえがあったけど、みんな黒板の方を向き仕切りを立てて>>続きを読む

All Your Faces(英題)(2023年製作の映画)

2.5

この制度のもとでの対話の成果として期待されるのは、赦し/赦されの関係ではないらしい。各々から出た矢印は、他者を介して最終的にはまた各々に戻っていくような。理想的に機能するとこんな感じだというのがわかる>>続きを読む