jajaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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三度目の殺人(2017年製作の映画)

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映画は何も回収されないまま、突然終わる。途中で「群盲象を撫でる」のたとえが出てくるが、まさに事件の断片、断片がばら撒かれたままだ。

果たして、この事件の全体像はどういうものなのか? そもそも、この事
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OSLO / オスロ(2021年製作の映画)

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到底合意の難しそうな二社間の共同事業をコーディネートしたことがある。私も彼ら夫婦と同様に、両社担当者による短期合宿を行い、合意点を詰めることを提案したのだが、その賛同は両社から得られなかった。▼短い間>>続きを読む

ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

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映画としてはテンポが良いので、120分は短く感じた。つまり面白かったということになるのだろう。だが観終えてみると、どうにも尻の座りが悪い映画である。帰還兵VS極悪人、親子間の断絶、社会不適応者の抗い等>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

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年頃の娘だから、当然やりたいこと──獣医になりたい──もあれば、若い男に惹かれたりもする。だが彼女は、この叔父に対する恩義を重んじて、この農場から離れられないでいる。▼叔父は叔父で、頭では彼女をそのく>>続きを読む

痛くない死に方(2019年製作の映画)

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誰だって、勝手知ったる自宅で、痛くもなければ、苦しくもない死に方を望むではないだろうか。逆に病院で、苦しんで死にたいなんて人はいないだろう。▼だが残念ながら、多くの日本人は病院で死ぬ。必ずしも苦しんで>>続きを読む

スティルウォーター(2021年製作の映画)

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私は娘とは比較的会話が多い方だと思うが、だからと言ってこの父娘のように「人生は残酷だ」などというディープな会話はしたことが無い。そうした面からは、この父娘はある意味で幸せと言ったら語弊があるが、得難い>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

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このところ、現在のロシアという国の成り立ちを知ろうとして、今更ながらではあるがソルジェニーツィンの「収容所群島」を読んでいる。あれは旧ソ連の話だと言うなかれ。今のロシアの成り立ちを知るには十分値するだ>>続きを読む

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

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はからずも昨日観た「パブリック 図書館の奇跡」と同様に、公務員の対応を問う内容の映画だった。いずれ正解はないのだ。なので、それについてはもう書かない。▼本作で着目したいのは豪華出演陣だ。皆それぞれに好>>続きを読む

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

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お役人は大変だ。市民Aのクレームに対応したら、市民Bが怒り出すというケースは日常的にあるに違いない。そこで、一定のルール(原理原則)を設けることになるが、すると今度は臨機応変な対応ができずに硬直的だの>>続きを読む

グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

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いろいろ良いことを言ったような気もするが、1日たっただけですべて忘れた。利いた風なことを言っただけで、大したことは言わなかったのだ、きっと。▼結局のところ、自暴自棄になって周囲の者たちの日常をかき乱し>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

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この物語のテーマのひとつは「時の経過」である。そして、それは往々にして残酷であったりする。意気揚々と卒業式で「何にでもなれる」と答辞を読んだ主人公・美咲のその後が象徴するように。▼美咲の人生を壊し、自>>続きを読む

ホテルローヤル(2020年製作の映画)

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小学生の頃、通学路を少し迂回したところに、ある日忽然と大きな建物が出来た。看板にはホテル〇〇とある。がしかし、毎年夏休みに親が連れて行ってくれる熱海の観光ホテルとはずいぶんと佇まいが違った。

その入
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万引き家族(2018年製作の映画)

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血で繋がっている家族よりも心で繋がっている家族の方が良い――などという安直な映画ではない。▼本来、血で繋がっていれば自ずと心でも繋がっているはずの家族が、どうもそうではなくなっている。子を思う気持ち、>>続きを読む

亀は意外と速く泳ぐ(2005年製作の映画)

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上野樹里と蒼井優以外の出演者は、さしずめ脇役オールスターズとでもいうべき面々である。それぞれに個性があが取り立てて言うほどではない。そう、そこそこなのである。劇中に出てきたラーメン店サルタナの「そこそ>>続きを読む

ザ・ボディガード(2017年製作の映画)

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いわゆる鉄板ネタである。屈強な一匹狼が、か弱き婦女子を生命を賭して守り抜く。男はこの手の鉄板ネタに弱いから、おそらく一般的にはB級とされるであろうこの映画も退屈せずに最後まで観た。▼古くは東映の任侠映>>続きを読む

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

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しかしまあ、なんでございますなあ。人間、生きている以上、物音を立てないというのは、なんとも難しいことですな。何するにしたって、音は出てしまいまさあ、そりゃ。▼それにしても奴は何なんでしょうね、いったい>>続きを読む

追憶(2017年製作の映画)

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「25年の時を経て交錯する7人の愛の行方とは…」とあるが、7人って誰だろう。かつての親友3人――刑事の四方篤、容疑者の田所啓太、被害者の川端悟は良いとして、また彼らの面倒を見ていた仁科涼子と山形光男も>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

劇中、自身が出版した書籍の受賞レセプションで主人公カイアは
「自然に善も悪もない。それぞれが生きることに精一杯なだけ」
と言う。それは、人間の社会に背を向け、湿地――多くの生き物が生息する――に身を委
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PLAN 75(2022年製作の映画)

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成田悠輔の「高齢者は集団自決」発言をそのまま映像化したような作品だが、私の死生観から言えば、この制度、大いにありだと思った。▼75歳以上なら、いつでも好きな時に利用できるというのが好いし、途中で嫌にな>>続きを読む

ウィザード・オブ・ライズ/嘘の天才 〜史上最大の金融詐欺〜(2017年製作の映画)

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結局、彼は何をしたかったのか? あるいは何を守りたかったのだろうか? ▼架空取引をし出したのは15年前だと言うから、それまでは通常の取引で名声を高めたのだろう。しかし、市場は彼の名声などお構いなしに動>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

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学生時代はもちろん、独身時代は誰しもが馬鹿をやる。だが、度を過ぎてはいけないという話だ。▼翻って、自分はどうだっただろう。いろんな馬鹿をしたが、他人を深く傷つけるようなことはしなかった…、と思う。だが>>続きを読む

ル・コルビュジエの家(2009年製作の映画)

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さて、この物語をどう解釈したものか。というのは、舞台となっている20世紀の巨匠の建築との関係性についてである。▼要するに、こういうことなのだろう。コルビュジエは、「さあ、最高の住宅は用意した。あとは住>>続きを読む

パラダイス・ネクスト(2019年製作の映画)

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うーん、豊川悦司は極めて好きな役者だし、妻夫木聡も悪い印象はないのだが、いかんせんストーリーが掴めなかった。あえて説明的になりすぎないようにしているのだろう。映画全体の空気感みたいなものを優先している>>続きを読む

レッド・ライト(2012年製作の映画)

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もしも自分が超能力を持っているとしたら、世間とどう向き合うでしょうか。それを晒せば、暫くの間は喝采を浴びることでしょう。マスコミももてはやすに違いありません。

しかし早晩飽きられ、やがて根拠もなく信
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図鑑に載ってない虫(2007年製作の映画)

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【生きていることと死んでいることは同じ】
TVドラマ「時効警察」の三木聡監督の比較的初期の作品である。通称「ズカチュー」。例によって例の如く毒にも薬にもならない、チョーくだらないことのオンパレード。同
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

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【本当に他人を観たいと望むのなら自分自身をまっすぐ見つめるしかない】
映画化された村上作品を観ると毎回、「こんな話だっけ?」と思い、原作を読み直すのが半ば習慣になっている。だが、ほとんどは「ああ、たし
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蘇える金狼(1979年製作の映画)

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昼は小心のサラリーマン、夜は巨悪に立ち向かう悪漢ヒーロー。ピカレスクロマンの金字塔と言われる作品で、故・松田優作の映画の中ではこれが一番好きです(「家族ゲーム」も捨てがたいけれど)。
「スーパーマン」
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ダイ・ハード2(1990年製作の映画)

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ブルース・ウィリスという役者はなかなか面白くて、この「ダイ・ハード」シリーズや「アルマゲドン」などの大ヒット映画の主演もあれば、なんだかなあと思えるB級映画にも多く出ていたりします。当たり外れの大きい>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

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なんとも救われない。明日は我が身だと思うとぞっとする。早ければ10年後、遅くとも20年後には私もこうなるのだろう。すべてが退行するのだ。今日よりも明日が良くなることはない。
歳を取るというのは、赤ん坊
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南極料理人(2009年製作の映画)

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この雪と氷に閉ざされた閉塞空間では、娯楽は限りなく乏しいのです。1990年代なら未だ、インターネットも普及していなかったでしょうから尚更です。そうした中、彼ら南極越冬隊は時に仲間同士いがみ合いながらも>>続きを読む

ANNA/アナ(2019年製作の映画)

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製作でなく総指揮でもないリュック・ベッソンの久々の監督作品だが、冒頭で少々がっかりしてしまった。主人公アナ役のサッシャ・ルスが好みではなかったのである。ベッソン監督の映画といえば、「レオン」といい、「>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

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最初は、妻子を置いて逃げ出すなんて考えられない。こんなクソ野郎とは即刻、別れるべきだと思った。ましてや、自分のやったことを、なんだかんだと屁理屈をつけて認めないなんてとんでもない野郎だと。▼だが、本当>>続きを読む

マリアンヌ(2016年製作の映画)

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なんとなく最後はそうなるのだろうと途中から予想はついた。観終わった直後は、ラストの彼女の遺した手紙の文面に、ちょっとばかり自分の過去を思い出してグスッときたりもした。▼しかし暫く経つと、果たして真相は>>続きを読む

フロッグ(2019年製作の映画)

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予告編からホラーの装いをしたサスペンスだと解釈して観ることにした。怪奇現象は人の心が創り出す虚構に過ぎない。だとすれば、一つの現象から登場人物の一人ひとりの心理状態や過去のトラウマを表出させる人間ドラ>>続きを読む

グラン・トリノ(2008年製作の映画)

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以前観たとき(記録によると2010年)は、「この爺さんイカす、男はこうありたい」くらいにしか思わなかった。が今回、主人公ウォルトの歳に近づいた身として観ると、もう少し彼の内面的なところが分かったような>>続きを読む

ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)

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たしかに人間、一皮むけば皆同じストレイドッグかもしれないな。彼女のように警官だって、目の前に大金があれば、目が眩んでしまう。もちろんこの私も、その時の状況次第ではそちら側に行ってしまわない自信はない。>>続きを読む