富樫鉄火さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

富樫鉄火

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METライブビューイング2023-24 アンソニー・デイヴィス「マルコムX」(2023年製作の映画)

3.5

#17
全編、変拍子と不協(的な)和音、かなりの大音量で、息を抜ける箇所がなく、いささか疲れた。
場や景の転換のたびに薄幕を下ろすので、落ち着きがなかった。
しかしまあ、前作の死刑オペラにつづき、こう
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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2023/24 ロイヤル・バレエ 「ドン・キホーテ」(2023年製作の映画)

4.0

#16
(以下はブログからの一部抜粋です)
今回はキトリがマヤラ・マグリ、バジルがマシュー・ボール。すでにおなじみの顔ぶれである。2人とも軽々と、それでいて力強い踊りを見せてくれる。マグリの32回転フ
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異人たち(2023年製作の映画)

-

#15
ポスター・ヴィジュアルの雰囲気から「もしや」と思っていたのだが、やはり、かなり本格的なゲイ物語だった。
あたしは、ゲイをモチーフにした映画は否定しないし、いまの時代、大きな題材であることもわか
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巡る、カカオ~神のフルーツに魅せられた日本人~(2023年製作の映画)

4.5

#14
たいへん勉強になった。
Mpraesoや、カカオハンターズの宣伝のような感じもあったが、しかしとにかく、カカオとは、生産者と消費者の間に、たいへんな「乖離」があることを初めて知った。
(生産者
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

4.0

#13
長年、アレンの映画を観続けているが、病膏肓も、ここまで来たかといいたくなるヲタクぶりと、相変わらずのグタグタ神経質。
それを楽しめるひとなら、こんなに面白い映画はない。
あの次々と登場する夢(
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

#12
このひとの映画は、よく「労働者」「社会の底辺」「不遇」といったキイワードで論評されるけれど、あまりそういう社会学的な見方をせず、ふつうの人生ドラマだと思って観る方がよいのではないかと、前々から
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.5

#11
いままでの脱北ものとちがうのは、中国へ渡って成功ではなく、ベトナム〜ラオスを経て、タイまで行かないと脱北成功にならない点。
しかも大半が山中徒歩で、もう少し他のルートがないものか、また、本当に
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淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

4.0

#10 小津フィルム大会
かなり傷んだプリントで、雑音がひどく、時折セリフさえ、よく聞き取れない。
以前観たときは、これほどではなかったような気がするのだが。
前はフィルセンで観たのだろうか。

ミッ
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.5

#9
デジタルリマスターで観たら、血が偽物であることが強烈にバレるのではないかと心配したが、それほどでもなかった。
本筋以外の余計な部分や、時間軸構成などがユニークだった記憶があったが、いま観ても、そ
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早春(1956年製作の映画)

4.0

#8 小津フィルム大会
小津のなかでは、珍しく1回しか観たことなかったので、この機会にと、数十年ぶりに再鑑賞してみた。

以前は、浮気騒動から立ち直る夫婦の話だと思っていたが、こっちも老人になり、見方
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

#7
これは素晴らしい映画だった。
昨年のTIFFで即完売になったのも当然だと思った(今回も、小スクリーンだったが、平日夕刻で、ほぼ満席だった)。

最初は、日本財団&TTTとユニクロの宣伝映画だと思
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.0

#6
初鑑賞。
原作のグラフィックノベルがよくできており、あまりいじらず、原作者本人に脚本を書かせたことが吉と出た名作だと思う。
社会と折り合いをつけて生きようとする子と、それができずに焦る子との対比
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さらば友よ(1968年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

#5
てっきり金庫室からの脱出劇映画かと思いきや、そこからが主眼で、怒涛の展開が実に面白い。
さすがに、あれほどの大スターが2人並ぶと、それだけで絵になり、ほとんど歌舞伎を観ているようだった。
『禁じ
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ムーミンパパの思い出(2021年製作の映画)

3.5

#4
エンドクレジットから察するに、これは、1970年代の、ポーランドのTV?映像を再編集したものでは?
意外と超快速テンポなのは、そのせいか。
素朴なパペットアニメも味があったが、これは、アンドレア
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007/ サンダーボール作戦 4Kレストア(1965年製作の映画)

3.5

#3
この前の3作があまりに面白かったので、どうしても見劣りがする。
前半から、スペクターの犯罪行為の過程が全ネタバレ。
保養所の場面なども、かなり弛緩している。
しかし、以後おなじみのパターン(スペ
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恋の花咲く 伊豆の踊子(1933年製作の映画)

4.5

#2
活弁付きでは観ているが、完全サイレントでは初めて。
しかし、そのせいで、かえって本作の魅力が、よくわかった。

映画化された『伊豆の踊子』はすべて観ているが、美空ひばりと並んで、原作改変の本作が
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夜ごとの夢(1933年製作の映画)

3.5

#1
完全サイレントで観た。
新年第一弾。

カメラの寄りやパン、独特のモンタージュなど、意外と実験的シーンが多く、新鮮だった。
もし音声や音楽が付いていたら、すごい映画になっていただろう。
むかしか
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.0

#225 A24大会
本年最後の映画。
今年は225本観た。

期せずして、2日つづけてライカートを観た。
これまた、彼女独特の文法に慣れるまで、少々時間がかかって眠くなりかける。
だが、どうやら「
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

#224
以前、ライヒャルトと表記されていた監督の、寿ぐべき一般公開作品。
展開が静謐で、暗い場面が多いので、慣れるまで、どうしても眠くなる(冒頭後しばらく、場内、爆睡大会だった)。
あたしも、最初、
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源氏物語(1987年製作の映画)

3.0

#223 大人アニメ大会
アニメーションといいながら、動きが少なく、静止画をなめるようなカットが大半で、林静一の豪華画集だと思って観られるひとには、たまらないと思う。
あたしは、少々しんどかったが、
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月夜鴉(1939年製作の映画)

3.0

#222 返還映画大会
この時代のものとは思えない面白いコメディだが、新派の「戯曲」を、無理やり映画化したため、かなり、構成がぎこちない。
飯塚敏子は、まだ20歳代のはずだが、はやくもアゴがたるんでい
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METライブビューイング2023-24 ジェイク・ヘギー「デッドマン・ウォーキング」(2023年製作の映画)

3.5

#221
このような作品でシーズンを開幕させるオペラハウスがあることに、心底おどろく。
それだけ自信があるのだろう。
実際、すごい完成度だった。
ジョイスとライアンの歌唱はいうまでもなく、演技も驚異的
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西住戦車長伝(1940年製作の映画)

3.0

#220 返還映画大会
戦時高揚の国策映画で、陸軍省後援だけあり、戦闘場面のリアルさと長さが尋常ではない。
ただし、そのせいで、映画全体が冗長になってしまっていることも事実。
せっかく桑野通子を起用し
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

#219
まったく期待なし、予備知識ゼロで観たのだが、意外と面白く、驚いた。
下品なグロ場面の連続だが、骨子は王道ミステリで、ヒッチコック的な脚本が、よくできている。
キャスティングはいうまでもなく、
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.0

#218
世界観とキャラ設定の説明がいつまでもつづき、いつになったら展開が始まるのかと思いきや、突然クライマックスが来たような映画。
脚本の失敗ではないか。
絵もきれいで主要キャラも魅力的だったが、脇
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中島みゆき 劇場版 夜会の軌跡 1989~2002(2023年製作の映画)

-

#217
20年前にDVDで出た映像をデジリマしたものだが、元映像が荒いからとはいえ、これでリマスターかといいたくなるほど、ひどい画質。
それ以前に、なぜ、いまになって、これを劇場公開するのか、理解で
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

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#216
横溝正史に、手塚治虫『奇子』や、水木しげる『総員玉砕せよ!』を足して妖怪仕掛けにし、お決まりの空中戦にしたような話だった。
原作どおりでないことは仕方ないが、あそこまで「実は○○だった」が続
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

5.0

#215
デジタルになったというので、封切り以来20年ぶりに再鑑賞。
これは、とてつもない映画で、かなりショッキングな場面もあるが、ぜひ高校の芸術鑑賞会などで上映してもらいたい。

観ていて、この主人
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.5

#214
冒頭、ワルター代理デビュー〜『オン・ザ・タウン』と続くので、レニー・ファンとしては大期待したのだが、以後は、ファンなら誰でも知っている、あの夫婦特有のゴタゴタ物語で、新鮮味ゼロ。
「音楽家」
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オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

-

#213 文学と映画大会
若いころ観て、すごい映画だと感動した。
40年ぶりくらいに観たら、それほどでもなかった。
この間、舞台、映画、オペラなどで、数えきれない数の『オセロ』を観てきた。
それらのほ
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響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)

3.5

#212
たしか、TIFFでは全回満席で入れなかった映画。

前半、インド映画にありがちな、歌と踊りの青春成長物語なので、これで2時間超はきつそうだと思いきや、カースト制度の話になって、ひと味ちがう映
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五人の斥候兵(1938年製作の映画)

3.0

#211 返還映画大会
噂ばかりを聞いて、ついに初めて観た。
なるほど、こういう話だったのか。
(といっても、何を言っているのか、ほとんどわからないのだが)
当時は国威発揚映画だったろうが、いま観ると
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おゆきさん(1966年製作の映画)

3.0

#211 笠智衆大会
これは初めて観た。
倉本聰脚本のせいか、一見、さわやかドラマにみせて、実は、ひねくれた内容。
幼なじみを平気で棄てるといった、とてもイメージの悪い設定が登場する。
よって、おゆき
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警視庁物語 行方不明(1964年製作の映画)

5.0

#210 ニュープリ大会
DVD集も持ってるのに、劇場にかかったら必ず行ってしまうほど、本シリーズのフェチなので、冷静な判断ができないのだが、とにかく素晴らしい。
皮革工場の濃硫酸シーンは、実際の工場
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夏の嵐(1944年製作の映画)

3.5

#209 文学と映画
昨年、復刊されたばかりの、チェーホフ唯一のミステリ『狩場の悲劇』の映画化。
原作ならではのトリックなどは薄まっているが、独特な映画で新鮮だった。
ジョージ・サンダースは、ロシアに
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名人長次彫(1943年製作の映画)

3.5

#208 返還映画コレクション
時期的に国威発揚映画なので仕方ないが(だから接収されたのだろうが)、どうしても、そちらの方向にもっていかざるを得ず、そのために、後半が、かなり無茶というか、強引な展開に
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