NUZOOさんの映画レビュー・感想・評価

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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

思いっきりジブリ風でかつめっちゃ新海誠。
アニメっぽい文脈が強調されるキャラクターと演技に加えてアニメ的なクリシェの多用が目立つが、そもそもそれらが好きじゃないので、ずっと気持ちは「この人らがどうなろ
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RRR(2022年製作の映画)

4.3

余計に説明せず、大事なことは映像で語るというのを明確にやっているのが一番すごい。
冒頭のラーマのキャラクター説明のシークエンスは、目的を遂行するための執念と力を、アクションのみでほとんど言葉を使わず伝
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ワイルド・スタイル(1982年製作の映画)

-

まずドキュメンタリーだと勝手に思っていたのでドラマ仕立てだったことに驚いた。

ヒップホップカルチャーの記録を目的として、ほぼ本人役のようなものを演じるという意味で実際かなりドキュメンタリー寄りのフィ
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オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

3.5

白石監督の映画はたぶん『オカルト』しか観たことないはずだけど、幸運にも『オカルト』とリンクのある作品でよかった。

マリア(筧美和子)の家のシークエンスの禍々しさと、山中のカルト集団の施設を見て回るあ
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時代革命(2021年製作の映画)

4.1

香港のデモの起こりから現在までを一通り流れで見られるのがありがたい。
香港の歴史からデモの開始、議会占拠、マフィアと警察の癒着、中文大の占拠、理工大の失敗、そして国安法の成立など、当事者のインタビュー
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ギフト(2000年製作の映画)

3.8

サム・ライミだから見てみよと思っただけで全然期待してなかったのに結構面白かった。

若干のシャマランっぽさのある(タイトルの印象もあるか)オカルトサスペンス。

『シンプルプラン』のビリー・ボブ・ソー
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血と砂(1965年製作の映画)

4.3

ならず者たちを集めてチームを作り特殊作戦に向かうという独立愚連隊シリーズのルールは守りつつ、今回は名司令官とヘッポコ新米兵たちという関係を主軸に置いていて、これまで以上にコメディ寄りな印象。

しかも
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夜と霧(1955年製作の映画)

4.2

本当に凄惨で圧倒的な記録映像を、現在(55年時点)の静かな収容所との対比で見せる。
映像を見せるだけでなく、現在から想像する行為を映画の中に織り込んでいるのがうまい。収容所の廃墟を歩きながら記録映像を
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ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

3.8

ジャンルパロディ的で面白いロマコメなんていくらあっても嬉しいですわ。

鑑賞中の快不快に特に繊細な感覚が求められるロマコメジャンルこそその時々の価値観に敏感に作られているので、それを見る意味でも楽しい
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.8

好意からくる無償の行為の面倒くささと、有償の関係の残酷さを対比的に描いた話(…なのか?)。
監督が世界を性悪説的な見方で描いていて、出てくる人物たちも、そこに向ける目線も悪意がすごい。特にYouTub
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.2

何も考えず観てるだけでいいバズ・ラーマンの装飾過多な画面が楽しい。

画面と構成のデザインがしっかりしてて情報の意味づけもはっきりしてるから観客はそれを受け取るだけでいい、というパッケージングはいかに
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グレイマン(2022年製作の映画)

4.1

オールスター天丼に海老天2個追加したみたいな特大予算の特盛アクション。

Netflix用だからなのか、いくつ見せ場つくんの?っていうくらい団子状に色んなシチュエーションを投入していて、アクション映画
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

3.3

リズムを崩しかねないギャグの連発はまあいい。でもメインの話自体が微妙という感じ。

懐古おバカハードロック的なトーンを期待していたけどそれはほぼ冒頭のシークエンス(とエンドロール)のみで、他のいろんな
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ランデヴー(1976年製作の映画)

-

ヒヤヒヤするノンストップな10分弱。最後の瞬間まで目が離せなかった。素晴らしい。

ちらほら映画で見た景色もあったけど、パリを全然知らんので途中何回か同じ道を通ってるように見えた。

※YouTube
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サランドラ(1977年製作の映画)

3.3

マイケル・ベリーマン演じるプルートのビジュアルがかなり印象的。

人のいない荒野に住む食人一家という設定はまんま『悪魔のいけにえ』的だけど、元ネタはソニー・ビーン一家という中世の怪しい史実らしい。
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XYZマーダーズ(1985年製作の映画)

3.2

笑いのセンスのないサム・ライミが撮った作品って感じ。
スピルバーグの失敗作とされるドタバタコメディ『1941』になぜかよく似てる。

笑いの種類がくだらなすぎて面白くないんだけど映画全体の愛らしさだけ
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.2

段々とおかしくなっていく妻の話かと思いきや、すでに最初の段階で半分くらいこわれつつあるではないか。
ジーナ・ローランズの不安定な妻の演技がとんでもないのでそれだけで見れちゃう。ただ、女の話というより夫
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フェイシズ(1968年製作の映画)

4.0

気まずいことこのうえない終わりかけの夫婦だけど、二つの浮気が逃げ場として機能している感じが面白い。

特に妻の方の浮気はぐちゃぐちゃにもなってるけどわりと肯定的に見れる。相手の男も多少間抜けで暴力的だ
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犬王(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

南北朝時代に、平家物語の隠されたストーリーを巡って表現者と権力者がせめぎ合う。
ハイクオリティなアニメーションとアヴちゃんの声、強いキャラクターたちが良かった。

ストーリーは表現の快楽と使命感の話と
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

懐古と刷新のバランスが絶妙。

思い切りのいい懐古シーンが気持ちよく、前作の冒頭の再現とDanger Zoneでその覚悟と威勢の良さにホロリと泣けてきた。他にも随所に前作のカットの踏襲がある。
一方、
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.2

ずっと見てたくなる美しい映像と程よい官能性。

アメリカのグラフィックノベル原作とはいえ、最近のアメリカ映画ではなかなか見ることのできないモチーフやツイストしたストーリーが面白かった。

『燃ゆる女の
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夜を走る(2021年製作の映画)

3.7

終始居心地の悪いシュールな犯罪映画。
隠されようとする犯罪を軸に、日常がいかに欺瞞に支えられているかというのを暴く話。

笑っていいんだかいけないんだかという展開に振り回される後半が特に面白い(がすっ
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

終始ニコニコで観れた久々のMCU作品。
そこかしこに刻まれたサム・ライミ印は、凝ったアイデアを詰め込んだうえにそれらが観客を驚かせ笑わせ楽しませる方向に向いているのがすばらしい。

サム・ライミの映画
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私はゾンビと歩いた!(1943年製作の映画)

4.0

短くて美しい。
ここのところいくつか続けて見たリュートンホラーと呼ばれる一連のRKO作品では一番よかった。

他のRKO作品でのキレキレの構図が印象に残っていたマーク・ロブソンが編集で参加している。ジ
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シンプル・プラン(1998年製作の映画)

3.8

サム・ライミに期待する映像的な特殊度はそこまでだけど、脚本とビリー・ボブ・ソーントンの演技がナイス。
主人公の妻が話をドライブさせていくのが脚本として面白い。

最後の方に用意されているサスペンスの撮
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扉を閉めた女教師(2021年製作の映画)

3.8

シンプルだけどちゃんと面白くてエロい。

主人公2人をとりまく田舎、宗教、退屈、停滞って感じの設定は既視感あるけど(山本直樹的な)、閉じ込められた倉庫での感情の流れに説得力があって面白かった。柑橘を食
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アンビュランス(2022年製作の映画)

4.4

マイケル・ベイの映画自体ちゃんと観たのは初めて。めちゃくちゃ面白かった。

脚本も演出もとにかく過剰。「なくてもいいけどあった方が楽しいショット」の連打で、1秒も飽きさせたくないというやりすぎなサービ
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スペル(2009年製作の映画)

3.8

こっちが十分だと思う展開の数個先をこれでもかと提示してくるのがサム・ライミ節。
途中でオチは読めてたはずなのに予想より派手にオチて期待を裏切らない。

チープでもトンデモでも、手を抜かず人を楽しませよ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

事件に巻き込まれ、妖しい美女とのロマンスがあり、裏取引の現場からのカーチェイス、そして雨が降るなど、ハードボイルドなノワールもののジャンルにしっかりのっとった作品で、アメコミと他のジャンルが掛け合わさ>>続きを読む

恐怖の精神病院(1946年製作の映画)

3.8

リュートン・ホラーと呼ばれる作品を3作立て続けに観たけど、その中では一番面白かった(有名な『キャットピープル』は未見)。

映画ではあまり見かけない時代の話で、ボリス・カーロフがかつらをつけ外しするの
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

3.5

濱口竜介的なエッセンスは随所にあって見どころも多いが、どうも散漫な脚本に感じてしまう映画だった。

作中のカメラマンが目をつけたように石田法嗣の野生的な若い顔つきは確かに魅力的で、石田法嗣を中心に据え
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サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

4.2

話は少し行儀がよすぎるけど、カメラワークが圧巻。特に修道院の中庭がかなりかっこいい。
そもそも撮影所全体のクオリティが高いんだろうけど、『ウエストサイド物語』『たたり』『サウンドオブミュージック』とロ
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狼男アメリカン(1981年製作の映画)

4.2

よくできてて面白い。面白い映像を見せることに全力をそそいでいる良さ。
特に特撮的な部分の撮影がすごい。狼化するところはどうやって撮ってるのかわからない。喋る死人のアイデアも面白くて、どんどん状態が悪く
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吸血鬼ボボラカ(1945年製作の映画)

3.6

冒頭、ボリス・カーロフが手洗いするうしろで兵士たちの影が動いていたり、死屍累々の戦場を歩いていく撮影だったり、まさにベックリンの絵のの通りの「死の島」に小舟で向かう絵画的なシーンなど、前半の映像が非常>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.7

今作のスパイダーマンのヒョロいフォルムが非常にいい感じ。
初めてコスチュームを着てチンピラ退治をするあたりのシーンがよかった。ヘタレのふりして糸出したり、警官の銃避けたり。
パントマイム的な体の表現が
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

やっと観た。変な映画!

壮大なチャレンジと努力には恐れ入るけど、メタな驚きや喜びなので映画として評価するのは難しい。

単純に映画として面白いかというと、映像的な部分でかなり退屈にはなってしまってい
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