mokumokuさんの映画レビュー・感想・評価

mokumoku

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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

3.9

看護学校の精神の授業で反面教師の教材として使う学校もあるらしい。なるほど。

時代も時代のかなり重たいテーマの中、不良カリスマのマクマーフィーが光る。マクマーフィーも含め皆が行き先を見失ってるかの様な
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.3

フランスアート系サスペンスかと思いきや、ガッツリ法廷ものの会話劇。色んな事がジワジワと分かってくる構成のバランスが秀逸で、まるで陪審員になっているかの様な感覚でサンドラの判決を自分なりに模索しながら鑑>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

多少の突っ込みどころは有るものの、伏せられた平山の過去を推測しながら鑑賞すると何だか泣けてくる。

果たして平山の生活はパーフェクトデイなのか知る由もないが、事あるごとに空を見上げる表情やホームレスを
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.9

ゲームと映画の融合が面白すぎる。そして久しぶりのIMAXはやっぱり凄い。

グランツーリスモをやったことなくても十分楽しめると思うけど少しでもプレイしていればより楽しめる造りになっている。ゲーム画面の
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.8

前日譚なので当たり前なんだけど、結末が分かっている分だけ意外性の面白さという点でXより若干劣る印象。

ただ、否が応でもXの老婆パール、強いてはマキシーンのその後を重ね合わせて見てしまう何とも面白い映
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X エックス(2022年製作の映画)

3.8

このシリーズはスルーしようかと思っていたけどパールがあまりに面白そうなので。

70年代ホラーのテイストを残しつつ斬新な設定や演出が印象に残るバランス良い作品で最後まで楽しかった。思ったよりグロく無か
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.9

父娘水いらずの楽しいバカンスっぽいが何かが違う。画の質感や何処となく気まずい雰囲気から伝わってくる父の危うさに気付いた頃から31歳のソフィと同期することになる。

語りの少ない作風が良い映画の条件とは
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.1

一見サスペンスタッチの不倫メロドラマ風だが、独特の感性で計算され尽くした様な構成や演出に冒頭からグイグイ引き込まれる。

見る側に委ねられるラストシーンも含めやや難解に捉えられそうだが、逆に自由な解釈
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.8

賢いトリがロキタを想い奔走する姿に終始ハラハラさせられる。

かなり削ぎ落とされた89分だがテンポ良く見応え十分。人間の本質に迫るような独特の重さはあまり感じられなかったが、計算され尽くされた様な構図
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.3

ワンシチュエーションで主要人物5人の超ミニマム設定ながら大作級の見応えを感じさせてくれる演出は流石の一言。ブレンダンフレイザーはもちろん他4人の演技も素晴らしく、それぞれが奥に秘める感情の見え隠れが絶>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.7

なるほど成るべくして映画監督になったんだと納得させられるスピルバーグ監督の自伝的映画。幼少期から探究心や才能が溢れ出ていて、映画に魅せられてから父のカメラで初めて撮るまでの姿はエモーショナルで流石の一>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.6

ティモシー×ルカグァダニーノ監督、カニバリズム×ロマンスでかなり期待していたんだけど、どちらかと言えばヴァンパイアものに近い印象を受けてしまうホラー×ロマンス映画だった。

冒頭の衝撃はかなり良かった
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.4

オリマキのユホクオスマネン監督作品。オリマキ同様、優しい人物描写が冴え渡る心温まるロードムービーがめっちゃ良かった。寝台個室の狭い空間に慣れた頃には一緒に旅している感覚に陥ってるはず。

正直ラウラに
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海辺の女(2022年製作の映画)

3.6

Myfff2023ショートフィルム。主演女優さんのハマり具合も相まって終始気だるい雰囲気に包まれた作品。人それぞれ色んな形のバカンスがありますね。共感は出来ないけど見入ってしまいました。

すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.9

フランソワオゾン監督の最新作は安楽死をテーマに長女役のソフィーマルソー目線で描かれる笑いあり涙ありの王道ヒューマンドラマ。オゾン監督なので一癖ある心理描写を期待していたが意外にも王道を貫いている感じだ>>続きを読む

オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

4.2

コッコラのパン屋の息子オリマキ。世界戦を戦うボクサーにしては優しすぎるオリマキ。そんな人間味あふれるオリマキがめっちゃ良かった。

まずは試合に集中してと終始ヤキモキさせられるけど、ラストの粋な演出で
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.6

かなり風刺の効いたブラックコメディ。大人はもちろん子供達に至るまでキャラが立っていて、デマの温床と言わしめるセリフがじわじわ笑えてくる。

コロナになぞらって死に対しての楽観から意識、恐怖へと描かれて
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あのこと(2021年製作の映画)

3.8

このテーマに関してはどうしても法律や性別の違いや宗教が絡んでくる繊細な所はあるが、監督の描きたい想いが演出にガツンと込められた生々しく力強い作品だった。

アナマリアバルトロメイの体当たりの演技も相ま
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

やっとタイミング合って見れた今話題の作品が想像を遥かに上回るインパクトだった。

淡々とジャンヌの日常を覗き見する200分。完璧な1日目を見る事で2日目以降の些細なズレにも気付くようになり、衝撃のラス
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.2

原作ファンの為の作品と思っていたけど、原作未読でもいけそうですね。スラムダンク劇場版って感じの位置づけではなく、しっかりと作家性のある一本の映画として仕上がっていて素晴らしい。

まるで漫画がそのまま
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ピート・デヴィッドソンのNYから生"存"放送(2020年製作の映画)

3.6

キングオブスタテンアイランドの後に見たら面白いと思う。お母さんの話とか出たらマリサトメイでその情景が頭に浮かんでくる。

それにしても自虐ネタと下ネタのオンパレード。観客ほど笑えなかったけど、アリアナ
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キング・オブ・スタテンアイランド(2020年製作の映画)

3.9

何かと話題のスタンドアップコメディアン、ピートデヴィッドソンの半自伝的物語。実際にピートの父はニューヨークの消防士で9.11のテロで亡くなっているらしい。

この事を踏まえて鑑賞出来れば、物語の深みが
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37セカンズ(2019年製作の映画)

3.7

生まれながらに障害を背負ってしまったユマ。まだあどけなさも残るが、独り立ちに胸をときめかせる姿がただただ逞しい。終盤にはもう障害を感じさせない程に成長していましたね。

ユマを取り巻く人物達の描写も秀
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さざなみ(2015年製作の映画)

3.8

もうすぐ結婚50年になる72歳の母と電話していて久しぶりに映画の話になっておすすめされた作品。話し始めると興奮してオチまで話してしまうかわいい母ですが、さてはシャーロットランプリングになりきったな。>>続きを読む

戦争と女の顔(2019年製作の映画)

4.3

イーヤとマーシャ。軍に従事し戦争から帰還したふたりの女性の物語。ふたりが再び交わっていく事でPTSDや肉体的外傷のさらにその奥にある闇が次第に露わになってくる。彼女達のそのいびつな関係性が闇の深さを物>>続きを読む

おもかげ(2019年製作の映画)

3.9

まず冒頭10分ちょっとの長回しワンカットに度肝を抜かれる。張り詰める緊迫感はギルティより凄かった。多才な監督ですね。

ガラッと雰囲気が変わる10年後。壊れてしまってから10年越しの儚い夢物語と捉える
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

なんとなく気まずく、なんとなく嘘くさい会話に隠された余白に妄想が膨らんでしまう。サラッと撮られた感じだが、じわじわと面白い会話劇。

同じ話を何度もするのは本心を話してない、を実演しているキムミニが何
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ゲーム・オブ・スローンズ:ラスト・ウォッチ(2019年製作の映画)

3.9

ゲームオブスローンズ最終シーズンの撮影を1年間追った密着ドキュメンタリー。ハウスオブザドラゴン見てたら関連で出てきて知った。もっと早く見たかった‥

俳優陣も登場するけど、メインは現場監督や美術、エキ
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

4.5

いやこれは凄い。主人公オリヴィエの思考や言動、沈黙までも一緒に体感させられる。オリヴィエ自身も理解不能なその揺れ動く葛藤に一緒に押し潰されそうになってしまう。

元妻に狂気の沙汰と言われるのも頷けるが
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

3.8

父親との生活に慣れきってしまっているが、賢く要領良く優しい心を持つイゴール。父親を慕いながらも、このままではダメだと分かっている葛藤がヒシヒシと伝わってくる。

ギュッと胸を締め付けられるラストシーン
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ロゼッタ(1999年製作の映画)

3.7

色々背負ってしまったロゼッタ‥見ていられない‥母の存在がロゼッタの頑なな人格を形成してしまっているのは明らかだが、それにしても仕事の為に助けるのを一瞬躊躇する姿には目も当てられなかった。

とことんロ
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

4.2

満を持して登場のミューズ。キェシロフスキ監督が表現する赤=博愛を演じれるのはイレーヌジャコブしかいないとすら思わせてくれる透き通った美しさ。あんなに曇りの無い澄んだ眼差しで叱られたら、そりゃあ偏屈な悪>>続きを読む

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

3.6

青とは対称的にこちらはややコメディタッチのドタバタ劇。その中で光るジュリーデルピーの美しさ。回想シーンのウエディングドレス姿を見せられたら忘れられないよな。

白=平等がテーマの中、紆余曲折あってのラ
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

3.8

夫と娘を亡くしたジュリーの再生の物語。再出発を決意したジュリーの痛々しさと力強さが同居する演出がジュリエットビノシュにぴったりハマる。

数々の美しい演出の中でも、拳で塀をなぞるシーンがひと際印象に残
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.2

正義を貫くか、全てを語らず隠蔽してしまうか。ことごとく問いかけられる天秤がズシンと重くのしかかってくる。正義を貫けない現状、隠蔽せざるを得ない現状が自ずと浮かび上がってきてしまう現代社会のやるせなさに>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.2

村上春樹とかチェーホフとか知らなくてもドップリ浸れる3時間。小難しく考えないで登場人物の言葉を追っていけば、いつの間にか家福のサーブに一緒に乗っているはず。

ロードムービーと言うよりかは、行ったり来
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