departmanさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

イントロダクション(2020年製作の映画)

3.3

まだ何者でもないとき
夢は定まらず
タバコではぐらかし
軽い気持ちで抱きしめる

冬の波は
彼に何かを示したのだろうか

「衝動的な方が生きている気がする」

まさにイントロダクションだった

駅馬車(1939年製作の映画)

3.8

駅馬車が運ぶのは
ちいさな命の誕生と
ふたりの新しい門出

「誇り高きゴミとなれ」

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

3.5

権利と誇りの間
誰かに迷惑をかけること
誰かのために生きること
ここでの波も激しく揺れる

「声を上げれば、誰かが答えてくれます。世の中、捨てたもんじゃないんです」

自分の目で見ていないことだって
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ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

4.0

不遜で容赦ない力に
家族は引き裂かれる
弱いものを守れなくて何が法律か

「根がないようであるから。
 だから生きてる」

体に墨を入れるのは
ここで生きていく決意でもあり
ここで生きてきた足跡でもあ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.2

信仰の争いなんて関係ない
友達のいるこの街に
好きな人がいるこの学校に
ただいたいだけなのに
大人は何だって勝手に決める
誰も答えなんて知らないのに

「答えが一つなら、紛争なんて起きんさ」

残る人
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ユナイテッド93(2006年製作の映画)

-

絶対に負けられないの時
絶対に唱えたいことば

「Let's Roll 」

マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.9

消したい赤と残したい赤

国も県も、境を越えるのは難しい
大きな社会と小さな身内
そのどちらも認めてはくれない
だからこそ
赤好きだよ、って軽い言葉に
救われる

「もう、頑張ってます」

こんにちは
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親密さ(2012年製作の映画)

4.5

朗読と演劇を映画が包む

水を引っ掛けて終わる対話より
勢いで記した送れない手紙の方が
世界の夜明けにはずっと近い
暴力と恐怖を乗り越える勇気は
全員が持っているのだから

「降りるべき駅で降りること
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遭難者(2009年製作の映画)

3.9

車叩いた後はちゃんと撫でよう

「疲れた顔が好き」

女っ気なし(2011年製作の映画)

4.4

「イージーライダー」のように
旅立つことはない男は
忘られた街でヴァカンス客を待つ

せっかく立てたポロシャツの襟は
熟したやわらかい手に折られるが
いちごにかけすぎたクリームと砂糖は
娘との時間を甘
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ブロンド(2022年製作の映画)

2.9

引き出しの闇の中にいたのは
一際明るいブロンドヘアの少女

光と父を求めて這い出した世界は
彼女にとって
あまりにも品のない視線で溢れていた

「映画の撮影は細切れよ。ジグソーパズルと同じ。でも、ピー
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.3

夢見たロンドンの60sに
悪夢がすぐにやってくる

ブロンドヘアーに
白のエナメルのコート
ピンクのドレスに
ドス黒い男たち

歴史は
まずかったところと美しかったところを
交互に映し出していた

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やさしい人(2013年製作の映画)

3.9

メロディを失ったミュージシャン
ほんの少し前まで目の前にあった幸せが
理由なく消え去った時
ベッドで泣き崩れる他ないだろう

起こした行動に濁りはあるが
見つめた景色は澄んでいた
誰もが不器用でやさし
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.5

4人は回り、廻る
古びたバスに乗って
借りものの自転車に乗って
死を覚えた感情に乗って

セピア色に褪せた風景も
無言で心を通わせる心情も
どこを切り取っても美しい

「生きろとは言わん。ばってん、死
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.6

青臭い夏の時間
どうしようもない男たちの
なんとも言えない心地よい連帯

関係は続かなくても
この地で浴びた風や水は
この地で触れた歌や子どもは
彼らの記憶に残り続けるだろう

とにかく
人生にはヴァ
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ランデヴー(1976年製作の映画)

3.9

会いたい人がいる
そこまでの道のりは
かっ飛ばすしかない

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.3

くるって回る練習は必要だな

「指数10の恥ずかしさですね」

アリス(1988年製作の映画)

3.5

これは一体何を見せられているのか
少女の妄想ほど
可愛くて怖いものはない

でも
そんなになんでも口に入れないで
あと
そんなに簡単に首はねないで

渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

3.8

ぶつけようのない苛立ちは
黒い海と青い空が
受け止めてくれる

学生時代なんて
カルピスを牛乳で割るようなものだ

「そういうの、同情ファシストって言うんだよ」

「吉田がどんな風に人を好きになるか見
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整形水(2020年製作の映画)

3.4

賞賛も嫉妬も
いつだってそこには「美」がいた

美で成り上がり
美に朽ち果てる

なりふり構わず美を追求している時こそ
皮肉にも人間の最も醜い瞬間かもしれない

「愛されたかっただけ」

それでも
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アダムス・ファミリー2(1993年製作の映画)

3.9

相変わらずのブラックジョークに
こちらのえくぼはでっぱなし

「この絵本、誰も死なないのね」

ディズニー漬けの
ウェンズデーに笑顔

手でアクセルを踏んだ
ハンドに拍手

フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

3.5

ホラー?
いやいやラブストーリー

心を失った怪物が
この世にはあまりにも多すぎる

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

3.6

最近お金の勉強しているからなー
という強い心持ちで挑んだものの
風向きは分かれど
風力や風速までは分からず

「誰もが心の奥底では
 世の終末の到来を
 待ち受けているものだ」

結局はいつまでも
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モキシー ~私たちのムーブメント~(2021年製作の映画)

3.5

対抗策の細かい手法に眉をしかめないでもないが細かいことは置いておいて総じて賛成のスカッとするティーンムービー

「でも顔は上げていたい」

今回の矛先である男性たちとの和解がないことは少し気がかりであ
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.5

世代ではなくとも
憧れと郷愁が入り混じる
1973年のアメリカ

すれ違いに罵り合い
それでも二人は自然に求め合う
そう
トラックが惰性で坂を下るように

「あなたのペニスはどんなのなのよ?」

今は
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.9

雨が降ったら迎えにきて
ボタンが外れてたから付けておいたよ

大切な人とのつながりに
血は不要だ

「生まれてくれて、ありがとう」

照明とトンネルと手のひらがつくる暗闇は
母のやさしさをありありと照
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.2

誰も悲しむ人がいないなら
生を終える選択を
頭ごなしに否定はできない

監督の言う
「励ますからみんなで生きていきましょう」と答える社会が正しいと思う
正しいと思うのだが
余白は広がるばかりだ

「明
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アダムス・ファミリー(1991年製作の映画)

4.1

異次元の家族

お行儀は悪い方が
プレイはハードの方が
最高に円満
困った時は手の手を借りれば
万事OK

「それ重要?」

今更ながら初鑑賞
一体どんな子を孕んだのか
2を見ない訳にはいかない

アルゴ(2012年製作の映画)

4.1

SF以上に現実離れ

国の内側と外側
アルコールの可否が
それを知らせる
これほど安堵する空はない

「アルゴ、糞食らえ」

圧倒的他者として
異国に存在する怖さが
120分間収まることはない

架空
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千年女優(2001年製作の映画)

4.2

季節と時代が変わっても
あなたへの想いは変わらない
毎日が満月の前日
鍵があるから前に進める

「14日目の月にはまだ明日がある」

会えないままでいい恋もある
死の先に希望を持てるのだから

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.5

突然始まる擬似親子生活
喜びも苛立ちも
現実も未来も
美しいモノクロの世界では
どこか抽象的
そうはいっても人生は進む
先へ、先へ

「平凡なものを不滅にする」

「ふざけよう、コンマ、
 そうできる
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さがす(2022年製作の映画)

4.1

座間事件を下敷きに
社会のディープな問題が
何重にもミルフィーユ
ここは紛れもなく西成だ

みんなさがしつづけている
生を終えれる場所を
性を満たす場所を
生をともにする場所を

「人間がいらないんだ
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我々の父親(2022年製作の映画)

3.5

一体どんな気持ちで
あなたにすがっていると思っているのか

こんなにやりきれない"きょうだい"が
どこにいる

「夢を叶えてくれたから怒ることはできない」

知りたくなかっただろうが
知らないわけには
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