mononcleさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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異端の鳥(2019年製作の映画)

4.2

次から次へと登場する人物の顔が印象に残る。
救いのない少年の彷徨に釘づけになる3時間。だんだん少年の目から希望の光が失われてゆく。寡黙なロシア兵だけに束の間の安堵をみせるが、彼から渡された一物は重い現
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ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン(2019年製作の映画)

3.0

50年代から起用していたモデルの松本弘子。一時期交際のあったJ.モローとの件以外は、それほど興味は湧かなかった。だが、もっとも気になるところは、口を濁して詳細が語られなかったサンローランとの関係である>>続きを読む

旅の重さ(1972年製作の映画)

3.8

若く瑞々しい高橋洋子。
16才の年齢設定だが、当時19才。未だ女優然としていない秋吉久美子が18才。拓郎の主題曲も時代性を映し出し、青春の彷徨を描いて秀逸。

しかし、斎藤耕一は《約束》など、この時期
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あいつと私(1961年製作の映画)

3.5

才気煥発だった頃の中平康が、楽しみながら撮った感のある作品。
60年安保に、性の話題、女性の社会進出、複雑な家庭環境などを裕福な大学生たちの生活を軸に描写されている。

太りだす直前のカッコい〜裕次郎
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ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(2015年製作の映画)

2.5

凡庸なインタビューの垂れ流し。饒舌過ぎてかえって、ビル・エヴァンスの特性が浮かび上がらない。

近親者の死はあったものの、音楽の才能に恵まれて、男前で背が高く、次から次へと女性にもてて音楽仲間にも恵ま
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(1954年製作の映画)

4.0

思春期に見た映画特集その2。
野獣のようなイメージだったザンパノは、ジェルソミーナと別れ際意外や細やかな愛情をみせる。マッシーナは、よくみると可愛く加藤治子に似ているし、R.ベースハートは、善人のイメ
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フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

3.8

多感な思春期に見た作品をいま見返すといかがなものか?

《甘い生活》や《8 1/2》とは異なり、わかりやすい作風の印象があったのだが、意外とフェリーニ調だった。自伝的な要素が強いのが特徴の作品だが、特
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おかえり ただいま(2020年製作の映画)

3.0

実話の事件をドラマとドキュメンタリーを混在させて描いている。映画作品としてみると出来は緩く満足できるものではない。

制作者は、死刑を望む被害者心理、加害者に死刑を容認する国民性にフォーカスしたかった
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チィファの手紙(2018年製作の映画)

-

《ラストレター》は、すでに見ているので、ストーリーはわかっていることが安心感に繋がったのか、冒頭数分後からどっぷり寝込んでしまった。上映時間から察するに、1/3ぐらいは寝込んだのだろう。当然採点不能。>>続きを読む

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

2.7

映像のパッチワーク、絶え間なく流れる音楽、、もういい加減にしてほしいきもち満載の前半を乗り越え、後半見やすくなりもちかえした。

あれほど好きだった大林映画は、反戦思想をもりこむようになった晩年の作品
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劇場(2020年製作の映画)

4.5

コレはうっかり見ずに素通りするところだった。
小劇場演劇をとりまく舞台人の空気感を描いて出色である。構造としては、フェリーニの《道》をおもわせるような仏のようなヒロイン像を松岡茉優が的確に好演している
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グレース・オブ・ゴッド 告発の時(2018年製作の映画)

4.0

主役と覚しき人が、三度にわたり入れ替わってゆく構成。
夫々の被害者が、会話のなかで突如苦悩の表情をみせたり、口汚いことばを暴発させたり、癲癇のごとき硬直状態に陥ったり、、と夫々胸に抱える闇が濃厚である
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のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

4.2

なんの取り柄も活力もない高校生男子の近藤と彼が着目する小寺さん。そして、彼女に魅かれるクラスメートの面々。
小寺さんが、べつだん可愛くもないのに、だんだん健気で可愛く見えてくる。ひたむきな同級生に刺激
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.8

コレは、長澤まさみの転機となる作品だろう。この汚れ役をよく引き受けたものである。仕事はしない、パチンコに明け暮れる、男にだらしなく、家事はしない、こどもを学校にも通わせないの鬼子母神のような母親。長男>>続きを読む

人間の証明(1977年製作の映画)

4.5

久しぶりに予算たっぷりの日本映画を見る。
角川映画は、この当時潤沢な予算がつくれたのだな〜と感心。NYのロケーションもだが、彼の地でカーチェイスの撮影までしている。ふつうなら、犯罪者と刑事が走るだけの
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ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)

4.2

小編だが佳作である。
TV版をすでに見ているが、少し改変されて見やすくなった感がある。成海 璃子の登場で物語は締まる。ラストの展開に「あ〜そうだったんだ〜」と感心。そこは、TV版と同様なのにすっかり忘
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精神0(2020年製作の映画)

3.8

前半は、精神科医である主人公の診療の様子。後半は、認知症を患う妻との日常。
老夫婦ふたりの緩慢な動きから生の営みが静かに立上がってくる。カメラのレンズを通しながら、余計なことはせずに寄り添うことで見え
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母なる証明(2009年製作の映画)

4.0

一ヶ月半ぶりの劇場鑑賞。
さすがに未だ観客は少なく、座席は一席毎にシートが取り外されている。作品は、ポン・ジュノ渾身の代表作。知的障害者である息子にかけられた冤罪を晴らすべく初老の母親が、孤軍奮闘する
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人間の時間(2018年製作の映画)

3.8

異色作にして問題作にして怪作。
オダギリ・ジョーの使い方からして?なのだが、これは、現在のコロナ騒動による終末感漂う世界を暗示&揶揄したかのような寓話とみた。

ラストのあのふたりからまた新たな世界が
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

4.0

福島原発災害発生3日間の現場の状況がどのようなものだったのか、目の当たりに疑似体験できる。何人もの現場担当者が亡くなり、その後多くの方が、被爆症に悩んでいるだろうことは、もう報道されない。
コロナ以上
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我ら山人たち(1974年製作の映画)

-

半分以上熟睡。
当然採点はつけられない。でも好いのだ!

いま、コロナ事情で単館系ミニシアターが危機的な状況に瀕していると聴く。一度休館の目に遭えば、もう立上がってはこれないとも聴く。洋邦問わない旧作
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子どもたちをよろしく(2019年製作の映画)

4.2

コレはツライ。ヘビーである。
単なる虐めの映画としてみたのだが、事はもっと深く、夫婦、家族、職業の問題に触れて、共振してしまう。

最後まで救いはない。
ラストで男子中学生が体験する出来事は、一生彼の
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山の焚火(1985年製作の映画)

4.0

伝説の名作を初見。
自然と人間の原初的な営み。隔絶された環境のなかで起こる必然と云える姉弟の関係性。ラストの行く末を示さず終わる余韻は、何事も自然のなかに呑み込まれてゆくのだろうか。母に抱かれる娘、父
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.8

硬直した右翼思想の持ち主とみていた三島由紀夫は、ときにユーモアを介しながら真摯に全共闘の若者たちと向き合っていた。楯の會の右翼青年だけでなく、当時会場に集まった左翼青年たちも三島のファンになってしまっ>>続きを読む

バウハウス 原形と神話(2009年製作の映画)

3.5

バウハウスの全容がお手軽に学習できた。
オスカー・シュレンマーの再現ステージが見れたのが、とりわけ収穫。そして、モホリ・ナジが、あまりにイメージとちがう屈強そうな人物であったのが意外。

わずか14年
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どこへ出しても恥かしい人(2019年製作の映画)

3.3

疑問なのは、なぜ撮影から10年を経て公開なのだろうか?
すくなくとも撮影当時、定期的にライヴ活動もされているようだし、新聞紙上への連載執筆もされている。競輪さえしなければ、もうすこし真っ当な暮らしがで
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.0

よくぞこの映画を創ったものだと感心。
とともにこの手の作品が、上映されなくなったなら日本もいよいよ危ないのではないだろうか。

キネ旬がベスト10から外したのにはがっかりさせられたが、日本アカデミー賞
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

4.0

第一次大戦下の記録フィルムをカラー化したドキュメンタリー。
従軍生活の日常に迫った異色作とも云える。戦地で犬を愛でる姿や戦友とふざけあう姿。最前線で突撃を待つ刹那に、隣の兵士と友情が芽生えるエピソード
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ローラ(1961年製作の映画)

3.5

クールビューティのアヌーク・エーメが、こんな単細胞の踊り子を演じるとは。それに7年間待ち望んだ彼が居丈高なつまらない男で、まぁお似合いのカップルと云うか。

撮影が綺麗だし、港町ナントの風情も良いので
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マンハッタンの二人の男(1958年製作の映画)

3.5

J.L.ゴダールが最も敬愛する作品。
この作品の魅力がよくはわからないが、J.P.メルヴィルは、アメリカで撮りたかったのか、美女を次から次へと登場させたかったのか。マンハッタンの摩天楼、夜の街路が美し
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

5.0

おくればせながらの鑑賞。
ピアノコンクールに絞ったテーマ設定の潔さ。天才的ピアニストの卵たちの同士愛。演奏中の僧帽筋の筋肉の発動で、挫折から復調してゆく主人公を見せる演出の確かさ。

昨年見ていたらベ
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影裏(2020年製作の映画)

3.8

綾野剛は、煮え切らない昼行灯みたいな役が多くなったな〜と。しかも〇〇だと。そして、松田龍平は浅野忠信を継承するような謎めいたキャラクターが水を得ている。くわえて、中村倫也は綺麗だったな〜とつらつらと記>>続きを読む

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)

3.8

前半の捉えどころのないストーリー展開に、睡魔が襲いかかるのをグッとがまんして見続ける。

だが、終盤のあれ!なにこれ?な展開にぐっと魅き込まれてゆく。予算のないB級作品なので、女優陣は魅力に乏しく、ス
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

話題のアカデミー賞映画をようやく見る。
圧倒的な女性の鑑賞者。いまや日本の男性は、映画など見ている余裕はないのだろうか。底辺にいる主人公家族が、暮らしを憂いている風でもなく、裕福な家庭に寄生してゆく様
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

3.5

香水の調合をするお店、パン屋さん、精肉店、理髪店、、などアニエスが住む町のご近所の商店主たちをドキュメント。オリジナルの香水を調合するご主人の奥さんは、一緒に店番をしているもののどうやら認知症を患って>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

3.8

あと20分は削れる編集に課題はある。だが、LGBTの置かれた状況に肉薄しており、今の時代に向き合う誠実な作品と云える。

現代では、男性が女性という野性に困惑して女性と云う性を必要としなくなっているの
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