津次郎さんの映画レビュー・感想・評価

津次郎

津次郎

レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)

3.7

周期的にいい映画に巡り会わない時がある。
気分がふさいでいたり、アンテナを低くしていると、そんな時が長くつづく。
むろんいい映画がないわけではなく、ぜんぶ自分のせいなのだが、その谷底にいると、なにを見
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帰れない山(2022年製作の映画)

5.0

普遍的な話だった。この普遍的とはバランスのとれた人が書いた話──という感じ。パオロ・ソレンティーノ監督のThe Hand of God(2021)を見たときにもそういう普遍性を感じた。The Hand>>続きを読む

イン・ジ・アース(2021年製作の映画)

3.3

閃光の連続的な表現があるので光過敏てんかんへの注意書きが必要だと思う。

主人公は農作物の成長をたすける菌根の研究者。野卑な雰囲気がでるジョエル・フライが演じている。

土壌調査のため森に入った先発隊
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クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

3.3

Burning Bright(2010)という映画があって暴風雨のさなかトラと家に閉じ込められる姉弟を描いていた。海外の批評でそれが引き合いにされていたのは“特殊状況へおちいらせる”ことの相似だった。>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

すぐ発砲する映画だな──と思った。
マッツが演じているユルゲンの部下にすさまじく短気な奴がいて見境なく鉄砲を出すやバンと撃っちまう。彼以外でもわりとすぐに撃つ傾向があり、とりわけ相手がジョーンズ博士で
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4人の食卓(2003年製作の映画)

3.8

知らなかったのでぐぐったが明瞭な評価を見つけられなかった。A Table for Fourだと見つからないしThe Uninvitedだと箪笥のリメイクが出てくる。

imdb5.7、トマトメーターは
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タイタニック(1997年製作の映画)

3.5

はじめて見た。
映画を結構見るのだが話題作を見過ごしていることがある。
反発しているつもりはなく、たんに見ないまま過ごして今に至った。

航海から110年、公開から26年経って見たので時間経過(タイム
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おひとりさま族(2021年製作の映画)

4.0

マイオンリーラブソングという2017年の韓国ドラマにコン・スンヨンが出ていてネットフリックスの“マイリスト”に入れて何度か見た。
コン・スンヨンは瑕疵のないAI顔をしている。純白の肌質感で、寄ってもそ
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.8

日本が最後の公開地なのですでにプロモーションをさんざ見ている。──ということが洋画ではけっこうある。

もっとも印象的だったのはミーガンの中の人Amie Donaldがミーガンダンスをする動画。バイラ
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ドント・イット(2016年製作の映画)

3.4

この映画A Dark Songの邦題「ドント・イット」は「ドント・ブリーズ」と「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を融合させたものと思われる。とうぜんDon't BreatheやItの人気に>>続きを読む

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

3.5

月桂のカッコにsundance。見る前からわかりみがあった。
Natalie Erika Jamesの初長編。あちらでは初めての映画をホラーにするのが常道だが日本の“初監督作品”とは比べものにならない
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バービー(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

エブエブみたいだった。──というのもエブエブは派手な見た目だったが母娘の和解と“君は特別な存在なんだ”ということが描かれていて、バービーも派手な見た目だったが母娘の和解と“君は特別な存在なんだ”という>>続きを読む

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)

4.5

日本ではほとんど見ないが海外には“慈善家系”という感じでハンデを負っている人や困窮者に寄付や激励をして感動シーンへもっていくYouTuberやTikTokerがいる。

さっきそんなタイプのTikto
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蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)

3.4

imdb6.1、RottenTomatoes38%と35%。

なぜこれが低いのかという話をしたい。
続編の公理に組み伏せられているというのはある。1というかThe Girl with the Dra
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ユー・アー・ノット・マイ・マザー(2021年製作の映画)

3.5

すこしまえtiktok等でバイラルになったkarenがいる。かのじょはフォートワース空港の離陸前の機内で「あのくそ野郎はホンモノじゃない」などと不可解な罵倒を残して機を降りた。その動画が拡散されcra>>続きを読む

セーラ 少女のめざめ/セーラ 少女覚醒(2014年製作の映画)

3.0

セーラ(Alexandra Essoe)は女優をめざしているのだがうまくいかず生活のためにチアリーダーユニフォームの店につとめてしのいでいたが、あやしいホラーのオーディションをうけてセクハラに遭ったう>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.7

伊藤雄之助が演じた遊び人風情をトムバークに充てたのもしっくりする人選だったが、Aimee Lou Woodがまさに小田切みきタイプだった。小田切みきタイプとは愛嬌があり単純かつ健全で、よく笑うからみん>>続きを読む

サヴェージ・ウーマン 美しき制裁(2019年製作の映画)

4.0

Sarah Bolgerが気弱そうな女を演じているが、気弱そう──というのは男の希望的観測である。
若い頃、外観の印象で女に近づいたことがあった。そういう観点で近づくと当然いい結果にならない。あどけな
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ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のこと(2023年製作の映画)

1.0

ファンタジーをなぜメタにするのかというと①恥ずかしくないから②創作がめんどくさいから③もっていきたい場面にもっていけるから、であろうかと思われる。

①の恥ずかしくないの意味は実直に物語を書いてしまう
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さがす(2022年製作の映画)

5.0

韓国ノワールや李相日もどきが日本映画のトレンドになっているので猫も杓子もみんなそういうのをつくるからこれもそういうのだと思っていたが違った。はきだめな雰囲気と座間の事件からもってきたぽいサイコ野郎とス>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

面白い映画をつくろうという動機があるならカメ止めや「MONDAYSこのタイムループ上司に気づかせないと終わらない」のようなのがもっとあってもいい気がするが、こういう映画はあまりないような気がするのはな>>続きを読む

死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

3.4

死霊のはらわたで憑依から解放されて正常に戻った偽装をするという定番シーンがある。すごい形相だったのがもとに戻って猫なで声に変わって善良なものをだまし、施錠や緊縛の解除を要請するという、エクソシスト系に>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

2.7

狂騒的で山あり谷あり。過剰だし回しすぎだしわざとらしいしもったいつけるしフラグもがっつり置くしこんな疲れる映画もめずらしかった。

ネリー・ラロイ(マーゴットロビー)の中枢神経がダイナミズムへの渇望に
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TAR/ター(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

オケの人事によるわだかまりからやがて追われる指揮者の話。

リディア(ケイトブランシェット)には思いやりが欠けているが思いやりがないといけない──わけではない。
いけなかったのは人をないがしろにしたと
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ドリーム 狙え、人生逆転ゴール!(2023年製作の映画)

3.3

ホームレスワールドカップを知らなかった。ウィキやオフィシャルサイトをのぞいたがまともなイベントだった。それ自体がドラマチックなのでホームレス状態からフィールドを駆けるところまでのドキュメンタリーがいく>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

ほかのヒーローの冠映画でいちばん速いってことはフラッシュがいちばん強いのではないかという懐疑をもつことがあった。走り出すとみんな止まっているわけだから、なんでも細工できる。冒頭で高層ビルから障害物や危>>続きを読む

天間荘の三姉妹(2022年製作の映画)

1.0

『臨死状態の魂が天に昇るか、地上に戻るかを決めるまでの間を過ごす、天空と地上とを繋ぐ宿「天間荘」を舞台としている。』(「天間荘の三姉妹」ウィキより)

災害でなくなったはずの街とそこの人々が、天間荘の
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いとこのビニー(1992年製作の映画)

4.0

良作ではあったが名画とまではいかない。だけど同時代の人でいとこのビニーにしっかりした記憶を持っている人は多いと思う。ベストにあげるほどじゃないがみょうに懐かしい。

『goodではあったがgreatで
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.7

有能なクリエイターがつくっていることが解るできだった。やっぱり映画ってまぐれや気合いでいいものができたりしない。技術習得や台詞推敲の積み重なりだと思った。

現場で研鑽をつむのでテレビからきた人のほう
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ニモーナ(2023年製作の映画)

3.3

ニモーナは映画内世界の神話にでてくる獣だが実態は子供。受け容れられると大人しいが疎外されるとむくれる。人から邪魔扱いされてニモーナはグレた。騎士団から放逐されたバリスターとコンビを組む。友達かどうか解>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

千と千尋の神隠しのクライマックスとその感動を今でも覚えている。

その川の名はコハク川・・・
コハクがわたしを浅瀬に運んでくれたのね・・・

もし千と千尋~を見ていない人にそのクライマックス部分だけを
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アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

3.5

ダンスティーヴンスが美男のアンドロイド役。スティーヴンスは靴職人と魔法のミシン(2015)でもアンドロイドじゃないが美男代表みたいな感じででてきた。イギリス人だが新顔としてアメリカへ進出したThe G>>続きを読む

バード・ボックス バルセロナ(2023年製作の映画)

2.3

つまり主人公の男は亡くなった幻影の娘にそそのかされて、細々と生き延びている小コミュニティを見つけてはそれを壊滅に追いやっている──わけである。

なんでそんなけったいな話にしちまった?

作者兼監督の
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ズーム/見えない参加者(2020年製作の映画)

3.6

アメリカのストリーミングサービスでShudderというのがある。ホラー専門のNetflixみたいなものだと思うが、英語圏へ事業拡大しているものの、多言語へのローカライズはない。VPNを介さずにshud>>続きを読む

ギリ義理ファミリー(2023年製作の映画)

3.2

歴代007のなかで誰が?の問いをすると半分はコネリーになる。じぶんもそうだ。だが甘軽で非マッチョなロジャームーアがいいという人も一定数いる。またカジノロワイヤルからプロダクトがブラッシュアップされたの>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.2

カルトになっていてカメラワーク、Erwin Lederの演技、ナレーション、サウンドトラックなどがプロパーから賞賛されている。
今ではカメラが小型化しブレ補正も進歩しているので身体にくっつけて顔を近接
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