津次郎さんの映画レビュー・感想・評価

津次郎

津次郎

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.0

10年ぶりの──という謳い文句だが、行き当たりばったりみたいな筋書きと派生みたいな出来事で構成された猟奇殺人の話。82歳にしていつものダリオアルジェントだった。
日食、盲目、白杖、アグレッシヴな盲導犬
>>続きを読む

レベル・リッジ(2024年製作の映画)

4.0

Jeremy Saulnierが書いて製作も編集も監督もやっている。やはりSaulnierが書いて監督したBlueRuin(2013)やGreenRoom(2015)をよく覚えている。独特でギリギリで>>続きを読む

インサイド・ヘッド2(2024年製作の映画)

3.6

日本語脳で考えると頭の中の話なんだからインサイドヘッド。

邦題に文句をたれることがよくあるが、これは邦題のほうがしっくりくる。

しかし、それならinside outってのはどう訳したらいいのか。検
>>続きを読む

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

3.8

サイダーハウスルールは超簡単に言うと妊娠中絶が道徳的に間違っていると考える若者が、実際に世の中を体験して、それが必要なものだと知る──という話です。

セントクラウドはラーチ博士(マイケルケイン)が院
>>続きを読む

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

お好きな方はスルーでお願いします。
多数の人にとっての愉しみがじぶんにとって苦しみであるということがあります。この映画を見ることは苦痛というより拷問でした。それなら見なければいいのですが、これが面白い
>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

PVを見て、むしょうに見たくなった。吸い寄せられるような絵と声。アニメなのにカメラワークを感じるPVだった。特別なもの・フレッシュなものを感じたので映画館へ行った。
じぶんは漫画を見ない人で、何も知ら
>>続きを読む

猫が教えてくれたこと(2016年製作の映画)

3.8

獣を擬人化させてしゃべるやつではなく、かわいいで釣るペット映画でもない。猫の視点にカメラを下げると、その肩越しに人間界の雑踏が見える。

オスマン朝が興隆したとき下水道が配備されたがそこへネズミが繁殖
>>続きを読む

ドライブアウェイ・ドールズ(2023年製作の映画)

2.8

ジェラルディンヴィスワナサン見たさで。
タミル人の血が入っているそうだがアラブ世界の気配。お目目ぱっちりでぽちゃ。Melissa Barrera似の今世紀を勝ち抜ける濃厚めりはり顔だと思う。コメディに
>>続きを読む

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

3.7

Hailey Welch(22)は今(2024/08)アメリカで大流行しているバイラルスターである。
動画のオリジナルはYouTubeやTikTokによくあるバズるのを目的としたNSFWな街頭インタビ
>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

2.0

原作は月刊アフタヌーン誌で2004年に掲載された豊田徹也氏の漫画だそうです。

『ほんとうはすべて知っていた。心の底流(undercurrent)が導く結末を。
夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

リアルというよりawkward。
awkwardの翻訳を見ると、気まずい、ぎこちない、不味い、照れくさい、重苦しい、ぶざまな、不器用な、不具合な、不為な、など。

ドキュメンタリータッチのリアル演出だ
>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

1.8

ジミー役グレッグシュー/許光漢の起用は18歳と36歳ができるからだそうだ。w
映画が緊張をもたらす理由はたったひとつでアミ(清原果耶)がしにそうな病気を隠匿していること。

そのふたつで成立している映
>>続きを読む

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

特攻隊員らが陽気な感じを出しているのが臭かった。

やがて逝ってしまう特攻隊なので、陽気な感じがすべてフラグになってくるから、速い段階でフラグ満腹がおこる。とりわけ伊藤健太郎が元気いっぱいのムードメー
>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

4.0

スペインの限界集落に移住してきたフランス人夫婦がいじめぬかれる話。

主役はドゥニメノーシェ(Denis Ménochet)。イングロリアスバスターズ(2009)でユダヤ人をかくまうフランス人を演じて
>>続きを読む

ワンダーランド: あなたに逢いたくて(2024年製作の映画)

2.0

レイトオータム(2010)のキム・テヨン監督が書いて演出したとのこと。

ワンダーランドは疑似ビデオ通話を通じて亡くなった人とコミュニケーションをとることができる人工知能。故人との会話を通じエモ感を前
>>続きを読む

あまろっく(2024年製作の映画)

2.0

あまろっくとは尼崎閘門の通称。

工都の号どおり経済成長期に尼崎市の工業地帯は地下水のくみ上げによって地盤沈下をおこしゼロメートル地帯となって水害が多発した。そこで治水および高潮対策と臨海部の船舶利用
>>続きを読む

ブラックバード 家族が家族であるうちに(2019年製作の映画)

3.2

ビートルズですきな曲は?といったら、きっと、いくつか挙げても、あとになってそういえばあれ挙げてなかった──という感じになる気がする。
映画のベストも、あとになってからそういえばあれ挙げてなかった──と
>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

ビクトルエリセの(ドキュメンタリーや短編を除いた)三作目の長編映画、とのこと。ミツバチのささやき(1973)、エルスール(1983)、そして本作(2023)という寡作ぶりだった。

あらすじは──、2
>>続きを読む

ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー(2024年製作の映画)

3.3

四作目の製作発表は三作目(1994)のすぐあとに既に立ち上がっていた。が、結局30年が費やされ、その間にも紆余曲折があったようだ。

ひさしぶりのことには(当然ながら)ひさしぶりだなあという感慨を持つ
>>続きを読む

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

3.9

シャマランが製作や演出に関わっているServant(サーヴァント ターナー家の子守)というAppleTV+オリジナル作品にNell Tiger Free(ネル・タイガー・フリー)という変わったなまえの>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.0

安全第一を掲げたい映画だった。このシーンで数人タヒんでます──というような大型アクションシーンが次々に描写され、終始圧倒された。

映画のアナウンスと同時に沸いたのはフュリオサ役のセロンの降板に対する
>>続きを読む

余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。(2024年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

原作は30万部突破の小説でその後漫画化されNetflixでの映像化へ至った、とのこと。しぬしぬで同情させる方法を推し進めたハイパーなお涙頂戴ものだが、しつこいほど泣かせる曲線が周到すぎてむしろ感心した>>続きを読む

ファミリー・アフェア(2024年製作の映画)

2.8

ミスト噴霧器の伏線があるのだが日本人には解りにくかった。海外にお住まいの方、もしくは住んでいた方なら解るのかもしれないが、あっちのスーパーマーケットの生鮮売場にはミスト噴霧器がついている。農産物にみず>>続きを読む

ラブリセット 30日後、離婚します(2023年製作の映画)

3.8

記憶喪失に陥った男女のロマンチックコメディで界隈でいずれもよくみるカンハヌルとチョンソミンが主役をつとめた。
脚本も練られているし撮影もVividだが役者たちのドタバタがダイレクトにつたわってきた。そ
>>続きを読む

ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.8

メロディ(エミリーアリンリンド)は幽霊だがフィービー(マッケナグレイス)と気が合った。メロディは成仏できなくて人界をさまよっている霊魂。性格はさばさばだが、さばさばの鎧の下に寂しさを隠しているタイプ。>>続きを読む

トリガー・ウォーニング(2024年製作の映画)

2.2

Mouly Suryaはインドネシアの女性監督で受賞や高評価などをもって順風キャリアを積んできたが、Netflixへ招聘されて失敗した──という感じの映画になっている。

デビューから三作目まではいず
>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

5.0

雨月物語とは上田秋成(1734~1809)という歌人が書いた読本だそうだ。
読本とは江戸時代後期に流行した伝奇小説集。南総里見八犬伝や本朝水滸伝など、勧善懲悪や因果応報の作風で構成された大衆娯楽で貸本
>>続きを読む

山椒大夫(1954年製作の映画)

5.0

plexという米国のストリーミングサービスをみつけた。黒澤や小津など往年の日本名画もたくさんある。そこで見た。
imdb8.4、RottenTomatoes100%と95%。

imdbは分母(採点者
>>続きを読む

セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

3.1

川へ遡行してくるジョーズ、グエムルぽい感じもある。
定番のパラメータを踏襲している。

リリス(変異で単為生殖する巨大アオザメの通称)に仲間をやられた環境活動家とそのトラウマ。しっかりと無理解な市長。
>>続きを読む

泥の河(1981年製作の映画)

4.5

原作は1977年に書かれた宮本輝のデビュー作で、映画も小栗康平の初監督作。初見の記憶をだぶらせながら見た。

話は戦後。太平洋戦争によってもたらされた貧しさとトラウマのような暗い気分と社会の変容が物語
>>続きを読む

バトルシップ(2012年製作の映画)

4.0

imdb5.8、RottenTomatoes34%と54%。
本国では否定的評価に遭い興行もふるわずBrooklyn Deckerがゴールデンラズベリーにも選ばれた。という。

だけど、これすごく良く
>>続きを読む

ペルシアン・バージョン 娘が好きになれないワケ(2023年製作の映画)

3.3

テーマソングのようにシンディローパーのGirls Just Want To Have Funが使われている。ボリウッドのように踊り出すシーンもあった。

「朝帰りすると母がいつになったらまともになるの
>>続きを読む

アトラス(2024年製作の映画)

2.7

ロペスがセレブ生活の代名詞のような存在であることに加えてアナリストという設定だからとはいえエステから出てきたかVogueのインタビュー直後のようなソバージュでメックを操る姿ははなはだしく不釣り合いだっ>>続きを読む

虹の女神 Rainbow Song(2006年製作の映画)

4.3

VOD(Unext)に入荷していたので見返した。

忘れられない映画。

なぜよかったのかというと、
①大量の登場人物をさばいている。
②筋が豊富。
③雰囲気でもっていこうとしない。
──の三点だと思
>>続きを読む

ソウルメイト(2023年製作の映画)

4.3

1988年生まれの二人の女性、アン・ミソ(キム・ダミ)とゴ・ハウン(チョン・ソニ)。
仲良しだった幼年時代を経て、互いに屈曲しながら成長していく行程が描かれる。

二人の性格は描く絵に象徴されている。
>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.4

巨大地震のあと、一棟だけ倒壊せずに残ったアパートでおこる危機と道徳の戯画絵巻。非常時の人の醜さに焦点が置かれてエゴが強調された話になっている。

ふつう一線主役級になるとかっこわるい役をやらなくなるも
>>続きを読む