そくらてすさんの映画レビュー・感想・評価

そくらてす

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はなればなれに(1964年製作の映画)

4.6

開始1秒で"好き"が確定した。なんなら『ドリーマーズ』の元ネタを確認できればいいやくらいのテンションだったからそれはそれは雷に打たれたような衝撃。1分間の沈黙やマディソン・ダンスは有名らしいから敢えて>>続きを読む

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

4.2

原作未読だけどラーメンズのコントを見てなんとなくは物語の流れを掴んでる(掴んでない)ということで本作に挑んだものの細野晴臣の音楽が素晴らしすぎてそれどころではなかったな。ある意味では『タイタニック』よ>>続きを読む

狩人の夜(1955年製作の映画)

3.8

途中からミュージカルになって面食らったしまさかのクリスマス映画だったけど全編通して観ればグリム童話的ダークファンタジーの趣。ミッチャムの前では盲目となる母親やその他大勢の人々がただ一人その異変に気付い>>続きを読む

ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)

3.3

人と人のあいだに横たわるスピリチュアルな温もり。柊にとってのセーラー服、さつきにとっての走ること。明確な「死」を前にして行く宛のない感情が声となり涙となり、淀んだ空白は「偶然」の積み重ねを経て澄みわた>>続きを読む

グローリー 消えた腕時計(2016年製作の映画)

4.5

面白いけど辛い。官僚組織が善意の"英雄"に与えた誉れ(=グローリー)のしるしの腕時計はズレていて使い物にならない。それからかつて使用していた形見の腕時計というシンボリックかつ現実に根ざしたアイテムの「>>続きを読む

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

3.9

初ブレッソン。何もかもがカッコよくていけ好かないとすら思ってしまった。囚人たちの私語に対して「喋るな」の一言で済ませてくれる看守は自分が通っていた小学校の先生よりきっと優しい…鉛筆一本所持で銃殺するこ>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

4.0

ちょっと虚しさの重みが段違いで怖い。埃をかぶった栄光にすがる女優が思惑を抱える連中に搾られていく描写はやけに生々しく、なのにそれを包む白黒の映像が見惚れるほどにバッキバキなものだから「ああこれは歴とし>>続きを読む

自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.1

キアロスタミ『友だちのうちはどこ?』の源流はここにあるんじゃないかな。盗まれた自転車を探す"だけ"の話なのにそこにある社会的背景がきっと濃密だから(ネオレアリズモ…はじめて聞いた)コチラ側もつい気張ら>>続きを読む

よこがお(2019年製作の映画)

4.5

作品自体が(良い意味で)筒井真理子の演技に頼りきっているというか、もう完全に彼女ありきの恐怖映画として監督のキャリアに君臨している。"無実の加害者"という言葉はなかなかに赤黒く、その生成に加担するマス>>続きを読む

トニー滝谷(2004年製作の映画)

4.1

トニー滝谷の本当の名前は、本当にトニー滝谷だった、という西島秀俊の語りを聞いた瞬間に自分のなかで何かが充たされた。ナレーションが果たして然るべき心情説明のしごとが唐突にポンッと登場人物へ受け渡されるの>>続きを読む

シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.0

抽象的すぎるジュブナイル。絵にかいたような毒親、反抗心をシェアできる親友、そしてニケツという定石。一方で凄惨を極めた実際の誘拐事件を題材とするところにある切実さが、黄金にきらめく岩肌の美しさやときたま>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.7

自分は酒というものを一滴たりとも口に含んだことがない特別天然記念物なので、映る人皆なにをそんなに公的に楽しんでいるのかが理解不能だった。でも興味深い設定。0.05%以上保ってからマッツの授業の内容があ>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.6

"淵に立つ"より"頬を打つ"って感じ? 筒井真理子の完全なる独壇場、かと思えば車の助手席に座る仲野太賀の放つ視線にふいに向こう見ずな狂気を認め、でも最終的にはあの浅野忠信の顔面に貼りついた一瞬の表情に>>続きを読む

パワーズ・オブ・テン(1968年製作の映画)

3.9

宇宙は壮大、その片隅の片隅に在る人体の中身もまたそれはそれで壮大。途方もなさすぎて虚無ってしまう。68年の時点で既にこんな風なアプローチの仕方があったのか、と…むかしをナメすぎ? 

カフカ「変身」(2019年製作の映画)

3.0

ロシア版だと思って開いてみたらガッツリ英語で会話しはじめてビビった。どうやらこれはイギリス版らしい。巨大な虫の造形は文章を読んで想像で補完するからいいのであって安いCGで再現されてもちょっとね…と身も>>続きを読む

夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)

3.2

ティム・バートン版の余裕ある完璧なデザインと同じくらい、本作における当時の技術の限界に挑戦したデザインも好き。ドブにしか見えないチョコの川、加工なしのウンパルンパ、サイケな遊覧船ツアー。夢は勝手に壊れ>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

4.1

映画館で『アメリカン・ユートピア』を観てしまったものだから半ば使命感のような何かを胸に抱え本作に手を出した訳だけど、これこそ映画館の大スクリーンで拝むべき作品だと思う、というか生で観たい…。足踏みって>>続きを読む

テイク・シェルター(2011年製作の映画)

4.3

アメリカの核家族を内側から蝕む不安。巷でいう"パニック映画"には属さない作品だろうけど、ある意味"パニック映画"以上にそれが語りうる「感覚」を立体的に表現しきる事に成功したのが本作『テイク・シェルター>>続きを読む

女っ気なし(2011年製作の映画)

4.1

クラブ?ディスコ?のシーンが今まで自分が観てきた全ての映画のそれを更新する素晴らしさ。童貞のフレッシュさを凝縮したようなシルヴァンと(初めは)控え目な"娘"の距離の縮まり方も何というかちょっと凄くて、>>続きを読む

遭難者(2009年製作の映画)

3.7

自転車のパンクをきっかけとした邂逅という物語の始まり方が『レネットとミラベル』みたい。端から見ていればただ鼻で笑うしかない展開の連続だったけれど、そこにはギヨーム・ブラック監督渾身の「素朴さ」が佇んで>>続きを読む

The Recorder Exam(英題)(2011年製作の映画)

4.1

過去との折り合いをつけるための切実な手法としての"映画"。長編一作目『はちどり』では聖水大橋崩落事故が、そして短編である本作ではソウルオリンピックの閉会式がひとつ象徴的なイベントとして挿入される。キム>>続きを読む

ワイルド わたしの中の獣(2016年製作の映画)

3.4

"気をつけて、おさえられない"
野生のオオカミに恋をするのがよくある「思春期の多感な少女」ではなくて「オフィスと自宅の往復にいそしむ成人女性」なのが本作のミソ。身体は傷だらけになって部屋は汚れていって
>>続きを読む

ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女(2014年製作の映画)

3.2

男性を誘惑しない為という宗教的名目で肌を黒い布で隠した主人公が「女性を性消費する男性」に文字通り牙をむく様は抗し難い爽快感を帯びているけれど結局ラストのデブ猫の可愛さにぜんぶ持ってかれる。映像面の非凡>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.1

とにかくシャマランはいま現在のホラー映画シーンの流行に貪欲なんだと思う。彼は復活でなくあきらかな進化を遂げていて、そういう意味ではもう『シックス・センス』の頃の彼は死んだも同然なんだろうな、と妙に感傷>>続きを読む

ポルト(2016年製作の映画)

3.0

夜と昼、過去と現在、フランス語と英語。女のいない男のなかに佇むのは時間も空間も超越した生々しい激情であるはずだけど、それを描くのに映画そのものが敢えて大人しくて退屈なムードをチョイスしているあたりが渋>>続きを読む

プティ・カンカン2:/クワンクワンと人間でないモノたち(2018年製作の映画)

4.5

連続怪死事件は未解決のまま、空から謎の黒いベトベトが降ってきて挙げ句の果てに住人のクローンが街をうろつき始めるカオスっぷり。でも緩いのは変わらず。前作が評判だったからかほんと微妙に予算が増えている気が>>続きを読む

ピアノチューナー・オブ・アースクエイク(2005年製作の映画)

4.5

古びたオルゴールのぜんまいを好奇心で回したときに聴こえてくる新鮮な音楽(?)の趣を携えたクエイ兄弟の実写作品。紗のかかった光と限りなく濃い闇を往来するピアノ調律師の男を模した『ピアノチューナー・オブ・>>続きを読む

内なる傷痕(1970年製作の映画)

3.7

百パーセントの映像詩。歩く男の後ろに在る地平線が微動だにしないので一瞬まるで果てしない荒野を突き進んでいると錯覚してしまうが、じつは女を起点として同じ場所をぐるぐると回っているだけだった、という事実を>>続きを読む

柳と風(1999年製作の映画)

4.1

だれかにとっては授業がなおざりになってしまうほどの魅力に富んだ「雨」も、時が経てば、ガラスのハートを引き摺る主人公に課せられる試練の一部と化す。労働をこなす少年の厚意でバイクの後ろに乗せてってもらった>>続きを読む

ミューズ・アカデミー(2015年製作の映画)

3.0

この前鑑賞した『シルビアのいる街で』がすごく好みだったホセ・ルイス・ゲリンの現時点での最新作。さまざまな文献や人物名を飛び交わせながら現代のミューズ像について思索する授業、からの教授&学生+α による>>続きを読む

MOTHERS(2020年製作の映画)

4.1

一人の父と、三人の母を捉えたドキュメンタリー。後半のお姉さんによる涙の吐露が作品の根幹。この家に生まれてきちゃったからしかたなく生きてる、これからも生きる、だから誰も邪魔しないで。その場にいない父にた>>続きを読む

魚座どうし(2020年製作の映画)

4.5

向こう見ずではない若さが映像の端々に。これを伝えたいんですという確固たる想いがなければ絶対に生み出せない作品。ふたつの親子のカタチがなかなかに心ザワつかせる仕様で且つ学校の描写も切実。大縄飛べない赤帽>>続きを読む

Summer of 85(2020年製作の映画)

4.3

85年、夏、フランス、死という観念。幼いアレクシと経験豊富なダヴィドという一見して対峙しているふたつのキャラクター性の間を埋める感情のグラデーションのぐちゃぐちゃ加減よ。彼の涙が眩しい。たった数週間ば>>続きを読む

ピクニック(1936年製作の映画)

4.5

初ジャン・ルノワール。川の流れやブランコの軌道といった運動が無二の光となって切ない男女の物語を淡く、そして力強く照らし出す。不完全であると同時になによりも完全なひととき、状況説明の字幕もまた感傷的にな>>続きを読む

モーヴァン(2002年製作の映画)

4.4

愛した(はずの)人の亡霊に付きまとわれることのない精神の旅路の物語は骨抜きになるどころかいつぞやの真綿となって私たちの首を理由もなく締めつける。遺されたミックステープのまるで浮遊を楽しんでいるような不>>続きを読む

ニコラ(1998年製作の映画)

3.7

親からの愛なき過保護という歪んだ状況に身を置くが故に(?)不安症に苛まれ、ふとした瞬間に妄想と虚言を繰り返さずにはいられない少年ニコラが過ごす地獄の林間学校。ミサンガ、そして『人魚姫』&『猿の手』の挿>>続きを読む

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