世代的にデヴィッド•ボウイをリアルタイムに感じることは少なかったが、改めてその思考と表現への姿勢、それを実現するための行動力を知り、共感と感銘を強く抱いた。
娘と観た。成人し、高校を卒業し、新しい世界>>続きを読む
シン•ゴジラ、シン・ウルトラマンに続き本作も、昭和の特撮シリーズのリメイクという手法を選択しつつ、常に庵野監督の世界観を作品に昇華させるところが作家として素晴らしい。
前二作に比べると庵野色が強かった>>続きを読む
映画も技術である、ということがこれほど伝わって来る作品もないかもしれない。作品としての抽象的な理念と物語としてのプロットではなく、即物的で映画的な技巧にこだわり、そのカメラワークは凄まじい。手持ちカメ>>続きを読む
田中泯からの野生の思想を求めて試聴。
もう少し太陽の塔を掘り下げて欲しかったし、岡本太郎の作品に対する唯物論的アプローチを期待していた。
前半は大阪万博の映像も豊富でよかった。
後半は、岡本太郎が70>>続きを読む
2023年は田中泯のドキュメンタリーから。犬童監督の描写の美しさもあって、踊りに吸い込まれる映画だったし、新年早々大いなる刺激をもらった。
その一瞬の場所と対話し、踊る場踊り。農作業を通した自らの身体>>続きを読む
1969年は世界は激動の時代だった。68年からアメリカではベトナム反戦運動、パリでは5月革命、中国では文化大革命、日本では全共闘など、若い世代の社会への不満が爆発した時代だった。
アイルランドも例外で>>続きを読む
スポメニックを描いた美しい映像と音楽の叙情詩。ソ連を始めとする東側諸国には、1960年から90年あたりにつくられたシンボリックなコンクリートの建造物が多数存在する。旧ユーゴのスポメニックもその一つであ>>続きを読む
たった一試合に勝つ。これだけのことにここまで人の心を揺さぶるクリエイティビティが生み出せるということに、改めてスラムダンクのすごさを感じた。何度も涙が出た。作品を作り込むことへの姿勢には勇気をもらった>>続きを読む
日本のアニメはアトムや宇宙戦艦ヤマト以来、大乗仏教的な世界を救う物語がひとつの主流としてあり、そこにガンダム以来小乗仏教的な自己救済が物語として組み込まれ、エヴァに至るという流れがあった。いわゆるセカ>>続きを読む
今回も今泉ワールドと言えるすれ違う想いのポリフォニー。物語は違えど、執拗なまでに同じベースラインを奏でる。しかし、ここには単調さや水戸黄門的なお約束の表現がなされているわけではない。
同じベースライン>>続きを読む
全編台詞のない映画を小さな男の子がほぼたった一人で演じる。そのことにただただ驚愕する作品だった。
事務所が猿楽町にあるので、ずっと気になっていた映画。しかし、それほど猿楽町は舞台になっていなかった。物語はよくまとまっていてテンポもよい。一つの恋愛物語。それ以上でもそれ以下でもないかな。
台湾と思われる舞台が美しい。海辺と島とHOTEL IRISのファサード。海辺の街もいつの時代かわからない感じの無時間的な魅力がある。ストーリーは倒錯的狂信的な愛の形を描いたもの。描かれているものは少女>>続きを読む
タイ映画、最近レベルが高い。
美しく描かれた映像、作りこまれた脚本。キャストも魅力的だ。
途中から物語りの主体がひっくり返るメビウスの輪のような構成は秀逸。ただ、エンディングはちょっとドライすぎた感じ>>続きを読む
縁あって北海道のプロジェクトに関わることになってから、アイヌ文化について学んでいる。本州の文化を遥かに超えた自然と共に生きるその態度に深く感銘している。しかしそれは文字情報を通して得た感覚だということ>>続きを読む
いやはや素晴らしい映画だった。西川監督の人間描写、役所広司はじめ演技力豊かな俳優陣の演じる人物像。全てが噛み合った映画だった。15年前と現在の役所広司の顔の違い。同時期に撮影した同一人物とは思えない肌>>続きを読む
まともじゃない?、普通じゃない?成田凌演じる大野と清原果耶演じる香住ふたりの掛け合いが心地よい作品。演技派の2人だからこそ作れる空気感。
普通とは何か?とは社会の普遍的な問いであろう。しかし、普通とは>>続きを読む
下北沢であるからこそ成り立つ物語だった。狭くコアな街だからこそ、偶然にバッタリと出くわすこともあれば、偶然に関係性を持つこともある。
下北沢の街は変化している。しかし、街の本質は変わらない。この映画で>>続きを読む
中学の同級生と観た。具体的な思い入れはここではかけないほど数多ある。それは置いといて、思い入れと共に観れる映画という価値はあるのではないだろうか。確かにそれは作品に対する無条件な肯定であるだろうし、批>>続きを読む
ウルトラマンもゴジラもガンダムも、その哲学とメッセージがアニメや特撮黎明期の日本では、大衆化というマーケティング戦略によって、ある種抑圧されていたと言える。
文化が根付き、新しい形でオリジナルの哲学が>>続きを読む
もはや水戸黄門的にキャストとセリフの上滑り感が定式化された福井雄一のコメディ。これはこれで否定できない和み感がある。
新解釈とはあるが、以外に史実はこうだったかもというところもあり、孔明は実は嫁がすご>>続きを読む
文化には色がある。
70年代後半、激動の中国の中で、唯一彩りを持っていたのかもしれない文芸工作団の青春を美しく描いた作品。この作品には当時の中国の色が鮮やかに定着されている。個人の力量や人間性ではなく>>続きを読む
4人の監督が蒲田を舞台として、1人の女優を中心に描いた4つの物語がつながる連作オムニバス。
3話目までは繋がっているが、4話目の渡辺紘文監督が、破天荒でやりたい放題やっていて最高。
これをよしとし、オ>>続きを読む
こういう今泉力哉も悪くない。家族、仲間の取り止めもない日常。あり得る現実。愛と優しさと想いやり。心地よい。
前作「ホーリーモーターズ」から10年。カラックスの新作はデジタルゴリゴリだった。冒頭、リズムとテンポがカラックスぽくないなと感じたが、物語が進むにつれてカラックスらしい幻想的な描写と闇と狂気がデジタル>>続きを読む
今泉力哉には中毒性がある。毎作品描かれる現実には有り得ないはずだが、もしかしたらありえるかもしれない登場人物の相関関係。絶妙なバランスで描かれる奇妙なフィクション。はじめに見た時は、それを違和感だと感>>続きを読む
中川龍太郎は一貫して失うということをテーマにしている。それは初期の作品から変わらない。
人生は得ることよりも失うことの方が多いのかもしれない。そして、失うことで新しい道が開ける。この監督はこの頃から1>>続きを読む
ほぼドキュメンタリー。終戦を描いた映画は、その時代に思いを馳せると言葉にならない。
ほとんどセットに頼らず、現存する建物を絶妙にロケ地として選ぶことで、往年の空間的なリアリティがでている。