そーいちろーさんの映画レビュー・感想・評価

そーいちろー

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サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

3.2

サイダーのように爽やかで微炭酸な青春映画。人見知りが激しく、自分の思いを俳句に託すチェリーと人気配信者だが出っ歯がコンプレックスで常にマスクをするスマイル。

定番のボーイミーツガールもの(いまの何で
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.0

ホン・サンスの凄さはほとんど筋らしい筋も、観客をあっと言わせるようなどんでん返しも、懇切丁寧な説明もないのに、過不足なくこの世界のありようを映画として映し出してしまうことだと思う。

ストーリーを説明
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獅子座(1959年製作の映画)

3.5

自由奔放にパリで生きる音楽家の男が、資産家の叔母の遺産相続を出来ると思ってから始まる喜劇。

これはフランス文学の人生喜劇の伝統を重んじた作品と言ってもいいのではないか。そこにロメールも含めたフランス
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モード家の一夜(1968年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

全然内容は異なるわけだが、ブレッソンの白夜を思い出させる恋愛映画であった。

この頃のロメールはのちの喜劇的な展開を好むのとはことなり、より深刻な形で男女の恋愛についてを表現していたように思える。
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愛の昼下がり(1972年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

幸福な結婚に倦怠感を感じつつ郊外からパリに通う会計士の男が、昔の恋人クロエと偶然再会し、その自由さに振り回されつつも惹かれていき、半ば不倫に近い関係にどんどんと深入りしていく。

このクロエって女が典
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シュザンヌの生き方(1963年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ベルトラン、ギョーム、シュザンヌという男女三人を軸とした群像劇。ベルトランは学生。ギョームはその友達だが放蕩息子で遊び人。シュザンヌはギョームがカフェで引っ掛けた結核予防センターで働きながら夜間の通訳>>続きを読む

モンソーのパン屋の女の子(1963年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

気になる女の子を追いかけていてパリの街を散策し時間潰しと腹ごなしで立ち寄ったパン屋で、自分を憎からず思ってるだろう女性店員と知り合う。

気になる女の子を探す日々でパン屋に寄り、どんどん女性店員と仲良
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コレクションする女(1967年製作の映画)

2.9

性に奔放な若い女と、芸術家とその友人3人が偶然同じ宿泊先でバカンスを過ごすことで展開される風変わりな三角関係もの。

ロメールらしく皮肉の効いた話だし、男達の思い込みとそんなの関係なく行動する女の子の
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クレールの膝(1970年製作の映画)

2.8

主人公の男がひたすらにキモ過ぎた。あーいう男が当時のフランスではモテ男扱いなのかもしれないが、謎に自信過剰ですかし過ぎてて、鑑賞していて不快感をかなり感じた。

ひと夏のバカンスもの、というフランス映
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.9

こういうのでいいんだよ、って中学生男子の妄想を具現化したような素晴らしい映画だった。一応、昨今のハリウッドの風潮を反映して、PCなんかにも配慮してんだけれども「そんなの関係ねーんだよ」と言った感じに無>>続きを読む

狂猿(2021年製作の映画)

3.8

デスマッチのカリスマ葛西純のドキュメンタリー。デスマッチファイター葛西のこれまでの道筋とコロナ禍に巻き込まれながらの復帰とその先を描く構成。

監督がイースタンユースのドキュメンタリーやライブ映像で確
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日本春歌考(1967年製作の映画)

3.8

十年ぶりに観た。ラストに至るまでの展開は凄まじく、非常に印象的ではあったのだが、今回改めて観直すと、この作品は大島渚なりのミュージカル作品だったのでは?と思えた。

そして、歌に込められたそれぞれの情
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マックス、モン・アムール(1986年製作の映画)

2.9

戦メリにおいても描かれていた理解しきれない他者間の関係性を、人種どころか種族の壁を超えて描いた作品。

西洋社会においての「猿」というのは、要するにこれは黄色人種の比喩であって、マックスは大島自身で、
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絞死刑(1968年製作の映画)

4.5

世界最高峰の映画監督。創造社時代の大島渚の一連の作品群は、その異常なまでに研ぎ澄まされた緊張感と諧謔性、とにかくただひたすらに自分達を縛りつける何かに向けての現状打破のみで創り上げられているような作品>>続きを読む

愛の亡霊(1978年製作の映画)

3.5

フランス語版の原題は「情欲の帝国」とでも訳すべきか。

情欲によって結びついた二人が、閉鎖的な村社会において禁忌を犯し、その罪の重さに恐れつつ、愛に身を焦がし、破滅にまで至るその様を描いた映画。

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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

日本版「500日のサマー」かってぐらい刺さる映画だった。カップルで観に来てたけど、これってカップルで観に来る映画なのか、という疑問はあれど。

作品はムギとキヌって二人の男女の出会いと別れと、恋愛生存
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少女ムシェット(1967年製作の映画)

3.2

これもなんか悲惨な映画だった。エミールゾラの小説のような世界観で、なんかどこに行っても爪弾き者、みたいな少女の話だった。

ブレッソンってわりかし展開が飛ぶ感じがあるというか、よく言えばショットの強さ
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

3.5

アンヌ・ヴィアゼムスキーが来日するとかで日仏学院で上映されたのを観に行った時以来なので、10年ぶりぐらいに観直した。

なんか悲惨な映画という記憶があったのだが、記憶していた以上に悲惨な映画だった。
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あの頃。(2021年製作の映画)

4.0

想像してたものと違った。いい意味で裏切られる展開だった。青春は思春期だけではないし、そして青春は必ず終わりが来る。ラストショットの今泉監督らしさはあれど、単なるサブカル監督ではなく、もっとより深い普遍>>続きを読む

PNDCエル・パトレイロ(1991年製作の映画)

3.5

メキシコの交通警察官(ハイウェイパトロール)に任命された男の物語。男が正義感と現実との狭間に揺れながら、おまわりとしての日々を過ごしていく様が描かれている。

アレックスコックスの映画はなんというか、
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夏時間(2019年製作の映画)

4.0

ヤンヤン夏の思い出を彷彿とさせる傑作。本当に筋らしい筋はなく、映画的な意味での「劇的」なことは何一つ起こらないが、普通に暮らしている人たちが経験するであろう出来事が丁寧に描かれ、その瞬間の機微を鮮明に>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

すべてのエヴァンゲリオンよ、さようなら。本作は旧作から足掛け26年掛かって、ようやく終劇となった。

本作において、作品は希望と絶望、子供と大人、失敗と成功、その対立軸が螺旋軸となり、最後はそれらが融
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三月のライオン デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

カルト的な人気を誇り、結構伝説的だった作品。2000年代以降、徐々にリバイバルされるようになり、デジタルリマスター化の今回、ようやく劇場で鑑賞。

一言で言えば、矢崎監督の出自である自主映画感が強く出
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新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.5

日本のゴミみたいなパニック映画と比べると水準高いし、確実に面白いんだけれど、前回は超えていないかな、というのが正直なところ。

なんとなく前回の作品と同じゾンビもの、パニックムービーというジャンル映画
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.8

誰かに囃し立てられて、裸になることでしか守れない自我があるということ。誰よりも弾けているようで、誰よりも繊細で打ち明けきれない内面を抱えて、生きるということ。受け入れられない現実とうまく妥協することが>>続きを読む

コンボイ(1978年製作の映画)

3.0

今年の映画納めの一本。ひたすらトラックが走り続けて、警察や権力に反発し続けるだけの映画。本当にそれだけ。なんで走るのか?なんで従わないのか?そんなことはどうでも良い、生きたいように走りたいように走るだ>>続きを読む

戦争のはらわた(1977年製作の映画)

4.0

凄い映画。はだしのゲンとかプライベートライアンとかこの映画を観せれば、自然と戦争というものが虚しいことに気づくのに。誰かの虚栄心やエゴのために殺し合いをさせられる兵士は、英雄でもなんでもなく、単なる人>>続きを読む

ポゼッション(1981年製作の映画)

4.4

神話であり、初期衝動であり、女性性を恐れる男女の物語であり、夫婦の物語であり、人間の物語である。石井聰亙の初期衝動と疾走感に、ビスコンティの重厚な画面作りと、ゴダールの唐突さが合わさったような、とにか>>続きを読む

パッション(1982年製作の映画)

3.5

工場のストとなかなか捗らない名画のワンシーンを再現した映画撮影。ポーランドでの革命。ポーランド出身の監督は「光(リュミエール)が足りない」という。

80年代ゴダールは映画の死を意識しながら、自己言及
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軽蔑(1963年製作の映画)

3.8

男女関係も、人生の終わりもちょっとした事で唐突に終焉を迎える。そのきっかけは軽はずみな行動に起因する軽蔑から始まる、というそんな話だった。数年ぶりに観たが、かなり直球なメロドラマではありつつも、随所に>>続きを読む

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

3.8

この映画館にこんなに人が溢れているのを観たことがないほど、映画館に人が溢れていた。

単なるブームでは切り捨てられないぐらい、本作は野太いジャンプイズムと世界観、現代性ゆえにここまでの現象となったのだ
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

2.5

キチガイの思考回路を映像化した、って感じの映画。それ以上でもそれ以下でもなし。被害者に対し余計な感情を差し込むこともなく、主人公の主観で進んでいくのはよかったが、物語の語りが短調過ぎる。主人公の自己認>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

2.5

不全感を抱えた中年オヤジと若い女が東京の高級ホテル(パークハイアット)で知り合い、短い甘い生活を楽しむ映画。それ以上でもそれ以下でもなく、東京の観光PVのようで、いきなり京都まで行ったりして、なんとも>>続きを読む