自由からの逃走。
"自由くたばれ!"が円環構造を成すルイス・ブニュエル監督による、シュールレアリズムの真髄のような本作は、夢のごとく次々と物語が展開するが、束縛される自由や権威への服従といった盲目の>>続きを読む
原作を読むべき作品。
原作、監督、主演俳優と一流どころを集めたにも関わらず、ただのパニック映画で終わってしまったのは、原作のアウトラインをなぞっただけの脚本であり、鉤括弧を用いず、切れ目のない独特な>>続きを読む
ある愛のかたち。
ギドク・ブルーとでも形容されそうな淡い青で彩られたエンディングは、あまりに美しく、永遠の愛と呼ぶにふさわしいが、そこに至るまでの主人公ワニと自殺未遂を図った女の関係は、デビュー作に>>続きを読む
見えないことの試み。
新境地の役どころに挑む國村隼の二度見から、やがて原因不明の奇病や殺人事件が起きることで、村人たちはパニックに陥るが、盲目のような状態で理性を失った結果、ゾンビ映画の様相を呈した>>続きを読む
現実は映画より奇なり。
容赦なく描かれる惨劇は、何かに突き動かされたように追いかける男と、狡猾に警察を煙に巻いて逃げる男が、スリリングに繰り広げる攻防戦は、目を背けたくなるような結末を迎えるが、きっ>>続きを読む
男は山のごとく女は海のように。
「氷の微笑み」の危うさと、「花様年華」のプラトニックが入り混じったような、刑事の男と容疑者の女との許されざる関係は、山や海という韓国のありふれた風景の中で、事件の真相>>続きを読む
人間の内なる動物。
ヴァンパイアとの三角関係という、禁断にも程がある愛の物語は、肉体の抗いがたい衝動に駆り立てられるが、血と性という生存本能に突き動かされて、それが例え神に仕える神父であっても、幼馴>>続きを読む
忠誠と友情の狭間で。
食い違う証言の裏には、隠し通したいそれぞれの事情や思惑があり、捜査の過程で徐々に明らかになるその真実の先に、微笑ましくも物悲しい結末が待ち構えているが、ラストカットはパク・チャ>>続きを読む
クローンに人権はあるのか?
簡単にコピーができるもの、例えば画像や映像、音楽などのデジタルデータは、その手軽さが仇となってか、フィジカルと比べると雑に扱われ易く感じるが、ポン・ジュノ監督が描くのは、>>続きを読む
ゴジラからの怒りのバトン。
自国民以外の安全など一切気にしないでお馴染みの、米軍関係者による、漢江に通じる排水溝への有害物質廃棄事件は、当然のように韓国国民の怒りを買い、ゴジラに影響を受けたポン・ジ>>続きを読む
愛と倫理の境界線。
オープニングから傑作の予感を漂わせるポン・ジュノ監督作品は、半ば盲目的に息子を愛する母の姿を追うが、サスペンスのように真相へと近づいていくその過程は、例え「羊たちの沈黙」さながら>>続きを読む
韓国社会の深淵を覗く。
財閥問題や政界汚職のイメージが強い韓国にあって、ポン・ジュノ監督が描く連続殺人事件を追う刑事たちは、証拠捏造に自白強要と、もはやコメディのように杜撰な捜査を繰り広げるが、時代>>続きを読む
人間に備わっている欲動なのか。
ベトナム戦争帰還兵の苦しみを描いた作品は数多くあるが、なぜ日本人監督が撮るのかという自分の中の疑問に、主役であり原作者であるアレン・ネルソン氏と日本との深い関係性を知>>続きを読む
言葉ではなく映像で残す。
語られない、というよりは語れないタブーを撮ったとも言える、塚本晋也監督主演作品は、容赦なく描かれる血みどろの戦闘シーンが有名だが、本作で「野火」の正体を知り、兵士たちをこの>>続きを読む
やや物足りないフェラーリの憂鬱。
創業者エンツォ・フェラーリを主人公に、経営者であり、レース監督であり、夫であり、父親であるというエンツォの様々な顔を描く、マイケル・マン監督作品は、同じくアダム・ド>>続きを読む
企業版「ヒート」もかっこいい。
マイケル・マン監督が描くのは、タバコ業界の隠蔽を内部告発しようとする男と、時にはその男と対峙しながら、自らも会社と戦うTVプロデューサーであり、その根底にある信念によ>>続きを読む
世の中は二面性でできている。
「サイコ」の影響を受けてデ・パルマ監督が再構成した本作は、80年代当時にトランスジェンダーが主役という設定に、多様性が認められ、LGBTQが評価される現在からは考えられ>>続きを読む
愛と偏執は髪一重。
子供の頃の体験が、大人になっても影響を及ぼすことは少なからずあると思うが、それがあまりに強烈な原体験になってしまい、愛情はその人となりにではなく、職業や肩書への偏執だったというの>>続きを読む
どこまで過去を愛せるか。
運命の出会いから始まる、「ドリーム・シナリオ」のクリストファー・ボルグリ監督作品は、結婚相手となる人からの寝耳に水の告白に、夢見心地から一気に悪夢へと叩き落とされるが、好き>>続きを読む
地続きにある夢と現実。
夢に出て来た人を意識してしまうという経験は、誰しも少なからずあると思うが、自分が不特定多数の他人の夢に登場して、何をしでかすかわからないという、そんな理不尽な可能性に目を向け>>続きを読む
真実とは何を信じるか。
「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督が描く、主人公パイとベンガルトラとの漂流の旅は、宗教と信仰への言及もありながら、人が信じたいことこそが真実であり、時には事実など>>続きを読む
語られたことが真実。
食わず嫌いのティム・バートン監督作品に、ユアン・マクレガーからたどり着いた本作は、御伽話のように人生を振り返る構成は「フォレスト・ガンプ」を思わせるが、根底にある父と息子の親子>>続きを読む
真実と正義のために。
ドレフュス事件という史実を題材にしたポランスキー監督作品は、あの当時の世の中でユダヤ人の冤罪に声を上げて、組織からの圧力に屈せず、自分の信じる正義を貫き通したピカール中佐を中心>>続きを読む
フィクションに織り込まれた事実。
元英国首相トニー・ブレアを彷彿とさせるキャラクターが登場するポランスキー監督作品は、2003年のイラク侵攻、そしてアメリカとの特別な関係というブレア政策に対する批判>>続きを読む
正義は簡単に逆転する。
心と体に刻み込まれた忌まわしい過去の記憶は、男の声を引き金にして急展開を見せるが、3人で繰り広げられる104分間に渡る緊迫の心理戦は、シューベルトの「死と処女」の演奏をバック>>続きを読む
不可解な女装ポランスキー。
ポランスキー監督自身が主演を務め、女装まで披露する本作は、「ローズマリーの赤ちゃん」同様、閉鎖的なアパート空間を中心に展開するが、些細な揉め事を発端にした住民同士の結託に>>続きを読む
どっちが狂気でどっちが正気なのか。
妄想とも幻覚とも、もしくは陰謀とも思えるような、悪魔崇拝に取り込まれていくローズマリーは、正気だと信じ込んでいる狂気の群衆の中にあって、いかに正気を保つのが難しい>>続きを読む
嫌悪感を引き起こす過去。
若かりしカトリーヌ・ドヌーヴの瞳のアップから始まり、同じくエンディングを迎える本作は、後の「ローズマリーの赤ちゃん」に繋がっていく、その原点のようなポランスキー監督の視点は>>続きを読む
大人の事情によりライトサイドのみ。
幼少期に父親から植え付けられたコンプレックスは、後にマイケルの人生に大きく影を落とすことになるが、そのスキャンダラスなダークサイドに落ちていく前までの、非凡な才能>>続きを読む
道徳的価値観への冒険。
「情事」というキャチーさ満点の邦題にミスリードされながら観る、ミケランジェロ・アントニオーニ監督が描くアート作品は、失踪事件をきっかけに表面化する、希薄になりつつある人間関係>>続きを読む
現代社会に潜む孤独。
ストーリーらしいものがあるようでない、アントニオーニ監督が描く主人公ジュリアーナの孤独は、交通事故に遭って以来、たびたび襲われる精神的不安定に、無意味な気晴らしが一時的な安らぎ>>続きを読む
妄想に翻弄される人生。
原題「BLOW-UP」、引き伸ばしを意味するアントニオーニ監督作品は、ジャズピアニストのハービー・ハンコックの音楽がおしゃれ感を演出するミステリーで、意図せず殺人を撮影してし>>続きを読む
男は思う。女心と秋の空。
名前は知っていても作品を観たことのなかったブリジット・バルドーの美貌と、彼女が目で演じる軽蔑とが、夫ポールを困惑させるが、「オデュッセイア」という古典をベースに、ポール自身>>続きを読む
死と向き合う90分。
主人公クレオの6月21日の5時から7時までを、ほぼそのまま追いかけるという、アニエス・ヴェルダ監督による実験的な試みは、冒頭のタロット占い通りの変化に満ちた2時間に、当時起きて>>続きを読む
少年の心に想いを寄せて。
スティーヴン・キングらしい心がむず痒くなるような原作を、見事にリライトした脚本に、アンソニー・ホプキンス主演とくればもはや間違いなく、同じく少年時代を回顧する「スタンド・バ>>続きを読む
人生を精一杯生きよう。
第3幕から始まる逆時系列プロットに、意表を突かれて身を乗り出すも、スティーヴン・キング原作の、宇宙というスケールで語られる"チャックの人生"の映像化は、もしや蛇足なのでは?と>>続きを読む