みっちょばさんの映画レビュー・感想・評価

みっちょば

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ミッシング(2024年製作の映画)

4.0

失踪した娘を狂気と錯乱のなかで探す母親を石原さとみが一心不乱に演じきる。加熱する情報社会が心を亡失させかけるが、ある事件をきっかけに家族が心通わせ、身近な人々の厚意が優しい光となる。無骨な父親の青木崇>>続きを読む

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

4.8

日本の四季の美しさや人の命の儚さを、主演沢田研二が実に細やかに丹念に紡ぎあげている。精進料理の数々を、美味しそうな咀嚼音とともに食す松たか子が鮮明に記憶に残る。人が食し、恋して、やがて土へ還る。そんな>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.6

ディズニーの新作を吹替で観た。アーシャの声が生田絵梨花さん。声が若くて可愛いけど、なんとなく深みとか表現力がいまひとつだなぁと思ってたら、濱田めぐみさんの歌声が。す、素晴らしい!やはり吹替は経験値がも>>続きを読む

春画先生(2023年製作の映画)

3.7

春画はペリー来港までは「笑い絵」として、庶民に親しまれていたという。男同士や女同士の性愛の春画も描かれていたということにびっくり。
江戸時代の、性に開放的な日本人が描いてきた春画の平面的な画法が、ヨー
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私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター(2022年製作の映画)

3.5

『#私の大嫌いな弟へ』
憎しみという咀嚼できない感覚を解放させるまでの姉弟の軌跡は、デプレシャン監督が描く人間讃歌だと感じた。悲劇は喜劇に、笑いは哀しみに。家族という日常のなかで生きる人間はみな、人生
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.3

#ダンサーインParis
人生一週目の挫折に戸惑う人なら、絶対観るべき映画。パリ・オペラ座バレエ・ダンサーであるマリオン・バルボーの、清らかで自身に忠実な演技に鼓舞されること間違いなし。彼女のチュチュ
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卒業 〜Tell the World I Love You〜(2022年製作の映画)

4.0

#卒業
青い純情と血生臭い社会の闇が交錯する、今のバンコクがリアルな秀作。丁寧かつ臨場感溢れるカメラワークが、主人公達の加速度的な成長をあますところなく表現。微笑みの国・タイの街並みを、恵みの雨を受け
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エリザベート 1878(2022年製作の映画)

4.0

あのエリザベートが自由の翼を得て、スクリーンで輝く!40歳のオーストリー王妃を、40歳のヴィッキー・クリープスが演じるリアルが圧巻。ミュージカルの黄泉の帝王トートは、彼女の感性から産み出されたのか?喪>>続きを読む

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

3.9

いまや国民的俳優の大泉洋が、仕事や家族に苦戦して吉永小百合演じる母の住む家に帰るまで。高齢者の恋愛、東京大空襲を生き延びたホームレスの哀感、現代のリストラ問題などが重奏される。家に居場所を求める市井の>>続きを読む

あしたの少女(2022年製作の映画)

4.0

酷い。実際にあった女子高校生の労働搾取の果ての自殺事件がベースにある。自殺に至るまでの無邪気な少女の感情の起伏に動揺し、事件を捜査する女性刑事が暴く学校と政府と警察の闇に怒りを通り越した感情を覚えた。>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.3


美しく、儚く、可愛いストップモーションアニメに夢中に。コロニー(家)こそが創造の翼を育むのだ。オオカミに追いかけられる悪夢な映像に、人として激励を受けるのは何故か?同時上映の『骨』も心を揺さぶるオカ
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.7

カトリック教会の総本山ヴァチカンのローマ教皇に仕え、悪魔払いを行った実在のチーフ・エクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父の『エクソシストは語る』の映画化。人間の失意の先につけいる悪魔。「病は気から」>>続きを読む

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)

3.9


「背信のボクシング」の事実を、俳優陣の驚愕の役作りで目の当たりに。特筆すべきは収容所内に轟く男性の神声や、自由を謳歌する女性の暖声など映画音楽の美しさ。今を生きる人間の記憶に、音楽の清らかさと相反し
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ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.0


映画初主演パク・ジミンの表情と演技力に圧倒される119分!フランスへ養子縁組に出されたフレディの、韓国でのパワフルな実親探しの8年間。旅路の果て、父母の破天荒な性格が遺伝子レベルでフレディと酷似して
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0


ボディホラーの天才デヴィッド・クローネンバーグ監督作品を遂に観てしまった!クローネンバーグ自らの「内なる美」から湧くクリエーションを、本作を皮切りに観て・感じて・語れるようになりたい!

古代ギリシ
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シモーヌ フランスに最も愛された政治家(2022年製作の映画)

4.2


心にズッシーンと響く映画の力を思い知る!フランスにシモーヌ・ベイユという政治家が存在したという歴史の重み、そして女性やエイズ患者や移民を大きな愛で包み込むという彼女の懐の深さに敬服しかない!
@Fa
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

4.3


ルーヴルへ行くかぎり、このビジュアルの雰囲気を想像して観た。否。想像をはるかに越えた美しさに出会えた。

岸辺露伴の初恋と絵にまつわる想い出が、多元宇宙的に展開する。絵にこめられたnoirは暗黒なの
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.3

『#イノセンツ』オンライン試写
北欧ならではの淡い光の中、当たり前のように子どもたちは残酷で、だからこそ超能力が人生の指針になることを得心する。特筆すべきはアナ役の異能ともいえる演技。この夏、無邪気な
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裸足になって(2022年製作の映画)

3.9

#裸足になって
こんなにも背中を押してくれる映画に、いまだかつて出会えなかった。
アルジェリアを舞台にした声なき少女の全身全霊の手話ダンスが、閉じた心を奮い立たせてくれる。少女の手解きのもと私も裸足で
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古の王子と3つの花(2022年製作の映画)

4.2


宝石以上に煌めくアニメーションを間近にして、心臓の鼓動が止まらない。仏語という麗しいタイムマシンに乗って、3つの異なる国や時代を宇宙旅行する至福・眼福。運命を変えながら意志を持った王子と王女の愛の物
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大いなる自由(2021年製作の映画)

4.0


「僕は性の悦びのために法を犯すのではない!」ナチスドイツ政権下で同性愛のため投獄され続けた男に、人間としての生きる自由を見せつけられる。今、時はウクライナ戦禍。個人の生きる自由が奪われつつあるなか、
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.7

これは海の魔女アースラが圧倒的な存在感と歌声で優勝な作品。多様性の尊ばれる時代を反映して、いろんな人種の人魚が海にはいて。人間とマーメイドの愛の船出を応援せずにはいられない。字幕を観たら吹替も観たくな>>続きを読む

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.0

#マルセル 
家族とは、生命とは、離婚とは、死とは?「自己とは1つのピースではなく世界の一部」と人生の荒波の乗り越え方を、貝のマルセルが教えてくれる。可愛くてニヒルなマルセルの世界観を何度も旅したい。
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怪物(2023年製作の映画)

4.0


少年たちの瑞々しい輝きが、是枝マジックで悲しくも美しい。怪物の正体は、「男らしく女らしく」で育った自分自身ではなかったか?サイコパス風情ながら熱血教師演じた永山瑛太、心に不幸を宿す校長役の田中裕子の
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テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

4.0

「#テノール」オンライン試写
ブラボー!!上質なベルベット調の歌声に感動!音楽を通して、居場所のないラッパーと余命僅かなオペラ指導者が「愛ある家族」に。オペラ『蝶々夫人』が舞台の、日本へのオマージュも
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波紋(2023年製作の映画)

3.9

「#波紋」オンライン試写
すごく気持ちが楽になった。人の心は流れ、形を変えていくのだ。自分に正直に生きていくことの崇高さを感じた。生きることは、自分を信じること。誰かの手には委ねられない。筒井真理子さ
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スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

4.3

幸せと紙一重のふしあわせ。

奈緒さんの不安定感が、次々と家族を不幸に陥れるさまは圧巻。

家庭こそ地獄の入り口。

世代主のみなさま、心してご鑑賞を。

せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.9

#せかいのおきく
いのちのめぐりの尊さに包まれる愛しい時間。黒船来港時の庶民が生きいきと描かれ、スクリーンの向こうに飛び入りした感覚を得た。モノクロームが描くおきくと中次の純情は、せかいの人々の魂を揺
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フリークスアウト(2021年製作の映画)

3.0

#フリークスアウト
特殊能力のあるサーカス団員と、ナチス・ドイツ軍の六本指のピアノ名手にして予知能力者のサーカス団長の痛烈バトルは、生きづらいギフテッドの心の闇をこれでもかと炙り出す。ユダヤ人解放とい
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帰れない山(2022年製作の映画)

4.0

#帰れない山
山で出逢い、山で別れた男達の友情物語は女性の私にも強く響いた。原題は「8つの山」。世界最高峰の友を亡くした男は、茫然と周囲の8つの山々を渡り行くと岡本太郎さんの解説。アフタートークを胸に
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不思議の国の数学者(2022年製作の映画)

4.3

#不思議の国の数学者 
円周率の楽譜が奏でる音の素晴らしさたるや!悲しみを抱えた落ちこぼれ男子高生と数学者の出会いが、壮大なアリアを聴いた後のような多幸感をもたらす。人との出会いが運命を変えることを証
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

#ザ・ホエール 試写 白鯨のごとく肥満化した男の最後の5日間に室内で繰り広げられる会話劇は、内省的なボディーブローを次々に浴びせてくる。主演ブレンダン・フレイダーの再起をかける決死の演技で、高橋諭治さ>>続きを読む

死体の人(2022年製作の映画)

4.3

#死体の人 死体役の吉田の無骨さは生きることに不器用な人間へのエールだ。両性具有の熱帯魚を愛する吉田が想像妊娠に歓喜微睡むシーンは本当に幸せ。草苅監督のお母様の逝去が構想の原点にあることを知り大切にし>>続きを読む

メグレと若い女の死(2022年製作の映画)

4.0

#メグレと若い女の死 
シルクドレスを着た若い女性の殺人捜査に、メグレ警視の亡き娘への愛情が溢れでる。ゆっくりと真相に迫る時間の中で、名優ドパルデューの懐深い演技に心酔した。心に闇を抱える殺人者をも温
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郊外の鳥たち(2018年製作の映画)

3.7

#郊外の鳥たち 
鳥が鳴き眼には青葉のヒーリング映画ではない。子ども時代にある特有の陰湿さや、大人の居場所のなさに共感。地を這うように生きる人々を描く中国の映画人の特性をチウ・ション監督から伺った。青
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.2

これは実話なのかと思わせるような、若さと情熱がリアルにほとばしる。自信が無くったって好きなことに熱中することが、人間を鼓舞させ成長させるんだ。音楽のみならず声優の個性が伸びやかで、胸にずっと響いてやま>>続きを読む

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