西木寸さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

西木寸

西木寸

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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.9

白石監督最新作は、サイコパスに踊らされサスペンス。

真実への拠り所となる殺人犯の証言、阿部サダヲの怪演がもたらす説得力により、彼に取り込まれ影響される様を追体験する。

他の人物関係も交え翻弄される
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.4

大傑作。是枝監督作品で1番かも。

「赤ちゃんポスト」から生まれる物語の中で、親に対して、子供に対して、社会の中で多様な問題を抱える人達の視点を多面的に描き出す。

理不尽さと温かさが常に混在していて
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.8

底辺YouTuberを「無償の善意」で手伝うのだが、次第に人気が出て...

「善意の連鎖」と「悪意の連鎖」が一つのズレをキッカケに反転、違う映画のようにテンションが変わる吉田恵輔監督の真骨頂。

Y
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ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

3.6

一時期流行ったトレジャーハンターの創作を、作り手が巻き込まれる事で俯瞰的にギャグ化し、良くも悪くも軽快に楽しめるが記憶に残らないエンタメ映画。

個人的にはブラピの使い方がピークで、その後はキャラクタ
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恋は光(2022年製作の映画)

4.0

西野七瀬さんのベストアクト。

恋する人が光って見える...そんな特殊体質の主人公を通して、恋とは何かを、論理的に、詩的に、情熱的に、様々な角度から考えさせる。

ファンタジーさと、ロジカルさと、人間
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.7

最高。胸熱。今年ベスト級!

35年以上を経て公開される続編として、ベストななじゃないか。
細かい所の強引さは気になるが、全てにおいてアップデートされたフライト描写、キマリまくった画、既定路線ながら3
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.5

キャラクター描写のリアリティラインがダメだった。

お仕事映画として主人公が何を持って成長するかのテーマ性や、それをアニメーション交えて躍動感持って描くのは良いんだけど、独りよがりな奴らばかりで鬱展開
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バブル(2022年製作の映画)

3.6

人魚姫というクラシック要素を、不思議系SF世界観の中で描く、超豪華製作陣によるアニメーション。

人魚姫に持つストーリー的な魅力やパルクール×「進撃の巨人」的躍動映像は○も、核となるSF要素の展開と人
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.7

リアリティ持って現代に落とし込むというよりは、当時の「科特隊」を中心とする空想科学な空気感を立たせる形で映像&編集的に現代にアップグレード。

叡智にこそ希望を委ねる展開も大好きだけど、詰め込み過ぎ故
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.1

最高!
複雑なマルチバースの世界を、特性を活かした「追いかけごっこ」という分かりやすい基盤に落として斬新で明快なエンタメに。
ストレンジやワンダの「魔法」の世界観に、サム・ライミの超デフォルメ映像によ
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

3.4

魔法動物とキャラクターの魅力で持ってるけど、脚本が結構メタメタ。
観客&主要人物が作戦全貌を知らないまま進展していく「機転と偶然の連続」が、「作戦」として丸め込まれていく為、物語展開の説得力が皆無。
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モービウス(2022年製作の映画)

3.9

好き。
超人パワーは呪いか救いか...同じ苦しみを持つ親友のはずが、その解釈違いから愛憎が交差する因縁バトルへ。
エフェクト盛り盛りバトルの一点集中で、複雑な事は一切せずに104分を駆け抜ける感じ、強
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アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.7

「丁度良い」

現代のトレジャーハンター物で、緊迫感を演出する訳でもなく、謎解きクオリティも高くなく、「偶然」的な要素も大いに含む...なんだけども、ストーリーがどんどん進んでいくのが非常に心地よい。
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フォトコピー(2021年製作の映画)

3.7

netflixオリジナル。

学生生活にも根を張る地位と権力。被害にあったかも...と記憶がない時間の真相を追いながら被害を訴える構図が、インドネシアの空気感含め良き。

ただ、被害にあったかもの「不
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.9

シリーズ第二弾はnetflixオリジナル。

傑作!タイトルが実は言い当ててる...そんなミステリーのイメージを逆手に取った着眼、多層的に見え方が変化する構成の妙と、そして際立ったキャラクター描写でグ
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.4

天災をファンタジーへ。新海誠監督のここ何作かの共通要素も、今回は最もシビアな「地震」を扱い、それでいてMV的演出からの脱皮しクオリティがネクストステージへ。

我々のトラウマ的な原体験を、安直にエンタ
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.6

ティ・チャラ以前のワカンダ国を投影した敵国の置き方にまずワクワク。

彼を支え、支えられてた人々が、亡き世界に対応しようとする懸命さと、垣間見える存在の大きさが、彼を讃え追悼する。
あくまで登場人物達
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ある男(2022年製作の映画)

4.2

亡くなった夫の戸籍は偽物だった。

差別、偏見、生い立ち、血縁...人は何をもって個であり、アイデンティティを形成するのか。そんな鋭い視点が登場人物達のバックボーンと多層的にリンクしながら、ミステリー
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もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

3.9

中々面白い!

4種の「ダメ男」との関係を、翻弄され超越する女性目線で描く群像劇。

四者四様に全くタイプが違うんだけど、テンポ良く転換しながら、全てのテンションが揃って変化、インフレしていく様子は圧
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ムーンフォール(2021年製作の映画)

3.6

既視感のある全体像に対して、
月の到来描写とか、それによる副次的な大災害(万有引力の変化や、空気の質の変化など)の描写は、新鮮を感じさせるし素晴らしかった。

落ちも、嫌いじゃない。嫌いじゃない!!
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デイ・シフト(2022年製作の映画)

3.6

ゾンビ映画に87イレブンのアクションデザインを組み合わせるとどうなるんだろう..

とにかくアクションが多彩。
とにかくアクションが新鮮。
とにかくアクションが過激。

ただ、物語的なバランスは疑問で
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

エルヴィス・プレスリーの、駆け出しから亡くなるまでの半生を、キレキレな演出に乗せ描く。

プレスリーや、彼の良き仲間ではなくて...悪徳マネージャーとして知られるトム・パーカー大佐の視点に乗せて描かれ
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グレイマン(2022年製作の映画)

4.1

ルッソ兄弟が仕掛けるnetflixオリジナルは、CIA内紛逃亡アクション。

移動しながらアクション&ストーリー展開がもたらす疾走感と、見やすさの両立は流石ルッソ兄弟。

要素だけなら既に有りそうなC
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さかなのこ(2022年製作の映画)

4.6

超絶大傑作。

【人を活かすも殺すも人】

のん演じるミー坊=さかなクンのキャラクターにフォーカスが当たる自伝映画だと思ったら...「さかなクンをさかなクンたらしめた」周りの人への感謝のラブレターのよ
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.0

伊坂幸太郎の世界観×ブラピ×世界一アクション集団87イレブンの素晴らしきハーモニー。

目的の異なる殺し屋達が、「何故か」一堂に介した事で生まれるすれ違い、新幹線内の無茶苦茶なアクション、次第に全貌が
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ピノキオ(2022年製作の映画)

3.7

disney+配信限定。同名ディズニーアニメからの実写版。

第一に、ピノキオの描写が実写と見事に融合してたなと。ピノキオ、及びもろもろのフィクションキャラクター含め、造形と世界観のバランスが文句なく
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

3.5

地位=神としてのアイデンティティを喪失していたソーが、行動=ヒーローとして再確立する話。

相対化された「神」と「神に裏切られた者」が敵対する構図の中で、そのどちらでもあり、どちらでもないソーが、「ラ
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チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ(2022年製作の映画)

3.7

Disney+オリジナル作品。

「89年同名アニメは、実在するチップとデールが演じている...」そんは世界線のお話。

彼等だけでなく、古今東西さまざまなフィクションのキャラクターが演者として実在す
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.1

物語のロジックは大味も、MCU版スパイダーマンにおいてピーターが真のヒーローとなる集大成的展開と、旧スパイダーマンシリーズの救済を、大熱狂の中で同一ベクトル上で成り立たせた奇跡の一作。

今後このよう
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.8

大傑作。今年ベスト...オールタイムベスト級。

聾唖の漁業一家で唯一の健聴者の娘が、家族への献身と歌手への夢の間を揺れ動く。ユーモラスなやり取りを中心に進む中で深まるやりきれなさ...

歌い手とし
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.8

アガサ・クリスティ×ケネス・ブラナーの第二弾。

「愛」中心に取り巻く人間模様含めた謎解きという原作の魅力を、エジプトの大地描写を巧みに活かし、凄く映画的で上質なミステリーに仕上げている。

概ね犯人
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.6

名作ミュージカルのスピルバーグ監督によるリメイク。
ミュージカルのパワフルで滑らかな演出をアップデートしながら、「若さ」のパワーと荒さを強調する画面の質感や、声質の演出は素晴らしい。

60年代を舞台
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.7

犯罪都市ゴッサムと、闇に生きるヒーローバットマン。極めて相性の良い「ノワール」と「不条理サスペンス」を前面に描きながら、バットマンの生い立ちも絡めていく、濃厚な3時間。

それぞれの要素がストーリーの
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.4

大傑作!オスカー有力作は伊達じゃない。

モノクロ×子供視点で家族の奮闘を捉え、観る者を魂レベルで擬似ノスタルジーに誘うのは『ROMA』に通じるも、「社会の分断と家族」というテーマがよりパワフルに直接
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.6

ギレルモ・デル・トロ監督最新作。行く当てなく雇われた見せ物小屋から、読唇術士としての成り上がる栄枯盛衰を、狂気の潜む演出の中で描く。

意図的に主人公の過去を隠しているが、彼の行動動機や目的、ストーリ
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.5

ジョン・ウィックの殺し屋バブルの世界観に、色彩感を加え、より間抜けでコミカルに仕上げた一作。

女性を主人公とする落とし込みは成功してる一方、意図的に引き伸ばそうとしてると思うくらい、無駄なカットやス
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