西木寸さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

西木寸

西木寸

映画(633)
ドラマ(0)
アニメ(0)

空白(2021年製作の映画)

4.5

吉田恵輔監督の真骨頂、「主観」と「主観」のすれ違いから来る、人間関係の曖昧さや危うさが、シリアス方面にチューニングされた大傑作。

日本版の『スリー・ビルボード』で、不完全な人間だからこその噛み合わな
>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

4.0

最高。

ビートたけしと「師匠」深見千三郎、2人の出会いから乖離を中心に、たけしが芸の世界に伸び込み、飛躍するまでを描く。

自分の中で圧倒的存在感がある「あの人」を、特大の愛情で振り返るのに立ち会う
>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.2

これまでのMCU世界観を内包しながらも、より壮大な「時間」と「空間」の中で物語を紡いでいく。

エターナルズの面々は、我々人類にとっては高次の存在であり、彼らの人間を見守る視点自体は僕たちが持ち得ない
>>続きを読む

ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

4.3

何かに囚われていた過去。
単なる過去の出来事へのノスタルジーではなく、自分に置き換えた上で「感情」レベルで思い返させられ、魂レベルで震えました。

一つづつ過去に戻っていく描き方をしていて、それが過去
>>続きを読む

レッド・ノーティス(2021年製作の映画)

3.6

ドウェン・ジョンソン×ライアン・レイノルズ×ガル・ガドットが、チーム強奪とチーム内出し抜き合戦を繰り広げる。

ストーリーはめちゃくちゃ大味も、その大味さ含めキャラクターの魅力を抜群に立たせていて、飽
>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.8

病気を抱える娘と、献身的に支える母、裏に潜む歪んだ愛と狂気が生むスリラー。

娘のハンディ要素が物語の核になりつつ、スリラーにも機能している構成の妙。疑念が次第に膨らむ見せ方含め、中々の良作!!

>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

4.4

今年ベスト級。

「RENT」生みの親ジョナサン・ラーソンによる自身の30歳目前を捉えた同名自伝的ミュージカルを元にしつつ、そのミュージカルを演じる30歳後のジョナサン自身まで映す事、そして「35歳で
>>続きを読む

アオラレ(2020年製作の映画)

3.9

世界的な社会問題になっている、ストレス社会から来る運転中の異常行動を起点に、スリラーの超王道の語り口に丁寧に落とし込みつつ、ラッセルクロウのサイコっぷり熱演と隙の無いスリラー演出で、まんまと惹きつけら>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.8

法定後継人制度を利用した、お年寄りからの搾取ビジネスに邁進するクライムムービー。

驚きなのが、これが法律の範囲内でビジネスとして成り立つという事。

そんな批評的な視点をエンタメに昇華しつつ、正当な
>>続きを読む

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

4.0

ゲイの主人公と、BL好きの女の子。
二人の生きたセンシティブな感情が交差し、奮闘するフレッシュな瑞々しさと、理解の無さや想像力欠如の残酷さ、両面を感じさせる映画になっている。

フレッシュな瑞々しさで
>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.8

「大胆」で、「繊細」な、流石オスカー有力作。

まずはジャンルの見え方が次第に変化していく「大胆」な構成。

大牧場主フィルによる無茶苦茶な仕打ちを受ける立場の視点がベースにホラーのような印象をうける
>>続きを読む

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.7

前作の良い所のブラッシュアップに特化した、「これぞ!」なジェットコースタームービー。

カップル化したヴェノムとエディの掛け合いの大喧嘩は前作以上にコメディに振り切ってるおり、シームレスにエディとヴェ
>>続きを読む

キャッシュトラック(2021年製作の映画)

3.6

ガイ・リッチー×ジェイソン・ステイサム。

全面的にガイリチ節、つまりは狙いまくった語り口と群像ドタバタ展開は控え、シリアス色が強い設定のバイオレンス映画の中に、浮き出てるステイサムのオーラの異色さ、
>>続きを読む

皮膚を売った男(2020年製作の映画)

3.6

オンライン試写にて。filmarksさん、ありがとうございます。
恋人に会うため、自身がアート作品になった男の数奇な運命を描く。

「社会批評性を持った芸術」が資本主義の中で成り立ってる在り方を俯瞰し
>>続きを読む

アーミー・オブ・シーブズ(2021年製作の映画)

3.6

ザック・スナイダー監督『アーミー・オブ・ザ・デッド』で登場した天才金庫破りを主人公にした前日譚。舞台設定とキャラクターは地つなぎも、ジャンルはチームケイパー物。

金庫破りを中心に据えたチームケイパー
>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.7

世代ド真ん中という事もあり、主人公を通したハロプロのムーブメントの追体験は至極。

「仲間」が正しさより互いの居場所を作るように形成されてるのも素晴らしい。

終盤の「あの展開」も、ああいうのは得てし
>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2021年製作の映画)

3.5

オリジナル版の結末を知ってるからか...
かなり無理矢理ストーリーを展開させているように見えてしまった。

リメイクだからこその、シチュエーション勝負以上の完成度が欲しい。

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

4.1

Filmarksのオンライン試写会にて。
バチくそ面白かった。

「妻の漫画ネームを盗み読むと、そこには自らの浮気シーン(現実)で始まり、妻の浮気...(現実!?虚構!?)」

現実と虚構が入り混じり
>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.2

これが見たかったスースク!

「尖らせまくった過激なゴア描写」と「色鮮やかで、バカバカしくて、超ポップな描写」の二刀流、ジェームズ・ガンの全ての映画的嗜好を垂れ流し。

一つ一つのシーン、一人一人のキ
>>続きを読む

トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)

3.9

「30年後の未来を救え!」時空が交差する侵略系SF。
超迫力なエイリアンアクションと、有機的に構築され染みまくる家族ドラマ。

クリーチャーとのアクションは言わずもがな5億点なんだけど、この映画は家族
>>続きを読む

クルエラ(2021年製作の映画)

3.8

夢と抑圧、信頼と支配、家族と復讐...
二つの人格の濃度が変化する、そんな彼女の変化と真のヴィランとの対比がめちゃくちゃ面白い。

1番「最高だな、おい!」ってなったのは、ヴィランvsヴィランの展開に
>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

4.0

閉塞感と一種の狂気を表現する、映画としてのルックのパワーが桁外れ。

YouTubeに感想上げました。
https://youtu.be/BJK7JcppM04

ブログ
http://n8ryt.j
>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.7

スパイ映画のフォーマットで描く事で万人が楽しめつつ、MCUファンにとってはブラック・ウィドウの本質の輪郭がはっきりする。

↓ブログにて感想詳細(ネタバレなし)
http://n8ryt.jp/blo
>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.9

Filmarksオンライン試写会にて鑑賞。

受験を控える中でいじめを受ける少女と、社会から見放された少年。立場背景の異なる二人が互いに居場所を見出していくが...
社会問題としてのいじめをバックボー
>>続きを読む

オキシジェン(2021年製作の映画)

3.9

netflixオリジナル

そもそもワンシチュエーション・スリラー大好物人間なんですが...

酸素が無くなっていく状況=タイムリミット設定の中、信じられる情報が何もない。これが非常に上手く活きていて
>>続きを読む

アーミー・オブ・ザ・デッド(2021年製作の映画)

3.8

netflixオリジナル。
ザック・スナイダー監督作品。

ラスベガスがゾンビに支配される、そんな物語背景を描くOPシークエンスがまず絶品。階級制ゾンビやモンスターゾンビなどの舞台立てはフレッシュで、
>>続きを読む

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

4.5

最高にして至高。

これまでDC映画はハマらなかったけど、じっくりずっしり見せ切る事で、ジャストミートしてきた。

劇場版121分に対し、本作240分。大筋は同じで素材の8割は同じなんだけど、印象は1
>>続きを読む

ファザーフッド(2021年製作の映画)

3.8

netflixオリジナル。
「アメリカン・パイ」のポール・ワイツ監督✖️「ジュマンジ」(2017)のケヴィン・ハート。

子供が産まれてすぐ妻を亡くしシングルとなった父親が、周囲の人々とぶつかったり支
>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.9

映画製作のカッコ付き全過程の肝を、ファンタジー的編集とメタ演出の嵐で見せ切る、映画製作愛爆発映画。暴走し過ぎてモラル的にアウトな要素はあれど、、その熱量に涙涙でした!

ブログ↓
http://n8r
>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

3.6

殺人鬼と、漫画家。決して一方通行ではなく、それぞれの分野でそれぞれが共作を作っていく、そんな物語の枠組みがめちゃくちゃフレッシュ。
そしてなんといっても、画面の見せる力が素晴らしい一作です。が...
>>続きを読む

ビバリウム(2019年製作の映画)

3.9

「家を探しに来ただけなのに...」

一様化する社会の気持ち悪さを比喩しまくる事で、他の鳥に托卵をするカッコウの生態が人間に起これば...を物語にしてしまった映画。

これだけ読めばなんのこっちゃ?だ
>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

4.4

面白いアクション映画には必ず関わっている、アクション監督/スタントマン集団の「87 eleven action design」改め、映画制作会社「87North productions」が制作した本作>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.1

これぞ巧み。衝撃の認知症体験映画。

設定だけじゃない。
認知症の居た堪れなさを体感させると共に、終始不穏で宙吊り状態なサスペンス的な面白さまで感じさせる、めちゃくちゃ多重的な魅力ある認知症追体験映画
>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

3.7

松居大悟監督×ノスタルジー映画と見せかけて...

帰宅部6人が友人の結婚式で再開し、余興を披露する。学生時代を思い出すノスタルジー映画かと思いきや、2クセ3クセある狂ってる映画でした!(褒めてます!
>>続きを読む

ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.8

大麻ビジネスの所有を巡る、悪いおじさんたちによる争奪戦!

ガイ・リッチーといえば近年の『アラジン』や『シャーロック・ホームズ』なんかが有名ですが、彼の出世作となった『ロック、ストック&トゥー・スモー
>>続きを読む

彼女(2021年製作の映画)

3.4

Netflixオリジナル作。
水原希子×さとうほなみ×廣木監督。

マイノリティ恋愛逃避行物として、特に次第に加速する「2人だけの閉じた空間」を表現する映像は見事で引き込まれる。
ただし映像の質と物語
>>続きを読む