あの頃渋谷TSUTAYAでVHSを借りて見ていたトリュフォーの作品群が突如U-NEXTに大量投下されひそやかに沸き立つ私、とジュール、とジム。
クライムなきファム・ファタル映画。であり、個人的な大好物>>続きを読む
高峰秀子がのびのびと暴れまわっていて素晴らしい。徳川夢声の漫談がモデルという軽妙なひとり芝居、見事です。彼女が演じている妹は、厭世観と諦観が強いこの作品の人物たちの中にあって、ひとり浮いていて、ややも>>続きを読む
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ヘンリー・フォンダが若い。ノワールの古典とも言われるが、実はあまり犯罪映画然とはしていない。過去の罪から逃れられない男の物語は、喜劇にも悲劇にもなりえるので、今でこそ割とありふれたストーリーラインだが>>続きを読む
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うーん、面白い…。
小津にとっての家族、それは大いなる矛盾を内包しながら蠢く装置。とりわけ戦後日本における家族の変容を描いているという点では、本作も他の小津映画と通底しているのだけど、小早川家にはもは>>続きを読む
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男たちの醜い嫉妬の視線交錯と、情婦たちのたくましさ、つつましやかな連帯の対比。女がゲームの景品のように扱われているが、むしろこの虚しいゲームで人間性を奪われているのは男のほうだと思う。冒頭2回のダンス>>続きを読む
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昨年のカンヌプレミアでチケット取れなかった苦い思い出から気づけば8ヶ月越し。なんだかんだとタイミングを逃し続け、おなじみのユーロスペースにてようやくの鑑賞。
カウリスマキの新作がまたしても見られたこと>>続きを読む
これは発想からしてなかなかいい。その後のツイスト的展開も、ギリギリ想像の範囲内かもしれないけど、102分という尺におさまる絶妙なラインだし、最後まで徹底的に不条理を貫いた脚本が素晴らしい。夢に道徳の入>>続きを読む
冒頭の学生によるインタビューまでは結構期待感高く見ていたのだけど、その後落下〜発見にいたるまでの一連でなんとなく嫌な感じがして、結果その印象が覆ることはなかった。手持ちとフィクスを行ったり来たりするカ>>続きを読む
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まずは相変わらず編集のテンポとセンスが良すぎる。130分の長尺とは到底思えない。これはもう理屈を超えた天性の才能の領域にあると感じる。
そしてもちろん脚本がいい。この編集のソリッドさ、この話で、130>>続きを読む
序盤は、いささか分かりやすく配置されすぎたようにも感じる差別描写に頭が痛かったものの、尻上がりにドラマがドライブして、ユマが完全覚醒した後半以降は割と王道的なロードムービーとして、良くも悪くもだいぶ安>>続きを読む
一昨年の釜山国際映画祭で鑑賞。物語のこまかい内容はあまり覚えていない。子どもの視点を描いた映画は数あるけれど、作為的になりすぎないギリギリの、上品なラインのカメラワークだったなというのはなんとなく印象>>続きを読む
中学生ぶりくらいに。あれを音楽と表現すること自体におおいに疑問を抱く人もいるだろう、というようなノイズの洪水。切り出した世界を丁寧に加工して提示するのとは違う、むきだしの音への純然たる信仰のようなもの>>続きを読む
日常生活の脆さと、一見相反するような習慣や惰性のしぶとさと。信じられるものが何も無くなった世界で、最後に縋れるのってこういうものだよね、というだけのことを、長く嫌な時間の先に見せられる。正直すこし退屈>>続きを読む
めくるめく視線の会話劇。かなり倒錯的で、転覆的な2ショットのエロティシズム。戦前的家族像の崩壊なんていう生易しいもんではない。根源的な愛の不可能性を描きながら、ともすれば婚姻制度の欺瞞そのものに挑戦し>>続きを読む
戦禍の話だ。戦は人を変えるというが、それは何も兵士だけの話ではない。男は、はじめて手にした大金にとりつかれる。自らの手で金をつくる悦びに夢中になる。とりつかれやすい質なのだ。それはすでに家族のためでは>>続きを読む
最近の気分としては、いわゆるミゾグチ的と解釈されるところのショット至上主義というか、こだわり抜かれた文体の仕事みたいなものに少し距離を置きたいのだけど、だからこそあえて見る。結果、最近の日本映画は、シ>>続きを読む
明らかに表情は老いているにも関わらず、「老い」をまったくテーマにしない潔さ。アクション映画、さらにいえばシリーズ映画にとって「物語」なんて二の次なんだという強い意志を感じる。AIはおそらく、有無を言わ>>続きを読む
高峰秀子演じる未亡人の雇われマダムは、死んだ夫の遺骨に約束した貞節を根気強く守っている。生きている人間とは違う、亡き夫の記憶に今も縛られ生きている。好いた男に抱かれながら、野菜を買って帰る夫の夢を見て>>続きを読む
他人の世話を焼いている。それ自体が嫌なわけではない。しかし、身の回りの些末な政ばかりに時間をとられていく。何も持たない者はそうして生きていくしかないからだ。何も持たない者こそ政治にすがっている。この街>>続きを読む
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左幸子と芦川いずみの邂逅、『あのこは貴族』じゃん(逆)。北原美枝はさながらゼンデイヤ。戦後の日本を舞台に、持てるもの持たざるものの不均衡がベースにあるが、出てくる人々は誰もが根源的な生への不安を抱えて>>続きを読む
作品の大部分が消失した不完全なフィルム作品なので点数はつけない。小津安二郎の20年代サイレント作品。
家族の崩壊…まではいかないけど、家族というものの面倒さ煩わしさは存分に滲み出ていて、いかにもという>>続きを読む
男は自分が自分であることを否定して回っていく。それってすなわち自殺かもしれない。
去っていく克の背中を追いかける女主人の決死の追走は、もはやカラックスの『汚れた血』におけるビノシュの走りに匹敵する。移>>続きを読む
言っちゃ悪いけど、たったこれだけの話をよくもまあ最後まで見させるよなあ。ほとんど物語としては破綻していて、映画としても粗が多いのに、革命闘争の渦中に佇むブルジョアな出自の若者たちの空虚さ空っぽさに妙な>>続きを読む
あーおもろ。
いわゆるワンシチュエーションの会話劇というのはごまんとあるけど、単なる会話劇というのは憚られるほど活劇然とした、こういうイキのいい映画を見てしまうと、昨今のドラマ映画はシンプルに画面に元>>続きを読む
『いとこ同志』にも通底するような、憂うつで弛緩した都会生活の描写がいかにもシャブロル。わかりやすいメランコリーではなく、じわじわと境界を突き破ってくるような病理じみたところがある。表面上近しい (もし>>続きを読む
久々に見たけど、めっちゃいいですな…。当たり前だけど、フランク・ダラボンがショーシャンクでもたらしたウェットな感じ (別に嫌いなわけではない) が全くない。なにより凄いのは、一応主人公であるはずのフラ>>続きを読む
身体的欠損と男性性の去勢、かなりヒッチコック的メタファー。イーストウッドの実生活、特に女性関係がかなり荒れていたのは周知の事実かもしれないが、映画でこのような役を引き受け、自らの身体をメタメタに傷つけ>>続きを読む
佐渡のロケーションとそこから得られるインスピレーションにまるごと身を委ねつつ、つかず離れずの絶妙な抑制を保ったスタンダード画面が続く不思議な感覚。キャストがはまらなければかなり厳しいと思われるが、この>>続きを読む
社会のルールから逸脱して見える者 (サイコパスやシリアルキラーとラベルされる者) もまた、彼ら独自のルールに従って生きたり死んだりしているのであり、正常と異常の境界 (≠生死の境目) を決めるのは結局>>続きを読む
こういう作品を好きな人がいるのはよくわかる。人によっては生涯の一本にさえなるだろう。なんというか、折り紙のような映画だ。ハンドメイド感もあるが、精細で、幾何学的でさえある。僕は折り紙が苦手だった。こん>>続きを読む
今こそ90年代黒沢清を見直そう。話自体は、本来人々を部外者から守るはずの警備員が、実は殺人鬼だったらどうする? という中学生でも思いつきそうなアイデアではある。怖いやつの怖さが、シンプルにデカくて怖い>>続きを読む