中さんの映画レビュー・感想・評価

中

箱の向こう側(2018年製作の映画)

3.9

最小限の説明で展開する短編ホラー。
底の見えない箱とだるまさんがころんだ的なルールだけで展開する不条理かつミニマルな構成が、伊藤潤二短編集風味でかなり好み。

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

ホラー味はかなり薄めのエクソシスト映画。ストーリーも分かりやすい一本道でひねりは無く、大作アクション映画風味。
ラッセル・クロウなのでなんと無く楽しんで見れる仕上がりにはなっている印象。

ヴァチカン
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.0

90秒降霊チャレンジに興じる若者たちの悲劇を描いたホラー。
良くあるバカな若者が酷い目にあうホラーかと思いきや、そこから大きく捻った展開とホラー描写は一見の価値あり。
カメラワークや構図も新人監督とは
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.9

事件の発端となるオープニングのシーンが最高。群衆パニックのしょうもない原因ややりすぎ感はイーライ・ロスらしくて目が離せない。
ミステリとしてもミスリードの散りばめ方やヒントの小出しも含めてオチ以外は良
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.9

AI生成されたような奇妙なコントラストの世界で、胎児の脳を移植された女性の成長を描く不思議なファンタジー。
寓話的な世界のようで、示唆的な会話劇もあり、とことん不思議な空気の中でストーリーは進んでいく
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.8

超能力を得た子供達が団地内で戦う童夢オマージュの作品。
北欧の透明感ある空気感と映像が、子供たちの無垢な感情と残酷さを引き立てる。
急にハードな描写が入ったり、誰が生き残るのか本気で読めない展開など北
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必殺! 恐竜神父(2018年製作の映画)

3.8

80年代B急映画のオマージュのコメディだが、実際に低予算でB級というマトリョーシカのような映画。
狙った部分と狙ってない部分がごちゃ混ぜだが、とにかく映画を撮りたいという情熱は伝わってくる。そしてとに
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

2.8

結構楽しみにしてましたが…あまりハマりませんでした。
B級っぽいテーマの割には、登場人物が多く視点もバンバン変わる小賢しさがどうも肌に合わず。
久々に睡魔と戦いながらの映画鑑賞。冗長な会話劇はいらなか
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.6

あっさりとしたコラボ作品だった原作と比較すると、がっつり怪談風味に寄せてきた本作。
水気を含んだJホラー的な作りは意外にも良くできている。ただ冗長さも魅力となる怪談と岸辺露伴の相性はそこまでかと。ただ
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PATHAAN/パターン(2023年製作の映画)

3.8

往年のハリウッドスパイアクションを彷彿とさせるインド初アクションムービー。
ガジェットが絶妙に2000年代だったり、キャラクターの立て方や伏線の回収の仕方も絶妙に古くてたまらない。そこにインド映画的な
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

ヨーロッパ企画らしい、まさに演劇的なタイムリープもの。
コメディタッチでドタバタな前半から、少しサスペンスに振りつつ、ループの中でも落ち着いたパートを作る絶妙な脚本は見事。
貴船という美的で閉鎖的な環
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X エックス(2022年製作の映画)

3.4

ポルノ、NTR、セックスレス、キリスト教的価値観、老い。
様々な愛の形を死霊のはらわたフォーマットに落とし込みつつ、A24的なエッセンスを加えた謎映画。
ホラー展開までの前振りの長さなどなど気になる点
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ミンナのウタ(2023年製作の映画)

3.8

GENERATIONSのファンムービーで清水崇が復活するとは誰が想像しただろうか。
多用されないジャンプスケアとじっとりとしたJホラーらしい演出。R指定を回避する為のグロ描写皆無も、逆に清水崇を復活さ
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(2023年製作の映画)

3.5

戦国時代版「アウトレイジ」かと思いきや、「みんな〜やってるか」路線も交えつつ、本能寺の変を衆道解釈で描くかなり特殊な作品。

加瀬亮の信長は素晴らしい。とにかくそれは間違いない。ただ出番が少ない。スー
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バーバリアン(2022年製作の映画)

3.7

Airbnbでのダブルブッキングからスタートする恐怖を描いたホラー。
丁寧に下準備していく前半、伏線を多数散りばめつつも会話劇として面白い。
ビルの絶妙の怪しさもたまらない。

ただ後半の超展開と伏線
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悪魔の世代(2021年製作の映画)

4.0

リトアニア発の骨太サスペンス。
警察署長の周囲で起こる猟奇殺人事件を、ソ連崩壊時のKGBのストーリーと交錯しながら描いていく。
不穏な息子やゲスい主人公、エグくてアーティスティックな殺され方、全てに隙
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インシディアス 赤い扉(2023年製作の映画)

3.2

登場人物は気づいていないけれど、視聴者は気づいているという設定は非常にストレスフルだ。緊張感を誘う仕掛けだが、長過ぎるとだらけてくる。
本作はそのストレスフルな展開が全面的に押し出されている。
さらに
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.0

自分はニール・ブロムカンプが大好きだ。
アフリカ+SFという新しい世界観と独特のプロット、キャスティングで最高の作品を産み出した。だが、その後のエリジウムは振るわず、大作の監督に名前が上がっては消えて
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100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

2.5

前半をヒヨコという死のメタファーが襲うファイナルディスティネーション、後半はカエル男のサイコパスを楽しむミュージアムと思えば見れなくもない。

ブラックなテーマと自分も○日後に死ぬ人間なんだよなと思わ
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.7

想像と全く違う映画。だが理解できないまま楽しめた。

聖書の隠喩や最後の晩餐モチーフなど色々と捉え方のある本作だが、自分が強烈に感じたのは「行き過ぎたガストロノミーをネタにしてやれ」とあうシンプルなア
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スクリーム6(2023年製作の映画)

4.0

リブート2作目と言いつつ過去作の集大成とも言える内容。どこがリブートなのか不明だが最高。
スクリームに求めていた要素が戻ってきた素晴らしい出来。

スクリーム好きとして採点が甘くなっている部分は確かに
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.8

監督作は名作揃い、製作で入ると佳作となる印象のジェームズ・ワンの作品。
評判は良かったので期待して観賞した。

主人公2人のキャラクターや子供の心に入り込むミーガンの描写はかなり丁寧。
後半までそこま
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バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(2021年製作の映画)

3.9

くだらない設定ながら、なくは無いのではと思う最低限のリアリティ。そのバランスが素晴らしい。
ヒーロー映画への各種オマージュも含めコメディとしては当然抜群の出来だが、地味にアクションカットの出来も良い。
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

黒人をテーマにした前2作と違い、テーマ性はありつつもある程度分かりやすいエンタメに振ってきた印象。
分かりづらさが行き過ぎていたように感じたUsからしっかり調整してきた感はある。
メタファーとしてのチ
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-04 真相!トイレの花子さん(2012年製作の映画)

3.5

最高傑作と名高い?シリーズ4作目。

評判通り、過去3作に比べて脚本はかなり凝っている。
長回しの演出も効いているし、花子さんからここまで飛躍させるのは素晴らしい。

ただ工藤のめちゃくちゃさや、とん
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-03 人喰い河童伝説(2013年製作の映画)

3.5

コワスギ3作目。

次のターゲットは何とカッパ。
比較的狭い範囲で話が進み、ちょっとスケールの小ささは気になる。

相変わらず多用する呪物は最高だし、ラストバトルは胸熱だが。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-02 震える幽霊(2012年製作の映画)

3.6

劇場版に向けて予習。

工藤のクズで暴力的なのにどこか憎めないキャラクターが最高。
廃墟の幽霊から予想も出来ない方向に進み、信じられない方向に流れていく脚本も素晴らしい。

1作目よりテンポが良くて好
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-01 口裂け女捕獲作戦(2012年製作の映画)

3.7

OSORE ZONEに加入した目的の一つ。
久々に観賞したが…ほぼ記憶に無かった。

口裂け女を「捕獲」しようとする工藤D。
暴力・脅しを駆使して怪異を金の為と言い切る魅力的な方。

チープだけれど癖
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死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

4.1

リブートしてコメディ寄りだった空気感を一新。しっかりホラーとして仕上げてきた印象。
もちろんきついブラックジョークもあるが。

モブの思い切った使い方、伊藤潤二的なヴィジュアル、徹底したルール準拠、攻
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警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件(2022年製作の映画)

3.7

記憶の片隅にあった「ルーシー・ブラックマン事件」。
その解決までの道のりを追ったドキュメンタリー。

イギリスから日本を訪れ失踪したルーシー。
ただの失踪事件と思われた事件は凄まじい方向に向かっていく
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哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.2

不気味さと不快感が常に付きまとうトーン。
田舎町の陰鬱さ。
そこに来る異邦人という違和感。
要素は面白いが冗長。

メタ的なミスリードかと思った部分も、特にそんな事も無く少し拍子抜け。

難解さを差し
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

諸事情で劇場で観ることが出来ず、待望のレンタルで即観賞。

バーブバリと同じ熱すぎる展開とめちゃくちゃな演出は健在。
その上でバディもの潜入ものの要素を絶妙なバランスで取り込んでいる。

語らない部分
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きさらぎ駅(2022年製作の映画)

3.5

面白いとの噂を聞いて観賞。
日本B級ホラーの怪作とまではいかないものの、随所に光る要素のある作品。

映像はチープなPOVからガタガタのスローモーションなど、とにかく安さが目につく。
ホラーとしても特
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怪物(2023年製作の映画)

4.2

台風一過の今日見るべき映画。
練りに練られた脚本と会話劇の軽妙さ、嫌らしくないミスリード、美しい映像と音楽。
全てがタイトルの一点に帰結する見事な作品。

見終わった瞬間に面白さを感じるタイプでは無い
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