アカシさんの映画レビュー・感想・評価

アカシ

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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.1

より予算が出た『凱里ブルース』という感じだった。物語の本質もほとんど同じ。
画面こそリッチになってはいるものの、ちょっとやりたいことをやりすぎてる感じがあってあざといなと思ってしまった。露骨にタルコフ
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

4.9

ミラーボールに乱反射するのは、光と時間、そして心。

この映画は前半1時間は退屈に感じるかもしれない。それもそのはずで、前半1時間はストーリーのあらすじの部分を、時系列を解体して並べ替えたものとなって
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野獣死すべし(1969年製作の映画)

3.9

『肉屋』同様良質なサスペンスだった。個人的には今作『野獣死すべし』の方が好み。

単純明快で隙のない脚本、冒頭の爆走する車と子供の対比を筆頭とするスマートな演出の数々。傑作だった。

肉屋(1969年製作の映画)

3.7

良質なサスペンスだった。
前半こそ少し退屈だが、音楽やらで緊張感はある。そしてピクニックの鮮烈なシーンから一気に緊張感が増す。その持続もうまい。

サスペンス要素よりも、心に深い傷を負ったふたりの友達
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アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

2.9

繋がりが有るようで無いイメージの連続。理解できないしつまらないが、印象には残る。夢ってそういうもの

アンナの出会い(1978年製作の映画)

3.5

『私、君、彼、彼女』『ジャンヌ・・ディエルマン〜』ではなかなか移動しなかったカメラが、今作でついに動き出した。人の流れから外れ電話ボックスに入るシーンや階段の途中で立ち止まるシーンからも分かるように、>>続きを読む

リフレクション(2021年製作の映画)

4.2

傑作だった。

画面の手前と奥で全く違う空気感が漂い、その手前と奥を隔てるのは一枚のガラス。それは銃弾によって破壊され、主人公は見るも無惨な現実に引きずり込まれる。そこで見、体験したものが、窓にぶつか
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.7

面白かった。『ブギーナイツ』のように気軽に見れる青春(恋愛)映画でありながら、映画全体にどこか不穏な空気が漂っていて、そこのギャップを駆け抜ける痛快な映画でもあった。

PTA特有のスマートなカメラワ
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

3.6

正直一度観ただけじゃ理解しきれなかった。インヒアレントヴァイスというのはアメリカそのものに、アメリカ人に内在する欠陥ということかな。全然判らなかったけど笑いどころでしっかり笑えたのでよかった。
ナメナ
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.5

太平洋戦争のPTSDを抱えた獣的、動物的な男が、信仰宗教との半共依存に陥りそこから脱却して人間的になる物語ってことでいいのかな?なんにせよ判りづらい映画だったことは確か。でもやっぱりPTAは全く予想し>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

2.5

映画内時間と実時間をリンクさせるような長回しや、それによって女性の抑圧と魂の解放にカタルシスを生む構成は『ジャンヌ・ディエルマン〜』に共通するが、本作には流れとリズムがないので一本の映画としては少し弱>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

4.5

現代の神話だった。

ひとつひとつのショットが絵画として優れているだけでなく、映像としての世界の空間の広げ方、奥行きの出し方にも優れた傑作。長回しが最も効果的に使われている。詩的な映像と、物語の寓話性
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山椒大夫(1954年製作の映画)

4.5

圧巻。『雨月物語』のような印象的な長回しは少ないにしろ、より洗練された、耽美なショットの数々がそこにあった。水面にゆっくり広がっていく波紋に心震わせ、ラストの海に落涙した。モノクロの映像に彩りを感じて>>続きを読む

世界残酷物語(1962年製作の映画)

2.1

本当か嘘かわからないギリギリのラインをつくのが上手いけど、面白くはない。そんなに残酷でもない。

雨月物語(1953年製作の映画)

4.3

溝口健二作品初鑑賞

傑作だった。霧の琵琶湖、露天風呂から河原へ、屋敷に差し込む朝日など幽寂閑雅なシーンが多く、引き込まれる。引き込まれるというより吸い込まれると言った方が適切かもしれない。そのくらい
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

3.9

主人公ダニエルの人間嫌いぶりは、もはや人間のそれではない。2時間半、彼から全く人間性を感じなかったが、そこがまた魅力的なのかもしれない。

それで言うと、イーライからも人間性を感じない。2人の怪物、資
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

静かな映画だが、とてつもないパワーを秘めた傑作だった。

規則正しい生活を送る主婦のルーティンの瓦解を定点カメラ+長回しで映す。台詞も動きも少ない映像の中にも、しっかりと情報量がある。階数、部屋の間取
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.1

強烈だった。

エリの行方や安否の心配ではなく、自らの保身に終始する大人達。人間の誰もが持っている負の側面をリアルに映す。

緊張感の持続ができていて、ミステリーとしての骨格もしっかりしている。

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.4

これは傑作。

妻→妻との思い出→思い出があったという事実 とゴーストが求めるものがシフトしていくのが切ない。

この宇宙、この世界、私たちの存在はいつか消えてなくなるけど、存在したという事実は永遠に
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地下水道(1956年製作の映画)

3.2

ワルシャワ蜂起の真の姿を映し出す。

面白かった。劇伴は少し鬱陶しいが、前作よりリアリティも増し、緊張感のある映画に仕上がっていた。

最初の登場人物紹介のシーンの撮り方がスマートでカッコいい。

吸血鬼(1932年製作の映画)

4.1

大鎌を持った男が印象的。その他にも禍々しいイメージをカメラで捉え続け、じわじわと観客に恐怖を植えつける。幽体離脱や臨死体験など、現実と超現実の狭間の表現が優秀で白昼夢のよう。

ストーリーは割と希薄だ
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エル・スール(1982年製作の映画)

3.5

ビクトル・エリセ監督第二作。

オープニングやベットの下のシーン等、空間の光と闇の扱いが抜群に巧いという印象。

この映画はもともと3時間の予定で作られたそうだが、財政的な問題で後半部分がカットされ、
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.8

寡作の巨匠ビクトル・エリセ監督長編デビュー作。純粋無垢な少女の瞳に映る世界を詩的な映像で魅せる。

大傑作だった。

映像が美しいのは勿論、少女アナの魅力を最大限引き出すことに成功している。アナ役のア
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さがす(2022年製作の映画)

2.0

面白い。確かに面白いんだけど、名作韓国ノワール等の表面的な面白さを真似ただけで、中身が全く付いてきていない。ていうか表面的なものですら真似できてないかも。

安易に触れてはいけない問題に次々と安易に触
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セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.1

凄いものを観た。傑作。

前半の追いかけっこサイレントコメディが最高。そこから始まるのは日本の漫画、アニメの先取り的なゆるいタイムリープ物。

即興演出的なのにプロットは隅々まで計算されている。物語が
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

2.9

PTA監督作の中でも人気度の高い今作、自分は全然合わなかった。

カメラワークは相変わらずスマート。環境音のコントロールとかも上手い。

しかし登場人物誰も好きになれず、展開も突飛なものにしようという
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早春(1970年製作の映画)

4.4

色彩と音楽が完璧な映画。

主人公の無垢故のイタさ、危なっかしさが最高。
登場人物全員個性的。

オープニングのイメージがラストに効いていて気持ちがいい。

これから先何回も観るであろう映画。

マグノリア(1999年製作の映画)

4.0

PTA監督作。

前作『ブギーナイツ』同様、スマートなカメラワークが光る完成度の高い群像劇。

前作はポルノ業界という一つの業界に関わる人間達の群像劇だったのに対し、今作はより多種多様な人間達を描いて
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.6

PTA監督作。

70〜80年代ポルノ業界の栄枯盛衰、そこに飛び込んだひとりの少年周りの群像劇。

少し長いが面白かった。序盤の長回し等、カメラワークが光る場面が多い。登場人物が多いが、しっかり扱い切
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ハードエイト(1996年製作の映画)

2.4

PTA長編デビュー作。

個人的には微妙な出来のように感じた。テンポも悪く、情報量も少ない。描かれる擬似親子関係も独りよがりなもので全然ノレなかった。

しかしラストカットだけは良かった。あのワンカッ
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情婦(1957年製作の映画)

3.8

いやー面白かった。エンタメ映画として殆ど完璧。

なんといっても会話のテンポがいい。画的な動きは少ないが、全く退屈しない。コメディ要素もしっかり笑える。全ての台詞と台詞を発するタイミングが完璧。

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13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.0

ファスビンダー監督作初鑑賞。

凄い。入ってないと思うけどLGBTQ映画という枠組みに入れるのは勿体無い。愛と孤独、精神と肉体、生と死について普遍的に描いた傑作だった。

精神の自殺を繰り返し愛を探し
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.1

ビリー・ワイルダー監督作品初鑑賞。

大傑作だった。

ノーマの狂いっぷりは陶酔なのか虚勢なのかわからないが、とにかく観ていて哀しい。いつまでも過去の栄光に縋っているから、精神は若いまま。何か溺愛する
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バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

傑作。

アン=子供、スティーブン=大人として描かれるが中盤あたりから、スティーブン、なんだかおかしいぞ?とじわじわと我々に違和感を与える。同時にキモい家主の存在感も大きく、これがいいミスリードにもな
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黒い罠(1958年製作の映画)

3.8

冒頭の長回し、評判通りハンパない。これだけでも観る価値がある。

ストーリーは普通と言って仕舞えば普通だが、ラストの皮肉な展開には痺れた。
これまた良質なエンタメサスペンス。

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