なまくらウォッチメンさんの映画レビュー・感想・評価

なまくらウォッチメン

なまくらウォッチメン

ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

3.9

ストーリー自体は典型的な西部劇だが、敢えてドラマ部分が緩く進行していくのが良かった
結局主人公は性を変えられず去り行くしかないが、そこをカッコよく描かない上に周りに受けいられてしまうという辺り、現代に
>>続きを読む

(1982年製作の映画)

4.2

変な映画だが面白い
ユペール演じる田舎娘が、実業家との奇妙な縁でバブル前夜の東京へ訪れ、最終的に成り上がっていく話
どこに居たって結局は同じ、ヘテロもホモセクシャルもどうだって良い、という退廃的な台詞
>>続きを読む

ハウス・バイ・ザ・リバー(1950年製作の映画)

4.0

スランプに陥った作家がメイドを誤って殺害し、弟を巻き込み屍体遺棄
幻視に苛まれつつも、弟に濡れ衣を着せ執筆活動は順調に進んでいく…という倫理観の欠片も無い主人公像と死体を巡るサスペンスが面白い
メタフ
>>続きを読む

秘密の儀式(1968年製作の映画)

3.9

同じジョゼフ・ロージーの『召使』に似た密室劇の、娘を亡くした娼婦と母を亡くした娘による同性愛的な擬似親子関係を描くサイコサスペンス
徐々に共依存に陥っていく2人が近親相姦関係にある実の父親に仲を引き裂
>>続きを読む

唇からナイフ(1966年製作の映画)

4.2

007の亜流という意味で『カジノ・ロワイヤル(1966)』的かと想像してたが、それほどコメディに振り切ってるわけではない
ただ、敵も味方もおバカだから牧歌的にも感じられて、これはこれで好き
元々ゆるゆ
>>続きを読む

悪なき殺人(2019年製作の映画)

4.1

面白かったが、終盤に至るまでの各々の視点のすれ違いを楽しむ展開は、それに終始するにしては間延びを感じてしまった
アビジャンパートからのマジック・リアリズムに絡めた怒涛のテンポが良かっただけに、もう少し
>>続きを読む

コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

4.0

鈴木清順作品的な美術・衣装が統一された色彩設計と、ウェルズ作品(特に『市民ケーン』)的なパンフォーカスを活かした構図と長回しで全編構成されていて眼福
映画には食事とセックスと暴力があれば十分だと思って
>>続きを読む

そして、神はカインに語った(1970年製作の映画)

4.0

話は王道の復讐ものマカロニウエスタンだが、クラウス・キンスキーが過剰なまでの暴力装置で、スラッシャー映画の殺人鬼みたいな殺し方をするので、思わず笑ってしまった
劇伴もジャーロっぽくてカッコいい

銃殺(1964年製作の映画)

4.2

面白い
脱走兵を軍法会議にかける様を、ドブネズミを捕え裁判にかける戦場の兵士たちと交互に見せていく反戦映画
ダーク・ボガードが珍しく劇中唯一の良心で、体制が抱える矛盾と杜撰さを雄弁に暴くも、士気を上げ
>>続きを読む

できごと(1967年製作の映画)

3.8

タイトル通りの”事故”が起きるオープニングとラストの対になる演出は面白かったが、大筋は文芸メロドラマかつ、主人公があまり能動的に関わってこないので、中年男2人が女学生1人を取り合う構造があまり活きてお>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー(2000年製作の映画)

4.0

『サタンタンゴ』と同じく、謎の訪問者によりコミュニティの調和が崩壊させられる話
『サタンタンゴ』での訪問者は共産圏の使いだったが、今作では鯨を引き連れたサーカス団
実態の無い”何か”に人々が振り回され
>>続きを読む

HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS(2023年製作の映画)

3.8

ヒデオを知らない人向けのドキュメンタリーと言う感じだったが、ゲームそのものと業界への批評、監督本人をテクノロジーの発展と近代化の恩恵に預かった存在として描いていたのは面白かった(もっと掘り下げて欲しか>>続きを読む

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

3.4

主人公と襲撃者のどちらにも共感し辛いのと、無関係の一般人が無差別に巻き込まれる暴力描写は良かったが、中盤以降話が殆ど停滞しているのと、襲撃者側に動機や因縁をベラベラ喋らせるのがチープで残念
ラストにあ
>>続きを読む

ジョンソンにはうんざり(1938年製作の映画)

4.2

傑作
オーソン・ウェルズのデビュー作にして、既に次作『市民ケーン』でのエッセンスが見られる
ウェルズらしい極端に奥行きのある構図を用いたスラップスティックコメディから、静謐で退廃的な転調が実に劇映画的
>>続きを読む

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

3.8

ブレッソンは好きだが、これに関しては『裁かるゝジャンヌ』の方に軍配が上がる
人物の表情をカットバックで映す会話劇は『たぶん悪魔が』『白夜』同様、ブレッソンとは相性が悪い
ただ、弁護人のハンドサインなん
>>続きを読む

召使(1963年製作の映画)

4.2

英国の階級社会批判を伴った主従逆転ものとしても当然面白かったが、相手の性生活を支配してから取り上げ、去勢された同性愛的な支配関係に帰着する終盤の方がより興味深かった
『パラサイト/半地下の家族』より『
>>続きを読む

白夜(1971年製作の映画)

3.6

『たぶん悪魔が』もそうだが、素人の役者しか使わないブレッソン作品において、表情の演技と会話の抑揚が重視される会話劇はとても相性が悪い
ブレッソンが会話劇を面白く見せようとしてないというのもあるが…
>>続きを読む

秘められた過去/Mr.アーカディン(1955年製作の映画)

4.1

面白い
記憶喪失の大富豪アーカディンの記憶を辿る依頼を受けた男が陰謀に巻き込まれていくサスペンス
他監督作同様、中盤から冗長でやたら回りくどい展開にはなるが、トランジションのスマートさとロケーションの
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

異なる生理的な苦しみによる生きづらさを抱える二人の人生が緩やかに交差し、そして離れていくまでの話
共感ベースというよりは体験ベースの構造で、対話による相互コミュニケーションでなく相手の立場や習慣から相
>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

朝鮮王朝時代実録もの×夜間に僅かに目が見える主人公による盲人サスペンスとしてよく出来ていたが、導入が長すぎるのと、終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しで少し醒めてしまった
昼夜での撮影の使い分けと、「
>>続きを読む

七番目の道づれ(1968年製作の映画)

4.2

ロシア革命後の帝政ロシアの凋落を、前半は息苦しい密室劇、後半は老将軍の地獄巡り的放浪記で展開していく
アレクセイ・ゲルマンらしいカオティックさはないものの、安易な旧体制批判やプロレタリア革命礼賛に陥ら
>>続きを読む

ザ・ガーディアン/守護者(2022年製作の映画)

4.0

変に捻った脚本で正直そこまで面白くはないが私は好き
北野武とかレフンみたいな暴力とユーモアの中間を往くスタイルを恥ずかしげもなくやってて好感が持てる
アート性を押し出しつつ娯楽映画にしようとしてるとこ
>>続きを読む

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

4.0

同じNetflixの『デイ・シフト』くらいの丁度良い面白さのポストアポカリプスアクション
体技的なアクションはアン・ジヘが最も頑張ってた(スタントダブルの使い分けが上手い)が、一番の見せ場は終盤のマ・
>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

なかなか良かった
二律背反に塗れたオッペンハイマーの評伝であり、平和をもたらすはずの原爆が、結果新たな戦争の火種をもたらしたに過ぎなかったと、はっきり表明しているのが良かった

交換ウソ日記(2023年製作の映画)

3.7

(この手の映画にしては)かなり練られたツイストが入ったサスペンス展開と群像劇的脚本で意外と楽しめたが、最終的に主役2人が結ばれるのには疑問

そんなことより、高橋文哉には家に女性を連れ込んで扼殺する連
>>続きを読む

終身犯(1962年製作の映画)

4.1

面白い
終身犯のみでありながら鳥類学の権威にまでなったロバート・ストラウズの伝記
死ぬまで囚われの身の人間が、似たような境遇の、逸れた雛の保護を通じて更生していき、やがて刑務所内外へ大きな影響を及ぼし
>>続きを読む

ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ(1985年製作の映画)

4.3

面白い
三島事件に至るまでの三島由紀夫の伝記と3本の三島文学、そしてルーツに大きく関わる『仮面の告白』を基にした四幕構成の巨編
伝記映画というよりは、三島の生涯と彼の創作内世界が相互作用し合う様を映像
>>続きを読む

不意打ち(1964年製作の映画)

3.6

序盤のソリッドシチュエーションに至るまでの導入と、終盤の屋敷自体に親子の近親相姦的な隷属関係が見えてくる展開は面白かったが、婦人の状況に殆ど変化が無い中盤に停滞を感じてダメだった
婦人とジェームズ・カ
>>続きを読む

不滅の物語 オーソン・ウェルズ(1968年製作の映画)

3.5

『フェイク』が現実を虚構に持ち込む話なら、こちらは虚構を現実に持ち込む話
都市伝説を実話にしてみせようと固執するオーソン・ウェルズの富豪役が、まんま虚構の持つ魔力に魅せられる本人役という感じ
当時40
>>続きを読む

イントゥ・ジ・アビス 深淵へ(2011年製作の映画)

4.3

強盗目的で少年2人を殺害した男に、死刑執行8日前から密着するドキュメンタリー
悟りを開き、天国への導きを確信する死刑囚、親族を全て失った被害者遺族、120回もの死刑執行に携わった看守…

自身の意見は
>>続きを読む

スライ:スタローンの物語(2023年製作の映画)

4.2

俳優であり映画人でもあるスタローンの半生を追ったドキュメンタリー
スタローンにとっての映画制作が現実では成し得ない自己実現の表象であり、ロッキーやランボーにスタローン自身が学びを得ているという姿勢が面
>>続きを読む

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

4.0

面白い
面白いが、あくまで主人公のキャラクター造形というか、キャラクタースタディとしての面白さであって、POVホラーとしては演出が一辺倒で、途中から似たようなことの繰り返しでそこは飽きてしまった
どん
>>続きを読む

レンフィールド(2023年製作の映画)

4.0

面白い
ドラキュラからのパワハラに苦しめられる青年が、勇敢な一人の警官に出会うことで精神面・肉体面で成長していくスプラッタアクション
対人関係の互助会等、思った以上にシリアスな題材で、コメディに振り切
>>続きを読む

ブラックベリー(2023年製作の映画)

4.3

超面白い
かつて一時代を築いたBLACKBERRYの隆盛とiPhoneの台頭による凋落を描いた興亡史
殆ど望遠の窮屈な画作りで、常に忙しない話運びはサフディ兄弟の作品に近いものがある
成功を求め暴走す
>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.7

オープニングとバッドトリップ的な感覚で憑依にハマっていく序盤は面白かったが、最初の犠牲者が出て以降、状況が好転も悪化もせずドラマも停滞気味で、全体的には微妙
安全圏にいるキャラが分かりやすいのも残念だ
>>続きを読む

>|