norisukeさんの映画レビュー・感想・評価

norisuke

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そして、私たちは愛に帰る(2007年製作の映画)

5.0

ドイツとトルコを舞台に3組の親子の人生が錯綜する。

鍵となっているのがイスラム教の祭典の一つである犠牲祭。神の命令に従い、愛する息子を生贄に捧げようと、心を痛めながら山を登る父親の信仰を認めて、神が
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パレードへようこそ(2014年製作の映画)

5.0

サッチャー政権下の炭鉱労働者ストライキ。彼らの闘いに共感した、同性愛者たちが、ストライキを支援することを思いつく。その柔らかな発想と、行動力に励まされる。

LGSM
Lesbians and Gay
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百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)

4.0

杉浦日向子さんの著作も読んだことがなく、アニメーション映画もほとんど観ないが、映像が美しそうであること、葛飾北斎の娘に興味を持ったこと、そして実写映画「はじまりのみち」が印象的だった原恵一監督の作品と>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

5.0

クリスマスの時期にアメリカ人が家族で見る定番の映画として有名だけれど、初めて鑑賞した。善良な主人公が、窮地に陥るも、最後はめでたし、めでたし。大まかなストーリーはタイトルから想像した通りではあるのだが>>続きを読む

エレニの帰郷(2008年製作の映画)

5.0

なんて美しい映画だろう。テオ・アンゲロプロス監督が20世紀を描く3部作の2作目として制作され、遺作となってしまった作品。

スターリンが死んだ1953年から、20世紀が終焉を迎える1999年の大晦日、
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イーダ(2013年製作の映画)

5.0

ただ、ただ、美しい。
幅の狭い、スタンダード・サイズのスクリーンに映し出される映像は、構図が緻密に計算されているのだろう。人物がスクリーンの下や隅に映されて、背景が高く感じられる。バスの窓ガラスや、車
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ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたち(2014年製作の映画)

4.9

始まってしばらく台詞が一切ない。それでもカメラワークが非常に魅力的で惹き込まれる。廃船に一人で暮らす少年。工夫が凝らされた船内は、すこぶる上等な秘密基地のよう。とても居心地がよさそうだ。おそらく苛酷な>>続きを読む

天才スピヴェット(2013年製作の映画)

4.0

「アメリ」の監督の新作ということで、大いに期待して臨んだのだが、期待以上!であった。「アメリ」とはうってかわって、モンタナ州の牧場から物語が始まるのだが、本作でも奇想天外ワールドの魅力全開!10才の天>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

5.0

おいしそうな料理が登場する映画は数多あるが、この作品に出てくる料理は格別に、五臓六腑に染みいるようで、泣けてくる。

19世紀、デンマークの小さな漁村。いつも曇天で寒々しい。ルター派の牧師の娘である姉
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人生は小説よりも奇なり(2014年製作の映画)

4.0

静かな映画だ。ショパンの優しい調べが、物語にそっと寄り添う。観終わってから、いろいろな思いが込み上げてくる。

39年連れ添ってきた同性カップルのベンとジョージ。同性婚が合法化されて、晴れて婚姻関係を
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マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

3.5

サブプライム・ローンによるバブル経済の内実をいち早く見抜き、リーマン・ショックを勝ち抜けた男たちを描く。

この映画でも描かれているように、多くの人が職を失い、家を失う顛末を待ち望むのは、不謹慎である
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偉大なるマルグリット(2015年製作の映画)

4.0

アメリカに実在した、「伝説の歌姫」と呼ばれた人物に着想を得て、1920年代のフランスに舞台を移して描く。

音痴な歌姫を描いたコメディーかと思っていたが、解釈が分かれる、不思議な悲喜劇であった。例えば
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リリーのすべて(2015年製作の映画)

3.9

世界で初めて性別適合手術を受けた人物とその人物を支えた妻の葛藤と愛情を描く。1920年代のデンマークと、夫妻が移り住んだパリが舞台となっている。

まだトランスジェンダーについての理解が進んでいない時
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マクベス(2021年製作の映画)

3.5

構図にこだわったモノクロの映像が重厚で美しくも、冷ややかで不穏な空気を醸し出す。デンゼル・ワシントンやフランシス・マクドーマンドら名優たちの鬼気迫る演技に圧倒される。とりわけキャスリン・ハンターの魔女>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.5

♪見上げてごらん夜の星を〜

人は絶望しそうになった時に、夜の星を見上げて希望を見出してきたのではなかったのか。夜空を見上げて絶望しなくてはならないとは、何とも辛い。

ディザスターを題材としたコメデ
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夜空に星のあるように(1967年製作の映画)

5.0

原作小説のタイトルをそのまま使ったという原題『可哀相な牝牛』は、主人公ジョイのことを指しているのだろう。確かにジョイの生き様は、「可哀想な牝牛」と呼びたくなるぐらい、日々綱渡りだ。

幼い息子と共に生
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涙するまで、生きる(2014年製作の映画)

4.0

アルベール・カミュ原作の映画ということで、「最初の人間」を思い出しながら観た。「最初の人間」は、空の青さが眩しい美しい街アルジェが舞台だったが、この作品の舞台は、同じアルジェリアでも草木もほとんど茂ら>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

ヴィルヌーブが監督をしていなければ、観なかったであろう作品。原作未読でSFにあまり慣れていない私には、ストーリーについていけるか心配だった。案の定、前半はとくに訳がわからず、戸惑った。しかし、話が進む>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

5.0

「血中濃度0.05%のアルコールが仕事の生産性を高める」なんて耳に心地よい学説に誘われて、どんどん酒に溺れていく男たち。たとえ酒を呑まない人でも、誰しも何かにすがってしまう同じような弱さを抱えており、>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

5.0

凄かった!素晴らしかった!
大興奮だった!

デイヴィッド・バーンという人物をこれまでよく知らずに生きてきたことを心から悔いる。滅茶苦茶かっこいいではないか。遅ればせながら彼に出会えて本当によかった!
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.5

辻褄が合わず、不条理なことばかり。
自分の家に住んでいるはずなのに、娘の家に住んでいることになっている。娘は新しい恋人とパリに行くのではなかったのか。この見知らぬ男は誰なのか。

認知症を患う当事者の
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楽園からの旅人(2011年製作の映画)

4.0

取り壊しの決まった教会の礼拝堂から、磔刑のキリスト像がついた十字架が外されるシーンから始まる。長年教会に仕えてきた老司祭は、主の宮が冒涜されたように感じ、主の憐れみを求めて叫ぶ。

聖母像も聖画も取り
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.5

ファーンの生き様は、気高く、尊く、美しい。

家を持たず、車上で生活する高齢者の苛酷な日常を描いた映画かと思いきや、全然違った。私はむしろファーンの生き方に憧れを感じてしまう。

若い時、旅人になりた
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ミナリ(2020年製作の映画)

4.5

予備知識なしで鑑賞したが、冒頭で少年の顔がクロースアップで映された時、映像に何とも言えない温かさを感じ、きっと、この映画、好きだな」と思った。

韓国からアメリカに移住した家族の物語。一家はカリフォル
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ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)

4.0

テレンス・マリック監督らしき、詩的で、美しく、不思議な世界。

モノローグとして紡がれる言葉は、抽象的で、はっきりとはわからないのだけれど、心の奥底を覗かれたようで、きゅっと胸がしめつけられた。

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シチリアーノ 裏切りの美学(2019年製作の映画)

3.5

マフィア映画をあまり観ない私は、コーザ・ノストラという言葉も初めて知った。

正直に言えば、集中できず、名前も顔も覚えられず、何が起こっているのかわからなくなった。

それでも、虚実が入り交じる場面の
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ケス(1969年製作の映画)

5.0

50年も前の作品だが、古さを感じさせない。閉塞感を抱きながらも懸命に生きる人々を見つめるケン・ローチ監督の温かな眼差しは、当時も今も変わらないのだと知る。

炭鉱街に住む少年ビリーの周りにいる大人たち
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グランド・ジャーニー(2019年製作の映画)

4.0

雁が越冬する場所へ移動する際に安全な経路で飛べるように、小型軽量飛行機で雁と一緒に空を飛び北極圏からフランス南部まで旅をした人がいたことに驚いた。荒唐無稽に思えるが、実話だという。実際には、気象学者が>>続きを読む

グレース・オブ・ゴッド 告発の時(2018年製作の映画)

4.0

タイトルがあまりにも皮肉で痛烈だ。「神の恩寵により」。
この言葉が劇中で発せられる場面に衝撃を受けた。聖職者が自らの罪を悔い改めることなく、開き直るために、この言葉を用いる醜悪さに、身の毛がよだつ。
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

4.0

ちょっとノスタルジックな印象のオープニング・クレジットで、既に心が浮き立った。「これから違う世界に行くのだ」と胸が高鳴る。

旬な俳優たちによる、いかにもアレン監督らしいラブコメディ。

ピアノを弾き
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はちどり(2018年製作の映画)

5.0

世界最小の鳥はちどりは、1秒に80回も羽ばたきして、蜜を求めて長い時間飛び続けるそうだ。14歳のウニは、家族や友だちとの関係の中で、孤独や失望、怒りや哀しみ、様々な感情を抱きながら、葛藤している。そん>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

子どものころから大好きで繰り返し読ん
きた『若草物語』。何度も映画化されているそうだ。私も、キャサリン・ヘップバーンがジョーを演じたものを観たことがある。そんなよく知られた名作を、現在人気のある俳優た
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名もなき生涯(2019年製作の映画)

4.0

「自分の弱さを知った今、他人の弱さも理解できる」

ヒトラーへの忠誠を誓うことを拒否したがために処刑されたオーストリアの農夫フランツ・イェーガーシュテッターが、妻に宛てた手紙に記した言葉。命を賭してま
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デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.0

物欲が露なゾンビたち。ゾンビとなってまで執着するものは人それぞれ。コーヒーだったり、シャルドネだったり、wifiだったり。果たして私はソンビになったら、いったい何を求めてさまようのだろう。「映画、映画>>続きを読む

リンドグレーン(2018年製作の映画)

3.5

子どもの頃に大好きだった作家なので、大人になって、伝記を読んだ。10代でシングルマザーになり、当時は世間の偏見も強く、かなり大変だったということが印象に残っていた。

映画では、その当時のことが描かれ
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エセルとアーネスト ふたりの物語(2016年製作の映画)

3.5

いろんな方が言及されているが、イギリス版『この世界の片隅に』という感想に頷いた。

イギリスの労働者階級の暮らし。でも、うさぎ小屋に住む身としては、庭付き二階建ての広々とした住居が羨ましく感じる。
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