無難さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

無難

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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.3

門脇麦さんはレトロな設定が様になってるな。素晴らしい。
なんで今、この話が映画になるんだろう、ってのがあんまり響いてこなかった。時代じゃねぇ!ってことかもな、とは思うけど。
おそらく自分のテンションの
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成れの果て(2021年製作の映画)

4.0

ある事件の加害者が被害者の姉と婚約するという、とんでもないシチュエーションでスタートし、終始歯を食いしばって観るような苦しい映画だった。

自己中心的な人間しか出てこない地獄のような物語の中で、最も哀
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.2

自意識の苦味といえばそうなのかもしれないけど、共感しづらいノスタルジーの押しが厳しかった。原作もそこまでハマれなかったので、この作品の良さがわかってるかどうかは怪しいけれど、「なんか懐かしさありますね>>続きを読む

君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

3.7

タイトルが素晴らしすぎる原作が2005年のものであることを考えれば、懐かしさに似たテーマの陳腐さが同居するのは当然で、むしろ時代が変わっても普遍的な人間の内面の不安定さの物語だとポジティブに捉えようと>>続きを読む

ビルド・ア・ガール(2019年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

音楽ライターにチャレンジしたティーンエイジャーの挫折と再生。
背伸びはいつか無理が来る、その時はやり直し。バイタリティに溢れた主人公は見ていて爽快だった。
build a girl = “女を上げる”
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.9

IMAX特化映像が素晴らしかった。めっちゃ縦長。IMAX映像の時間長い。ノーランからヴィルヌーヴへIMAX代表が代わる作品かもしれない。あとはもう、長編ファンタジーの世界と若干音量過剰なハンス・ジマー>>続きを読む

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

3.5

平和でよろしい、とテアトル新宿で思ったのは今年2回目。
最小限の音楽で、じっくり聞かせる会話劇だった。本筋は主人公・陽が家族関係を乗り越えていく物語だけど、サブストーリーである陸の心的成長譚も良かった
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.9

音は振動であることが伝わる音響で、つまり映画館で観るべき映画だ。劇場ではバリアフリー字幕付きで上映されているから、聴覚障害が身近な方にもぜひ観てほしい(※この感想文は不快かもしれない)。
聴覚を失うと
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MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

4.1

映像作品としての完成度が凄まじく高くてかっこいい。ゲリラの少年兵の物語だけど、どこで誰を相手にした戦争なのか、少年たちはどこからきたのかといった背景の情報がまったくない。ないまま、強い絵と隙のない音に>>続きを読む

スターダスト(2020年製作の映画)

3.3

ボウイの曲の使用権がとれなかったのに作りきった勇気は評価したい。
"ボウイの"に固執してしまうと不足部分が目立ってしまうけど、ボウイに限らず、才能が世に出るまでの、才能を認めさせていく過程の話としては
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.8

飲酒大国デンマーク発、おもしろ設定で酒の良い面と悪い面を描いた作品。常にほろ酔い状態で生活したらめちゃくちゃポジティブになった、でも調子乗って酒量増やしたら人間関係壊したという単純な話だけど、そこに4>>続きを読む

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

3.9

映画や映画館が特別だとは言わない。数多ある、人が救われる可能性を持った場所の一つにすぎない。客の感情を動かし、思い出を作ることもできる場ではあるけれど、収益や雇用を考えなければ守れない。では、守る人の>>続きを読む

うみべの女の子(2021年製作の映画)

4.0

原作同様、心の不安定さやアンビバレンスへの目線が、温かくも冷たくもないちょうどいい温度で好き。そういう時期が、なくてもいいが、あってもいいのだ。経験したからって、必ずしも優しくなれるわけではないし、た>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

素晴らしかった。美しい立ち上がり、村上春樹作品の静謐な空気の具現化、劇中劇のチェーホフ「ワーニャ伯父さん」との共振…終始凄まじかった。喪失や再生や希望の一つの解に向かって、じっくりじっくり、生々しい説>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

4.0

ラップとミュージカルの相性が抜群。伝えたいこと、共有したいことがたくさんある人々による、会話の延長で始まるミュージカル。フォーマットに大きな可能性を感じつつ、人が自分の人生に込められる可能性の大きさも>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

4.8

心情描写の美しさだけで成立するような物語なのに、『万引き家族』のラストの供述シーンがずっと続いているような、切実さに溢れた映画だった。正しい人が損をする世界と対峙する、賢く気高い少年少女の物語であると>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.0

尊い偏愛の物語。偏愛が世界を作り、世界の豊かさが偏愛を生む。
ひと夏の青春、友情、恋愛、SF、色々詰まってるのにちゃんと映画作ってて、見応えある楽しい作品だった。キャラクターがいいやつばっかりで最高。
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.7

復讐を図るのも、やり直しを願うのも、ほとんどの場合幸せには繋がらない。でも、一般論ではなく、個人の生き様として、やらねばならないことはあるのだと思う。この手の物語は悲しく、虚しいけれど、何度でも繰り返>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

1.0

中村佳穂さんの歌唱が良かった以外のポジティブな感想はない。児童虐待に対して明らかに誤った解釈を提示している時点で、他の何が良くてもこの物語を否定すべきだと思う(本気で社会問題に言及したいのかどうかは関>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.9

フィジカル+飛び道具でシンプルに強いゴジラ、
道具使えるから強くなれるコング、
頭はいいけどクズなニンゲン、
三つ巴にすらならない怪獣バトル。
予告編のHIP-HOPも良かったけど、本編は(もちろん)
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

4.1

生きること、誰かと関わって仕事をすることの加害性。
物語の構造が緻密に作られていて、視点と立場の揺れがある構成に引き込まれる。容赦ないストーリーを成立させられるテクニカルな作りが素晴らしかった。

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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

3.6

狂った生い立ちのストップモーション映画があると聞いて。この映画を観るときに”ほぼ一人で作った”バイアスは無視できず、面白いより”よくできている”が先に来てしまうけど、全貌の見えない世界観、キャラクター>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.8

配信オンリーのライブと有観客ライブの映像は別物だよな〜と思っている今日この頃、”ショー”の映画を観た。観客はいるが、ステージ上含めあらゆる角度からマーチングバンドとダンサーを映す映像はエッジが効いてて>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.8

ルールというルールに裏切られているあなたは、もっと怒っていい。理不尽や苦労を引き取らなくていい。誰かを生かすためだけに生きなくていい。それがあなたの生きる理由になっていたとしても。

神も仏もないよう
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ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.7

男女入れ替わり x スラッシャーの笑えるホラー。
“殺人鬼になってしまった女子高生”を純粋に楽しめる。
ホラーとしてはハイクオリティベタをやりつつ、青春学園ものと呼んで差し支えないレベルのストーリー。
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.7

いつだって今が最高だ、と思いたいけど、大切にしたい昔もあるじゃん?っていう素敵な話。
予告にもある「あの頃、めっちゃおもろかったな」のシーン、余裕で泣いた。

随所に入るモノローグはあくまで劔さん視点
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.4

綺麗な花を集めても、いつかは順番に枯れていく。
そのとき、満開の時の記憶を、振り払えるだろうか。新しい花を、足せるだろうか。
「こうあり続けてほしい」も、「変わってほしい」も、難しい。
“花束みたいな
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エイブのキッチンストーリー(2019年製作の映画)

3.3

血だの国だの、子供にはどうしようもないことで争う大人に巻き込まれる主人公が、料理という手段で解決を図る話。
フュージョンはコンフュージョンではない。ただ混ぜることと、調和させることは違う。
料理の話で
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魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)

3.7

おジャ魔女ファン3人を主人公とする、ありそうでなかった形の作品。
「勇気や感動を与える」ほど傲慢な言葉はないと思うから、"受け取った"ファンを描くのもナンセンスでリスキーだと思っていた。実際危なっかし
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

3.6

ラベリングも、カテゴライズも、「普通」も、思考放棄でしかない。
知らないところで、枠と、基準ができていて、
勝手に当てはめられたり、評価されたりする。

霜降り明星の漫才に「しょうもない人生!」ってい
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