称賛されるべき強度を確かに持った作品であるが、その称賛の際には無論、内包されている「原爆の開発」という覆し得ない愚行をいかに解釈し、否定していくかが前提となり、争点ともなる。
劇中多くのプロット>>続きを読む
物語として、ロードムービーとして、とても適切な主人公の『成長』が描かれているのだけど、この主人公ではここまで大きな『成長』を描いて欲しくなかったなと感じている。
弱者側が「変わらざるを得ない」窮>>続きを読む
基礎知識を多分に必要とするタイプの作品はこれくらい潔い方が良い。
『シン・ゴジラ』の様にメインキャラを何らかのメタファーに変換する事が出来るならまた話は変わるけど、仮面ライダーにそれを(どの層にも分>>続きを読む
※Filmarks試写会にて
3.11をどう扱い、どうジョークとの緩急をつけ、そしてコロナ禍以後の世界とどう折り合いをつけて構成していくか。
それらの判断には誠実さを感じる。
一方で、差別的表>>続きを読む
映画を撮り続ける人生へ至る物語を、文字通りカメラ越しからの視座で描く事によって、撮る側のフェイブルマン(=スピルバーグ)本人以上に、撮られる側へフォーカスが当たっていく。
その中心にあるのが家族なの>>続きを読む
今抱えている許せない事、許せない人。
それらの問題と向き合うための時間すらも多次元を介して飛び越えてしまう様な物語が訴求する、絶対的な『愛』。
マルチバースなんてほぼ間違いなく無いであろう世界線を生>>続きを読む
途中までは『成長痛』の物語という印象で、サイレントからトーキーに移行した当時のハリウッドでの激動を、現代のあらゆる価値観をアップデートする過程にある葛藤への暗喩として重ね、時代を問わない普遍的な視点と>>続きを読む
東京国際映画祭 ワールドプレミアにて
勇気を出す事が大切だと説くメッセージ性は、物語を選ぶと個人的には思っている。
たとえばラブストーリーやサクセスストーリーといった、平凡な主人公が何かを獲得>>続きを読む
Filmarks試写会にて鑑賞
中盤以降で構成的には間伸びしている部分があるものの、3人の関係性を魅力的に見せる設計が堅実に行われているのもあって、「こんなにのんびりとやる必要あるのか?」と>>続きを読む
一つの事件をその当事者を交え、現実と虚構を横断して描く行為は、常にただの『再現』となるリスクを孕む。
本作はその懸念要素を、出来事の本質的要素以外の道筋を創作で埋める事によってクリアしている様に見受>>続きを読む
あくまで主観として語るけど。
これまでの監督作も踏まえて、吉田恵輔監督は自身の持つ他者への「偏見」の様なものをあえて作品内に露呈させている、そんな感覚が良くも悪くもあって。
今作は特に、そんな「偏見」>>続きを読む
お互いのプライバシーを少しずつ開示していく事で見せる、人と人の琴線の触れ合いと、和解と、許し。
そんな歩み寄りの数々が、是枝裕和監督らしい日常の仕草や営みと共に捉えられ、そっと映し出される度に、少し>>続きを読む
111分を用いて説かれる『恋の定義』には学術的根拠がある訳でもないのに、まるで私たちの持つ疑問への答え合わせの様に頷けてしまうのは、論理的でなくても、文脈として成立していなくても、『恋』について同じ感>>続きを読む
人は見たい様に相手を見るし、ほんとはこちらが我慢「させている」人に対して平気で「我慢しないで」とか優しさのつもりで言っちゃう、思っちゃう。
その最低さに気づかせ咎める様な演出と構成が、秀逸な居心地の>>続きを読む
ちょうど今日朝ドラの『ちむどんどん』を見ているとき、子供たちの行動に「微笑ましさ」を感じている自分がいて、ハッとしていた。
それは「大人」というフィルターを通しているからこその目線、感情であって、ど>>続きを読む
あらゆる他者をリスペクトする事の大切さだけでなく、その難しさをリチャードの使命感、劣等感、善悪両面に重ねる事で「フェア」に描く。
王道的サクセスストーリーとしての見応えも然る事ながら、ストーリーの横>>続きを読む
当たり前にあると気づかない営みの機微にある幸せを、
危険とスレスレの場所で描く事で尊べる様に描いているけれど、
やっぱりこういう幸せは当たり前であるべきだよなと思うし、
今を生きる中で出来るのは>>続きを読む
真に信頼のおける人間は「肩を持つ」のではなく「間に立つ」のである。
※Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
このタイトルに、このポスタービジュアルに、この社会的背景で、こんなにも鮮やかなラストを迎えるとは。
反骨精神を社会批評へダイレクトに昇華した渾身>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
途中まではドゥニ・ヴィルヌーヴの『メッセージ』を思い出す様な対話への主張性を見出していくが、ラストでそれを放棄することによってもう一段上の批評性を得る。
でも、その結論で良いのかどうかは正直疑問があ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
変わることのない「軌道」から導く幸福論
小惑星マチルダの軌道が地球から逸れないと確定するOPは絶望であると同時に、人類に共通する時間の平等さを再提示する。
その中で本作は、3パターンの人類の行>>続きを読む
※Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
たった2時間、それも決して多くの人に当てはまる家庭状況ではない中の生活模様を断片的に見ただけなのに、人生はこんなにも上手くいかず、残された幸福はい>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「現在と過去の反復が進むべき方向を指し示す」
本作では、スンミンとソヨンの距離感が現在と過去で対照的となる様に構成されている。
酒に呑まれ現状を嘆くソヨンを現在で描けば、住みたい家の展望を>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「娯楽性を主張性へと変換する脚本の制球力」
本作ではタクシー運転手と殺し屋の関係を一から構築する為に相応の設定が施される。
だが実は、その設定は全て後に取り払われる事を前提として存在する。 >>続きを読む
※Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
依存から脱却させるために自立という愛を与える話でした。
少々手垢の付いていそうな設定ながら、それを上回る構成力とバランスで斬新さを打ち出せている>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
『この世は生きるに値する』と言ったのは『風立ちぬ』の頃の宮崎駿監督か。
本作はライアンとマットの二人を通じ「魂の解放」を描く。
宇宙空間での孤立による地上の辛い過去からの解放。
地上への帰還>>続きを読む
「誰かが生きる事への眼差しと、その反響」
複数の人物と背景が交錯すると、観客の物語への期待は「誰が誰の為にどんな行動を取るか」に寄せられる。
無論、本作はそんな期待に応える作用を幾つも持つが、>>続きを読む
※Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
チェン・ニェンとシャオベイの関係の進展に比例して凄惨さを増す『いじめ』の描写によって、先ず観客に「いじめを許せない」気持ちを抱かせる。
そこまでは『い>>続きを読む
※Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
183分の長さを感じさせない波瀾万丈。
そこへナレーションによって独特に俯瞰する視点を付随させることで、強い社会批評性のある物語が寓話的にも映る。>>続きを読む
登場人物みんなが「大人」になった瞬間を一つずつ覗いていく内、どうしてか涙が溢れてしょうがなかった。
何でこんなに泣いてるのか分からなかった。
当然だった。
自分が「大人」になった瞬間の一つ一つを>>続きを読む
学生映画や自主映画に対してはどうしても、
「どれだけやれている?」
的なつまらない物の見方をしてしまい、商業映画との間に見えないラインを無意識に引いてしまう瞬間がある。
「アマチュア」の烙印なん>>続きを読む
「鬼畜どもが『大』が付くほどの宴会をする映画なんでしょ? 怖いわ〜、楽しみやわ〜」と、ものすごい乱痴気騒ぎな作品を想定して観始めた。
実際その通りの内容だったのだけど、同時に想定を遥かに超える丁寧な>>続きを読む
この映画を、この映画の主人公である青自身が観たら、きっと僕らと同じように笑っていて、自分や、自分に関わる人たちのことを愛しく感じるのかもしれない
青に降りかかる色んな出来事を見て笑顔になる度、僕らが>>続きを読む
自分は子供の頃から今に至るまでずっと『変わってる』と言われることに何処か喜びや価値を感じて生きて来たから、『普通』に収まる為の苦労とか、不満とか、葛藤はそれ程持ったことがないし、収まりたいとも思わない>>続きを読む
新しい愛の描き方を発明したかのような、人生の円環を映し出した脚本に脱帽。
『いつか』という言葉を観る側も信じたくなるように、主人公の今後を示唆する些細な伏線を敢えて回収せずに残して、今後の円環の巡り>>続きを読む