とにかくわかりやすさに振り切った映画。
極度に説明的な部分が親切だと感じる人もいれば、馬鹿にすんなと感じる人もいると思う。
「貴方を抱けなかったけど、温もりは感じる。
話は出来なかったけど、声は聴こえる。
一度も逢えなかったけど、ずっと愛してる。」
子供に大人がついハッとする(世の中の真理のような)発言をさせる、あのTwitterのわざとらしい感じが個人的にはハマらなかったです。
今泉力哉作品にしては珍しく、登場人物に成長が見られます。
ホラーとしてもコメディとしても面白い。
数多くのオマージュやメタファーが散りばめられていて、これからもたくさん映画を観て勉強し続けたら、もっと発見があるように感じられる映画でした。
「古代アラブの格言『目の前にある心臓を追え』」
「理解できない。」
「考えて。情熱に従えってことよ。目の前にある情熱を掴むの。」
「自由ってそういうこと?
確かに……偽物かもね、お金なんて。
ただの紙だもん。
でも だから、お金じゃ自由にはなれない。」
「ドリス、なぜ人は芸術に惹かれると思う?」
「……商売になるから?」
「違う……地上に残せる唯一の足跡だから。」
人間は「分からない」が不安で怖いから、何かと決めつけて安心したい生き物ですが、敢えてその不安を不安のままにして生きていけると大人かなと思います。
あと、環境選びは大事です(自戒を込めて)。
いじめ、ネグレクト、腹違い、ステージⅣ…とか人がつい悲しくなりそうな要素を詰め込んでしゃぶしゃぶした感じの映画。
オダギリジョーが良い出汁になってる。
これほんましんどいんよな。
「アフリカの飢えて死にそうな人の前に“ピカソ”と“おにぎり”を置いてごらん。誰だって“おにぎり”を取るだろ」
ここのパンチラインは今でも覚えてる。
実はあなた自身が「(映画の面白みが)見えない目撃者」なんだぞっていうことなら、とてもよくできた映画だと思いました。