ひとさんの映画レビュー・感想・評価

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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.6

OCD患者とOCDを生み出す罪悪感との関連性を見事に母子関係に落とし込んだなっていうイメージ
テーマも撮り方も最高に面白いからもうちょっと簡潔にしてほしかった
3時間は長いしなんかダラダラ蛇足的だと感
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すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.5

白人の高齢男性が自分の人生を安楽死という形で幕引きする話。
題材にしてはあまりメランコリックにならないように作られていて、尊厳死を扱う作品って当事者の決断を周囲がいかに変えようと尽力したり、涙を誘うも
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世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

途中から尊厳死をやめさせることが物語の主軸になっていく様子がなんとも滑稽だったかも
尊厳死をやめさせることが自分への愛の証明だと思っているのか、若干怖め。
一緒に生きていきたいと思う女性がいて、相思相
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無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

台湾映画っていうのは完成度が異常
この異常なまでの完成度の高さが時に映画的な余白を失わせるときもあるかなぁと思う、ほどには撮り方も脚本も完璧な作品だった

冒頭の老人への暴行疑惑で警察に捕まえられる聾
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ドキュメント サニーデイ・サービス(2023年製作の映画)

3.2

サニーデイサービスは大好きなバンドの一つではあるけど、ドキュメンタリーの精度としては若干弱い気がした。
こういうドキュメンタリーでコロナを取り上げるならもう少し曽我部さんとかメンバーの考えや指針を知り
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

本当に素晴らしい エドワード・ヤンは最高です
レストア版ということでみてきた
映像はかなりきれいになってるけど、でもなんか表面のざらついた感じは残ってて素敵だった。

若い男女の数日間の会話劇にも関わ
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

母を火事で亡くした少年、眞人を軸にしたスペクタクル。
死者と生者、現実と非現実がないまぜになってるから分かりにくいだけで、テーマ性はむしろ掴み取りやすいかな?

思春期前期の少年がいかにコンフューズな
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.5

映画史的価値や物語の文脈的理解をおいての評価をすると、このくらいかなぁ
徹底的バストショットですべて表情で物語る。希望も驚きも絶望も、表情だけで伝わるようにあえて言葉を発しないようにしてるのか
ジャン
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仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.0

風俗に通ってるのに特定の嬢を指名しない中年男。その理由は「執着しないため」。
執着しないのは、堅物で不器用な自分は、誰かを大切にしていてもいつか必ず失うと肌で分かっているからなんだよなぁ

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

関係性や痛みや苦しみが語られるでもなく、そこにあるものとして映し出される映像の残酷さ

父が頑なに映像に残さなかったものの中に、11歳の少女が問うた、31歳の父の将来の夢のインタビューがある。
カメラ
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

さすがパク・チャヌク
完全にヒッチコックのめまい、裏窓!
奇妙なカメラワーク、見てるだけで面白い、楽しい!
序盤の取調で寿司弁当を二人で片付けるシーンが好きすぎる
示し合わせたわけではないのに息が合う
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.2

ドニ・ラヴァン似の少女、大沢一菜さん
とても綺麗な人で精悍な顔つきです
あみ子のことを理解するときにいろんな医学的診断の枠組みで定義することはできるけど、もう一歩踏み込んで
彼女とどう関わるか、彼女に
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしいよね〜もう何度か見返してるくらい好き

ルーニー・マーラの過食シーンはあんなに見てて辛いものはない。でもゴーストはそれを見ているしかない。
この世にはゴーストじゃなくても見ていることしかでき
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.8

MeToo運動の発端となったハーヴェイ・ワインスタインへの告発記事
それを作った記者たちと告発した女性たちのドキュメンタリー風の映画。
次々と展開する内容とキャリー・マリガンとゾーイ・カザンが奔走する
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ファーストラヴ(2021年製作の映画)

2.5

本作は日本で初めての心理系国家資格となった北川景子演じる公認心理師が、心理師視点のアプローチで事件を紐解いていくスタイルで描かれる、のだけれども…。

彼女の犯行動機を深掘りするという視点は心理士を題
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スーパーノヴァ(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

高齢ゲイカップルがどう死ぬかを問うストーリー。
認知症により自分の統制が効かないことや、愛する人や愛すること自体を忘れてしまう恐ろしさは筆舌に尽くしがたいよね

死ぬ準備をしていたことがバレて喧嘩にな
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岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.2

足の悪い兄が知的障害が自閉症の妹に売春をさせて生きながらえていく話。
閉塞した街の風土、港町に住む保守的な人々の態度。情報にアクセスできない、社会福祉制度の教養すらない人たちがいるっていうのは、スマホ
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

大好きな映画のひとつ。
中年女性の恋愛模様や異国というこれまで題材に挙げられにくかったマイノリティ性を内包しながらゆっくり物語は進行していく。

映画全体は105分ほどなのに二人が同じ画角に入っている
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his(2020年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

社会に迎合されない、ゲイカップルが子どもを育てにくい社会構造への批判を、他人を使って満たしたグロさに裁判終盤になるまで気づかない男の愚かさがどうも受け付けない

この話ってセクシュアリティを抜きにした
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セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ハネケ監督デビュー作
デビューでこの作品が撮れるなんて本当に鬼才という言葉がぴったり。
素晴らしいです

奇妙で気持ち悪いカメラアングル。カメラという眼を通して見たいものが見えないことがこんなに人を不
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.2

愛憎とはこのことかと思う
カップルの日常のあらゆる場面をそのままに切り取りながら、恋愛の美しいところと醜いところ、両方ともよく見える。
二人の出会いは運命的で鮮烈なのに別れはありふれている。そこも対比
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.0

こういう緩い空気感の映画最高だよね
どこにでもあるような気はするのにどこまでも奇跡の連続のような気もする。不思議
幸せってすべてが円満に行くことではなくて、誤解や傷つきを経て自由な自分で愛し愛されるこ
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.2

こどもの空想って大人の枠組みを凌駕するものがあって本当に計り知れない。
彼女の境遇や母子関係などからこのファンタジーを読み解くことはできるかもしれないけど、とりあえずは彼女の内的世界にどっぷり浸かって
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

本作もさすが!
精巧で練り込まれた脚本により徐々に浮かび上がる社会問題。
監督作品は毎回一本の小説を読んだあとのようなずしっとした重みがある。

一つのミスなのにだんだんと取り返しがつかなくなる主人公
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.0

うーーーん!!
もっと好きかと思ったけど意外に好きになりきれなかった映画って印象。
時間逆行的に遡って回想することで、「あんな日々を過ごしてきたのに…」と感傷に浸ることのできるところがこの映画のエモさ
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.6

監督作品はすべて良いんだけどこれもやっぱり素晴らしい
監督の映画を見ると死ぬことも老いることも、それは自然に取り込まれることだと教えてくれるから怖くなくなる。わたしにとってのセラピー映画監督

計算さ
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リトル・ガール(2020年製作の映画)

4.0

DSMの改訂により性同一性障害から性別違和に変更され、性別違和を精神疾患に起因する障害ではなく、本来持って生まれた生物学的な性への違和を抱える当事者として認識されるようになったのもまだまだ最近。
LG
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.0

これちょっと爆笑しながらみた
殺人犯の落ち着きや計画性のなさがADHDすぎて親近感湧く。
犯人の行動をみて「あ〜私もこういうときあるなぁ」って反省しながら笑ってる。
これみるとドアの開けっぱなしとかや
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ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

スタンリーキューブリックが「最も恐ろしい映画」と評した本作(らしい)。
たしかにキューブリックのフルメタル・ジャケットとか、時計じかけのオレンジに通じるところある

本当に恐ろしい人って方程式がない人
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

すごく素敵です。
群像劇だけど、ティーンにありがちなフワッとして地に足がついていないような感覚がどの登場人物にもあるところがいい。
無責任で奔放で傷つきやすくて痛々しい様子が、過去の自分のようでもあり
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

これぞ映画!!
言葉で語れないことを映像が語る。こういう体験を求めてわたしは映画を見ているのだと再認識させられた。

言葉はわかりやすいけど時として説明されすぎちゃうなぁとしみじみ
服装や歩き方、食べ
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ガタカ(1997年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

イーサン・ホークがデータ上では粗暴・衝動的とあったことからわたしも「本当に事件を起こしたのでは?」と思ってきたけど、結局は事件を起こしてはおらず、わたしも人をデータで判断してたことを思い知らされる。>>続きを読む

ピアニスト(2001年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ハネケ作品の中で一番好きかなぁ
エリカの不器用さを想って苦しくて見るたび思わず泣いてしまう。

過干渉な母親に自由な振る舞いや女性性を否定されてきたエリカの性欲の発露はとても歪なもの。
彼女の過度なマ
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前科者(2022年製作の映画)

2.0

有村架純演じる阿川の枠を超えた献身に危うさを感じてしまいなんか、、、うーーん
彼女の支援の仕方には限界があるし、共依存的な関係に落とし込んでいくリスクを考えてないから彼女の言葉が薄っぺらく感じてしまっ
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ガールフッド(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

セリーヌ・シアマ監督作品。
今作も素晴らしかったけど、フランス郊外における黒人女性の立場とか社会文化風土の理解不足のせいで、理解しきれないところが多かったかも。

映像は徹底的な青。青の背景、青の服。
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オアシス(2002年製作の映画)

4.2

めちゃめちゃ嫌いなのにめちゃめちゃ尾を引く作品。
レイプされかけたのにその相手に惹かれる彼女の心を、同じ女性として分かりたくないし否定して生きていきたいのにとてもよく共感してしまう。
奪われることより
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