Binchoisさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

Binchois

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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

5.0

勝手に勘違いしていたが、これは戦争映画ではない。説教臭さなど微塵もない。あくまでも、ひとりの天真爛漫な女の子の生活を描くに徹している。戦争のない日々が「平和」ではないことくらい我々は知っている。うまく>>続きを読む

ピンクとグレー(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

メタフィクションのメタフィクション。演劇でよく使われる入れ子構造は面白いのだが、映画だとインパクトが薄れるのは仕方ない。
2つのラストシーンが設けられており、そのどちらも安っぽくて、「しょうもない」。
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君の名は。(2016年製作の映画)

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東宝の入れ知恵があったのか、新海色はだいぶ薄まっていた。相変わらずセカイ系ではあるけれども、完全に二人の間で完結しているわけではないから、気持ち悪さは感じずに済んだ。女の子の描き方は本当に童貞臭いけど>>続きを読む

二重生活(2016年製作の映画)

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とかく尾行と哲学を結びつけたがる、その意図がわからない。文句は原作とソフィ・カルに言うべきなのだろうが。
実存の欠落を埋め合わせるため、尾行によって他者を一方的に取り込む。ここまでは理屈としてわからな
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SCOOP!(2016年製作の映画)

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前半は、撮る側と撮られる側との手に汗握る攻防が繰り広げられる。
パパラッチの羽振りがよくなるにつれて、ジャーナリズムに立ち帰れと諭される。
それはごもっともなのだが、後半からは映画のテンポがガタ落ちし
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人生スイッチ(2014年製作の映画)

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清々しいほどブラック!
それほどドラマティックではない「スイッチ」によって簡単に転げ落ちていくから、寓話で片付けられないリアリティがある。
これだから人生は面白いのだ!(端から見ている分には)
惜し
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ノック・ノック(2015年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

素性の知れない人とセックスしてはいけません、という戒めはよーく響いた。
それ以上でもそれ以下でもない。

(でもいきなり美女にダブルフェラされて抗える男がいったいどれほどいるのだろう、とも考えてしまう
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

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「陽気なディストピア」とでもいおうか。
ありそうでなさそうな、過去とも未来ともつかぬ不思議な時空間で展開されるおとぎ話。多言語が入り乱れる世界は(観ている分には)心地よい。
不条理に満ちた円都(イェン
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凍える牙(2012年製作の映画)

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話の中身に比して展開がのろい。特殊能力をもつとはいえ、犬一匹に進行を任せては退屈になる。
お涙頂戴的なBGMの多用にもげんなり。
せっかくのソン・ガンホも、ダンディーともダーティーともつかぬ中途半端な
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PK(2014年製作の映画)

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神の不在に向き合いつつもシリアスにならず、むしろ全然コミカルで大いに笑わせ泣かせられる。
宗教の「ズレ」が原因で悲惨な事件が多発しているが、その「ズレ」は健全な笑いにすることもできる。
何を信じるか信
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山河ノスタルジア(2015年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンで涙が止まらなくなった。
あのチャオ・タオおばあさんの表情が、あまりに切ない。過ぎし青春の日々を愛おしんでいるのか、離別の悲しみを堪えているのか、どちらともとれる。
そんな場面なのに、底抜
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ソドムの市(1975年製作の映画)

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残酷で過激な描写が悪いといいたいわけではない。
その行為に至る前提がない(もしくはきわめて不透明)なエログロ作品は、観ていて本当にイライラするのだ。
パゾリーニ監督の中では「前提」があったのだろう。そ
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

5.0

劇薬注意。
「消費社会の奴隷」や「惰性の生」といった、自明だけど受け入れがたい事実を、容赦なく再確認させられる。
その打開策として「自己への暴力」が劇中で何度も繰り返されるが、これとて我々が容易く受け
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サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-(2010年製作の映画)

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映像の技法としては新鮮に映ったが、さすがに108分も続けられると飽きる。
躍動感をつけるためか、喋る途中で口元のアップが何度も入るが、たまらなくウザイ。
CGを多用した映画の刺激に馴れているので、夢の
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言の葉の庭(2013年製作の映画)

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大江千里(秦基博歌唱)の「Rain」が、映像美を引き立てている。終わらせ方は強引だが、曲と映像のベストマッチでまあ目を瞑れる。
水滴の描き方が露骨すぎる。ここまで誇張すると比喩としては機能しない。
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

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「One more time, One more chance」のMVをつくりたかっただけなのでは?と疑ってしまうほど、中身がスカスカ。
曲に合わせて回想シーンの断片が詰め込まれるラストは、ゴリ押しと
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雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)

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世界の運命が「僕ら」の物語に矮小化されるところに、ご都合主義を感じる。いわゆる「セカイ系」とよばれるヤツか。
映像はきれいだが、美しいというよりもこざっぱりした画で、さして面白みはない。
人物の語りの
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若葉のころ(2015年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

日本では毎週のように「青春映画」なるジャンルの作品が公開されているが、その多くが「性」のテーマを避けている。
挟むとしても、当たり障りのない下ネタでお茶を濁す程度。
商業的・映倫的には仕方ないのだろう
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愛情の決算(1956年製作の映画)

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なぜだろう、原節子の顔が大映しになるたびに、目頭が熱くなる。
たった数秒のカットのあいだに見せる表情が、あまりに多くを訴えかける。
解釈の暇もなく、感情を揺さぶられた。
鳥籠の隠喩は、ベタだけど素敵。
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花様年華(2000年製作の映画)

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時間経過を表す暗転が多すぎる。
スローモーションの詩的なシーンは美しいのだが、挟むタイミングが下手で幻滅。
いちばん気に入ったのは、ふたりが向かい合って厚切りのステーキを食べるシーンだ。下手な濡れ場よ
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スプリガン(1998年製作の映画)

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「AKIRA」の印象があまりに強烈で、あわせて観たこちらはどうしても見劣りしてしまった。
不毛のアララト山という舞台が地味すぎるし、方舟の中は真っ白か真っ黒で、単純に画が面白くない。
確かに人類は愚か
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

5.0

緻密な作画もさることながら、芸能山城組の音楽が素晴らしい。近未来的なイメージを想起させつつも、我々の根底に眠っている古代に訴えかけるような音楽だ。
その効果ゆえか、凄惨な破壊が、清麗な回帰として映って
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ハイ・ライズ(2015年製作の映画)

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ブルジョワによるブルジョワのための世界が崩壊する様は爽快だ。
しかし、崩壊後の創造が、カタルシスが全然ない。
誰もが壊れてるなりに坦々と現状を受け入れ、それなりに適応してやがる。
静謐と狂気がうまく溶
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