NIELSEN堀内さんの映画レビュー・感想・評価

NIELSEN堀内

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砂の器(1974年製作の映画)

3.5

松本清張の代表作であり、此の映画は更に今作を特別なポジションに押し上げた名作でもあると感じました。原作は未読ですが、ミステリー要素以上に壮絶な人間ドラマを後半の演奏シーンに凝縮したのがとても素晴らしい>>続きを読む

若者のすべて(1960年製作の映画)

3.3

ルキノ・ヴィスコンティ監督作品は貴族社会や富豪の世界を描く内容が多いのですが、今作はイタリアの労働者階級の家族の模様。南部と北部の格差も漂わせて善と悪、栄光と堕落を家族中心に対比させて行く。

過去に
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

2.8

ポール・ヴァーホーベン監督の力作。内容的には17世紀のイタリアの実在した修道女ベネデッタのお話を下敷きにした作品ですが、主演のベネデッタやバルトロメア役の俳優さんの脱ぎっぷりが凄いと言う印象。ペストが>>続きを読む

放蕩娘(1981年製作の映画)

2.3

ジャック・ドワイヨン監督。主演のジェーン・バーキンの大人なのに脆い少女性とアンニュイな儚さのある囁き声、ミシェル・ピコリの落ち着いた確かな演技など倒錯した親娘の関係を独特なムードで表現した作品。繊細な>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

あくまでも原爆の映画では無く、原爆と言う恐ろしい兵器を生み出した人間の半生。容赦無く底から地響きが轟き、不気味なイメージの映像をフラッシュバックさせるクリストファー・ノーラン監督の演出と手腕。ラストに>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ドゥニ・ヴェルヌーヴ監督のデューンの世界は細部まで一貫した美学が貫かれて震撼する。地の這う様な重低音のハンス・ジマーの楽曲。死体から水を抜くシーンやベネ・ゲセリットの面々が好き。砂虫は前作みたいな神聖>>続きを読む

裸のランチ 4Kレストア版(1991年製作の映画)

4.0

ウィリアム・バロウズ原作の小説を独自の視点で映画化したデヴィッド・クローネンバーグ監督作品。ウィリアム・テルごっこで妻を射殺したバロウズの逸話を盛り込んだり、カフカ的な幻覚や虫(主にG)の要素がグロテ>>続きを読む

ナチュラル・ボーン・キラーズ ディレクターズカット版(1994年製作の映画)

2.5

個人的に惹かれる部分が無かったのですが、若かりし頃のウディ・ハレルソンがかなり尖って居て其処は面白かったです。原案がクエンティン・タランティーノで監督はオリバー・ストーンと言う布陣で期待して観たのです>>続きを読む

ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(1975年製作の映画)

2.7

セルジュ・ゲンズブール とジェーン・バーキンのデュエット曲『Je t'aime moi non plus』をずっと聴いていて此の映画は未見でした。
当時物議を醸す問題作でしたが内容は今観てもかなりセン
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ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K 完全無修正版(1975年製作の映画)

2.8

セルジュ・ゲンズブール とジェーン・バーキンのデュエット曲『Je t'aime moi non plus』をずっと聴いていて此の映画は未見でした。
当時物議を醸す問題作でしたが内容は今観てもかなりセン
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.0

ジャズプレイヤーの上原ひろみさんが好きなので興味本位で視聴しました。ストーリーは一流JAZZプレイヤーになる為に夢に向かって頑張って行く三人のキャラクターを描いた王道な作品。勿論三人皆んなが世界を目指>>続きを読む

北斗の拳(1995年製作の映画)

2.2

色々と突っ込み所満載ですが、吹替版は声優陣がほぼオリジナルキャストな為上手く補整が掛かり、パロディ作品の様な印象。神谷明さんの声はやはり神!設定はかなり無理がある部分が多いのですが、当時の映画としては>>続きを読む

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)

2.5

彼を一躍有名にしたヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』はとても好きな作品ですが、ビョルンの美しさには翳りがあり、其れが此の作品をより独特な雰囲気にさせて居るのが分かりました。ヴィスコンティは監督として>>続きを読む

しあわせな孤独(2002年製作の映画)

2.6

以前、マッツ・ミケルセンが主演しているのを知らずにタイトルに惹かれて少し観たら何だかモヤモヤして途中で止めてしまった事がある作品。改めて再見しました。

交通事故の被害者と婚約者、加害者とその夫と家族
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ルキノ・ヴィスコンティの世界(2008年製作の映画)

3.5

ルキノ・ヴィスコンティ監督のドキュメンタリー映画ですが、どちらかというと作品についてのエピソードや作家トーマス・マンとの逸話、出演者から見たヴィスコンティという視点。彼のプライベートな一面は余り触れて>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

ヨルゴス・ランティモス監督には常に独自のクリエイションを見せつけられる。ヴィクトリア朝時代を下敷きにしながら異素材の生地や色彩豊かな衣裳はホリー・ワディントンの手腕。パリの医学部の制服ではスカートを履>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.3

前半のネオ・ジャパンシーンは一見の価値あり。今や世界の“真田広之”と盲目の役柄が板についたドニー・イェンの対決!アキラ役のリナ・サワヤマやそのスタントダブルの伊澤彩織の起用。でお腹いっぱいになりキアヌ>>続きを読む

ゴーストライダー(2007年製作の映画)

2.3

ニコケイ特集にて視聴。

ヴィジュアルは予告で良く観ていましたが作品を最後まで観たのは初めて。肉体改造したシックスパッドのニコラス・ケイジの姿に戦慄しましたが、アクションは地味。微妙に古い所為かCGと
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ココ・シャネル 時代と闘った女(2019年製作の映画)

2.5

CHANELのブランドとしてのお仕事は素晴らしいと思うし、リスペクトしてはいるけれどもガブリエル・シャネルのプライベートな面は特に興味はないかも知れません。若い頃の映画や書籍で壮絶な人生だと知る機会は>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.0

かなりエンタメ要素高めのエクソシスト映画。実際のアモルト神父の著書をかなり脚色しているであろう娯楽さと、主演のラッセル・クロウの配役がとても良い塩梅になり悪魔祓い作品の入り口として最適。気になる所はヴ>>続きを読む

ロミオとジュリエット(1968年製作の映画)

3.0

ニーノ・ロータ作曲の『愛のテーマ』をあるお店で聞き、其れから此の映画を知りました。未だにサウンドトラックを愛聴して居ります。

ジュリエット役のオリヴィア・ハッセーがキュートですし、古典映画としても良
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晩春 4Kデジタル修復版(1949年製作の映画)

3.4

小津安二郎監督のお馴染みのキャスト陣。父親を思い婚期を逃して居る一人娘を嫁に送り出すと言うストーリー。相変わらず画面構成や独自のカメラショットは健在。

原節子さんは小津安二郎作品で好きになった女優さ
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0

冒頭からギア全開(雰囲気は淡々としてますが)のクローネンバーグ節が炸裂した近未来変態作品。体内に新しい臓器を生み出す主人公がパートナーと共に内臓を摘出するアートパフォーマンスをすると言う設定。眠るベッ>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

マイケル・ファスベンダー演じる殺し屋が彼の独白とは裏腹に完璧さを一寸崩す時が面白く感じました。デヴィッド・フィンチャー監督のスタイリッシュさと画作りの美学は大変に好み。音楽にザ・スミスを使用して居るの>>続きを読む

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)

3.4

まるで海底で潜水服を着て身動きが取れない状態。OPやED、途中挟み込まれる映像が美しく、患者視点のカメラワークの斬新さにはっとさせられる映画。名曲『La Mer』の旋律が切ない様な、でも絶望的なイメー>>続きを読む

山猫は眠らない2 狙撃手の掟(2002年製作の映画)

2.5

前作が良かっただけに、少々評価低めに。

舞台が違うので「山猫は眠らない」と言うタイトルは合わない様な気がします。あと爆発シーンがかなり激しかったです。炎上半端無い。

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

2.9

大分前に観て居るけどレビューして無かったので今更。

vol.1のテンポ感に慣れて居ると、よりじっくりと会話してキャラクターのマインドの深掘りが出来て居る作品。個人的には1の方がキル・ビルのパブリック
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.4

実はまともに観ている数少ないアニメの一つです。

テレビ一期、映画版0、二期の順で鑑賞しました。作画の丁寧な美しさと回転しながらの派手なアクションシーン。元来キャラクターには嵌まらない私ですが魅力的な
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ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇(2018年製作の映画)

3.7

『ファッション・フリーク・ショー』を既に観に行っていたので、すんなりと入り易かったです。私は此のドキュメンタリー映画を劇場では観て居らず、別の媒体で鑑賞出来ました。

ゴルチエ自身の表現したかった事を
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CURE キュア(1997年製作の映画)

4.0

黒沢清監督の傑作ではないでしょうか?サイコサスペンスとして独特の空気感が漂う作品。じわじわと侵食して行く静かな狂気。次第に明らかとなる役所広司演じる主人公の内面と、掴みどころがない萩原聖人のミステリア>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

2.5

最近はあの特徴的なウェス・ワールドがマンネリ化して居る気がして、短編だから最後まで観れたけれど微妙な評価に。美術的・色彩的感覚は好きな監督さんなのですが、ストーリーにパンチが足りないかな、と。

好き
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ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士[完全版](2009年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

リスベットの法廷サスペンスが主でしたが、ミカエル始め、彼女を助けようと色々な人達が奮闘しているのが良かったです。リスベットの担当医がまた良い人で、信頼感しか無かった。

武装して毅然とした態度のノオミ
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ミレニアム2 火と戯れる女[完全版](2009年製作の映画)

3.0

個人的にはハリウッド版が好みでは有りますが、リスベットとミカエルの距離感はミレニアムシリーズ版の方が安心出来ました。言葉を交わすのは少ないけれど、友人として一人の人間として信頼している。普段から心を開>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

2.9

壮絶な作品でした。観ている間、ずっと神の不在を感じていましたが、実は最初から沈黙しつつ側に居るのだな、と気付く。私は宗教を身近には感じないから、切支丹の盲目的な信仰心は寧ろ怖くて辛かったです。

日本
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.0

此の映画は好みがはっきりと分かれる。観る人によっては刺激的、観るに耐えられないシーン、特殊な感性を持って居るか様々だと思います。D・クローネングバーグ監督作がお好きなら共通の“癖”を見出す事もあるかも>>続きを読む

雪之丞変化(1963年製作の映画)

3.0

母が長谷川一夫氏が主演だからと観始めたので一緒に鑑賞。此れは市川崑監督じゃない?と気付き、途中から身を乗り出す(笑)

長谷川一夫300本記念作品との事でキャスト陣が豪華。1935年版に主演した長谷川
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