顔がいいだけでは不十分で、教養高く育ちもよく繊細で自分の過ちを見つめ人の痛みのわかる人間こそが選ばれるって当然じゃないか。
カーズシリーズ自体は初見でしたが、アメリカン・カートゥーンの傑作と言えるでしょう。ポーの群衆/顔の問題の延長線上の作品だと思いました。
先に観た知人から聞き及んでいた通り、「虚構」とその取り扱いにまつわる話で、その手つきは素晴らしかったのだが、だからこそ「亀梨老けたなあ…」というのが逃げようのない現実って感じで良かった(茶化してますけ>>続きを読む
ハリウッド版「しんしんしん」(震災、新海誠、シン・ゴジラ)という感じで、少々親切すぎる作りではある(例えば、映画に対し、時間軸を言語=ショットで撹乱するというのはそんなに奇天烈なことでもない)が、きち>>続きを読む
よくある青春期の葛藤もの。音楽である必然性がない(それこそが今作の重要な問題提起であることはわかりつつも、十全に深められていたとは言い難いだろう)。個人的な情念ですが、ああいうバンドマンの彼女をみるの>>続きを読む
パンクかファッション・パンクかという問は、おおよその場合態度選択や好みの差異ゲームでしかない。例外的に切実さを問われるのは、当人や社会の経年変化でその理想の維持が困難になったにもかかわらず、要請され、>>続きを読む
潔癖で居続けることができない切なさ…と書いて思いましたが、これを(カギ括弧付きの)サブカル、アングラでやると『ライチ☆光クラブ』になるのだろうな。そこからも明らかなように、まあ、主題自体はよくあるもの>>続きを読む
正義と悪の問題には、概念的なレイヤーと実践的な(政治的、と換言していいかもしれない)レイヤーがある。バットマンもジョーカーも、概念的な問いを提示しながらも実際的な問題を生み出してしまう存在として描かれ>>続きを読む
ヤンデレジョーカーがツンデレバットマンに「お前が大事だ!」と言わせる映画でそれ自体は「萌え」なくもない…のですが、ヒーローとヴィランの関係においてその関係はすなわち正義と悪は両義的な共犯関係にあること>>続きを読む
振り付け(というか、振り付けの細部の演出ですね)が派手でよい。
基本的には非常に古典的な物語で、アホっぽく要約してしまえば「お家に帰りたい(帰したい)」という話(さらに言えば「それぞれに家はあり、それは各々にとって大事」という話であり、ベトナム戦争への批判になって>>続きを読む
夢と文化資本と金とセンスのある『何者』って感じでした。ツイッターのフォロワーが言っていたことですが、「高木ブー伝説」みたいな話だというのは言い得て妙だなという感じです。
このレビューはネタバレを含みます
この作品はおおよそ天才外科医のストレンジ博士が交通事故によって負った手の怪我を治すため、チベットの秘境へ魔術師を訪ね、神秘の秘術の世界へ足を踏み入れるという話。とはいえ、結局外科医という西洋近代の象徴>>続きを読む
びっくりするくらいにビジュアルが作りこまれているのに(あるいは、だからこそ?)、無意識なのかわざとなのか、ポリコレどころかもはやコロニアリズムでは? みたいな意匠が目立った。あと、定型的かつ古典的な物>>続きを読む
モスかミスドでずっと流れているような、常々煩わしいとすら思っているほどのアメリカン・ヒットナンバーに、まさかの感涙させられてしまう映画。それほどの映像と音響と王道のストーリー・テリングだったわけですが>>続きを読む
絶望的な反ビルドゥングスロマン。全てが悲しみに転がり落ちていくが、それでもなお人生はそこにある。ああ、これが祈りなんだな、と思いながら観ていた。
主人公と後のその妻が初めて結ばれる日のシークェンスの美>>続きを読む
非常に優等生的なカット作りと陰影の巧妙さ、そしてジョン・ウェインの異様なまでの無敵感。
以前読んだ論文(この映画とは何の関係もない)で「cowboy」(そこではほとんど西部劇の主人公の意味で使われていた)という単語が義理人情に厚い孤独な男の象徴として出てきたが、西部劇を立て続けに4本も観>>続きを読む
おおむね『るろうに剣心』みたいな話だったな(とこれを観るようにすすめてくれた知人に言ったら「『るろうに剣心』がこれをパクってんだよ」と言われた。そりゃそうだ)。
銃撃戦と切り返しショットの相性の良さたるや。出てくる女の乳首が軒並み茶色い。その茶色さに政治性を感じる稀有な体験。
地元のミニシアターで鑑賞。音楽がサイコーだったので映画館でみれたのは僥倖だった。
正史と偽史、現実と虚構、正常と異常、そしてstateとnation(とcountry)などの対立項が複雑に絡まりあい複>>続きを読む
(twitterより再掲)
黒沢清はこの映画に関するインタビューにおいて「観客を最終的にリアルではないものへ導くために、最初はリアルを装う」 というようなことを言っているけど、『クリーピー』の印象とし>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
この映画はおよそスーパーヒーロー化と引き換えに自らのアイデンティティの象徴である「顔」を喪失した主人公が、「顔」を喪失してなお愛する人に承認される物語である。く〜、泣けるねえ。
ヒーロースーツを纏うス>>続きを読む
一般にポリティカル・コレクトネス礼賛映画だととられているようだが、むしろディズニーの「いや、アニメーション映画という寓話でポリコレとかやるのフツーに限界あるっしょ」的な白旗映画なのではないかと感じた。>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
(twitterより再掲)
『シビル・ウォー』、アメリカ的正義の更新みたいなのかなと思ったら、普通に目で相手の気持ちがわかるチームvsアスペチームって感じだった。
ネタバレかも知れませんが、一番良かっ>>続きを読む
鑑賞前に得た情報は「バットマン、エロいよね」のみで、『マン・オブ・スティール』の続編ということすら知らずに観たため前半はぶっちゃけ話にあまりついていけなかったのだが、確かに唯一知り得た情報は正しかった>>続きを読む
本作の原作にあたるドストエフスキーの同名の小説が好きなのでわざわざ映画館で視聴。とはいえ、やっぱり原作の方が好きかな。
原作は主人公の自己弁護にまみれた回想の一人語りという体で進む。文学用語(なんても>>続きを読む
(twitterより再掲)
よい映画でした。服を綺麗に見せるモデルとして出発し(初期の広告写真では「顔」は重要な要素ではなかったわけです)、固有の「顔」を獲得し、やがて存在自身がアイコンとなり、死後に>>続きを読む
小説での怪物は語り、同時に語られる存在であり、視覚的芸術である映画以上に「見られる」存在であることが強調されているのが興味深い。
中尾明慶の下の歯の歯並びがガタガタだったのが底辺生活者のディテールを表現していてよかった。