どこを切っても見事に映画的「ではない」一本。潤沢な予算を手にしたことで、デイミアン・チャゼルという監督の資質が露呈したと言える。それを「化けた」と思う人もいれば、「馬脚を現した」と思う人もいるだろう。>>続きを読む
『眠れる森の美女』の1年後にこれ! 制作会社ごと変わったと言われても信じてしまいそうなくらいの大変化である。鉛筆のニュアンスがそのままに伝わって来るラフなタッチや、水彩画のような背景の塗りに代表される>>続きを読む
実は、ウォルトの存命中に制作された19作の中でプリンセス・ストーリーと言えるのは『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』の3つしかない(女の子の主人公としては他にアリスがいるが、彼女はプリンセスでは>>続きを読む
ディズニー・クラシックスと呼ばれるウォルト存命中の作品群の中では、最初にして最大の金字塔『白雪姫』に次ぐ、というか、もう二作の間に優劣を付けるとすればそれは好みの問題でしかない、とさえ言えるほどの、決>>続きを読む
主に2000年代前半、本家(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ)製作の映画作品の続編OVAを文字通り粗製乱造しまくったことで悪名高い、ディズニートゥーン・スタジオが生み出した唯一の傑作。「>>続きを読む
題材と、予告編から既にぷんぷんに匂っているが、映画が始まって数分......「『ウルフ・オブ・ウォールストリート』だ!」と誰もが思うだろう。ご丁寧にマーゴット・ロビーまでカメオ出演していることからも分>>続きを読む
日本のクラシックな映画をこよなく愛し、カトリックとしての葛藤を抱え続けたスコセッシがどれほど心血を注ぎ込んでこの『沈黙』を作り上げたか...それは延びに延びた構想・製作期間からも分かるが、何より映画自>>続きを読む
けっこう前に観たのですがマークし忘れ。チネチッタがやっている『LIVE ZOUND』なる爆音上映の一種だったのですが、マジでうるさくてまったく映画に集中できませんでした。3Dで観てね! という感じのア>>続きを読む
すいません、想定の1.6倍くらい難易度が高く(主題が分かりにくいという意味ではない)、結構ウトウトしてしまいました......序盤は特にその傾向が強いですがキャラの配置が分かりにくく、「これ誰だっけ.>>続きを読む
そこまで多くの本数を観ているわけではないが、フェリーニの映画はラストが本当に秀逸だ。この上なく的確かつ簡潔に作品の主題を総括しつつ、逆算的にそれまでのシークエンスの深みや重みまでも底上げするという魔法>>続きを読む
BDリマスターの恩恵を最も受けている作品ではなかろうか、というくらい映像が美麗。冒頭(シークエンス自体はまんま『バンビ』の焼き直しですが)からちょっと鳥肌が立ちました。マジックアワーが訪れたサバンナの>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
柔らかなタッチの絵柄がうまく中和しているが、激しい映画だ。主人公であるすずのモノローグを通じて、我々は思わずぎょっとするような、後ろから突き刺されるような剥き出しの心象に触れる。例えば、初めて空爆を目>>続きを読む
まず何よりも語られるべきは2Dアニメーションとしての圧倒的な完成度。戦前から既に信じられないクオリティのセルアニメを連発していたディズニーが21世紀にその技術を駆使すると、ここまで映像的な喜びに満ち溢>>続きを読む
久しぶりに再見。初めて字幕版で観たけれど、吹替だと死んでしまってるニュアンスが結構ありますね。例えば序盤、アナとエルサが"For the first time in forever"を歌うシークエンス>>続きを読む
唾棄すべき我がオールタイムワースト『モテキ』(2011年)に多大なる影響を与えていることが分かり、そこだけは勉強になったので点数はだいぶオマケ。ズーイー・デシャネル、役柄とか関係なしに全然タイプじゃな>>続きを読む
カルトやなー。前に座ってた人が思いっきり寝てました(笑)。『スクール・オブ・ロック』が好きな人に、同じ監督の作品だよと言って観せたらどんな反応を見せるだろう。やっぱり寝てしまうかな。
リチャード・リ>>続きを読む
アメリカ南部テキサス州の大学の体育会系(野球部)、しかも一つ屋根の下でやりたい放題の共同生活を送る野郎共という、どう足掻いても共感はおろか生態の理解にさえ苦しみそうな連中の様子を描いた映画がこうも面白>>続きを読む
今観ると盛りだくさんのアクションシーンがかえってテンポを鈍化させているように思える部分はあれど、全体では普通に面白い、ピクサー印のワンスアゲインもの。
ああ、こんなのあったねえという感じで観始めたけれど、予想以上に面白かった! 東アジア民族(およびそれらを取り巻く儒教的世界観)への眼差しにはやや極端なものを感じるとはいえ、合戦(と呼んでいいのかな)や>>続きを読む
とても寡黙な映画だが、それでいてどこか確実にぶっ壊れている。これに比べれば、同監督の『ロブスター』は随分とカラフルでポップなメジャー映画(実際、俳優の豪華さは間違いなく超メジャー級だが)に思えてしまう>>続きを読む
誤解を恐れずに言えば、この映画はいわゆるストーリーを語りはしない。人間、それも文字通り老若男女への、恐ろしく冴え渡った観察眼を通じて抽出された、しかしながら単なるあるあるネタやしみったれた現実の鏡写し>>続きを読む
今最も人気のある若手俳優3人を起用し、ヒット作の続編として打ち出せば売れるだろう(実際に『君の名は。』を蹴落として興収1位を獲ってしまったのだから救えない)、といういかにも広告代理店的なさもしさを観る>>続きを読む
イカすなー。ファーストカットから目を奪われます。王道不条理とでも言うべき設定と、「不在の語り手」によるモノローグが早々に観客の想像力を抹殺。スマートな説明で作品世界にうまく引き込みつつ、そのままシュー>>続きを読む
TSUTAYAが新作割引のキャンペーンをやっていたのでレンタル。これは評判もいいし手堅く感動できそうだなと思っていたけれど......どうにも乗れない。監禁されている前半はまだ良いのですが、外の「世界>>続きを読む
いや〜、インドって意外と風光明媚なところなんですねえ。ラストシーンのロケ地とか行ってみたい。風景美に1点、とりあえず退屈はしなかったので0.5点、スピーチのくだりで笑っちゃったので0.5点。ごめんね。
古典的名作が、作品としての評価を超えてもはや資料的価値さえ帯びてしまう(この映画が公開されたのは実に80年近く昔のことだ)ことはままあるけれど、そんな視点に立つことも忘れてしまうくらい、セルアニメとし>>続きを読む
『ビフォア〜』3部作を完走してしまった今となっては、リチャード・リンクレイター監督の仕事の代表格としてこれが挙がるのはまったく納得いきません。とはいえ、『スクール・オブ・ロック』、キュートな映画です。>>続きを読む
あの瑞々しい1作目がそうだったように、言葉が他者をどうにか理解しようと試みるための手段としてある一方で、やはり言葉は他者を攻撃し、傷つけるものでもある。そんな当たり前の事実に肩を落としながらも、人は人>>続きを読む
ランニングタイムも20分近く削られ、会話劇としてのミニマルさがますます際立つ『ビフォア』エピソード2。その手があったか!という前作からの繋ぎ方、再開した2人のコミュニケーションがジャブの打ち合いからい>>続きを読む
再見ですが、こんなに良かったっけか!? という驚きと喜びが。序盤の、架空のTV番組についてのやり取りでセリーヌが口にする「普通の人間の1日をずっと映していて何が面白いの?」という趣旨の疑問に対し、映画>>続きを読む
誰もが認めるクライマックスであろう「台風の夜」のシークエンス。あれを観ながら、溢れ出てくる涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ああ、これは反則だ、と思った。全てを投げ打ったような木村多江の演技と、リリー・>>続きを読む
おおー......これはヤバい、凄い映画だ......と観終わった直後は思ったが、果たしてこの映画の何が「ヤバ」くて「凄」かったのかということをしっかり考えようとすると、少しばかり靄がかかる。もちろん>>続きを読む
日本が『シン・ゴジラ』ならアメリカはこれか......というのはあまりにも雑な見方だろうか。念のために断っておくが、庵野秀明とクリント・イーストウッドが作家として同列だなどと言うつもりは毛頭ない。誰も>>続きを読む
ヤマもオチもない会話をする男女をフィックスで撮っているだけの映像が、観ていてまったく退屈でなく苛立たしくもないのを映画のマジックと呼ばずして何と呼ぼう......最初こそ「あー、ダメかも」と思ったもの>>続きを読む
測定不能。ビートルズは、とりわけ初期のライヴバンドとしてのビートルズは、永遠に解けることのない魔法そのものである。
ここまで全力で評価を保留したくなる映画も中々ないだろうが、いわゆる「見えている地雷」でしかない作品のルックに反して、意外と観ている間はそこそこ楽しめたような気もする。スペインかどこかのマイナーな映画祭>>続きを読む