イグアナってなんであんな変わった形をしてるのか。
その姿自体をグロテスクだと思い、それと認めるや否や目を背ける人もあれば、日常的にその肉を食用とされることもある。
前提さえ変わればイグアナも鶏も、牛も>>続きを読む
過去は異国に等しく、全てが今とは別物
ヴィクトリア朝時代の名残を残すノーフォークの広大な農地を地主として治めるモーズリー家は、保有するその莫大な資産により豪奢な邸宅に住み、幾人もの使用人を養い、傍目>>続きを読む
孤独を知るということは、孤独ではない状態に身を置くこと。
そこから先のことを考えることはない。
孤独を知って、それまでとは違う人間に生まれ変われると思うからだ。
特別でないということは、変化すること>>続きを読む
どうせ知りもしねえ奴は笑うんだろ。
そんな倦怠に似た取り留めもない捨て台詞を吐くことで、何処にも居場所のない自分を知らず自ら慰めていた時代は遥か。
誰かに恋をする理由は答えられなくて、そのままいつし>>続きを読む
俺たちはまだ家を出られないでいる。
私達が子供の頃に夢見たような未来は、少なくともこの先数年は訪れないだろう。
夢は夢として取り置かれ、数年レベルの少し先の未来は推し量って予測できたとして、それがピ>>続きを読む
誰にも見付からぬよう薮で囲んだ畔に踏み入る足が湛えた漆黒の水に吸い込まれる様を、
野辺にひっそりと並んで咲く花のように若い二人が並んで心の底から笑い合える幸せを、
愛する者への絶望を、見知らぬ世界への>>続きを読む
廃線の上に建つ取り壊しが決まり凡そ無人化したマンション、その一室。
巨大なクレーン車が釣る鉄球が振り子の様に鉄筋コンクリートの壁面を解体する衝突音が、遥か遠くの空の下の目には見えない花火のように身に>>続きを読む
人を呪わば穴二つ。
解っちゃいるけど止められない。
もし力だけが物を言うならば、その力は誰の元にも振るわれる。
この怒りが己の全人格を司るなら、この身が繊維となってほろほろと綻ぶまで、脚を失い、胴を>>続きを読む
吐き気がする程、ペシミスティックだぜ。
孤立・孤独を描いた作品は世に数あれど、こんなに観ていて「しんどい」作品は珍しいのではないか。
誰の歯牙にもかけられないようなありふれた冴えない青年が抱く孤独な>>続きを読む
陰鬱なニューヨークの曇り空は、夢のような恋がうつつの縁を危うくなぞりながら蛇行する束の間も、分厚く重い色の岩が蓋をしたかの様に、この思い出の中では決して晴れ間を見せてくれることはない。
雨の日、朝靄>>続きを読む
宇野重吉扮する池ノ内青観がラスト付近で目を細めて誰に向けるともなくふと呟く、「そう…寅次郎君は旅か…」との短い台詞が、ふわりと殺伐とした世の中を包み込み、遠い旅の空の下の風景を優しく引き寄せる。
何>>続きを読む
タイトルに冠した「モテキ」という言葉が先走り過ぎると、その語感自体が示すニュアンスの曖昧さにより、本作に対する先入観を作品本来とはややブレた方向へと導入する可能性もある。
ドラマ版を観ていてそこら辺>>続きを読む
今の高校生ってどんな考え方をしているのか、全然わからない。
そもそも「今の高校生」などという括り自体も虚しいもので、多少の時代性を反映した傾向はあろうものの、当然どの時代にもその時代に逆行しようとす>>続きを読む
夕暮れ刻を二人で走っていく。
十五回目の夏休みの退屈は、地上に這い出て飛び立った全ての蝉の鳴き声が止むまで残響のように纏わりついて、行き交う言葉笑顔も全てが白々しくて、行き道、帰り道に跨った自転車の>>続きを読む
抉って跳ね返して、抑え込んで舐めるようになぞって、繰り返して見つけて、歓喜を待たせて神秘をはぐらかす。
液が布に自然と滴る程度に開いて、赤い肉が血の温度のままにしっとりと軌跡と匂いを残すように、渋みを>>続きを読む
遮る物のない大海原を渡る風は軽快に広い海面をさざめかせ、永い旅の向こうに陸地を見付けては遂に崖に当たってむせるような潮の匂いを暖かな日の元に初めて晒す。
常に変わらぬ匂いと海岸線に較べ、いずれ朽ちる>>続きを読む
え〜?繋がってるの〜〜??
出演者も違うし、当然別物だと思ってたら実は'75年作「男組」のラストから一応話が繋がっていて、それが何よりまず一番の驚きだった。
厳密に本作が'75年作(以下「前作」と称す>>続きを読む
「男組」を知っている人がこの現代しかも比較的お若い方々と見られるfilmarksユーザーの中にどれほどおられるかは甚だ疑問ではあるものの、自己満足のため一応紹介させていただくと、この原作漫画は雁屋哲・>>続きを読む
眼に見えないものが幻でしかないのなら。
いくら一晩だけでも叶うならと思っても、果たしてみれば一晩だけなんて悲しくて仕方ない。
今日だけはと思っても、今日が昨日になれば昨日は自分だけの血になり肉になり>>続きを読む
苦しくて苦しくて仕方がなくて、毎日生きてはいるけど、生きる気力はせいぜいその一日をやり過ごすことに費やされて、絶望はしていないけど、望みを抱く方法なんてとうの昔に忘れてしまって、果たすつもりの約束はす>>続きを読む
観ている間中、面白いし、格好いいし、好きなんだけど、なんだかそんなにアルトマンっぽくないかなぁと思ってたら、最後まで観て、暫く呆気に取られて、ああ、やっぱり今観ていたのはアルトマンだったんだなぁと、物>>続きを読む
80年代周辺のSF・ホラー映画を今観返すと、「メキメキ」と音を立てる映画がやたら多かった印象がある。
当時はアナログSFXが最も持て囃された時代で、あらゆるジャンルの映画に当たり前のように派手な特殊>>続きを読む
タイトルバックには、いつもお約束の寅次郎の姿は現れない。
その寅次郎に代わり画面に大写しになるのは、妹さくらの姿である。
さくらは自転車を懸命に漕ぎ、旅から帰った寅次郎がとらやへ向かう道すがらいつも>>続きを読む
何一つ遮る物のない真っ赤な夕焼けは、あの日私たちの笑顔を輝かせた。
街灯も少ない真っ暗な夜は、あの日家族の距離をぐっと近く引き寄せた。
舗装もされていない永い帰り道は、あの日父の背中を一層大きく見せた>>続きを読む
映画を観た後、何とも言えない重い気持ちを引き摺りながら、そういえば「淵」という言葉の意味をよく知らないことに気付いた。
これは実に恥ずかしい間違いだが、私は「崖っぷち」という名詞の「ぷち」の部分を「淵>>続きを読む
歳とると、例えば食べ物の好みが変わったりすることってあるじゃないですか。
大嫌いだったレバニラ炒めがあるとき急に食べられるようになったり、酒の肴も奴と浅めの御新香くらいで十分になってきたりして。>>続きを読む
岸壁に幾艘もの漁船が連なる港に、今日の帰りを待ち侘びる幾つもの家族の姿、その対岸は人の目につかぬよう打ち捨てられた瓦礫が積まれ、勇壮な帰り船の揺らす水面を伝う波が泡沫まじりに味気なく押し寄せる暗い岸辺>>続きを読む
あんなに好きだったのに。
あんなに愛していたのに。
よく聞くこうした言葉の「あんなに」の部分には、非常に曖昧でいて、強い気持ちが込められている。
当人が声に出して伝える言葉の内に込められた念の比重だ>>続きを読む
エレファントカシマシがデビューした1988年、日本はバブル景気に沸いていた。
都市部を中心とした好況は、その恩恵にあずかるもの以外にもTVをはじめとしたメディアを通して社会全体に浮わついた雰囲気を伝播>>続きを読む
人民の志は波より高い。
中国沿岸部の都市・温州市。(設定では)過去に巨大台風により多数の犠牲者を出した悲痛な負の歴史を持っている。
今、同地に観測史上最大級の超強台風の上陸が予測され、再び到来>>続きを読む
えーっと…なになに?This motion picture is based on …true story?
いいですねぇ、この外連味!胡散臭さ!
続いて出現するタイトルは「The Seducer>>続きを読む
例えば頼りなき旅の日暮れどき。
暗く寂しい畦道を独り歩いていると、道脇に農家の一軒家。遠慮なく子の名前を呼ぶ母親の大声に釣られて横目に見やれば、その庭先一面にリンドウの花が咲く開け放った縁側、中には>>続きを読む
親は子のせいにして、夫婦は互いのせいにして、子は親のせいにして、義理の子は義理の親のせいにして、属する地域では行き届かぬ広域行政のせいにして、県単位の行政は国政の法整備の不甲斐なさを嘆き、国は地域のク>>続きを読む
その憎しみは愛の量ほどに。
決して我が物にはならない母へ向けて、決して我が身を知らない全ての人に向けて、その愛は地を這う様にして血を撒き散らす。
他を知らぬことは弱さを寄せ付けず、とは言え其は強さと>>続きを読む
君が愛おしくて仕方がない。
初めて君と出会った日から、初めて君を抱き上げ、その穢れのない頬に鼻先を付けたあの日から、君を想う気持ちが曇ったことは一度としてない。
君の心が波立たず、静かに揺れる水面>>続きを読む
みっともない自分を持て余し、苦笑いで誤魔化して適当にやり過ごす昼日中。
ふと独り我に返って、自分の情けなさを冷静に見詰めては胸が張り裂けそうで、大声を上げて叫びたくなる真夜中。
枕で口を塞ぎ、また次の>>続きを読む