似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

軽蔑(1963年製作の映画)

4.6

【お尻は世界の宝物🍑】

60年代のゴダール作品では『気狂いピエロ』と並んでお気に入り。ブリジット・バルドーの裸体で何杯もイケる映画。う〜ん、セクシー。🫦

フリッツ・ラングが友情出演していたのには驚
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(1949年製作の映画)

5.0

🥊ボクシング映画なのだが、ほぼリアルタイムの時間進行で展開されるフィルムノワール作品。実験的な演出で紡がれるとある夫婦の愛の物語。

🥊主演のロバート・ライアンが幸薄いボクサー役を演じる。八百長試合と
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最前線物語 ザ・リコンストラクション(1980年製作の映画)

5.0

【調教✏️】

鬼才サミュエル・フラーによる映像の断片だけがぶっきら棒に展開されていくだけの、ある意味反・構築的な戦争映画。🪖

軍曹リー・マーヴィンと仲間たちが世界各国で戦うことを通して「生きること
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ノン、あるいは支配の空しい栄光(1990年製作の映画)

3.7

【不寛容なのは監督自身】

オリヴェイラによる反戦映画だが、この監督の抽象的であざとい演出が『永遠の語らい』同様に上滑ってると感じる。ポルトガルの植民地支配否定を謳った、ポスト・コロニアズム映画。
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雨のなかの女(1969年製作の映画)

4.0

コッポラ初期の女性讃歌映画。性的不能者のジェームズ・カーンとDV男のロバート・デュバルなど、主人公の女性(シャーリー・ナイト)の周りにいる男が皆クセ者だらけという設定。

アメリカン・ニューシネマ期の
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ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)

5.0

【純粋無垢】

前作『ママと娼婦』がヘビーだっただけに本作は軽やかな「大人の階段登る」思春期の少年の成長譚に仕上がっている。意味深なタイトルはランボーの詩から拝借している。

やはり『ママと娼婦』同様
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.3

何回観てもサッパリ意味が分からない、アラン・レネ監督の(脚本はロブ=グリエ)迷宮に彷徨った映画。観続けることに一苦労する。

お洒落でリッチな映像美とは裏腹にどこか人間不信感が感じられ、黒澤明の『羅生
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キッド(1921年製作の映画)

5.0

【擬似親子】

放浪紳士チャーリーが孤児を助ける為に奮闘する模様を描くヒューマンコメディ。非常に短い尺ながら、チャップリンならではの人間愛に溢れた物悲しい中編となっている。

第一次大戦後の世界的な不
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ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)

3.8

【見所】

ライアン・オニールとテイタム・オニール。実際の親子俳優の二人が演じる詐欺師二人組の珍道中をモノクロで綴ったヒューマン・ドラマ。雰囲気的に渋めの小津安二郎かジャームッシュ作品のようで日本人好
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.6

恐らく21世紀に入って最も日本の観客から支持されたアニメ映画だろう。たぶん。(『鬼滅の刃』が登場する迄は…)

本作は宮崎駿版『不思議の国のアリス』であり、主人公の少女千尋の内的変化に合わせて「世界の
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

4.0

『ミツバチのささやき』な『千と千尋の神隠し』って感じかな。総じてオタク好み。主演の女の子がキツネ顔であまり可愛くないのが致命的ではある。(『シェイプ・オブ・ウォーター』も同様)

フランコ独裁政権下の
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KAMIKAZE TAXI(1995年製作の映画)

4.0

原田真人監督版、和製アメリカン・ニューシネマみたいな映画。ペルー人タクシー運転手役の役所広司よりも高圧的なチンピラ役高橋和也が印象に残っている。(あと片岡礼子やミッキー・カーチスも出ている)

かなり
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893(やくざ)愚連隊(1966年製作の映画)

4.8

愚連隊(今で言うチンピラ)の疾走感に満ちた刹那的生き様を克明に記録した昭和版『勝手にしやがれ』で『トレインスポッティング』。
監督、脚本は中島貞夫。

戦後民主主義の日本をネチョネチョ生きることをモッ
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大統領の陰謀(1976年製作の映画)

4.6

政治の不正を暴くロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが演じる大手新聞記者の名コンビが活躍するポリティカル・サスペンス。

『スポットライト/世紀のスクープ』や『新聞記者』、望月衣塑子のルーツ
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ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)

4.3

【人生いろいろ🍂】

アカデミー賞受賞作。人種差別や老いについて車の中でひたすらディスカッションするドラマ。ジェシカ・ダンディとモーガン・フリーマンの二人組が好演。

モロに白人目線であり、ユダヤの金
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東京流れ者(1966年製作の映画)

4.6

【廃墟に唄えば】

所々ミュージカルになったりする所がサミュエル・フラーの『東京暗黒街・竹の家』に似てる。木村威夫の美術がオシャレな、清順美学に溢れた中期の代表作。映像が凝っていてカラフル。

渡哲也
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野獣の青春(1963年製作の映画)

4.4

清順美学の萌芽が見られる、大藪春彦原作のハードボイルドアクション。宍戸ジョーがグラサンを掛けてピストル🔫を手に持ち大暴れ。渡辺美佐子もイイ味。

映画館内で劇映画の上映中にマフィア同士の争いが繰り広げ
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殺しの烙印(1967年製作の映画)

4.6

【おれがNo.1だ】

『ルパン三世』などの脚本を手掛けた大和屋笠と奇才・鈴木清順監督によるシュルレアリスム/不条理ハードボイルド。ストーリーにほとんど意味なんて無いが「No.1」の座を巡って争うマフ
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ザ・フライ(1986年製作の映画)

4.7

【日陰者の人生】

主演のジェフ・ゴールドブラムはまさに適役。日陰者の科学者の悲哀がヒシヒシと伝わってくるSFホラー。🪰

役者の数が極力少なめで、端正な画面構成もイカす。クローネンバーグらしいハッタ
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英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

3.8

【吃音症が治るまで】

ナヨナヨした吃音症のイギリス王を演じる主演のコリン・ファースを取り巻く政治家達の、あくせくした様子をスピーディーに描いたモノ。あくまでエンタメとしてよく出来ている。

決してつ
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ブッチャー・ボーイ(1997年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

【悔い改めるべし】

なんと実話の映画化らしい。

アイルランドに実在した殺人鬼少年のトチ狂った行動をスピーディーな展開で描いたサイコスリラー。果たして狂っているのは世間か、少年か?

家庭内での不和
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フェイドTOブラック(1980年製作の映画)

3.9

【ぼくはオタク②】

映画オタクの危険な生態。気色悪い主人公がスコセッシの『キング・オブ・コメディ』以上にヤバい存在感を醸している。結局、主人公がビルから転落して自滅するというありきたりな「悪人」みた
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キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

5.0

【ぼくはオタク😇】

「一生ドン底で終わるより一夜の王になりたい」by ルパート・パプキン

個人的に私が映画好きになるキッカケとなった、ベスト・ムービーの一本。最高に笑えるし、同時にゾゾゾッ🥶となる
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

5.0

【夕暮れの意味を完全に把握しました】

ナンバーガールの向井秀徳のお気に入り映画。ダークな雰囲気が今観ても強烈な、奇妙な人間達を俯瞰しながら描いた異色の家庭劇。

どこかズレた会話の「間」といい、シュ
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

5.0

【バカヤロー!コノヤロー!】

北野武第一回監督作品。この頃からバイオレンス満載で陰鬱なムード。しかし、どこか人を食ったユーモアセンスも伺える。(金属バットを持った少年など)。

どこかしら、たけしの
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ぼんち(1960年製作の映画)

4.6

【放蕩息子】

市川崑監督✖️撮影宮川一夫のコンビでは『おとうと』よりも好きだったりする市川雷蔵主演の好色一代記。原作は山崎豊子。

果てしなく豪華な撮影、美術、セットや贅沢を極めたゴージャスな女優陣
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おとうと(1960年製作の映画)

4.2

日本が誇るモダニスト、市川崑らしい手腕の発揮されたピュアな映画だと思った。岸惠子と川口浩の師弟の絆にホロリと涙が…。

原作は幸田文。あくまで女性の視点から描いた文芸ドラマという意味で現代でいうところ
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砂の器(1974年製作の映画)

3.7

「亀嵩、知らね!」の名台詞が有名な野村芳太郎✖️脚本橋本忍と山田洋次による戦後のショボい面を痛烈に描いたサスペンス・ドラマ。森田健作がとんでもないミスキャスト。

同じような趣向の内田吐夢の『飢餓海峡
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天城越え(1983年製作の映画)

5.0

【愛憎🔪】

松本清張原作の映画化で、制作が野村芳太郎。脚本は加藤泰。監督は加藤の助監督経験のある三村晴彦の第一回作品。石川さゆりの名曲と共に鑑賞するとさらに面白味が増す。

昭和初期の混迷した様相を
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疑惑(1982年製作の映画)

4.4

【冷血】

桃井かおりvs岩下志麻!😎👩‍🦰

女同士のエゴのぶつかり合いが見もの。原作は松本清張。悪女モノとしては最高峰の出来栄えと言える法廷サスペンス。

川又昂の撮影がクール。さすがは野村芳太郎
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激流(1994年製作の映画)

4.3

【地獄のアウトドア】

『LAコンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン監督作品。隠れた秀作。🚣‍♀️

メリル・ストリープ、ケヴィン・ベーコン、デヴィッド・ストラザーン競演のハラハラ・ドキドキ!な川
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グッドナイト&グッドラック(2005年製作の映画)

4.3

マッカーシズムが台頭した赤狩り&冷戦の時代(50年代)に於けるアメリカのTV番組の必死の抵抗を描いた、ポリティカル・サスペンス。

監督、主演はジョージ・クルーニー。堂に入った巨匠の風格を感じさせる見
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カポーティ(2005年製作の映画)

4.5

おすぎです〜!!じゃなくて、トルーマン・カポーティです〜!!という作品である。ゲイセクシュアルを全面に出した映画ではかなり面白い部類。

名優フィリップ・シーモア・ホフマン演じる主人公が傑作ノンフィク
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オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

4.3

公開当時おすぎが大絶賛してた映画で、オカマにしか理解できない異形の作品となっていて初めて観る人にとってはビックリする一作。

映像の色遣いがとにかくケバい。奇を衒ったカメラワークに変態性丸出しなストー
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道成寺(1976年製作の映画)

4.0

ある意味ストーカー紛いの狂女にまとわりつかれた主人公(若い僧)が、災難に見舞われる内容のホラー風短編アニメーション。

アニメ表現的にも内容的にも非常に完成度が高く、後味の悪いラストを含めて悪夢的イメ
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詩人の生涯(1974年製作の映画)

3.8

原作者の安部公房の世界観がまんまアニメとなり、戦後の人々の苦い体験談が綴られる詩的作品。

川本喜八郎監督作。戦後に於けるモラトリアム状態の主人公の母親が突如編となり、やがて「赤いジャケツ」へと変容し
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