スローボートさんの映画レビュー・感想・評価

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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.6

シャンソンに「再会」という名曲があり、ジャズに「ホワッツ・ニュー」というスタンダードナンバーがあります。
歌詞は似たようなもので、辞書に同工異曲の語釈として、詩文などを作る技量はおなじであるが、趣が異
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.3

小学生のときのプロレスはいつもいつも金曜夜八時三菱電機提供のTVでしたが、二度だけ力道山のリングを見たことがあります。嬉しかったなあ。外人レスラーのトップはジェス・オルテガだったでしょうか。そのころす>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.6

「ゴールド・ボーイ」を見ているうちに、「仁義なき戦い」は撮影中に、ヒット間違いなしと早くも東映は第二作の準備をしていたという話を思い出しました。そしてこのミステリー作品も続作があって然るべきだと確信し>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.6

劇場が明るくなるとともに三時間近く続いた心地よい緊張と鑑賞後の余韻に身を浸していました。ビクトル・エリセ監督三十一年目の新作にして集大成と喧伝されている「瞳をとじて」ですが新作や集大成といった売りの形>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.6

ほんと、面白くて、ためになる映画でした。いつの頃からか政財界のエライさんたちが「貯蓄から投資へ」と唱導しておられますが、下流の年金生活者には高速道路での煽り運転としか見えず、巻き込まれてはたいへん、だ>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.0

ことしはじめて映画館で観た「笑いのカイブツ」。よい作品に出会えてうれしく、また大いに刺激を受けました。原作のツチヤタカユキ氏はこれまで知らない名前でしたが、この映画でさっそく原作を読んでみようという気>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

5.0

フィンランド語による「枯れ葉」の流れるエンドロールが終わったとき、誰か拍手してくれないかな、そしたらこちらも熱烈に応じるのにと思ったことでした。残念ながらわたしは先頭切って手をたたく勇気を欠いていて心>>続きを読む

JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】(2021年製作の映画)

4.5

観ているうちに「ケレン」という言葉が浮かびました。俗受け、客受けを狙って演じたり、語ったりすることで、なぜこの言葉かといえば、この映画を否定的に捉える人はきっとそんなふうに評価するだろうなと想像したか>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.6

超冒険活劇に心躍る、興奮の九十一分でした。
一九四四年、第二次世界大戦末期のフィンランド。愛犬を連れた老兵アアタミ・コルピが掘り当てた金塊を運んでいたところナチスに遭遇し、金塊と命を狙われる。ところが>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.6

堅牢な設計にして、ほどよい潤いを帯びたパリやブルターニュの魅力の映像にたびたびうっとりしました。(といえばなんだかhardにしてgentleといわれたあの私立探偵みたいですけど)
ストーリーを追うの
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

4.5

ある事情でシチリアに渡ったロバート・マッコール(ゼンデル・ワシントン)でしたが、そこで負傷し、やっとのことアマルフィ海岸沿いの静かな田舎町(ダスタモンテとか言ったかな?思い出せない、架空の名称でしょう>>続きを読む

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)

4.5

社会人になって二年目、その年限りでしたが、学徒出陣で応召された方と職場をおなじくさせていただいたことがあり、その方はいつもいつもあの戦争について考えているのではないが八月だけはそれまで読んでいる本は中>>続きを読む

警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件(2022年製作の映画)

4.0

「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」(山本兵衛監督、Netflix)はイギリス人女性、ルーシー・ブラックマンさん(当時二十一歳)が二000年、東京で失踪し、その後遺体で見つかった事件のドキュ>>続きを読む

ブラッド・アンド・ゴールド ~黄金の血戦場~(2023年製作の映画)

3.7

「 ブラッド・アンド・ゴールド 黄金の血戦場」。題名からうかがわれるように予習不要のお気楽作品です。わたしはけっこうこの種の映画は好きなのですが、加えてシュールというか奇妙な味付けが気になってコメント>>続きを読む

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

4.3

職人気質と組織が相親しむのは難しい。一輪咲いても花は花の一輪と、機械の歯車ですからね。でも、これ、わたしの好きなテーマで、しかも「ウィ、シェフ!」は職人気質を発揮しすぎて組織にいられなくなったフランス>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

4.5

映画のあと、後々まで心に残っているだろうかとか、さわやかな印象を残してくれてうれしいとか思ったり考えたりする。それはおのずと映画の評価に繋がります。よい意味で記憶に残るかどうかは映画や文学作品について>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.5

マイケル・ジョーダンと契約したナイキが、伝説となったバスケットシューズ「エア・ジョーダン」を作り、販売に乗り出した内幕を描いた実話ベースのサクセス・ストーリーです。ビジネスの世界をじつに爽やかで、楽し>>続きを読む

メグレと若い女の死(2022年製作の映画)

4.0

ミステリー大好き人間として、とりあえず期待するのは、興味深い謎とその論理的解決、探偵・犯人のキャラクター、犯罪の背後にある時代の雰囲気・世相風俗で、映画ではこれらに、語り口にふさわしい映像と音楽を加え>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.3

事件で息子を失い、悲しみから立ち直れないままの状態にあるペリー夫妻(ジェイとゲイル)がセラピストの勧めで自殺した加害者の両親(リチャードとリンダ)と対話に臨みます。
四人は教会の小さな個室で、ぎこちな
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非常宣言(2020年製作の映画)

4.3

フライトスリラーにウイルステロを絡めた韓流パニック作品、面白かったなあ。つい先日、なんとかという、長年の友人との関係を壊したあげく、指を切り落とす自傷行為を繰り返す、訳のわからない、ひとりよがりのゲー>>続きを読む

ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

4.8

とてもよい気持にしてくれる映画です。素晴らしくて、観終わったときはユーロス・リン監督をはじめとするスタッフとトニ・コレット、ダミアン・ルイスなど役者陣に感謝の言葉を贈りたいほどでした。
ウェールズの谷
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ある男(2022年製作の映画)

4.5

観終わって感銘を受け拍手をしたくなり、次にはそんなに興奮しちゃだめ、心落ち着けてじっくり考えなきゃいけないと思ったり、よい意味で心穏やかではありませんでした。
またわたしのなかでは「伽倻子のために」「
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テイクオーバー(2022年製作の映画)

3.5

無職渡世の老爺の暇と退屈をしばし忘れさせてくれたオランダ製作のプログラムピクチャーは意外な拾い物感がしました。ゲージュツとか深い思索など一切関係なし、現代のネット社会を素材に、昔ながらの巻き込まれ型の>>続きを読む

デリシュ!(2021年製作の映画)

4.5

フランス革命がすぐそこまで迫っていた時代、料理人が作る料理は王侯貴族の味わうものであって、民衆とは一切関係なし、そもそも庶民は味覚の能力を持たない存在でした。
ところがある貴族が抱える凄腕のシェフが料
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アキラとあきら(2022年製作の映画)

4.0

映画を観て、翌日から三日かけてテレビ版をNetflixで視聴しました。映画とテレビの異同は別にして、どちらも「空飛ぶタイヤ」や「七つの会議」などと同様、たのしく鑑賞しました。
池井戸潤氏の小説はわずか
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

「ベイビー・ブローカー」を観たあと、スタバでコーヒーを飲みながらソウルやプサンの街角を思ったり、是枝裕和監督の家族についての問題意識を考えたりしていました。
ひと段落したところで素晴らしい映画のあとの
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三姉妹(2020年製作の映画)

4.3

第一感、脚本が光っていました。特筆すべきは姉妹三人のキャラクター造形で、次女役のムン・ソリが脚本に感銘を受け、共同プロデュースを買って出たというのも納得です。三人の人物像を具体化した女優さんの演技もお>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

4.3

小児性愛者にして誘拐犯とされた十九歳の大学生、そして事件の被害者とされた小学五年生の女児。「〜とされた」というのはあくまで世間の視線であり、また法律の世界における扱いであり、当事者には人知れない事情が>>続きを読む

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

4.5

1962年にソ連の地方都市でありウクライナにほど近い町ノボチェルカッスクで実際に起こった虐殺事件と、その渦中にいた母リューダとその娘スヴェッカを中心にしたドラマです。事件はソ連崩壊後の1992年まで3>>続きを読む

オールド・ナイブス(2022年製作の映画)

4.5

スパイ・ミステリーが大好き、とりわけお気に入りの作品のなかでどちらかというと地味系でシブい作品が映画化されるのはとてもうれしい。たとえば先ごろ公開された「オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体>>続きを読む

人生模様(1952年製作の映画)

4.0

Amazon prime Videoの魅惑のモノクロ作品から「人生模様」を観ました。O・ヘンリーの短篇小説五篇を原作とするオムニバス作品です。
ハワード・ホークスをはじめとする名監督、それにオムニバス
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.5

素晴らしくて繰り返し観たい映画のいっぽう、優れてはいるけれど、もう一度観るのは躊躇する、っていうかなかなか立ち向かう勇気の湧かない名作があります。
前者はさておき、問題は後者で、わたしのばあい、たとえ
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女相続人(1949年製作の映画)

4.5

Amazon prime videoの魅惑のモノクロ作品群から「女相続人」を観ました。名前は前から知っていて優れた作品だろうとは推測していましたが、これほどまでとは思いもよりませんでした。これまでご縁>>続きを読む

暴力行為(1949年製作の映画)

4.0

ずいぶん昔に観た「暴力行為」を再見しました。(1948年、フレッド・ジンネマン監督作品。Amazonビデオ)。戦争末期、独軍の捕虜となりながらも米国に帰国した二人の男ですが、いまは追う男(ロバート・ラ>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

5.0

「ウエスト・サイド物語」は日本では1961年12月に公開されています。わたしが観たのはこの頃で、小学五年生か六年生でした。
地方の小学生で、情報には疎く、どんくさいわたしがどうしてこの映画に接したのか
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声もなく(2020年製作の映画)

4.5

ホン・ウィジョンという一九八二年生まれの新人監督が撮った韓流作品。素晴らしいというか、凄いというか、いずれにしても彗星のごとく現れた女性監督に大きな拍手を贈ります。
素晴らしさと凄さを自分なりに分解し
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