Automneさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)

4.2

田舎町のひとりの少年がひとり立ちするまでを炭鉱のストライキと交えて綴る貧困×ラグジュアリーのかけ合わせバレエムービー。
やっぱり旅立ちって良いなあと思わせる。じんわり響いてくるし、田舎で大人になった父
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TOKYO!(2008年製作の映画)

3.8

ミシェルゴンドリー、レオスカラックス、ポンジュノの3監督が東京を独自の視点で切り取ったオムニバス。作り手しては2008年以前にこの話が持ち上がった時点でそこに並び立てる日本人監督が存在しなかったのはす>>続きを読む

スカーフェイス(1983年製作の映画)

5.0

最高すぎて言葉があまり出てこない。間違いなくオールタイムベストの大傑作🫰

アルパチーノ言われすぎてむしろ敬遠した側だったけど言われるだけのことはあるし、いまのコンディションで求めている映画としてタイ
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.1

ヒッピー&バイカーを扱ったロードムービーの古典。
60年代後半のアメリカ南部の空気感、北部vs南部のじんわりとした人間の対立、Lも草もたくさん出てきて放浪者らしい旅情があった。
物語として大きな起伏は
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パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

3.9

ジム・ジャームッシュ初期の中編。
尖り方がすごいという印象。中国がアメリカを爆撃した世界線でPTSD患者がごろごろその辺に居る、そこに生まれた孤独な青年の放浪。
特に物語として何があるわけでもないのだ
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ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

3.8

スパイク・リー監督の伝説的ブラックムービー。
前半は黒人街の模様を伝えているがやや冗長な印象があった。昨今の運動の興隆によって多くの映画がつくられ、この空気感に既視感があっただからだろうか。ただ後半に
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女っ気なし(2011年製作の映画)

4.7

やるせない男のうだつのあがらない日常に差し込むローテンポ•ヴァカンス映画。
コミュニケーションの機微、近づきそうで近づけない距離感、擦れてる女×童貞マインドの男の絶妙なバランスを保った掛け合いが素敵。
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遭難者(2009年製作の映画)

4.0

人生の遭難者。ロメールの『レネットとミラベル/四つの冒険』オマージュの自転車のパンク修理。
『クレマチスの窓辺』と世界観の似ているヌーヴェルヴァーグ•オマージュの現代仕込み。
何が起こるわけでもなく、
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

4.4

虚飾と嘘にまみれたこの世界で愛とともに生きる決意をする映画。
衝動性と高いプライドが邪魔してしまうビリー。はじめは虚構を電話でいやに"調子良く"語っていたのが、終盤は己の近くにある愛に気づき、その嬉し
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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

3.8

一番笑ったのは序盤の敵への反撃でそこまでやるん?みたいなオープニング。
あたおかヒステリーキャラ描かせるとデヴィッド・リンチはやっぱりすごい。
本作ではヒロインのお母さんがいちばんぶっ飛んでるかもしれ
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心と体と(2017年製作の映画)

3.7

牛の屠殺業者の社内で繰り広げられる、同じ鹿の夢をみたふたりの男女ーーアスペ気味の女と年配の男のラブストーリー。
映像は綺麗だし、モチーフも悪くないし、寂しさが画面に漂っているが、テンポの関係かツッコミ
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Whale Valley(英題)(2013年製作の映画)

3.8

アイスランドの荒涼とした空気、波、クジラ、閉塞した家庭、どこにもいけないこと、そこに一筋の兄弟愛。活き活きとした生と起こり得た悲劇の死の間をサイドステップしてるような感覚が良い。
台詞少なめ、行間多め
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少女邂逅(2017年製作の映画)

4.0

軽やかな絶望。
青春、蚕のモチーフ、漠然とした未来、狭い街、狭いコミュニティ、箱の中。
現代日本の女子ムービーとして一歩抜きん出てる感すごい。瑞々しい感性と卓越した会話と比喩、カタルシスや行間の感じが
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.9

カウボーイのふたりの男の邂逅から別れまで、それぞれの人生を端正に描いた作品。
切ないし、大自然と同性愛の物語の親和性の高さ。カントリー調のテーマ曲とエンドロールの歌詞も沁みた。時代と愛の価値観、もしも
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お引越し(1993年製作の映画)

4.5

圧巻、のひとこと。
スタイリッシュかつ動線のえぐいワンカットの頻出、幼年期の家庭問題や瑞々しさという意味ではいつもの相米節なのに、今回はそれにプラスして良質な京都ムービーという側面も持っていた。
序盤
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ハートストーン(2016年製作の映画)

4.1

在りし日の想い出。繊細で切なく、じわっとした苦味が口の中にのこる。
なんとなく興味があって物事を経験し、あとになってからそれがなんだったのか分かるような感じ。
幼年期独特の瑞々しい感覚と心苦しい曖昧な
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さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)

4.7

親というかなしみ、親という絶望。周りと違うことが普通であることの諦めのような苦しみ。
想像以上に響いた物語、描き方も含めて好きなシーンが多い。odd(奇妙)なのにじんわりと響く。触れられないことや大人
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

5.0

すれ違う男女の機微と幻想的な映像、雨と涙。
何度見ても名作。劇場で観れるだけで感動ものなのに、ちょうど台風が来て映画の外の世界が道路の濡れた路面やそこに降り注ぐ街灯でムードがあらわれていて良きでした🫰
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グリーンマイル(1999年製作の映画)

3.8

死刑執行人の半生を描いた物語。独特のテンポとちょい不思議、独房のワンシチュエーションで多くの出会いと別れ、死への旅立ちが描かれる。
描写の感じや物語全体はやはり小説っぽくて、やはりスティーブン・キング
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僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション(2021年製作の映画)

4.2

無茶苦茶良かった…やはりヒロアカis最高🥹✨
シリーズもののアニメで唯一、ヒロアカの映画にはマジでハズレがない。
相変わらずの神作画、ボンズの中村豊さんの表現力えぐすぎて脱帽。アニメ表現の臨界点突破し
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愛と哀しみの果て(1985年製作の映画)

4.2

ひとりの女性が第一次世界大戦の前後を強く生き抜いてゆく物語。『ストーリー・オブ・マイライフ』とも共通した、前時代的な世界で理不尽なことにも粛々と耐えながら粘り強く諦めず生きていくさまに感動した。
長尺
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天国の日々(1978年製作の映画)

3.6

物語はアビーもビルも身勝手で優柔不断なので入り込めなかったのだけれど、農場主と妹の人柄の良さでぎりぎり保っている印象。
何よりもアカデミー撮影賞に輝いた、開拓時代の大農場、麦畑の夕焼けや動物たち、だだ
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まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

4.5

愛と平和、終始ハッピーって感じが最高だった。
『UNDERGROUND』もそうだったけど、緊張感のない戦争映画に流れる独特のポップな空気感が好きで、たとえるならクレヨンしんちゃんの大人帝国の中で出てき
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スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)

3.3

めちゃめちゃ内容薄いし脚本のご都合主義的なところしかないけど、PV的に見れてしまう不思議。
日本の大学生がイキってるの見ても痛いなあくらいしか思わないのに、アメリカとかになってくると見れてしまうのが、
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ピアニスト(2001年製作の映画)

4.0

恐ろしく痛々しい。毒親からの抑圧がコンプレックスとなって歪んだ性癖となる。単純なSMの話にとどまらず、シューベルトの狂気の前の自己喪失ともかかっていて、ラストでピアノが弾けなかったのも女と男の正気/狂>>続きを読む

ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.1

胸糞&不憫&暴力&サイコ&鬱映画。
変なことは言っていないはずなのに「あれ?」ってなる距離感や存在感のひとってたまに居て、その独特の気色悪さをさらにマシマシにしたような登場人物にぞっとさせられる。特に
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.2

上手くいかないことやいたたまれないこと、それらに対して粛々と行動を続けて生きていく、なのに状況がじわじわ悪くなってゆく姿に心がじとっとする。ロードムービーなのにロードから外れて車も壊れるし犬も居なくな>>続きを読む

欲望(1966年製作の映画)

3.3

名作っぽい感じの扱いを受けていてタイトルだけは知っていたのでどんなものなのかと視聴。
あらすじに不条理劇ってあって、どんな不条理な物語が見られるのかと思っていたらなんてことはなく、インテリ優位の奇をて
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コンタクト(1997年製作の映画)

4.0

宇宙との接触。すごくわくわくするし夢がある物語。宇宙人的なものは人類とは次元が異なるので、こちらから一方的に知覚はできず、スピリチュアルやニューエージ思想とつながりがちな精神世界に近いものだという認識>>続きを読む

スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.2

萩原健一が『ショーケン最終章』で繰り返し引用していて気になったのがはじまり。
ロードムービーとしてお手本のような出来、出会いのシーンとそれぞれのキャラクターの対比、物語のゴールが決まっていながら予定外
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パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)

4.5

アメリカ北部の大自然を舞台にした逃避行。
緊張⇆緩和 の繰り返しが情緒としてすごく良く、シリアスパートとバカンスパート含めて終始良いシーンばかりで素晴らしかった。マスタードサンド作るシーンや、クルマ乗
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許されざる者(1992年製作の映画)

3.6

西部劇でありながら、人を殺すことを自慢して酒に浸るカウボーイ文化に対する人間らしい葛藤の詰まった作品。
物語はシンプルでストレートな感じ。グラン・トリノほどのカタルシスはないけれどじんわりとする鑑賞後
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ラスト サムライ(2003年製作の映画)

3.6

小雪様が美しすぎた…。
渡辺謙はいろんな映画で武装した僧侶の大将やりがち、トムクルーズは着物と鎧のコスプレできて楽しそう。
時代考証とかちぐはぐだしツッコミどころはたくさんあるけれど、"アメリカ人の考
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映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

4.2

映画への愛にあふれていた。
撮影現場独特のせかせかした感じ、仲間になったと思ったらすぐに解散になる感じ、それにしても座組の中で人間関係ごちゃごちゃしすぎて笑う。どうにかこうにか完成させようとすること、
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

PTAの新作を劇場で観れるってだけでとても楽しみだったのだけれど、最初から最後までずっと楽しかったのでなおさら最高でした🥳🫰❣️
『パンチドランク・ラブ』のときの怪しいビジネスを転々としたりずる賢く儲
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.0

上映されているver.はフィルムの質感を残しつつ、低予算の“チープさ”をなくさないようにしていると冒頭にあって、その言葉通りカメラワークもセットも演出もある種“チープ”でありながら良い映画の雰囲気が出>>続きを読む