とても緻密に組み立てられた無駄の無いプロット。ルイ・マル監督が20代でこの作品を撮ったとは驚きである。とても上質なサスペンス。マイルス・デイビスのトランペットが雰囲気を盛り上げる。
意味もなくおっぱいがいっぱい出てくるB級作品ですね。特段ひねりのないストーリーですが、あまり細かいことは気にしないで娯楽作品として楽しむのがいいでしょう。キル・ビルのモチーフになった梶芽衣子主演作であ>>続きを読む
情熱と喧騒、まさに映画そのものがそのままレビューショーである。鳴りやまぬ音楽と華やかな色彩、そして多数の登場人物のハーモニー。ジャン・ギャバン演じる主人公をはじめとして、みんな楽しそう。
監督の父君で>>続きを読む
前作「ぼくの伯父さんの休暇」と同様に伯父さんことユロー氏が引き起こすドタバタ喜劇なのだが、前作とはいくつか異なる点もあった。①カラーフィルム。セットもおしゃれなのだが、50年代後半のフランスらしいかっ>>続きを読む
世界最低の映画に敬意を表して1.0点を献上。
でも本当は、ここまでくだらなさが振り切れてると逆にけっこう好きなのです。大の大人が真剣にこんなくだらないものを作ってると思うと愛おしさすら感じる。おっ>>続きを読む
フランス版のドリフのコントである。伯父さんことユロー氏が海辺のバカンスにやってきて、その周りで起こるドタバタ喜劇であるが、ストーリーらしきものは特にない。かなり早いテンポで進むコメディであり、監督のア>>続きを読む
この映画は西洋絵画である。もともと光の表現では右に出る者のいないビクトル・エリセ監督だが、この作品ではさながらフェルメールを彷彿とさせる表現が最も特徴的に見られる。フェルメールだけではない。オランダ古>>続きを読む
幼い子供が初めて「生と死」を認識するとき。虚構の死、死の演技、そしてコミュニケーションを交わした兵士は銃殺され遺体となる。
本作には当時のスペインの政権を批判する意図があるというが、そのような背景を知>>続きを読む
北野作品の中では非常に実験的でありながら、定番の時代劇がベースであるという、かなり例外的な作品だと思う。もちろん人斬りのシーンなどは存分に北野的なのだけれど。この作品の真髄はタップダンスをはじめとした>>続きを読む
今さら何かを語る必要などない世界的名作である。すでに撮影からかなりの時を経ており古さは否めないのだが、小津の淡々とした視点はやはり新しいのである。令和に生きる我々は昭和に古き良き日々を見出そうとするけ>>続きを読む
コクトーの描く耽美的で情緒不安定な世界。全編を通じて一切性描写はないのだが、空気にエロスを孕んでいる。ouiの意味はnonであると言われるフランス人らしさが随所に表れており、饒舌で喧しい映画である。
死と弔い、その概念を知らない子どもたちのイノセントさが何と残酷であることか。悪意を持たないが故の「禁じられた遊び」は大人たちをも巻き込んでいく。ポーレットの無邪気さは結果的に両親と愛犬の死の原因となり>>続きを読む
この作品とか、女は女であるとか、ゴダール監督は女性をよく観察しているのに感心する。女性的な部分をピックアップするのに、女性目線で描くわけでも男性目線で描くわけでもないのがまたすごい。この作品、一言でい>>続きを読む
前作で少しカラーの違う作品を撮って、監督のことをいろいろ案じていたのですが、また今までのカウリスマキ節が戻ってきました。見終わったあと、優しい気持ちになれる作品。
カウリスマキらしさは健在だけど、フランスを舞台にすることで少し調子狂っちゃったんでしょうか、いつもと違って物事が都合よく進みすぎている印象。監督大丈夫だろうか、と少し心配しました。
とても北欧的な作品だと思うのです。北欧の複数の作品において、主人公が自分に非はないし、弁明すれば済むだけなのに他人を庇って頑なに黙秘し、不利益を甘んじて受ける、そんな作品が多いような気がします。地域性>>続きを読む
本作品のキャッチコピーは「人生は後ろには進まない」。主人公は暴行により記憶を失うことにより「過去」を失うが、結果的に彼にとって過去はなくてもいいものだったのだろう。幸は未来にある。
ハンニバルはカウリ>>続きを読む
理不尽な社会の波に直撃される夫婦。どん底を経験しながらも、協力してくれる仲間がいて、その先の希望の光が見える。いちばん下まで転がり落ちたら、あとは上がっていくしかないのだ。犬がかわいい。
悲しくて救いようのないストーリーなのだが、どことなくコミカルなタッチで描かれる怪作。カティ・オウティネンは少女というにはいささか年齢がいってるのですが、彼女にしか出せない味わいが存分に活かされていて、>>続きを読む
ゴーアメリカの続編。例によってのおバカ映画は変わらないのだけれど、前作が故郷からアメリカ、メキシコへ、新しい土地へ旅立っていったのに対して、本作ではその逆を歩むコース。マッティ・ペロンパーのいかがわし>>続きを読む
とにかく馬鹿馬鹿しくて好きなんです。このセンスがツボにはまるか噛み合わないかは人によるのだと思うけれど、自分は前者でした。子供も犬もリーゼント。ディテールまでこだわったおバカ映画。マッティ・ペロンパー>>続きを読む
生き別れた夫とよく似た浮浪者、彼は本当に夫なのだろうか。私の解釈では、間違いなく夫アルベールである。では彼はいつか戻ってくるのだろうか。残念ながら記憶が戻ることがなければ二度と戻ってこないだろう。理由>>続きを読む
無力で弱く運にさえ見放された父親と、まだ幼いが聡明で強い意志を持った少年ペレ。理不尽な環境の中でいろいろな人との交流や経験を重ねて成長していく様が頼もしい。父はどこまでも無力な存在だが、ペレに愛情を注>>続きを読む
登場人物はみなエゴ剥き出しで、何かにつけて険のあるセリフばかり。表面上は愛とはほど遠いギスギスした感じが続くのだが、彼らは決して意地悪をしたくてモノを言っているわけではない。自分なりに誰かへの愛情を持>>続きを読む
原因も理由もわからない恐怖。下手なホラーなどよりよほど恐ろしいと思う。
クロマキー合成が多くて時代を感じさせるものの、現代でも一級の作品として通用すると思う。
陳腐な表現だが、愛の亡霊の物語だと感じた。サスペンスとして複雑になりすぎることなくテンポよく作られている。
人はみな、心の中に覗き見趣味を抱えているのだ。
インターネットなどない時代の話だが、ネットウォッチがエスカレートして、対象に絡みにいったら逆に身バレしてピンチになる、そんな現代でもたびたび起こりうるエ>>続きを読む
他のゴダール作品と同様にいちいちディテールがかっこいいのだ。若気の至りというか、けっこうハチャメチャなことをしてるのだが、それが持ち味になっているのだから恐れ入る。あらためてゴダール作品を見ると、ジャ>>続きを読む
アンナ・カリーナによるアンナ・カリーナのための映画。可愛らしいんだが、こういう女性が身近にいたらたいへんですね。
ダイナマイトのシーンが強烈で、そこへ至るまでのストーリーがどうでもよくなってしまう。つくづくディテールが洒落ててかっこいい。
荒っぽいのか、大胆なのか。デタラメなのか自由なのか。行き当たりばったりなのか斬新なのか。今でこそ名作と言われているが、けっこう好き勝手やっててめちゃくちゃです。型破りでかっこいいと受け止めた人が多いの>>続きを読む
ドキュメンタリーなので採点は控えます。
ドリス・ヴァン・ノッテンのデザイナーとしての仕事と私生活のドキュメンタリー。花に囲まれたお城のような自宅での穏やかな暮らし。ひとたび仕事となると理知的にショーの>>続きを読む
素直になれない、ちょっとめんどくさいタイプの主人公。ひねくれていて側から見ていると可愛げがないのだが、恋愛に対して理想が高いとそういう態度になるのもわかるよなあ、という感じ。果たして彼女は幸せになれる>>続きを読む
何とも暗澹たる気分にさせられる作品。父は健気に家族のために頑張っているのだが、威厳はなく哀愁しか感じられないのだ。翻弄される「弱い父親」の姿を見ていると何ともやるせない気持ちになってくる。
定番のストーリーではあるけれど、マンシーニの音楽も相まって、観衆はソフィア・ローレンに感情移入してしまうのだ。一面のひまわり畑、映画史に残る名シーンである。