夜光虫さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

夜光虫

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太陽がいっぱい(1960年製作の映画)

3.8

アラン・ドロンの訃報を受けて

サスペンスの傑作。ニーノ・ロータの気怠い音楽と陽光、アラン・ドロンが見事に一体化して作品の世界を作る。すべては完璧に行くはずだったのだが。

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

3.2

コメディだと割り切ればよいのだが、どうしてもあまり波長があわない作品なのでした。ザジのこまっしゃくれた態度や言葉にあまりかわいさやユーモアを感じ取れず、少々イライラ。パリの街の風景とフィルムの色合いは>>続きを読む

さよなら子供たち(1987年製作の映画)

4.0

心を通じ合わせた友と、言葉さえ交わすことなく迎える突然の別れ。ナチスものは評する言葉に困る。

バベル(2006年製作の映画)

3.0

何だかいまいちピンと来ない作品。モロッコと東京が繋がるといっても、上手く腑に落ちなくて。すいません。
菊地凛子の体当たりの演技が話題になりましたね。

パリ20区、僕たちのクラス(2008年製作の映画)

3.2

カンヌでは往々にしてこのタイプの作品が評価されがちである。パリ20区といえば、パリ市内でも移民が多くてあまり治安の良くない場所。その学校となれば、大方こんなストーリーだろうなと察しがつく感じ、実際想像>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

3.9

アニメはあまり観ないのだが、評判がよかったので鑑賞。絵が美しい。見慣れた新宿周辺の光景もいい。テンポよく進むストーリー、まったく飽きることなかった。

人生は、時々晴れ(2002年製作の映画)

3.7

英国の湿っぽい曇り空そのままのどんよりした空気が作品全体を包む。息が詰まるような下層の生活。お世辞にも幸せとはいえない、断絶された家庭がある出来事をきっかけに、関係性をいくらか取り戻すのだが。フィルム>>続きを読む

秘密と嘘(1996年製作の映画)

3.8

とても欧米らしいシチュエーションだと思う。従って感情移入することなくストーリーを客観視できた。
ある家族とそこへある日現れた「客人」の物語としてはスタンダードなものであり、サスペンス的に謎解きを楽しむ
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ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

3.3

パターナルなものとマターナルなものの衝突。世代を超えて親世代から子世代へと引き継がれていく遺伝子、生命の系譜。何ともスピリチュアルな雰囲気を持った作品である。環境映像を見るような美しさだが、自分を重ね>>続きを読む

セブン(1995年製作の映画)

4.0

後味悪い映画を一つ勧めて、と不特定の人に言われたらこの作品を紹介するだろう。プロットは緻密に計算されており、また俳優陣も素晴らしく万人向けである。七つの大罪というのは、日本人にはそれほどピンと来ないの>>続きを読む

AI崩壊(2020年製作の映画)

3.5

絶対に自分の意思では観ない映画を観る会と称して、友人たちと視聴。現代的なテーマだし、飽きないようにテンポよく作られていたのでそれなりに楽しめた。
本作を観るにつけ、50年経ってもテーマの新鮮さを失わな
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散歩する侵略者(2017年製作の映画)

2.9

黒沢清監督の作品は初めてでした。結論から言うと???って感じ。北野武と並んで東京藝大の教授を務めた人が撮る作品なのかと当惑。概念を奪うという発想は面白く、本作の肝となる部分であるが、映画でなくとも小説>>続きを読む

ラスト サムライ(2003年製作の映画)

3.8

こういう作品は、日本人監督が先に作らないと本当はいけないんですよ。外国で作られたサムライムービーとしてはかなり上手に作れていると思う。どこかずれてないわけではないが、おそらく武士道についていろいろ勉強>>続きを読む

SAYURI(2005年製作の映画)

3.2

西洋人が日本文化を思いっきり曲解して作った作品、しかも主人公のさゆりを演じるのは中国人。何だかなあ、という感じではあるが、桃井かおりの存在感だけはたまらなく素晴らしいのです。役所広司や渡辺謙といった、>>続きを読む

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

3.7

発想がおもしろい。まったく理解不能なシュールさではなく、何となく、どことなくわかるようなわからないような、その匙加減が抜群なのだ。後半は何だかあらぬ方向に話が進んでいくが、若い監督が感性で作り上げた作>>続きを読む

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

4.0

後味悪い映画として語られることが多い作品であるが、ボクサー志願の女性が成功へのステップをのぼっていくストーリーとして、またヒューマンドラマとしても見応えがある。順調にサクセスストーリーを描いていくかに>>続きを読む

バックドラフト(1991年製作の映画)

3.6

この映画でバックドラフト現象というものを初めて知った。火災のメカニズムや消防活動という部分はとても興味深いのだが、ストーリーはアメリカ映画によくある感じで今ひとつなじめなかった。ハンス・ジマーの音楽は>>続きを読む

永遠の0(2013年製作の映画)

4.1

素晴らしい原作を映像化するのは難しかっただろう。永遠の0は、現代に生きる人々が過去を回想しながら語るストーリーである。宮部の印象は語り手によって皆異なる。さらに宮部自身の心中は一切吐露されないのだから>>続きを読む

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

3.7

とても気味悪く不穏で嫌な感じなのだけれど、なぜだか惹きつけられてしまう作品。映画を観るより先に原作を読んだのだが、原作の禍々しい感じを上手に映像化していたと思う。オスカル役の子、よくもまああんな気味の>>続きを読む

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

3.9

音楽と猫の映画。ダメ人間だし運もないけれど音楽に対する想いは強く持ち続ける、そんな主人公に対して、いつかあなたの夢が叶うといいね、そう言いたくなる。観終わったあとが心地よい。

エレファント(2003年製作の映画)

4.0

事件が起こるまでの学校のありふれた日常をしつこいくらいにリアルに描いていたからこそ、乱射事件という非日常がより対照的に浮かび上がる。ハネケの「71フラグメンツ」と同様の表現手法。テーマもそっくりだった>>続きを読む

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

4.1

くすぶっている人生を変えてくれる、運命的な人との出逢い。もっとも主人公のウィルは手に負えないめんどくさいやつなので、自らのせいでこれまでの人生を不意にしてきたのかもしれないのだけれど。少し出来すぎたス>>続きを読む

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

3.9

ジョン・ナッシュの半生。彼はゲーム理論、ナッシュ均衡など、数学の世界を超えて、経済学や軍事理論に大きく貢献した大天才なんですよ。
好事魔多しというが、天才の頭脳は統合失調症に蝕まれていく。本作は幻聴や
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アンチクライスト(2009年製作の映画)

3.0

かなりのグロ映画なので覚悟を。狂いっぷりが半端でなく、セックスの最中に子どもが転落死したというモチーフは、果たして本当に本作において意味をなしているのかすらわからなくなる。最初から最後まで不快で、おま>>続きを読む

イディオッツ(1998年製作の映画)

2.3

不快な作品である。世の中の偽善や欺瞞を暴くための演技ではなく、他人の善意を嘲り笑う演技でしかない。中流の不自由ないガキどもが退屈を持て余し、思い上がって世間を小馬鹿にして面白がってる風なのが嫌なのだ。>>続きを読む

恋する男と彼の彼女(1975年製作の映画)

3.8

ラッセ・ハルストレム監督のおそらくはデビュー作。怠惰な青年は、自分の前に現れた女の子と恋に落ちる。そして、彼女との交際を通じてその怠惰で煮え切らない性格が…変化しないのだ。身も蓋もない話なんだが、等身>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.2

シガーの圧倒的な存在感と恐怖。化け物とか超能力とかそういう特殊背景を持たない殺し屋としては、最強かつ最恐かつ最凶な存在。狂人にしか見えないが、ルールに従って行動しており、しかも理詰めの行動なのだ。2時>>続きを読む

未来は今(1994年製作の映画)

3.6

テンポよく進むストーリー、そしてシニカルなセリフの数々。よくもまあ、これだけ強欲そうに見える俳優を集めたと感心。
ストーリーのターニングポイントは好みではなかった。

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

4.0

ストーリーはあるのかないのかよくわからない感じだが、コメディとして楽しめばいいのです。とぼけたやり取りの中にユダヤジョークが光る。役者がみな個性的で素晴らしい。

バーバー(2001年製作の映画)

3.9

欲と浅知恵が原因で、事態が予想外に暗転していく様は「ファーゴ」と同様。身の丈に合わない話に乗ったが最後、地獄行きの片道切符。

シャイニング(1980年製作の映画)

3.8

キューブリックならではのこだわった美術、そしてジャック・ニコルソンの鬼気迫る演技。ここ20年くらいのホラーフィルムの進化が目覚ましいので若干前時代っぽさも感じるが、十分に見応えある。

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.8

この監督、つのだじろうや古賀新一、楳図かずおあたりを読んでるんじゃないだろうか?ただ怖いだけでなくて、世界観に「因縁」のような東洋的な要素が入っているのだ。仕上がりは西洋ホラーなんだけど匙加減がうまい>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

何しろ気味が悪いのだ。カルト集団の狂気めいた世界を描かせたら、アリ・アスター監督の右に出るものはいないと思う。また、カルトというものを本当によく観察しており、こんな集団が本当にいるんじゃないかと思わせ>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

4.2

先のことなど考えていなくて場当たり的に生きている人間の、転落の悲喜劇。小さな嘘、綻びが取り返しのつかない大事へと突き進んでいく様を寓話的に描いている。ここまで大げさでなくても、実際身に覚えのある人は少>>続きを読む

バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.8

虚と実が徐々に混ざり合っていき、だんだん現実と幻の境界線が見えなくなる。熱にうなされたかのような経験。もちろん、コーエン兄弟作品ならではの風変わりな人物も登場。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

3.0

ドイツ映画にありがちな、すべてのことが望み通りに進んでいく展開が好きではないので辛めの点数。何も考えないで観る分にはテンポも良くて痛快なのかもしれない。