GENOKENさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.7

39分と短編ながら、純度100%のウェス・アンダーソン作品。商業映画では企画が通らないが、Netflixというプラットフォームがあれば、製作費もふんだんに使えてゴージャスな実験映画がつくれる。「労力を>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

主人公は失敗をしないキラー=殺し屋。殺し屋、復讐劇という、ありきたりになりがちなテーマをデビッド・フィンチャー独自の形で見せる。復讐する暗殺者の殺しと独白を一方的に描くことで、殺し屋の人間性や葛藤を浮>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.6

ケネス・ブラナーのポアロもすっかり馴染んだ感のあるシリーズ第3弾。水の都ベネチアの幻想的な館が舞台。ホラーの要素は新しく、物語の密度で勝負しつつ、展開はちょっと変化球という”遊び”も感じる。豪華キャス>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

3.9

’30年代のフランスを舞台にしたレトロでポップで軽妙洒脱な犯罪コメディ。フランソワ・オゾンが絶好調であることを納得させる一本。オールドハリウッドをフレンチ流に遊び倒し、古典的な意匠+どこか今っぽい業界>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

4.4

配信ドラマを見ていることが前提の創りについては賛否が分かれるが、今回は本格的に配信と映画が深く絡み合った作品になっている。今作はミズ・マーベルの快活さがドラマの雰囲気に与えた影響大。"誰かが特殊パワー>>続きを読む

ノーウェア:漂流(2023年製作の映画)

3.8

大海原で漂流するコンテナの中に閉じ込められたまま出産し、母子はどう生きのびるのか?これまでにない斬新なワンシチュエーションスリラー。生きるために思考フル回転で、飢えを回避するために出産の際の胎盤にかじ>>続きを読む

レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)

3.3

不動産業者の女が何者かに殺される。事件に絡む様々な事象がほどけていく様を、派手な銃撃戦もなく淡々と描写しているにも関わらず、最後まで興味を持続させるのは監督の力量のおかげ。謎めいた夢の話・爬虫類の抜け>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

2.3

オリジナル脚本で監督デビューするはずだった主人公、花子の無念の頓挫。調子のいいプロデューサーや、鼻持ちならない助監督(三浦貴大が絶品)への恨みが吐き出されているのが面白いが、中盤以降の家族至上主義なド>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.3

戦後すぐという時代設定もあって、今回のゴジラは圧倒的な絶望の化身として描かれる。VFXは現時点で日本映画の最高峰を達成しており、銀座の街を一瞬にしてブッ壊す破壊のカタルシスはさすが。だが、総じて人間ド>>続きを読む

オットーという男(2022年製作の映画)

3.9

向かいに越してきた一家がプライベートに土足で踏み込み、人生を諦めていた頑固オヤジの心に変化が訪れる。オリジナルの脚本がよくできているだけに、それを忠実に再現したのは正解。こういうことがあったらステキだ>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.8

あまたあるタイムループものの構造を分析しつつ換骨奪胎し、繰り返す日常を会社生活のメタファーにして、そこからの脱出を描くなんて、なかなか憎いことやる。ループのきっかけを生む部長の秘密には唐突な印象は否め>>続きを読む

バレリーナ(2023年製作の映画)

2.1

バレエが主軸で描かれるわけではなく、ストーリーは自殺したバレリーナの親友のためにマフィアに復讐するだけ。殺人アクションを芸術的に磨きあげるコンセプトは悪くはない。カラーグレーディングによって構築された>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.1

実に分かりやすいキワモノ企画&ジャンル映画。たったひとりの老兵は「不死身」なのではなく「死ぬことを拒否」する男。超人すぎて相手がナチスであることや善悪の区別すらつかなくなってくるのが、強みでもあり弱点>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.3

AIと人間の関係を描く作品はここ数年、急増中だが、ありがちなAIものかと思って見ていると、別次元にいざなわれる。監督ギャレス・エドワーズのオリジナル脚本で彼が愛するさまざまな映画の要素をふんだんにちり>>続きを読む

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

2.3

これまで「幽霊が出る家」系の映画は多々製作されてきたが、それらのガチホラーよりもディズニー印なマイルド路線に。999人のゴースト!と謳っている割にはメインは数体で、ほとんどは空を飛んでるモブゴーストば>>続きを読む

オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

3.6

100億ドルもする兵器をめぐる話なのにサスペンスに欠け、ずっと平熱のままという感じの不思議なスパイ・アクション映画。スパイ映画の定石を踏んでいるようで、まったく別の解釈をしている印象。存在が薄れがちな>>続きを読む

ハート・オブ・ストーン(2023年製作の映画)

3.4

MI6、2重スパイ、天才ハッカー、人工知能など近年のスパイモノでは手垢が付いた感があり。それでもド派手アクションのつるべ打ちに、世界各地でロケーションを敢行し、いかにも金のかかった大作だとすぐ判る。ガ>>続きを読む

スマイル(2022年製作の映画)

3.5

患者が奇妙な笑顔のまま自殺したのを目撃してから、恐ろしい出来事を経験し始める精神科医の姿を描く。音と映像の切り替えがうまく、安心する度にドカーンとくる怖さで恐怖心が煽られる。期限は一週間というのは『リ>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

3.3

もともと音楽が重要な要素を担ってきた岩井俊二監督作品ですが、ここまで音楽を前面に押し出した映画というのは久しぶり。アイナ・ジ・エンドのヒロインは、グリコ(CHARA)、リリイ(Salyu)に続く“岩井>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.7

206分という長尺だが、前半のテンポが非常によく一気に没入させて、そのままエンディングを迎える。米国の黒歴史の一ページを映像化するということで、非常に丁寧なリサーチが行われたことが伺い知れる。終盤の意>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.1

相模原障害者施設殺傷事件をモチーフにし、物語がどういう結末を迎えるかおおよその見当は付く。それゆえに見るのに非常に覚悟がいる映画。相手への無意識な「上から目線」の発動に、幾度となく居たたまれない気分に>>続きを読む

ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

3.7

若者だった”ゆとり”達も気が付けば中堅、上にも下にも気を配り、のしかかる責任も随分と重くなった。この副題にして「劇場版」にありがちな海外ロケはなし。韓国企業の買収(木南晴夏が怪演!)やら中国ネット民や>>続きを読む

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.0

『シュレック2』で初登場し、たちまち大人気を得てから、20年近く。人生はいつか終わるもので、しかもそれはすぐそこに来ているのかもしれないと気づくのが今作の主題。ハリウッドのアニメーションでトレンドであ>>続きを読む

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

3.2

ピアノの腕を磨くために銀座に来た男と、そこで職業ピアニストをしているうち初心を忘れた男。同じ一晩の話にしているためこの二人が分身として描かれるが、同一人物の過去と現在にしない理由がよく分からない。映画>>続きを読む

僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)

3.9

車に惹かれて亡くなったゲイの青年と結婚することになったゲイに偏見を持つ警察官の話。台湾に伝わる「冥婚」を扱い、BLものというよりはブロマンスもの。ギャグとアクションがてんこもりのクライムコメディで主人>>続きを読む

カレとカノジョの確率/一目で恋に落ちる確率(2023年製作の映画)

3.8

乗るはずだった飛行機に4分差で乗れなかったからこそ、たまたま出会った2人。主演俳優同士の年齢設定にちょっと無理があった気もしたが、事情と状況のタイミングによりドラマが生まれる脚本の巧さ。そして、物語は>>続きを読む

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。(2023年製作の映画)

3.1

赤ずきんとシンデレラの合わせ技と思いきや、ギャグ要素強めのミステリー映画。橋本環奈が極端な世界観に見事にはまり、それで映画が一本成り立っている感。ただ笑いのツボが相変わらずで、セリフの言い方と役者の個>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.6

クマがコカインを過剰摂取して大暴れ。設定の面白さが売りなので話は薄いものの、人体破壊など、エリザベス・バンクス監督なりの悪趣味要素が随所に出ていて、最初の犠牲者が出るシーンから、その描写には遠慮ナシ。>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.5

シリーズ最長の2時間49分に一瞬ひるむも、ここまで飽きさせないのは奇跡的。前半の大阪の描写は微笑ましく、後半のパリでは天井のないセットでジョンの動線を俯瞰で撮った見下ろし型のシューティングシーンは玄人>>続きを読む

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

4.0

正確無比なゲーム感覚で無数のエキストラ兵の頭をぶち抜いていく中盤のアクションつるべ打ちは過剰過ぎて、逆に笑いを誘う。犬や馬も含めてアクション場面の一部始終を、最高に観やすいアングルとカメラの動きでとら>>続きを読む

ゼイ・クローン・タイローン/俺たちクローン(2023年製作の映画)

3.9

タイムループと思わせて別な方向に進んでいく展開が面白い。黒人VS白人の構図でありながらキャラクターの軽妙な掛け合いで見やすい仕上げつつ、その実態はディストピア映画、プロテストムービーでありクライムアク>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.6

関東大震災から100年目の年に、こうした映画が撮られたことに対し、心からの敬意を送りたい。震災という非常事態が人々の差別意識や恐怖をあぶり出し、集団意識となって惨劇に発展。9月1日以降の展開は圧巻で、>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

4.8

うっかり女王様を殺しちゃった?濡れ衣を着せられた騎士といろんな動物に変身できる不思議な能力を持った少女のはぐれ者凸凹コンビが、相棒になっていくさまは娯楽性高く痛快。痛快さの一方で、マイノリティへの差別>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.1

ウェスの隅々まで作りこんだ箱庭的世界は変わらず。青空と砂漠、シンメトリーで安定した広大な画面のまま豪勢にパンして、これCG使ってないというのがまず驚き。アイゼンハワー時代の米国の光と影が精巧な入れ子構>>続きを読む

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

4.2

アメリカ大統領の息子とイギリス王室の王子が互いに恋をしてしまったらどうなる?なかなか日本人では思いついても手が出せないザ・王道BLラブコメ。ハッピーエンドをぶち上げつつ、アウティングや差別など、考える>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.3

久しぶりにいわゆる”ボディーホラー”に還ってきてくれたデヴィッド・クローネンバーグ最新作。痛みのない世界で身体を傷つけ合うことの快感。肉体と精神、アンダーワールドの陰謀世界は老奇才の“旅の集大成”とい>>続きを読む