グラビティボルトさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

グラビティボルト

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聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)

3.8

今更聖闘士星矢という、
企画書は色物なんだけど、
新田真剣佑やマーク・ダカスコスを筆頭とした役者陣は迷い無く漫画的なキャラを体現していて、感動する。
あの左手を前に出しながら右拳を構える新田真剣佑の眼
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.7

「ブラックスワン」でナタリー・ポートマン演じるバレリーナの悲鳴を上げる爪先にやたらと寄って痛覚を強調していた
ダーレン・アロノフスキーが肥満体の男を撮る。
となれば、当然これまでのようにグロテスクに疲
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

1.0

つまらん。ぶっちぎりの今年、というかここ5年ぐらいのワースト。
カンフーも、SFも全て説明的で
人物の生活やら人生の意味みたいなテーマにいちいち紐付けられてるからアクション単体で驚けないし、妙に声を高
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.5

靄や松明の火がフワフワと浮かぶ村の俯瞰ショットや、その火に照らされる人物のアップだけで藤井道人の映画だと思える強度があって、作家がもう個性を確立してる。
あと、猫背でボソボソと話す陰の横浜流星が立ち直
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.0

元ポルノ男優である主人公の無責任、いい加減という特性を極めた結果、どこかホラー的な恐ろしささえも兼ね備えた怪作になっていると思う。
無責任さが人を傷付け、搾取し、何なら野蛮さを浮き彫りにしてしまう。
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チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

3.6

スマホの機動力を利用したようなこれ以降の2作に比べるとだいぶ王道を行く映画。
駆け出しのポルノ女優がお婆さんから大金の隠された魔法瓶を買った事から深すぎず、浅過ぎない交流が始まる。
二人の出会いの素っ
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燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

4.0

端から端までバカバカしさに満ち溢れていて滅茶苦茶楽しかった。
恋人と大喧嘩、傷心の果てに肥大した肉体を駆使してドニー・イェンが日本ヤクザをぶちのめす訳だが、歌舞伎町を思い切ってセットにした事で画面に映
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傷だらけの挽歌(1971年製作の映画)

4.2

今更観た傑作パターン。
ネックレスを強盗したくて富豪の娘を誘拐する映画なんだけど、異様な犯罪一家に誘拐された若い女性の痙攣的なリアクション、彼に惚れた次男坊の精神不安定な蠕きが「悪魔のいけにえ」にも拮
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約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

3.5

不穏な秀作「ラストボディガード」の作家が撮る母娘の映画。
エヴァ・グリーン演じる母が宇宙飛行士として訓練を積み、やがて娘と離れていく。
振り向くという動作の反復と差異で娘との距離を視覚化する残酷さと不
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

徹底的に技巧を抑え、けれど編集で笑わしてきて、ちゃんとシナリオは予想外の方向へ語り、役者は脇に至るまで魅力的、パワフルな開拓の精神も兼ね備えたアメリカ映画で、アカデミー賞だった
「アルゴ」よりも遥かに
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

2.8

口コミでジワジワとロングランヒットした前作を踏襲し過ぎず、好対照なライバルキャラを据えて全く別な見心地の続編を作ろうとする作家の野心や戦略は伝わってくるし、丞威と濱田龍臣の佇まいが終盤で完成するのも悪>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.5

あまりの職人監督的な端的さ、画面から伝わる自意識の希薄さに狼狽えてしまった。悟りきった作家によるれっきとしたジャンル映画。
ジェームズ・ワン、エドガー・ライト、レフン辺りから過剰な画面装飾と凝った語り
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.8

急に大男が訪ねてきて「お願いですから死んで下さい」と懇願される。
この無茶な作劇に賭ける事の出来るシャマラン、本当にイカしてる。そして残酷だ。
映画とは、勝手に歩み寄って来て、勝手に話し掛けてきて、勝
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日本脱出(1964年製作の映画)

3.0

ラストショットの宙づり感が素晴らしい。
主人公の生き方そのもの。

こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.9

相米慎二の映画を感じさせる傑作。
これもまた、子供の挙動に対してどうする事も出来ない大人の映画だった。
子供の自由さ、溌剌さ、純粋さが全く彼女らを幸せにしない語りの徹底ぶりと、暴力の予感を帯びてしまう
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.5

前作「ファーザー」より遥かに好き。
知性で己を律しようとするヒュー・ジャックマンも、優しいローラ・ダーンも、オシャレなヴァネッサ・カービィも、ゼン・マクグラス演じる青年のか細い絶望に対して為す術もない
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グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.0

まずは、この大団円まで着地出来た事を賛辞&感謝したい。見事!雨宮哲監督、今後も追い続けます!

初見ではあまり冷静に判断出来てないけど、山下敦弘が撮ったようなダウナーな青春ドラマと特撮アニメを掛け合わ
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嵐を呼ぶ十八人(1963年製作の映画)

3.7

鑑別所上がりの肉体労働者を撮る映画というと、如何にも社会に対する目線が強く打ち出されそうだけど、そこは流石吉田喜重。
ただ、スレた男達を有りの儘に撮るという一見風情もへったくれもない、しかし作家として
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.4

冒頭の塚本晋也と池松壮亮の最後のやり取りから一貫して人物内側の切り返しによって「意思を受け継ぐ事」を視覚化しようとしている。
特に、平場の肝となるのは、「遺言」のシーンにおける、誰もいない海に向かって
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

疲弊した肉体を引き摺って観たかいがあった。
まず、観客が列車の玩具を買いたくなる冒頭の迫力が堪らぬ!
母親からカメラをプレゼントされる場面も、少年を眼差すレンズが3つあるショットを作り、どのシーンにも
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コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

2.4

結論イマイチだったな。
横移動で切り替わる毒々しいセットやマイケル・ガンホン演じるDV夫の一切の擁護の余地がない醜さなど、眼を惹く要素はあるが驚きがないまま淡々とエグみを見せ付けられるのは辛い。
もっ
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ブラックライト(2021年製作の映画)

3.4

リーアム・ニーソン活劇の魅力である、「心に問題のあるプロ」はしっかり押えられていて、前作
「ファイナルプラン」のユルさも健在。
ただ、その割には登場人物は多すぎて混乱気味なのは残念。
孫が行方不明にな
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マジック・マイク ラストダンス(2023年製作の映画)

3.6

「ラスト」と銘打つには、若干の熱量が低く、戸惑ったものの、そこを食い破るチャニング・テイタムの肉体の躍動や、彼と度々交わされるサルマ・ハエックとの目線の切り返しの艷やかさだけで良しとしたい。
作家もこ
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マジック・マイクXXL(2015年製作の映画)

3.7

終盤のダンス、選曲がSWの「 duel of the fates」のリミックスという抜群のセンスでシビれる。
夜の砂浜、互いの顔すら視認出来ない中で出逢った男女が、ステージでスポットライトと喝采浴びて
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

2.5

映画館を、色んな人が通い働く場として魅せようとするのはまぁ良いとして。
「ロジャー・ディーキンスの撮影が良い」のはわかり切っているが故に、もっと別の美点が欲しかった。

映画館の真向かいがビーチになっ
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.5

オストルンドの映画は初めて。
甲板での蝿の羽音や、レストランでの音楽のオン/オフ、ピンの合わない画面奥でのウェイターの機械的な振る舞い、
映っている人物の男女関係や役職で三角関係(トライアングル)を作
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.5

妙に後効きしてくる映画。
「ベネデッタ」と同じく、現実離れした光景によって人生が変わる女性の在り方やリアクションに一切「病」の気配を感じさせないように撮るという離れ業が出来てるのが凄い。
編集、撮影の
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マジック・マイク(2012年製作の映画)

3.6

若干引き気味な映画(語りではなくショットが)
この、心情から少し引くのがソダーバーグの美点なんだろうな。
ラストショットの引きと切れ味が見事。

戒厳令(1973年製作の映画)

4.0

「役者を真っ直ぐ撮らない」
「切り返しを拒否する」映画の最高峰。
冒頭、汗ばんだ顔で佇む男が突然10数え初めて、ゆらりと歩き始めるショットからしてただ事ではない。
男が駆け出す瞬間、草履が揃って綺麗に
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

毎度眠くなってしまうチャヌクだが、今回は起きていられた。
事の真相云々ではなく、ただ興味を持続させる為に炸裂する力んだ技巧が興味深い。
特に、刑事と被疑者の女が心理的に近付いている事を示す、何でもない
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.5

天才サックスプレイヤーが世界に羽ばたく前のとても大事な時間を描こうという、原作の意図が既に格好良い。

ライブで吹ききったらクールにエンドロールに突入する切れ味と、揺らぐサックスに反射する光の演出は見
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.7

初っ端から鳥の糞が顔にかかり、次は厠で屁をこく女優でやりたい放題。
でも、ニヒルな手触りはあっても忌々しい下品さには至らない。

撮影については特に言いたくなる事はないんだけど、最後まで彼女の身体に刻
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バビロン(2021年製作の映画)

2.0

何も言いたくならない(口では説明出来ない良さがあるとか、そういうやつじゃない)。
俺はもう疲れた。

人間の約束(1986年製作の映画)

4.0

吉田喜重二作目。介護映画。
誰もがブチ当たる「老い」が映画として正視出来なくなるぎりぎりまで描かれている事に戦慄する。
鏡、水面を通して己の顔を見詰めるショット、フレーム外から聞こえる死を望む老人の声
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

2.6

これ、友人関係のあるある話をちょっと過激にしてるから話題性が強いだけで、映画として観た時にかなり微妙な代物だと思う。
撮影も高水準だとは思うけど、完全に脚本に奉仕しているようでただただ綺麗なだけ。
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