DONさんの映画レビュー・感想・評価

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ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命(2017年製作の映画)

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平板で起伏に欠ける脚本ではあるが、演出と俳優は力強い。とりわけ、熱心なナチス信奉者であるベルリン動物園園長を演じたダニエル・ブリュールの、残酷さと優しさがひとりの人間のなかに平然と両立していることは、>>続きを読む

ズートピア(2016年製作の映画)

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草食動物が肉食動物ではないように、男性は女性ではなく、「動物」は「人間」ではない。これは身体的な性=セックスによる定義。だが、人間はアニメによって動物を「人間らしく」描くことができる。この「らしさ」と>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

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走行する列車と密室という状況とゾンビという設定を借り、大仰に情緒を煽り立てて手際よくまとめた薄弱なドラマ。

クロースアップと劇的な音楽の多用、即物的な殺人の描写が綺麗さっぱりと排除されている点が致命
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ヴィジット(2015年製作の映画)

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技巧や演出の多彩さとは対照的に、物語に憑かれた作家シャマランの主題はつねに一貫している。
各々が持つ物語同士の齟齬と衝突、和解と別離。

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

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ジェリー・ゴールドスミスからダニー・エルフマンを迂回してマーク・マザーズボー 、トレント・レズナーへと至る映画音楽の裏面史。

ブラックハット(2015年製作の映画)

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「純化された暴力」がひとつの美学にまで昇華したマイケル・マンのデジタル時代における新たな出発点。

予兆や策略を張り巡らせながら、一発の銃撃、ひとつの暴力が着火するや否や、あらゆる感情や因果は一瞬にし
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ソーセージ・パーティー(2016年製作の映画)

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ラストの取ってつけたようなメタアニメ化=自己言及が破れかぶれで良い。食べ物で遊んではいけません。

ナインイレヴン 運命を分けた日(2017年製作の映画)

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母なる存在としてのツインタワー。その外側は存在しない。アメリカという内側にだけ向けられた眼差しと情緒の浅薄さ、脆弱さ。もちろん、このような物語を必要としている人々がいるのは承知している。だがしかし。

アナベル 死霊館の人形(2014年製作の映画)

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エクソシストにオーメン、ローズマリーの赤ちゃんとオカルト映画いいとこ取りの話はともかく、手持ちと長回しの使い分け、近遠を巧みに使ったオバケとの距離感は絶妙。

団地(2015年製作の映画)

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噂と妄想を抱かずにはいられない、身体感覚として他者との境を間近に(いわば床下の物置的な近さとして)接する団地。そこからあぶり出されていく人間の可笑しさ、悲しさ、豊かさ。ここに描かれている寛容と多様性こ>>続きを読む

スパイダーマン ホームカミング(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

スタン・リーとスティーヴ・ディッコの原作者2人を除いた総勢8人による苦労の痕跡も虚しく、いや、だからこそというべきか、脚本が壊滅的に酷い。

すべての展開が『クロニクル』や『デッドプール』以降のジャン
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ノック・ノック(2015年製作の映画)

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出来の悪いコメディに見えてしまう脚本の弱さ。あるいはそこに逃げてしまうところにイーライ・ロスの限界があるのかもしれず。虐げられているにもかかわらず目がうれしそうなキアヌがよい。

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

生き馬の目を抜く世界を超えて(=beyond)生きるための、義理人情という一線の矜持。

続編は見事なまでに前作とコントラストをなしている。木村(中野英雄)は大友(ビートたけし)のために「自ら」指を詰
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

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大雪原で開かれたパンドラの箱。一枚一枚薄皮を剥ぐようにして、男の虚勢と矜持が砕かれていく。巨視と微視、それぞれを凝視する眼差しの被虐と嗜虐。途中で挿入される裸祭りには、悪ふざけだとわかっていても爆笑し>>続きを読む

レジェンド 狂気の美学(2015年製作の映画)

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『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』でのエミリー・ブラウニングはひとりロンドンへ旅立つ。自ら選び、望む場所が世界の中心だと信じていたから。

本作の語り手、ロンドンのイースト・エンドに住むフランシスもまた、
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ブレイブハート(1995年製作の映画)

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改めて振り返ると、映画作家としてのメル・ギブソンは、受難から抵抗=闘争をへて、救済へと至る道をつねに描き続けているのがよくわかる。そして、救済と堕落の証左となるのは、「被虐=嗜虐」と「幻視」という此岸>>続きを読む

アポカリプト(2006年製作の映画)

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並みのホラー映画より100倍怖い地獄世界。明らかにイーライ・ロスの『グリーン・インフェルノ』も本作の影響下にある。空間設計は対極だが、一番近しい映画は案外『悪魔のいけにえ』という気がしないでもない。背>>続きを読む

パッション(2004年製作の映画)

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阿鼻叫喚の凄惨極まる被虐=嗜虐描写は言葉を失わせるが、それ以上に、その被虐の頂点で天からこぼれ落ちる涙の描写にこそ瞠目。
神の視点と観客の視点の一体化。こんなことを考えつくメル・ギブソンはやはりとんで
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ロンドン・ロード ある殺人に関する証言(2015年製作の映画)

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2006年に英国で起きた実在の売春婦連続殺害事件。事件の現場となった街の住民たちの証言を脚色せずに台詞にしたミュージカルドラマ。

舞台の映画化だが、閉鎖的な街と犯人探しに疑心暗鬼に陥っていく住民たち
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ランバート・アンド・スタンプ(2015年製作の映画)

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ビートルズにジョージ・マーティンがいたように、ザ・フーにはランバートとスタンプがいたとは知らなかった。しかも単に音楽性を形成したというにとどまらず、彼らはバンドの生みの親であり、マネージャーであり、進>>続きを読む

ウォー・マシーン:戦争は話術だ!(2017年製作の映画)

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製作者として作りたい映画があることと、俳優として適切かどうかは別問題。現代の戦争を題材に『M★A★S★H マッシュ』をやろうという難題も大きな失敗要因ではあるのだが。
ブラッド・ピットが完全にミスキャ
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ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走(2016年製作の映画)

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バカンスに出かけた一家の乗った最新型自動車が制御不能に陥り、高速道路を160キロで暴走する。フランス産ミニミニ・マッドマックスといった風情。コテコテのギャグは冴えないが、自動車アクションはなかなか魅せ>>続きを読む

ホームレス理事長 退学球児再生計画(2013年製作の映画)

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傑作という言葉すらおこがましいドキュメンタリー映画の臨界点。ここには人として失ってはならない何かかけがえのないものが確かに映っている。
カメラの「被写体」となることで、すでにその対象者や環境は変化を被
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ヤクザと憲法(2015年製作の映画)

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日本国憲法 第14条

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

彼らを排除しているのは誰か。住みやすく安
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