DONさんの映画レビュー・感想・評価

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バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画)

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LGBT=正しさの紋切り型には収まらない脚本は好感が持てるし、山場である二人の試合のたたみかけるような迫力と結果には涙を禁じ得ないが、それでも最終的には個人へと収斂してしまうところに詰めの甘さを感じる>>続きを読む

豚が井戸に落ちた日(1996年製作の映画)

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ホン・サンスはその最初から徹底した断絶の作家だったことがわかる。

破れたコンドームへの嫌悪。女の背後を捉えた靴屋でのロングショット。いくらカーテンの閉ざされた暗い室内を凝視しても、その内部を見ること
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人生タクシー(2015年製作の映画)

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男と女と子どもと一台の車があれば映画が撮れる。監視カメラは武器だ。こんなにも単純かつ知的な抵抗と告発は見たことがない。

カンウォンドの恋(1998年製作の映画)

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男は知らない。金魚のように言葉を飲み込み、悲しみを飲み込む女がいることを。

秘花 〜スジョンの愛〜(2000年製作の映画)

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スジョン=女は謎だ。いくら彼女を理解し、愛そうとしても、男たちはその名を忘れ、彼女の身体から流れる血を洗うことしかできない。

実はスジョンは謎ではない。なぜなら、女たちの眼差しの向こうには、謎のまま
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TOCHKA(トーチカ)(2008年製作の映画)

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映画には煉瓦と石のほかに、実はトーチカでできた映画というのがある。モモ・ゴッツ・サッタールはワンコの名前。

武曲 MUKOKU(2017年製作の映画)

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どれほど堕ち、損なわれ、濁りのなかにいても、瞳に宿る光と背筋を貫く真っ直ぐな生の芯は決して失われてはいない。綾野剛と村上虹郎の二人がもつ清澄さがとてもいい。

ラプラスの魔女(2018年製作の映画)

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綺麗事とお涙頂戴のガラパゴス的日本映画をバッサリとぶった斬る視点を持ちながら、いまを生きる若者たちへの困難と希望をしっかりと描いてみせる三池崇史の涙ぐましい気概。鬼才と謳われる映画監督役の豊川悦司が儲>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

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北イタリアの風土と光、ティモシー・シャラメの天才的な演技が圧倒的。だが正直、同性愛の描き方には違和感が残る。

ネックを傷つけないように優しくギターを置くシャラメと、発掘された彫像の手を置くアーミー・
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永い言い訳(2016年製作の映画)

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極めて逆説的だが、人は理屈=正しさだけで生きているのではないということを、西川美和の脚本と演出は徹底して正確無比な論理と言葉=台詞でもって表現しようとしているように思える。

だから、身に沁み入るよう
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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

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ヒッチコックというより、ポランスキー的な、例えば『ローズマリーの赤ちゃん』における電話ボックスの場面のような、何の変哲もない日常を異化させるサスペンス演出でありつつ、ケリー・ライヒャルトはそのさらに一>>続きを読む

はじまりへの旅(2016年製作の映画)

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子は親が思うほど子どもではなく、親は子が思うほど大人ではない。二つの死がそう告げ、やがて再生をもたらす。熾火のような愛情のもとで。

子どものように純真で、あらゆるものを見通せる賢者のようなヴィゴ・モ
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レディ・バード(2017年製作の映画)

5.0

ちょっと言葉にならない。きっと生涯にわたって一生愛し続ける作品。

何の変哲もない、ありふれた小さなひとつの季節を見つめるグレタ・ガーウィグの眼差しは、例えばウディ・アレンやノア・バームバックやレナ・
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

5.0

人は極貧の生活なかでもハミングすることはできる。いや、どのようなときであっても、人生はハミングとともにあらねばならないのだ。ケリー・ライヒャルトは地を這う現実の厳しさ、逞しさに宿る美しさを、等しく映し>>続きを読む

キングピン/ストライクへの道(1996年製作の映画)

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もう何から何まで最高なのだけれど、例えばラストの死力を尽くした決戦の後で、ウディ・ハレルソンが義手になったのはビル・マーレイのせいだと“かつては”思っていた、と答える場面。そこに至るまでの道中と相手の>>続きを読む

溺れるナイフ(2016年製作の映画)

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自主映画時代の『あの娘が海辺で踊ってる』で描いた、地方の少女が女優やアイドルという「消費財」として東京で一花咲かせるというテーマを、『おとぎ話みたい』を挟んで商業映画の土俵でさらに追求した結果、中身を>>続きを読む

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

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「グリーティングカードも、映画も、ポップスも、嘘ばかりだ」。その通り。
でも、嘘っぱちの物語を見たり聴いたりすることで、人は再び生き直すことができる。そして、その生き直された時間のなかでしか、私たちは
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卒業(1967年製作の映画)

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どこへ行くのかもわからず、ただ恋する心だけが頼りだった2人を置き去りにするマイク・ニコルズの客観と冷徹こそが、ともすればナルシスティックに陥りがちな青春の輪郭を滑稽さとともに精確に描きだす。

しかし
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アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

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ラストのエピローグ、危機に瀕した街の人々のなかから、ひとりの子どもがスパイダーマンのマスクをかぶり、敵と対峙する。

マーク・ウェブが描くのは、つねに男の子の自己形成と成長物語だということ。

アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

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危機に瀕した子どもを眼の前にしたアンドリュー・ガーフィールドが、何のためらいもなくスパイダーマンのマスクを脱ぎ捨て、正体を明かす場面は何度見てもグッとくる。

「物語のテーマはひとつしかない。それは自
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沈没家族(2017年製作の映画)

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『あるみち』と同時に鑑賞。
ともにいわゆる「自分探し」、自らの拠って立つルーツを主題にしているものの、『あるみち』がフィクションとしての強度を獲得しているのに対し、本作はより柔弱であるがゆえに親密で愛
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あるみち(2015年製作の映画)

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監督本人や母親、友人も自分自身を演じているということは、おそらく作品づくりのきっかけでしかない。

真に驚くべきは、エドワード・ヤンに通じる「透明な眼差し」、観察者でありながら、人物たちをさりげない優
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ピーターラビット(2018年製作の映画)

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怪作・問題作。
イギリスの庭園文化を下敷きにした淑やかな絵柄の原作世界を、アメリカの学園映画にある悪ノリと乱痴気騒ぎ満載の世界に移植させたといえばいいか。ウサギや動物たちが純粋でノーテンキな高校生その
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マリアンヌ(2016年製作の映画)

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嘘でしか語ることのできない本当がある。ロバート・ゼメキスの演出、スティーヴン・ナイトの脚本、アラン・シルヴェストリの音楽、すべてが身震いするほど素晴らしい。

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