【これぞフィルムノワール】
陰影を強調したシャープな映像で、官能的な悪い女が出てきて、ストーリーが二転三転して、映画好きが思わず喜びそうな演出があってと、ロバート・シオドマク監督の『殺人者』はこれぞ>>続きを読む
【夢をなくした奈落の底に~♪】
ジェラール・フィリップという俳優を知ったのは小森のおばちゃまが書いた『ビデオで観たい「スター」ベスト100』という本だった。
そこで初めてフィリップのご尊顔を拝し、>>続きを読む
【スイカのヘルメットが脳裏によぎる】
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』でもおなじみ『荒野の用心棒』。
それにしても先立って亡くなったエンリコ・モリコーネによる本作のテーマ曲を聴くと、最>>続きを読む
【木下惠介特集⑧ 木下惠介が作った自然】
木下監督作品の中でも、というよりは日本映画の中でも異彩を放つ深沢七郎原作『楢山節考』。
映画としては今村昌平版の方がテンポがあるのだが、あちらは完全にポル>>続きを読む
【木下惠介特集⑦ 丸い輪の世界】
私の家にも古いアルバム写真があって、その中でひいおじいちゃん(嘉永生まれ)の壮年~中年の頃の写真を見ると、丸い縁取りがされている。
この映画はそんな丸い縁取り写真>>続きを読む
【木下惠介特集⑥ W高峰の悲劇】
学生運動の機運が高まっていた1950年代、封建主義の全寮制女子大において自由と人権を求める女学生たちの群像劇。
高峰三枝子、高峰秀子の初顔合わせだが、三枝子と直接>>続きを読む
【木下惠介特集⑤ フラッシュバックは無音で突然に】
木下監督としては『二十四の瞳』と並んでキャリアの両極に位置する作品だと思う。
戦争未亡人(望月優子)が終戦後、闇屋や水商売に身を落としながらも必>>続きを読む
【木下惠介特集④ カルメン頑張れ】
『カルメン故郷に帰る』に続いて続編『カルメン純情す』。本編がカラーで続編の方が白黒ってなかなかないと思う。
技術的な制約があったのかもしれないけど本作のような暗>>続きを読む
【木下惠介特集③ 下世話なものほど人は群がる】
デジタルリマスター版を観た。あまりの発色の良さに見とれてしまった。
真っ青な空の中、白い煙をはく浅間山と白樺林、緑の大地に、目の覚めるようなリリィ・>>続きを読む
【木下惠介特集② ペテン師も立派な師のうち】
『陸軍』から遡って、木下惠介監督のデビュー作『花咲く港』。
原作は菊田一夫のヒット戯曲なので、元々キャラクター造形やストーリーはしっかりしているのかも>>続きを読む
【木下惠介特集① 75回目の夏】
終戦の日に木下惠介監督の『陸軍』を観る。
戦時中に陸軍省の後援を受けた戦意高揚映画であるものの、ラスト10分でがらっと様相が変わることで有名な作品。
幕末から満>>続きを読む
【水かきは一体何だったんだろうか……】
最近、BS-TBSやムービープラスで盛んに放映している007シリーズから記念すべき第10作にして、シリーズでも指折りのヒット作となった『007/私を愛したスパ>>続きを読む
【市川崑特集⑧ 本来だったら今ごろは】
今回で市川崑特集は一旦終了。
さて今回でレビュー850回目ですが、本来この時期にあるはずだった東京オリンピックを偲びまして(笑)、市川崑が手掛けた伝説的な記>>続きを読む
【市川崑特集⑦ 私は青二才】
たーちゃん(太郎)役の子役がとっても愛想よくて、笑顔を見ていると思わず心が和んでしまう。
1960年の『おとうと』と並びキネ旬ベストテンの第一位に輝いた本作は、タイト>>続きを読む
【市川崑特集⑥ 戦場(せんじょう)から船場(せんば)へ】
また長らく更新が空いてしまった。ちょっと来年あたり個人的に大きなイベントがあるので色々と準備に手こずっておりました。
という訳で久しぶりの>>続きを読む
【市川崑特集⑤ 腹が減っても戦をさせられる】
『比島決戦の歌』というのがある。軍部によって「いざこいニミッツ!マッカーサー!」と歌詞を改変されたが、当初の詞ではこの部分が「レイテは地獄の三丁目」だっ>>続きを読む
【市川崑特集④ なぜ彼は憧れだった寺に火をつけたのか】
以前の更新からだいぶ間があいてしまった。仕事やプライベートも忙しかったのは確かだけど、この『炎上』という作品は何度も観ないとその心臓部に達する>>続きを読む
【市川崑特集③ 勢いがあれば穴があっても飛び越えられる】
『穴』ってタイトルだとジャック・ベッケル監督の脱獄映画が有名だけど、自分が先に観たのはこの市川崑作品の方だった。
京マチ子主演の都会派ミス>>続きを読む
【市川崑特集② 音楽は非言語だからこそダイレクトに胸を打つ】
のちにセルフリメイクした『ビルマの竪琴』。こういっては何だが、市川崑作品は奇をてらわない作品の方が好きなのが多い。
1956年から19>>続きを読む
【市川崑特集① 七十年経っても人間やってることは変わらない】
溝口、小津、成瀬と日本を代表する監督を連チャンで観てきたが、今回からは市川崑監督を集中的に。
特に脚本家である奥さん・和田夏十さんとコ>>続きを読む
『フレンチ・カンカン』でも舞台になった伝説のレビュー小屋「ムーラン・ルージュ(=赤い風車)」。
そこの踊り子をモデルにしたポスターを数多く手掛けた画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの半生を描>>続きを読む
痛快さと皮肉さがミックスされたような時代劇『赤毛』。『赤ひげ』ではありません『赤毛』です。
いかにも岡本喜八監督らしい一本だった。
官軍の一部隊である赤報隊は新政府が掲げる年貢半減を村々に喧伝し回>>続きを読む
はい、元祖おディーン様の映画です。
ジェームズ・ディーンの映画はすべて三本とも観ているのだが、今まで感想文を書くのにためらっていた。
というのも、おディーン様は芝居が臭い(笑)ので、昔からあまり好>>続きを読む
『プレデター』や『エイリアン』とか観てると、SF映画に出てくるモンスターの設定やデザインって難しいなぁと思う。
大体はグロテスクな方向に走るけど、その点、本作は怪物の発想がよく出来ていると思う。>>続きを読む
『天使にラブ・ソングを…』は昔やたらめったら金曜ロードショー枠でやってたイメージがあるけど、Wikipediaみたら1996年以降からこの間の放送まで六回しかやってないそうな。
『天使にラブ・ソング>>続きを読む
成瀬作品もここで一区切り。成瀬監督の遺作となり代表作でもある『乱れ雲』。
突如、官僚だった夫を交通事故で亡くした若妻と加害者である青年が次第に惹かれ合う様を描いたメロドラマ。
1967年製作の本作>>続きを読む
これを最初に観た時はショックだった。同じ成瀬巳喜男監督の『浮雲』や『流れる』を観た時も印象に強く残りはしたが、ショックというレベルではなかった。
『乱れる』は新興のスーパーマーケットによって揺れ動>>続きを読む
本日5月14日金曜日は昼間にテレ東で『トータル・リコール』やって、夜に金曜ロードshowで『天使にラブ・ソングを』がやっていた。
いずれも20年以上前のテレビのロードショーを彷彿させるようなラインナ>>続きを読む
凄いよね、高峰秀子って。衣装考証もやっちゃうんだから。
銀座のホステスたち(ちなみにホステスという言葉が定着したのは1962年以降。それまでは女給と呼ばれていました)の悲哀を描いた成瀬作品。ホステス>>続きを読む
『驟雨』はどちらかと言うと軽めの作品で、倦怠期の夫婦によるやり取りをコミカルなスケッチ風に描いた作品。
『山の音』とか『浮雲』を観たあとだとちょっとホッとさせられる。
原作は岸田國士の短編戯曲で、>>続きを読む
『山の音』は川端康成の戦後の日本文学の最高峰と言われた小説。成瀬巳喜男監督によって映画化された本作も日本映画の最高峰……と言われるかはちと微妙な気がする。
本作も良い映画だと思うけどやっぱり『浮雲』>>続きを読む
夏場になると時々、遠くの方で音のしない稲妻を見ることがある。ゴロゴロ音がしない分、見ていて不思議な感じがする。
『稲妻』は大映で高峰秀子主演で作った成瀬巳喜男監督の作品。原作は林芙美子。
溝口健二>>続きを読む
『八十日間世界一周』と言えば、すぐヴィクター・ヤングのスコアにのせて気球が悠々と大空を舞う美しいシーンが思い起こされる。
しかしジュール・ヴェルヌの原作にはこの気球が登場しない。この映画のオリジナル>>続きを読む
本作の初公開時のポスターには以下のような宣伝文句が書かれている。
「結婚とは… 娘を有頂天にし 母親を買物の鬼と化し 父親をして金を吐き出すロボットと化すものなり」
見事に本作の内容を捉えた謳い文>>続きを読む
小さい頃はテレ東で『ピンク・パンサー』のアニメはやっていたし、『ドリフ大爆笑』の公開コントでもピンク・パンサーのテーマが流れていたので普段から馴染みがあった。
二十年近く前に深夜でピンク・パンサーシ>>続きを読む
『七人の侍』を観て感激したユル・ブリンナーが早速アメリカでリメイクした『荒野の七人』。
相当オマージュを捧げているせいか、メインストーリーや登場人物の設定のみならず、台詞や細かいディテールまで再現が>>続きを読む