このレビューはネタバレを含みます
あれやこれやのエピソードの連発で、ともするととっちらかった印象になってしまう展開を上手くまとめあげているのは、さすがは水木洋子と成瀬巳喜男の名コンビである。出演者もとても豪華で、作中で描かれている大正>>続きを読む
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映像は確かに綺麗なのだが、映画全体としての良し悪しがイマイチよくわからなかった。物語の根本が内省的な性質を持つ以上、台詞が少なくなるのは理解できるのだが、その割に映像として魅せるバリエーションがあまり>>続きを読む
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『カモン、カモン』もそうだが、A24の子どもに対する姿勢は常に等身大で描こうとしているように思う。それゆえに登場人物たちが抱えている葛藤が見えにくく、作品として淡白な印象も受けるのだが、それもまた解釈>>続きを読む
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『ゴドーを待ちながら』という作品は演劇を生業にしている人間であれば一度は通らねばならない作品であり、それだけ多くの人がこの作品に挑みながらも未だにどのような解釈をするのが正解なのか、、その答えを得られ>>続きを読む
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自分がもうすぐ死ぬとわかったとき、何をしたいと思うのか。恐らく、思い出の場所、思い出の人を訪ね、最期のお別れをする、、というのは本作の主人公と変わらないだろう。
他人に優しくありたい。そうやって豊か>>続きを読む
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生みの親も育ての親も精一杯なのだと思うとどうしようもないほど切なくなる。誰も間違っていないし、何が正しいのかを決めるのは結局シモンでしかない。しかし、その判断を彼に迫るのはあまりにも酷ではないだろうか>>続きを読む
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この作品、最初の音楽がフェードインしてくるところから映画を観ているときに得られる独特の高揚感を煽ってくる。アフリカ特有のパーカッションに時代背景の説明を合わせてくるのは、『七人の侍』のオープニングを彷>>続きを読む
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物語はデイヴィット・リンチの『The Straight Story』を髣髴とさせるおじいちゃんのロードムービーといった具合だが、自分も学生時代にバスでイギリス周遊をしたこともあり、より思い入れを持って>>続きを読む
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凄く良かった。本来、自分が好きな映画ってこういう王道の恋愛映画なんだと改めて実感する。最後は切ないけれどとても良い仕上がりの作品だった。
何よりこの話が実話をもとにしているというのが驚き。この世にま>>続きを読む
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う~ん、良いような、悪いような。三島文学の陰湿な雰囲気は出ていたように思うが、だからと言って良い映画だったとは素直に言えない自分もいる。あるいはそういう評価を安易に下せない曖昧さこそ、三島文学を読んだ>>続きを読む
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これは面白い!90分を映画として成立させるだけで難しいにもかかわらず、それを本作はワンショットでやってのける。その試みだけで本作がいかに良く作られているかを推し量ることができる。
そもそも映画という>>続きを読む
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本当に良くできた映画だった。今更ながら、劇場へ観に行かなかったことを後悔している。語るべき要素は多いのだが、まずもって画面に映る全てに神経が行き届いている丁寧な演出が素晴らしい。そんなことは映画として>>続きを読む
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台詞回しも演出も成瀬らしい軽快感のない稀有な作品ではあるが、個人的にはなかなか好きな映画である。台詞回しはレトリックが多用され、西洋演劇のような感じを持たせるし、演出もまた照明の使い方などが演劇的でこ>>続きを読む
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「親の心、子知らず」とは良く言ったものだが、本作は「妻の心、夫知らず」といったところだろうか。女の幸せとは何か、ということを追求し続けた成瀬らしい本当に良くできた映画だった。
本作の見どころと言えば>>続きを読む
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近松門左衛門が腕を鳴らした江戸時代、廓に通う町商人の借金が嵩んで首が回らなくなり、目をかけている遊女(あるいは女郎)と心中するということは実際に良くあったらしい。そのような時代性からか心中を題材にした>>続きを読む
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ホン・サンスの映画はどれも苦手で本作もご多分に漏れない。洗練されていると言われている構図も自分には退屈、というより映画を作ることを放棄している様に見えるし、仮にFIXで撮影するにしてもその必然性がどう>>続きを読む
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是枝監督にとって家族というのは映画を作るうえで外せないテーマなのだろうが、前作の『万引き家族』が是枝監督の最高傑作と呼ばれるに相応しい出来だったゆえに無意識のうちに本作の出来と比較してしまう自分がいた>>続きを読む
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本作のような映画は変に玄人ぶってとやかくいうもんじゃない。脚本の作り込み?演出?演技?ツッコミを入れようとすればいくらでも入れられるが、そんなのどうでも良い。こういうド直球で爽やかな夏らしい映画があっ>>続きを読む
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私が抱く1970年代のイメージは確かに持っているのだが、映画として面白いかと言われると個人的にはあまり、、というのが正直なところ。
男子中学生が年上の女性に恋をする、そのうえ2人の境遇に格差があると>>続きを読む
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往年の邦画で描かれてきた女性同士の静かなる闘いのような展開を予想していたのだが、それだけで終始しないところが本作の素晴らしいところである。
三姉妹、それぞれの人生がどこかうまくいかず、それぞれの悲し>>続きを読む
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元が写真家というだけあって映像も美しいし、物語もあらすじだけ読めば社会性があって魅力的、、そのうえカンヌで話題となれば見ないわけにはいかない。と、劇場に真っ先に足を運んだのだが、少々物足りなさを感じた>>続きを読む
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Filmarksの評価はイマイチだが、黒澤映画が好きな私としては、かつて黒澤組で腕を鳴らしたスタッフ、役者が映画を作ったというだけで観る価値の映画だと思う。制約の多い近年の映画界であれだけのエキストラ>>続きを読む
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黒澤明の『七人の侍』のはじまりとも言える『侍の一日』がこの映画に少なからず影響を与えていることを考えると非常に感慨深い。黒澤明が『生きる』を撮った後、橋本忍と着手したのは、侍が朝起きて、ひょんなことか>>続きを読む
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映画でここまで泣いたのは久しぶりである。長時間に渡る回想シーン。伏線を回収するように丁寧に、だとか音楽で誤魔化すな、、といった批判もあるようだが、本作においては回想シーンに至るまでの全てが伏線であり、>>続きを読む
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淀川さんの映画論(脚本編)で紹介されていたのと、知り合いからおすすめされたタイミングが重なり、観賞。最初のシーンで観客の心をわしづかみにし、そこから観客の心を離さない構成は本当に素晴らしい。
何より>>続きを読む
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全体としては粗削りなのだが、そもそも日常生活そのものに緻密さなどないのだから、日常の中の非日常を描いた本作が粗削りであるように感じるのは存外普通のことなのではないだろうか。
何か明確にこれが良いとい>>続きを読む
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最初に「分福」の名前が出てきて、納得が行ってしまった。成瀬巳喜男を敬愛する是枝さんというだけあって、彼が描き続けてきたのはいつでも庶民の眼差しである。そこには常に権力や時勢に翻弄される人々の営みがあっ>>続きを読む
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映画化が決まる前から原作を読んでいたのだが、この作品が映画化、しかも『悪人』や『怒り』で有名な李監督がやると聞いてこれは面白くなりそうだと予感したのを覚えている。結果、梨花のその後が描かれていなかった>>続きを読む
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成瀬映画の割に結末への共感が得られないのは時代のせいだろうか。
妻と娘を置いて田舎へ出たっきり帰ってこない夫。その夫が向かった先は、かつて芸者をしており、現在は田舎に住む妾。置いていかれた妻と娘から>>続きを読む
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旅も人生も目的地が大事と言われるが、それ以上に目的地にたどり着くまでの過程で何とどのように出会うかがいかに大事であるかを本作から思い知らされた。
人生に1度あるかどうかの仲違い。自分が、あるいは相手>>続きを読む
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彼女たちの純真が戦争に使われていたということを考えると何とも悲しい気持になる。もっと別の、、何か自分たち自身の幸せに直接つながるような何かにその純真が注がれていたなら、、歴史にたらればはご法度だが、そ>>続きを読む
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さすがの一言。
結局大人はな~んにも
わかっちゃくれない。
母親も唯一の友も失った彼だが、
これから東京で力強く
生きていってほしい。
悲しいだけではなく
そういう優しい眼差しが
成瀬映画には必>>続きを読む
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黒澤が作った映像芸術としては傑作に違いないのだろうが、どうも彼の後期作品は好きになれない。映像効果や役者の演技等々、、ひとつひとつのエッセンスは天下一品なのだが、ひとつの「映画」として作品をとらえたと>>続きを読む
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成瀬映画の割には物語の展開や演出に多少の強引さは感じたものの、『娘・妻・母』にも共通する女性の女性としての一生を豊かに描いているように感じた。特に、戦前~戦後にかけての時代、女性がひとりの人間として生>>続きを読む