くまやまさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

4.0

中年に差し掛かり、人間として/親として/子供としていろんな角度から迫り来る困難に向き合うレア・セドゥが素晴らしい。メルヴィル・プポーはだめなやつだけど、着てるセーターがかわいいし同じ誕生日だしつい肩を>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.0

100%シリアスな息を呑む内容なんだけど、加害者のお母さんが「ハンドメイズ・テイル」でギンギンに狂ってたアン・ダウドなので突然とんでもないことをするんじゃないかと気が気でなかった。「Mass」という非>>続きを読む

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

4.0

「ヒトラーのための虐殺会議」終わり。アイヒマンとかの完全にキマッてる連中はさておき、中には"比較的"まともそうな人たちも出てくるんだけど、その人たちも最終的には「ユダヤ人が蒸発してくれれば一番楽ですな>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.0

いい映画だった。いい映画だったんだけど、農村の貧困を"清貧"として描きすぎる、そしてそれに「奇跡の映画!」的な文句がつくとなんとなく中国版「PERFECT DAYS」(観てないけど)みたいな気持ち悪さ>>続きを読む

葬送のカーネーション(2022年製作の映画)

4.0

棺桶を背負った祖父と孫は荒涼の大地をあくまでも寡黙に歩き、道中で出会う人々やどこからか聴こえるラジオだけが雄弁に語る。ほとんど何も起こらないのに不思議と全く飽きない。現実の紛争と夢幻の祭囃子が交差する>>続きを読む

カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)

3.0

リック・ローマン・ウォー×ジェラルド・バトラーの「グリーンランド」コンビは一見すると85分でキマる荒唐無稽っぽい内容を、それなりに見応えある2時間の映画に仕上げ、とはいえ爆破すべきところはしっかりと爆>>続きを読む

ウーマン・キング 無敵の女戦士たち(2022年製作の映画)

4.0

確かに日本では劇場公開されなさそうな題材ではあるけど、ここまでエンタメ作品としての完成度を高めてもダメなのかと悲しい気持ちになる。"無敵の女戦士"以外の何者でもない仕上がりのヴィオラ・デイヴィスだけど>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

4.0

2023年の"最高のエンドロール大賞"はこれに決まりだった。「X」の時に感じた絵面のAI生成っぽさは相変わらずありつつも、後のパール婆さんに仕上がる狂気をほぼ顔だけで体現したミア・ゴスは素晴らしい。む>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

3.0

全体的になんとも陰鬱なトーンながら、絶妙に荒廃した世界の風景と主演の二人の妙演(という語感が似合う)で決して悪くはない。悪くはないけど個人的に好きかと言われるともうちょっとこう、なにか"楽しさ"がほし>>続きを読む

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

3.0

冒頭から「これは「SW」のポシャった企画です」と言わんばかりの説明が入って潔い。どこかで見たような画のオンパレードなんだけど、"ライトセーバー(のようなもの)を振り回すペ・ドゥナ様"という全人類が求め>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

事件のことを何も知らなかったので最初の夜の時点で「こんなの絶対生き残れないだろ…」と思ったら…人間というのは本当にすごい。ポスターの感じに反して?墜落シーンとナレーションにはしっかりバヨナを感じる仕上>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

2.0

「現代に甦るダリオ・アルジェントの世界ィィィッ!」以外のものは特になにもないんだけど、失明による主人公の苦難も殺人鬼の襲来も全てを盲導犬が解決するストロングスタイルおよび一発でイタロホラーの世界に引き>>続きを読む

ヴォルーズ(2023年製作の映画)

3.0

この二人がわちゃわちゃやってれば内容はなんでもいいところはあるし、一見すると凡百なエンタメなんだけど、メラニー・ロランらしいテーマとアデル・エグザルコプロスのやたらガチな(そして説得力ある)アクション>>続きを読む

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

4.0

起きてる出来事のあまりのひどさに釘付けになってしまった。「いくらなんでも話の都合で愚かに描きすぎでは…」とも思ったけど、天災に乗じてヘイトモンスターがクソ主張で一部の支持を集めてる姿に暗澹とした気持ち>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

4.0

ミーガンの動きや表情が素晴らしくていつまでも見ていられる。終盤はミーガンが万能に仕上がりすぎちゃったのでもう少し人形らしい節度を持たせてほしいところだけど、最後のアツい戦いもよかったので細かいことは言>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.0

「スマイル」の時も思ったけど、設定はユニークで、ビジュアル的な掴みもあり、オチもキレイでおもしろい。でも自分はホラー映画に「理不尽さ」「わからなさ」みたいなものを求めてるんだなと最近気づいた。せっかく>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

5.0

疲労困憊の今年を締めくくるにふさわしい素晴らしい映画。なにがかと言われるとうまく言葉にできないけど、給湯器は壊れ、身内は精神を病み、隣人には腹が立つことばかり…でも芸術はそんなパッとしない日常のすぐ隣>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

最悪だった。こういう「太陽がいっぱい」的な内容にはあんまり関心がないんだけど、さすがバリー・コーガン、目が離せなさすぎる。目がギンギンのロザムンド・パイク以下異常家族のみなさんもよかった。まともな人間>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.0

すごくよく人間を観察してる人が作った映画なんだろうなと思うし、俳優陣もそれを汲んでとてもいい仕事をしてると思う。かといって視線自体にはウェットなところがあまりないのもいい。80分ちょっとという尺もいい>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.0

昔観た時ちょうどBuzzcocksのベスト盤を買ったばかりだったので劇中で「What Do I Get?」が流れて驚いた思い出。変わらず好きな作品だけど、今は完全に客観的に観れてしまうのが悲しいような>>続きを読む

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)

4.0

ようやく観れた。ありがとうスターチャンネルEX。長年の期待を裏切らない切れ味だった。若者の過剰な友情が倒錯していく作品は数あれど、ジョセフィーヌ・ジャピとルー・ドゥ・ラージュは特に素晴らしい。2人の笑>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

近作では確かに自分の中で"評価が怪しく"なってたカウリスマキだけど、この人の素朴な愛の表現が(その試みがどんなに無残に失敗しようとも)やっぱり好きだな。おもしろくないという意味じゃなくて81分なのにす>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

4.0

特に期待もなく観に行ったけど、なんだかんだでシャラメは画になるなぁ、ジョニー版よりロアルド・ダール感があるなぁ、なんか見覚えがあるけどこのチーム感いいなぁ(「パディントン」の監督だった)…とわりと満足>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

4.0

最初「ロックダウン時期に佃煮にするほど作られたワンシチュエーションものか…?」と訝しんでたけど、ビーチにいきなりタンカーが突っ込んできたところで思わず姿勢を正した。その後もガツンとくる画が次々出てきて>>続きを読む

65/シックスティ・ファイブ(2023年製作の映画)

2.0

今や出る作品をなんでも選べそうなアダム・ドライバーがこれに出てるのはメジャーな映画スタジオの中でも特に劇場公開にこだわってがんばってるソニー・ピクチャーズだからなのかな、それともなにかの副産物なのかな>>続きを読む

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)

4.0

俺たちはいつまで経っても「「アバウト・タイム」の製作陣が〜」の一言に弱い。重すぎず、軽すぎずでよかった。パキスタン系の人がバスの中で「僕は誇り高いムスリムだ」と電話しながら荷物を床に置いたら周囲の人の>>続きを読む

シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

3.0

「シアター・キャンプ」終わり。ドキュメンタリー風に撮ってて実際アドリブがすごく多いんだと思うけど、途中までは「これ成立してる…?」と不安になりながら観てた。でもなんだかんだで最後のミュージカルがすごく>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.0

戦争のシーンは当然のようにどれも素晴らしい。ボナパルトの兄貴の半生と個人的なことも(真偽はともかく)よく分かりました。ではそれ以上のなにかがあるかと言われると微妙なところだ。でもこれたぶん家のテレビで>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

5.0

4年越しの期待を上回る傑作。ケリー・ライカートが描くアメリカの風景が素晴らしいのは毎度のことながら、今回は音楽も、作劇も、そしてなんとなく道を共にする2人の佇まいも、荒々しい開拓時代には生きづらそうな>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

最高だった。秀吉・秀長・官兵衛のトリオ、永遠に見ていたい。途中ちょっと黒澤明の「夢」みたいになるところもたまらない。笑いと暴力だけなら「アウトレイジ」にもあってそれなりに楽しかったけど、個人的には北野>>続きを読む

眠りの地(2023年製作の映画)

4.0

名優2人が実際にあった痛快な訴訟を映画化するという、基本的にはハズレようがないタイプのアレなんだけど、それが(しかもおそらくは初監督作品で)ちゃんと期待どおりに仕上がってるところにPrime Vide>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

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カウリスマキの新作も公開されるし、"労働者三部作"で観たことなかったのがPrime Videoに来てるし、勤労感謝の日だし…で完璧なタイミングだった。毎日つまらなそうに働いてる我が社の社員たちもカウリ>>続きを読む

ボトムス ~最底で最強?な私たち~(2023年製作の映画)

4.0

すごかった。単純にめちゃくちゃ笑えて異様におもしろい前半からだんだん漫画太郎の「地獄甲子園」みたいになっていくのがまさにカオス。今こそ「ファイトクラブ」をクィア版でやり直すタイムリーな視点とエグい暴力>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

「信じる者は救われる」の超絶拡大解釈(信じていれば暴漢に襲われても白馬に乗ったキリストが颯爽とやってきて皆殺しにしてくれる)、主人公カップルの関係性はじめ手塚治虫の漫画っぽさ、ファック教会!と言わんば>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

(意味は分かるけど)全然ピンとこないタイトルの時点で全く期待してなくてすいませんでした。おもしろかったです。ていうかゴジラ良し・人間良しで特に文句をつけるところがなかった。でも「これは"性のメタファー>>続きを読む