oVERSONさんの映画レビュー・感想・評価

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サブスタンス(2024年製作の映画)

2.6

この物語に140分も付き合えない。短編向きの話だし、短編向きの映像表現だと思う。
なぜこれだけ長い尺があって、バックステージものとしてのディテールへの言及がゼロなんだろうか。
2025-22

ドールハウス(2025年製作の映画)

4.0

設定を最大限に活かした演出を軸に映画を撮り続けてきた矢口監督らしい、かなりハイクオリティなホラー映画。
であればなおさら、人形の顔が悪霊の相に変化する演出は、ドール映画という設定の旨味を損なうものだっ
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国宝(2025年製作の映画)

3.2

歌舞伎という表現のもつパワーや役者のエネルギーについて、序盤から息を呑むように観ていたが、主人公らが一定以上のレベルに達して以降は特に変わり映えせず飽きてしまった。
これだけ主演二人の歌舞伎を見せてお
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110番街交差点(1972年製作の映画)

5.0

イタリアンマフィア、黒人ギャング、警察の三つ巴で、組織の金を掻っ攫った強奪犯を追うという構図。マフィアとギャングの牽制や睨み合い、憎み合いに常に緊張感が走る。
逃亡犯側や警察側にもなかなか濃いドラマが
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恐怖の岬/ケープ・フィアー(1962年製作の映画)

4.2

ひたすら気持ち悪くていやらしいストーカーの役を、目つき体つきだけで演じてみせたロバート・ミッチャムが凄い。オーバーアクト気味なデニーロが主人公を演じる後年のリメイク『ケープ・フィアー』よりもこちらの方>>続きを読む

オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)

4.6

前半のうちにもうクライマックスを迎えたような雰囲気で、「このあとの展開どうするんだ」と思っていたところから、ジャンルをスライドしてさらに風呂敷を広げていくのにビックリした。設定の良さを活かしきっている>>続きを読む

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

4.0

どの役も、なかなか適切に演じるのが難しそうな設定なのにハマっていた。主演も助演も、相手のアクションを受けての反応をすごく繊細に表現していた。
2025-16

ブレスレス(1983年製作の映画)

5.0

他人の問いかけや望みには答えず、ひたすら自身の感情の高鳴りに従って行動する、主人公の自己完結具合・コミュニケーションの一方通行っぷりが面白い。
一つのシーンでいくつものカットを押さえているのも良い。画
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バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

5.0

悪徳刑事の悪行や懺悔を、フェラーラらしいケレン味たっぷりに描く唯一無二の作品。
86年ワールドシリーズのメッツの逆転劇を思わせる展開、刑事モノならではの奇行・暴走の数々など、設定の妙が生きている点がや
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ジョー・ブラックをよろしく(1998年製作の映画)

3.3

ここぞの場面の豪華なビジュアルは見事だが、何段構えのオチか分からなくなるほどクロージングがくどい。
また、死神の成長が大き過ぎ、地続きで同じキャラクターとして見ることが難しい。ほとんど死神らしさを残し
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名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)

3.0

演奏シーンが思ったより長かったが、俳優の歌や演出のクオリティが高く、思わず聴きいってしまったし、映画の尺としては長く感じなかった。
ただ、「当時こんな感じでした」という雰囲気が伝わってくるのみで、映画
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黒い天使(1946年製作の映画)

2.8

犯人探しの過程で見つかる疑わしき人物が、真犯人に辿り着くための分岐点になっておらず、物語自体にも特に実りをもたらさないという点が本作の致命的な欠陥。
2025-11

ビクター/ビクトリア(1982年製作の映画)

4.7

レスリー・アン・ウォーレン演じるノーマのキャラクターが強烈。見た目はマリリン・モンローに寄せてはいるが、役どころは『雨に唄えば』のジーン・ヘイゲンっぽい。
ミュージカルコメディらしく、魅力的な嘘の演出
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

2.5

30分の短編に100分超のプロローグをドッキングしたような印象。終盤の映像的な飛躍は面白かっただけに、主人公の病理から遠いところをグルグルと周回するだけの中盤までがあまりにも退屈。
2024年時点にお
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セプテンバー5(2024年製作の映画)

3.8

いわゆる「お仕事映画」としては素晴らしかった。TVクルーの慌ただしい現場を息もつけないようなアップテンポで見せていくのだが、手元や顔のクローズアップの挟み方に緊張感があって良い。
緩急のない作りで後半
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お嬢と番犬くん(2025年製作の映画)

1.9

「内気なヤクザの孫娘と組の若頭との恋を描くラブコメ」という一風変わった設定、人気アイドルと若手女優が演じるラブコメ定番のシチュエーション、それ以上のサービスは一つも無い映画だった。
二人の恋の障壁をき
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私のベレット(1964年製作の映画)

2.5

なかなか血迷ったとしか思えない、大島渚の企業PR映画。車が欲しくなるような内容では全くないし、第3話に至っては車すら印象に残らなかった。
2025-6

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024年製作の映画)

4.4

史実とは思えないほど良く出来た師弟関係モノ。悪徳弁護士と不動産王の言葉に安っぽさや嘘っぽさが無く、それでいてユーモアがあるのが素晴らしい。
トランプのサクセス以降、ロイ・コーンとのドラマ以外のシーンが
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(2025年製作の映画)

3.4

黒色のニュアンスが豊かな、見惚れるようなモノクロの映像だった。それなのに、なぜか亡妻が出てくるシーンの画が淡白で惹かれなかった。
元大学教授の俗な欲望、亡妻とのすれ違い、他者への関心/無関心、テーマを
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Broken Rage(2024年製作の映画)

1.0

前後半でトーンを変えた実験作とのことだが、そもそも前半のドラマに惹きがない時点で失敗している。
劇場公開作では出来ない実験のつもりだろうが、いくら配信とはいえもう少し面白いものを観たい。
2025-3

隣人13号(2004年製作の映画)

3.6

配役の妙で楽しめる作品。復讐を容赦無く描けば描くほど、いじめによって壊れた復讐者の人格が浮き彫りになるという優れた作り。
ワンシーンが長く、終盤になるにつれ冗長さを感じてしまう。
2025-2

夜明けのうた(1965年製作の映画)

4.0

冴えに冴えまくった長回しのカメラワークが素晴らしい。合間合間で短く眠る、多忙なスターの生活を追体験させるかのような時間経過のさせ方が良い。
2025-1

密告者(1965年製作の映画)

3.6

サスペンスな緊張感を煽るカメラワークはくどいが斬新でもあった。
犯人のやり方が少し回りくどく感じた。捻りすぎて所々スマートでない。
2024-74

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)

5.0

息子に「論点ずらし」の実演をしてみせ、「正しく論ずれば間違いを犯すことなどない」と語るシーンは、怖いくらいの説得力を感じさせる。
言論、労働といった観点からアメリカの実態を見つめ直す傑作。『アプレンテ
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TOKYO FIST 東京フィスト(1995年製作の映画)

3.9

ロケーションが良い。建造物の無機的な質感を見せるのが上手い。
三者三様の暴力性や倦怠をきわめてバイオレンスなやり方で見せている。
2024-72

キラー・インサイド・ミー(2010年製作の映画)

3.1

凶暴性にも、スマートさにも欠ける殺人鬼像に怖さや面白味を感じられず。やけに流暢な映像でのストーリーテリングが浮いていた。
2024-71

新・仁義の墓場(2002年製作の映画)

5.0

人ではなく、獣の顔を見ているかのように思えてくる。あんなに危ない顔を見せられる俳優はいないと思う。
2024-70

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

2.8

空虚な主人公を演じるには、菅田将暉はあまりに人間臭過ぎる。転売の描写も、取材していない人が想像で書いたようなディテールで面白味がない。
2024-69

恋愛準決勝戦/ロイヤルウェディング(1951年製作の映画)

4.2

ダンスシーンの大仕掛けやアイテム使いが非常に面白い。軽快で映画を重くしない塩梅のドラマも程よい。
2024-68

マネーボール(2011年製作の映画)

4.6

ジョナ・ヒルにフロント業を教え込む形式を取っているから、観客側にもスポーツビジネスの実際が分かりやすく伝わる。アッパーな部分とトーンダウンさせる部分とのバランスが良い。
2024-67

白昼堂々(1968年製作の映画)

3.8

万引き犯たちの物語を人情喜劇に仕立て上げるあたりは、さすが松竹映画といったところ。
倍賞千恵子に擦れたキャラクターのイメージは無かったが、これはハマり役だと思う。
2024-66

密輸 1970(2023年製作の映画)

5.0

決裂したシスターフッドが修復するまでの経過を、「拒絶→利害の一致による協力→共闘→和解」と、困難を交えながら時間をかけて描写しているのが素晴らしい。
道徳ではなく、欲とプライドに従って行動する登場人物
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フェラーリ(2023年製作の映画)

2.1

レースまわりの描写が圧倒的に不足している。不倫関係や愛人の子とのドラマも、映画の軸となるには弱い。
「主人公の不倫については、快くはないが黙認しているのかな」と誤認させるようなリードの仕方も下手。
2
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.8

教員の半端じゃない忙しさと混乱を極める職員室・教室の様子が伝わる移動ショットや編集のテンポは良かった。
主人公の行動にこれといった変化がない上に、キャラクターとして最後まで振り切れないのが惜しい。
2
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崖っぷちの男(2011年製作の映画)

5.0

飛び降りしようとする主人公が「交渉人と交渉する」捻った展開と、並行して見せる強盗パート、どちらも高い熱量で描けているのが凄い。カット・シーン・シークエンス単位で見ても全体通して見ても素晴らしいテンポの>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

3.5

社会派サスペンスとして被害者家族と記者の両側のドラマを掘り進めていく中盤まではとても面白い。
捻りのない希望と再生を、後半丸々使って描いてしまったのが残念。冗長なエピローグを見せられているような感覚に
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