貝さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

凪待ち(2019年製作の映画)

3.5

愛する人を失ってギャンブルに依存し、借金返済の為に借りた金をドブに捨て、残された子供を引き取る決断もできない。石巻という多くのものを失った町で、喪失感にただ飲み込まれていくだけの男。
ドラマのような、
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.5

あれだけ話題になってても頑なにギレルモ・デル・トロの世界観に興味ねえなあってスタンスだったけど、水を使った表現は美しく映画に込められたメッセージもわかりやすく素晴らしい作品だった。食わず嫌いは人生を豊>>続きを読む

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版(1991年製作の映画)

3.0

やっぱ長い作品は映画館に限ると毎度言いながらナイスなタイミングでやってたヴェンダース特集にも、結局重い腰は上がらなかったね。

前半は世界をただ自由に旅しているだけかのようで本来の目的を完全に忘れてい
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私というパズル(2020年製作の映画)

3.5

開始30分ほどある出産シーンだけでも見る価値があったと思うくらい素晴らしくて悲しい命の誕生の瞬間だった。本当に辛いから覚悟してみた方がいい。

人が亡くなるということは物理的な負担も当然うまれる。裁判
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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.0

テンポ感すごいな、ずっと早送りしてるみたいな文字数と展開の速さ。人物ひとりひとりの情緒とか感じてる暇ないし、事実のみが淡々と語られてくのTHE社会派って感じ、信じられない事実だらけで怒りでいっぱいにな>>続きを読む

好奇心(1971年製作の映画)

3.0

こんなにカラッとした近親相姦があっていいんだ、、って既成概念をぶっ壊されそうになった。忘れろとも言わない。思い出にして大人になりなさいなんて、その発想はなかった。若くて美しい母と美少年が禁断の関係を持>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

3.5

3回トライしてようやく見終えることができた。2回目はオープニングのクレジットで寝てしまってさすがにやめようかと思ったけど。

父親の政治思想と彼の親との関係が簡潔に話されててこの家族の事情みたいなもの
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.5

歴史背景とちょっとした解説くらい先に見といても良い気がする。余白が多いので観ながら考える時間が多すぎる。

暗くて寒い時代の空気が映像によく反映されてる。家や森の中に差す光の入り方も決して暖かくはなく
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映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)

4.5

もちろん後追いだけど私にとっては超超超超とくべつなバンド。でもバンドのこういう中のことなんて知る由もなかったから、この映画でちょっとわかった気になってしまった。し少しでもわかれて嬉しかった。

佐藤伸
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ファザーフッド(2021年製作の映画)

3.0

いい映画だったなまったく。
自分のポリシーと経験者としてのおばあちゃん達の意見との間で迷いが出ちゃうのとか、いくら頑張っても子どもの孤独を埋めてあげられなかったりとか、恋愛もうまく出来なかったりとか、
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彼女(2021年製作の映画)

3.0

感情だけで走り出せるなら誰だってこうしたい。オープンカーで全部風で吹き飛ばして何も考えずに逃げてしまいたいし盗んだバイクで走り出したいし人生が本当に終わるなら寿司でもカツ丼でも腹いっぱい食いたいし感情>>続きを読む

巌窟の野獣(1939年製作の映画)

1.5

イギリス時代最後の作品だそうです。この作品含めここまで、自分の作品を駄作としてるものが非常に多くて、仕事の受け方や脚本の練り方、役者の選び方、巨匠といわれるヒッチコック自身もこうして失敗を重ねて学んで>>続きを読む

サマーフィーリング(2016年製作の映画)

3.0

デマルコ出てくるとか聞いてなかったよね。友達のバンドだったっけ?感想も何もないけどデマルコとして出てきてライブもいつも通りな感じでなんか良かった。

夏と喪失感ってこんなにしっくりくるかーと思った。湿
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.5

素晴らしすぎ!!!それしかない
シンプルな舞台美術、衣装、裸足の演者。生の音の一音が鮮明に聴こえるバンド構成、リズム感のよさ。超ミニマルで楽しくてわかりやすくて最高だった。

デヴィッド・バーンはスコ
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モンスター: その瞳の奥に(2018年製作の映画)

3.0

ナズとロッキーに絡まれたらあんなもんこわいに決まってるやんって話。ロッキーの被写体としてのかっこよさが流石だった。。だいすきです。トレイラーおしゃれだったし映像にも温かさや平穏さが漂ってたのに、、突然>>続きを読む

豚と軍艦(1961年製作の映画)

4.0

とにかく吉村実子の存在感が半端じゃない。あどけない顔つきと鋭い目つきと、この春子という役柄のパワフルさ、似合わないフレアのドレスで闊歩するラストシーン、全部かっこよくて勇ましかった。

米軍とそれに寄
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田園に死す(1974年製作の映画)

4.0

途中までもうこれリアリティのダンスじゃん、、と思いながらみてたけど最後までみると作中でもずっと自問自答し続けて結末も何もなく現在進行形な感じがして、すべてが抽象的でわかりにくくて、複雑なんだなあと思っ>>続きを読む

わらの犬(1971年製作の映画)

3.5

ひたすらのひたすらに夫がダサすぎて情けなすぎて滑稽で見てられなかった。いじめられて何もできないで奥さんのせいにして言い訳ばかりしてる姿も可哀想だしわかるよ理不尽にいじめられてるのに申し訳ないごめんけど>>続きを読む

ザ・コール(2020年製作の映画)

3.5

終始ドキドキしてめちゃくちゃ面白かった。バーニングでも素晴らしかった女優さんチョン・ジョンソ、めちゃくちゃ良い。

過去と現在が繋がることであるところで人生が何度も何度も攻守交代しながら180度形を変
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アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)

4.0

差別意識を植え付けられる過程を見てもやっぱ構造的な問題なんだと落胆するしかないけどでもやっぱりひとりひとりの心を動かすのはひとりひとりの人間の力なんだよなあという希望を見出せた。救いようのないラストに>>続きを読む

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.0

俺の話なんて誰も聞かない、ラップで語るのはみんなが話を聞くからだっていうとこまじ泣いた。

映像的に新しいものはとくになかったけど、この作品は言葉の使い方が上手くて多分日本語訳も上手くて、ストレートに
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台北ストーリー(1985年製作の映画)

3.0

エドワード・ヤン2作目なんだけど、この人の作品はぜーったい映画館で観るべきだと実感。とりとめのない会話が多すぎて、抽象的すぎて、雑音の多い自宅ではまったく集中できなかった。

頻繁に登場するアメリカと
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レイジング・ブル(1980年製作の映画)

4.0

輝いていた時の姿にも、いつ落ちてくかわからない危うさがずっとあってドキドキした。カヴァレリア・ルスティカーナが過去の栄光を思わせるような切ない旋律で、始まった時からずっと、終わっちゃうんだなあこの人と>>続きを読む

トラベラー(1974年製作の映画)

3.5

この少年の行動力尊敬しかない。肝が据わりすぎてる。
自分の目的の為に平気な顔で嘘をつくことに罪悪感を持たないところ、心配になったけど、こんな子供たちが押さえつけられてるような環境では貴重な逸材にも思え
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.5

バッダスの眼鏡姿シンプルニューヨーカースタイルがギャップイケメンすぎてキュン

繰り返される黒人差別とタイムループの組み合わせはなるほどすぎるし説明としてめちゃくちゃわかりやすいし短編にするにも最適だ
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.5

今ブラック・ミュージックと差別の歴史についての本をちょうど読んでいるところで、この作品も黒人の精神に刻まれたブルースと差別について描かれたもので、かなり理解が深まった。

マ・レイニー(ヴィオラ・デイ
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サスペリア(1977年製作の映画)

3.0

何かおかしいがオープニングからずっと地続きで最後までピークが来ないのに全然飽きない。色彩がイカレてて見応えある。

ホラーとしての仕掛けも斬新でなんか笑ってしまうようなところも多々あって新鮮でおもしろ
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トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ歪んでたなあ。言葉での説明がつかないけど、暴力とセックスの結びつきと、相反する好きという気持ちが全部同時に入り混じってしまえる複雑さが複雑なまま、でもなんか気持ちわかっちゃうみたいな絶妙な>>続きを読む

オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

3.0

さまざまなタイプの母親たち、ジェンダーの人々が出てくるし抱えてる問題もあるけど、皆強くて明るくて、それぞれがちゃんと問題に向き合って、助け合って、前を向いて、素晴らしいなと思った。

母になることがど
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エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)

3.5

エリン・ブロコビッチ。まずはこの迫力ある名前にもうなんかしらの力強さを感じずにはいられません。

社会的な信用さえなかった彼女が弁護士事務所で成功していく奇跡みたいなサクセスストーリー。どう考えても彼
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バルカン超特急(1938年製作の映画)

3.0

説明不足な点が多く、終わりに向かって失速する脚本の粗さは感じるけども、初期から順に観てると多分久々におもしろかった作品。同じプロットの作品はのちにいくつも出ていてどんどん洗練されてくのは当然だしな、比>>続きを読む

にあんちゃん(1959年製作の映画)

3.5

戦後の復興を遂げた東京と廃れゆく地方の差が甚だしい。同じ国の同じ時代とは思えないレベル。在日コリアンだそうだけどそこに言及する描写はそれほどなく、もはや関係ない。この町には未来ない。

兄妹が離ればな
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(1997年製作の映画)

3.0

エキストラの仕事で川に入ってからずっと首が曲がって痛くて最後まで治らないのまじ意味わからんけどまぬけでおもしろすぎ。何を暗示してたんだろう。ずっと何もわからなかった。

デビューからの3作の中で一番生
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ノトーリアス・B.I.G. 伝えたいこと(2021年製作の映画)

3.5

なんとなく名盤だから聴いてただけで特別好きってわけでもなかったけども、こうやって彼の人生から創作からスタイルから知ることはやっぱ重要だなと実感。Ready to dieがどんな経緯で作られたか、リリッ>>続きを読む

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

3.5

あまり説明がないままに、流れるように登場人物が紹介され、裁判が始まる。テンポよすぎて油断してたら何が起こってて誰がどの立場で話してるかわからんくなって、一旦止めて初めまで巻き戻した。

会話の横行にも
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コロンバス(2017年製作の映画)

4.0

例えば音声オフにして映像見てるだけでもきっとおもしろいだろうなと思うくらいの、写真集のような美しさがあった。建築に興味を持ったことはなかったんだけど、自然の色彩の中に佇むコロンバスの建築はそこにある異>>続きを読む