okaさんの映画レビュー・感想・評価

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三度目の殺人(2017年製作の映画)

4.0

「怨恨の場合は殺意を抱くやむを得ない事情があったって考えるわけ」「でもそれで罪の重さが変わっちゃったら…」 法律で全てを管理するのは不可能なのだろう。本質的な善し悪しは当事者にしかわからなかったり、時>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.2

「敵に襲われた時に身体中の力を全部抜いて諦めます」
諦めながらも彼は前に進もうとしている。しなやかな力強さすら感じる。
運命に抗う姿は、いつだって我々の胸を打つものだ。ギリシャ神話のシーシュポスの様に
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DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

4.1

「ほんとにあそこにいなきゃわからないことがたくさんあるんですよ」それが真理なのだろう。実際、当事者にしかわからないことは多い。しかしそれでも話し合ったり、知ろうとする努力は必要なのだと思う。物事の一端>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.8

「できるなら、この世界を守りたい」
「君は世界を守れ、俺は君を守る」
誰かの為に生きることができれば、人は無心で生きられる。
社会の暗部や人間精神の奥底を、あぶり出した普遍性のある作品。

ドアをノックするのは誰?(1968年製作の映画)

3.6

信仰、罪や贖罪、鬱屈した人間の暴力性…
タクシードライバー等で描かれた『孤独と狂気』の原点が、ここにある。

フルートベール駅で(2013年製作の映画)

3.9

「タティアナ:やだー!行かないで。怖いよ」「オスカー:何が怖いの? 」「おそとで銃の音が聞こえる」「いいかい、あれは花火の音だ」差別がある世界では、暗示的な恐怖が常に存在する。誰しもが、最低限の安心を>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.8

「家と仕事を得るには、家や仕事が必要…」
哀愁に満ちたこの映画にも、ユーモアや人(そして犬)の温かみ、自然の豊かさ等、中和させるものが断片的に織り込まれている。散々な日々の先にも可能性を感じさせるのは
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.8

「山を登ってる時は、あたり一面木や岩に囲まれる。だが、高くまで登ると、これまでの景色全体が見下ろせる。やっと形がわかるんだ」ある年齢に達すると、色々なものが見えてきてしまう…そういった悲哀を、ゆっくり>>続きを読む

カビリアの夜(1957年製作の映画)

4.2

「もう終わりだと思うのも、さあはじまりだと思うのも、どちらも自分である」(フェリーニの言葉)偽善的な人の中にも良心的な部分があり、良心的な人の中にも偽善的な部分がある。それを、どう捉えるか。結局は、そ>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.9

「ひとつの怒りでひとつの老い、ひとつの笑顔でひとつ若返る。若くありたいなら何をすべきか」
日々の雑務や雑踏に揉まれていると、人はすぐに大切なものを見失ってしまう。考え方ひとつで、日常の景色は様変わりす
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ユー・キャン・カウント・オン・ミー(2000年製作の映画)

4.1

「子供の頃からいつも励ましあってきたじゃないか」
誰かを頼りたいのは、何もダメな人間ばかりではない。自分の人生は、誰しも大変なのだから。
苦しい思いをしている人たちに寄り添った、嘘くささのない作品。

ラストレター(2020年製作の映画)

4.0

「青春時代の痛みをまざまざと思い出させられた。慟哭さえも愛おしい」
「虚無」より「傷心」を選ぶべきなのだろう。それこそが生きてきた証となるのだから。
100分にまとめたら、歴史的傑作にもなり兼ねない、
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欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

4.0

「あなたに身を捧げるつもりだったのに母からわたしを買うなんて。もう二度と会うことはないわ」
まぁそうなるよね…子供じゃないんだから…
ブルジョアの滑稽さと女性の気高さを、シュルレアリスティックに描いた
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

4.0

「裁判員裁判の死刑判決を最高裁がひっくり返したのは10件目だよ」現代社会では複雑さにおいて、もはや際限がなくなっている。常識的な善悪ですら、根本的に間違っている可能性がある。常に疑い物事を凝視していか>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.8

「母性とは我々の文化において、完全な人間とは何かという葛藤を埋める場所だ。母親は、個人や政治の失敗、あらゆる問題への究極の生贄であり、すべてを解決するという不可能な任務を背負っている。我々は母親に、社>>続きを読む

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

3.8

「靴下はどこだみたいな、あんな言い方は自分はしない」
最初の青年役が普通にこなしていても、ホセインがあんなにしつこくしなくても、返事をしないタヘレを降板させていても…ああいう結果にはならなかった訳で。
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リオの男(1964年製作の映画)

4.0

遊園地の色んなアトラクションに乗っている様な感覚。
特段得るものはないが、とにかく楽しい。
ジャン=ポール・ベルモンドの魅力が存分に活かされた、実写版『ルパン』的作品。

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.9

「僕は信じたいんだ。人生でたった一度だけ正しいことをしたと!」
どうも人間は、失敗ばかりを重ねていく生き物らしい。なので必然的に、誰もが救いを求める様になる。今こそ、真剣に助け合うことを学ばなくてはな
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

3.8

「学校に行きたいだと?働かないと妹たちが飢え死ぬぞ」
この物語においては、誰かを責める前にすべきことがある。そして、より沢山の人に見てもらう必要がある。見るだけで、きっと、人々の心は動くはず。
中東の
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.0

「自分が何者であるかを自分で決める時が来る。その時は他人に決めさせちゃダメだ」
誰しもが、本心とは違う決定をくだしてしまうことがある。それが人生を左右する様な決断であったとしても…
心に傷を残す様な経
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.0

「5年後は未知の世界。ただ今を生きている。誰が何と言おうと人生は最高。大丈夫、気にするな、好きに生きればいい」
あのダンスを見ながら、この歌詞を聴くことができれば、心で理解できる。
人生の折り返し地点
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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年製作の映画)

3.8

「国境警備隊がお前らを探し回ったのにみつけられなかった。そしてお前はメキシコにいる。お前は勝ったんだ。お前は自分が勝っていることもわからない馬鹿なのか?」「俺と乾杯をしてくれ…」なんのこっちゃ!真面目>>続きを読む

空飛ぶゆうれい船(1969年製作の映画)

3.9

「ゴックリ!ゴックリコンとボアジューース!」
現実は映画より奇なり…
社会の構造を端的に描いた教材的作品。

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

4.1

「難しい局面に直面した時も、持ち前のエネルギーでなんでも克服できるというキャラクターを、肉体的かつ映像的に捉えられるんじゃないかと思ってあのシーンを撮ったんだ」(街を駆け抜けるシーンについて/監督イン>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.1

「ある日突然、楽しい毎日が破壊されたらどうなるのかという着想をきっかけにしています」(マーティン・マクドナー監督インタビューより)戦争とは、そういうもの。お互い言い分があるにせよ、どこかで歩み寄らない>>続きを読む

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

3.7

「150年の歴史を覆すつもりか?」「はい」慣習になればなるほど、それを正しいものとみなすのは人間の習性である。「女は男の3歩後を歩け」なんてことが、常識とされていた時代があった。それもほんの少し前の出>>続きを読む

アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

4.1

天才たちの傑出した夢ばかりが集められている。観客は、味わったことのない刺激を受けると同時に、無意識下の自由を堪能することができる。
「Don't think! Feel」的作品。

SKIN 短編(2018年製作の映画)

4.0

「基本的には、毒ヘビは色で見分けりゃいいのか?」色んなヘビがいるって言ってるのに、色だけで見分けようとする辺りが全てを物語っている…
虚勢を張り、群れをなし、挙げ句の果てに人種差別。人間の弱くて情けな
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.3

「ウソン、今日も楽しかったな。だから忘れないようにしようね」忘れないでほしいと切に願う。ウソンだけでなく…
3歳まで生き延びたら、親孝行は既に終わっていると言う人もいる。親にとっての子とはそういう存在
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ANIMA(2019年製作の映画)

4.0

あえてオススメはしませんが、また観たくなること請け合いです。
現代版「アンダルシアの犬」的作品。

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.2

「彼の望みは違う。平和な未来よりも少年期に戻りたいのだ。彼女の待つ過去へ」
12モンキーズに元ネタがあったのか⁉︎しかも全編静止画で描くという斬新な手法。そして、これが60年代の作品というのだから、も
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

4.0

「If anything happens I love you(愛していると言っておくね)」
台詞もナレーションもないシンプルなスケッチ風の短編なのに、これほど人の痛みを感じさせる表現方法が他にあるだ
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青葉家のテーブル(2021年製作の映画)

3.9

「かっこいいお母さんの青くてダサいとこは若者の希望だよ」
シーザーやナポレオンにも初陣があった訳で…
天職を見つけるまでの過程や葛藤を明るさと共に描いた温かな良作。

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.1

「被害者たちの名前を叫べ」この作品は名前を叫んだだけで、解決策を示していないという批判があるらしい。しかし映画の中で解決してしまったら、見た人の衝撃や葛藤が薄まってしまうのでは。つまり事実だけを客観的>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.8

「逆に訊くけど、あなたの奥さんはあんたみたいな男のどこに惚れたの?」「それはいまだに謎ですな。」「でしょ? 恋なんてパンチドランクみたいなものなのさ」(ポール・トーマス・アンダーソン監督のインタビュー>>続きを読む

ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.0

「音楽には二種類ある。人が聴くか聴かないか。モーツアルトは前者だ。人が聴かない音楽といえば深刻な現代音楽。猿すら逃げ出す。反対に真の代表者はモーツアルトの和音に基づいている。ダリオ・モレノもビートルズ>>続きを読む

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