一さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

一

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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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自伝を基にボクシングの話を作るにしても、立ち止まる人間の映画にしてしまうのが三宅唱っぽい。岸井ゆきのの表情・動きの素晴らしさは言うまでもなく。彼女が他者に対して目を澄ませるように、観客は彼女に対して目>>続きを読む

ウォーターメロンマン(1970年製作の映画)

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傑作!Melvin Van Peeblesまじリスペクト。差別と人種ステレオタイプを題材にしたこの大変際どい風刺コメディーを成立させる戦略と胆力に感激する。白人から黒人へとカフカ的変身を遂げる主人公を>>続きを読む

イシュタール(1987年製作の映画)

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ウォーレン・ベイティとダスティン・ホフマン、バカなダメ中年二人の北アフリカ珍道中。マジで楽しい。CIAと傀儡政権と革命ゲリラまで巻き込んで、なんの成長も感じさせないライブシーンと"lovely lad>>続きを読む

マッドゴッド(2021年製作の映画)

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はっきり言って訳はわからないが、超絶。グロテスク&ニヒリスティックなストップモーション・アニメの悪夢トリップ。謎の地下世界に駆動する無意味で不条理な生と暴力の循環にクラクラしつつ、オレ笑顔。とにかく目>>続きを読む

おかしな求婚(1971年製作の映画)

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そこはかとなく変な感触の映画だけど 、スゲー傑作な気がしている。元々3時間近くあったというエレイン・メイ自身によるバージョンが、パラマウントによって勝手に半分近くカットされ、それに納得いかないメイが名>>続きを読む

ポール・ニューマンの ハリー&サン(1984年製作の映画)

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いまどき(つっても84年だけど)骨相学にかこつけてイチャつくポール・ニューマン&ジョアン・ウッドワード夫妻が可愛らしくて良かった。父と息子の反目ってほどのこともなく、親父に家出てけと言われて息子ショッ>>続きを読む

スチームバス/女たちの夢(1985年製作の映画)

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女性キャスト中心でフェミニズム的テーマを持った、舞台劇を映画化したワンシチュエーションの会話劇というとアルトマン80年代の大傑作『わが心のジミー・ディーン』を思い出すが、あちらが同窓会という単発の集会>>続きを読む

猫と庄造と二人のをんな(1956年製作の映画)

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森繁もベルさんも柄に合わない役どころの京子さんもみんな素晴らしい。もちろん猫ちゃんも名演です。基本は意地悪な喜劇で笑っちゃうような場面や台詞ばかりで実際すごい楽しいんだけど、人間不信というより女性不信>>続きを読む

昨日消えた男(1941年製作の映画)

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最初の顔見せ配役紹介がいいなー。41年という時代は時代だけど、アメリカの推理小説を江戸の長屋に移植した時代劇娯楽ミステリー喜劇で楽しい。山田五十鈴と長谷川一夫の名コンビぶり。

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

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2022/9/10
・『三月の光』同様、ロケーションが人物を導く。箱庭のような多摩ニュータウン。
・キアロスタミ『友だちのうちはどこ?』で道案内ジジイの部屋にカメラが入り込むように、ミカンを渡したお婆
>>続きを読む

朝の口笛(1957年製作の映画)

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川頭義郎『おしゃべりな真珠』みたいな、高校卒業した女子4人組の他愛ない青春映画でイイ。『おしゃ~』でも出版系に就職する子とスチュワーデスになる子と大学進学する子がいたけど、それもおんなじ。蛍の光で始ま>>続きを読む

お姐ちゃんはツイてるぜ(1960年製作の映画)

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お姐ちゃんシリーズ最高だなー。役者の演技もストーリーもノリノリである。令子&そのみ&規子の三人が次から次へ彼氏を入れ換えていく高速スワッピング・コメディ。映画で取り上げられるビートカルチャーに沿ってい>>続きを読む

華麗なる闘い(1969年製作の映画)

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良かったなー。ファッション業界を舞台にしたドロドロした内幕モノかと思わせておいて、100%内藤洋子の青春アイドル映画になっていた。服飾学生から突然オートクチュールの縫い子にスカウトされた洋子は、最初は>>続きを読む

女妖(1960年製作の映画)

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大衆作家・船越英二と三人の女たちとの不思議な交流オムニバス。最初の山本富士子編が最高。初対面からのデート、そしてしっかりセックスに至るまで、あの一日ホント楽しそうだしエロくてイイ。柄に合わずずーっとキ>>続きを読む

ブロンコ・ブルフロッグ(1969年製作の映画)

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モッズ~スキンヘッズから分派した60年代後半から70年代頭のスウェードヘッドなるUK不良サブカルチャー(モリッシーが歌のタイトルにしていますが)のスケッチとして知られているらしいインディペンデント映画>>続きを読む

女賭博師花の切り札(1969年製作の映画)

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江波杏子、天知茂、成田三樹夫という仕上がった顔の面々。そして善人と悪人の間を揺らぐ船越英二の船越英二らしい役どころもイイ。人が斬られ刺される度に三隅研次顔負けのとんでもない量の血飛沫が。

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)

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もうどうせなら鬼の産業スパイ高松英郎のピカレスクで全然良いんだけど、ラストで倫理が映画にブレーキかけちゃうかんじが個人的には惜しい。高松と叶順子はずっと素晴らしい。クライマックス、高松が企画室に敵方の>>続きを読む

殺しを呼ぶ卵 最長版(1968年製作の映画)

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冒頭から錯綜するアヴァンなモンタージュで何事かと思う。ビニール袋被って死のうとしてるジジイとかなんだったんだ。ドライブ中の交通事故のフラッシュバックとか、全編にわたってヌーヴェルヴァーグタッチというか>>続きを読む

ブルーフィルムの女(1969年製作の映画)

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サイケなタイトルバックからしてカッコいいし、ストーリーもルックも結構しっかり作られているが、それが故に語りを止めてでも濡れ場が絶対なピンク映画の尺ではまとめきれず終盤は尻すぼみというか話が雲散霧消…。>>続きを読む

陸軍落語兵(1971年製作の映画)

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勝手に加東大介の『南の島に雪が降る』的なもんかと思ってたけど、前座の落語家が軍隊入って戦争行って特に何の活躍もせず帰ってくるだけの話だった。喜劇ってほどには笑えないけども、それもまた悪くない。落伍と落>>続きを読む

変態夫婦の過激愛/過激!! 変態夫婦(1988年製作の映画)

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傑作でした。アングラな装飾とナンセンスなおどけから、(規範的でない)愛へのナイーブな信頼が滲んでいる。池島ゆたかってこんなに良い演技するんだなー。橋本杏子が、出ていった彼女のパジャマを床に広げて周りに>>続きを読む

高校生芸者(1968年製作の映画)

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一生分の“わかめ酒”って言葉を聞かされたかもしれないけれど、カラッとした頼もしい青春お色気コメディで楽しい。強かな水木正子の佇まいが素晴らしい。特に大人を見つめる冷ややかな眼差し最高。渥美マリ、八代順>>続きを読む

ど根性一代(1963年製作の映画)

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暴れん坊の正義漢 THE 勝新といったかんじで、それはもうソー・キュートなのである。開始15分くらいで兄貴分・杉田康の妻・高千穂ひづると間男して指を詰め、夫婦になったはいいものの、仕事に就いては喧嘩し>>続きを読む

東京犯罪地図(1956年製作の映画)

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顔の見えない犯人が女を絞め殺し、正面ワンショットでモブの事情聴取、主人公・菅原謙次の(誤認)逮捕とノワールっぽい幕開けだけど、わりとフツーの潜入捜査モノに。菅原と高松英郎の義兄弟ペアリングが何だか最後>>続きを読む

秋聲旅日記(2003年製作の映画)

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たいへん趣のある金沢の町の狭い路地を歩く嶋田久作を行きつ戻りつ追い越しつする田村正毅カメラが印象に残る。横国PR映画『海流から遠く離れて』と併映。

軒下のならずものみたいに(2003年製作の映画)

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面白かった。クラウトロック風味のロックをBGMに斉藤陽一郎がドカ食いするカレー、ニンジンが多すぎる。

夜の罠(1967年製作の映画)

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殺人容疑で捕まった不倫夫の無実を証明するため、若尾文子がかなりがんばる。死んだ女の手帳に残された男たちへと順繰りに接触を試みる。まず1stステージから山谷のドヤ街なのヤバい。2ndステージのヤク密売ド>>続きを読む

偽大学生(1960年製作の映画)

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同じく学生運動を扱った大島渚の『日本の夜と霧』とほぼ同時期に公開されているわけだが、あっちの7倍くらい面白い。偽学生・ジェリー藤尾が左翼学生運動の欺瞞に精神を狂わされる展開からすると意外にも思えるが、>>続きを読む

すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために(2001年製作の映画)

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めっちゃイイ。朗読される不敬なテキストと、上昇していくグライダー、高速道路を走る車のフロントガラス、水面を漂うボートといった現代の非同期的イメージと、天皇裕仁や菅野スガの写真・映像コラージュ。亀井文夫>>続きを読む

おーい中村君(1958年製作の映画)

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添え物程度の中編歌謡映画にしては、いやだからこそというべきか、サービス旺盛かつスピーディーな社会人ラブコメでたいへん楽しい。気弱そうなというか童貞くさい川崎敬三と軽薄~な田宮・ドンファン・二郎、同じ部>>続きを読む