Vegaさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

Vega

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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

5.0

最初から最後まで絶えぬものすごい熱量に圧倒されました。

全斗煥の事実上の独裁政権時代に韓国全土を巻き込み立ち昇った民主化闘争。綿密な時代考証をもとにフィクションを織り交ぜた見事な群像劇に仕上がってい
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.9

緻密なディテールへのこだわりと繊細でスタイリッシュなトム・フォードの感性を愉しむ。

これはリベンジなのか、元夫の現在が描かれていないだけに単なる復讐と収めることもできず想像を巡らせる。お洒落っぷりが
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.4

本当に大切にしたいものなのか、あるいはただ別れ難いだけなのか、しかし執着でも未練でもどうでもいい、捨てられないそれこそが大切なもの。
許すなどということは一生あり得なくて、忍耐の中で忘却を待つだけなの
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

3.9

やっと観た。仲間入り!

平成最後の夏は記録的猛暑かつ低予算のこの映画が大ヒットしたということを覚えておこう。豪雨災害も忘れずに。

あまりの暑さに映画を観ても感想を書くことすらできないようなナメクジ
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

期待を裏切らない露悪さがやはり面白い。という私は悪趣味か。

終盤の、大きな鳥が小さな鳥をいたぶりながら飛ぶという台詞が、移民の多く住む街に豪邸を構える一族とその周辺のブルジョワたちの姿を象徴しつつ、
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

3.9

キム・ミニに惚れて惚れて惚れ込んで、あっちこっちに連れてってそっちこっちから撮りまくりたいっていうホン・サンスは中学生か?確かに中学時代の恋愛はアホみたいで尊かったな。
監督にとっても俳優にとってもこ
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それから(2017年製作の映画)

3.9

ホン・サンスの言い訳と懺悔かな。困ったものだよと呆れて見守りますよ、私は。

男の曖昧な態度に突っ込み入れまくるキム・ミニが素敵で笑える。キム・ミニがとにかく魅力的。
情けなく泣く中年男も良い。
浮気
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教授とわたし、そして映画(2010年製作の映画)

4.0

4話オムニバスで小気味好い。

まさに人生は反復と差異。どこにでもありそうなことを淡々としかし映画的に切り取って見せてくれる。
ゴダール的な台詞も納得できるような馬鹿馬鹿しいような不思議な響き。とは言
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.2

色艶よくきちんと箱に収まる野菜を効率よく生産するような世の中でしょ。型にはまらなければ放り投げられてしまう。誰しもがいつどこで規格外とされるかわからないのにね。
あの家族は4番さんに同じく声を発せない
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ユンボギの日記(1965年製作の映画)

3.8

「澄みきったあの空にも悲しみがあるのでしょうか」

唐辛子は煮詰められていよいよ辛くなり
麦は死して新しき芽を吹く
イ・ユンボギ
君もまた煮詰められた唐辛子
君もまた死して新しき芽を吹く麦



日帝
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次の朝は他人(2011年製作の映画)

4.1

モノクロのホン・サンス良かった!『それから』にも期待大。
タプコル公園から始まって北村方向へ。雪降るソウルもいいかもと判断力失わせる美しさだった。

ホン・サンスは元気な時には酔ったように楽しくなるん
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犯罪都市(2017年製作の映画)

3.7

マ・ドンソク愛が充分に満たされて予想以上にユン・ゲサンに持っていかれる。

悪党ユン・ゲサンが5億点だった。
これからじゃんじゃんオファーが来そうな予感。

配信されたら毎夜観たい。

長江 愛の詩(2016年製作の映画)

4.4

弔いの黒い魚
意志なく船を継ぐ男
幻のような女
仏閣、信仰
ダムの近未来感
沈む町
闇に光りに表情を変える長江

悠久の大河の遡行は文明や歴史を辿る旅のようでもあり、個人的な記憶の回想のようでもあり。
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ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)

3.8

差別、偏見、マイノリティの生きづらさ...それらについてたくさん語れる映画だとも思うけど、何というかやっぱり喪失から再生の、自分らしく生きることを諦めない強い女性の物語だった。

オルランドが遺したマ
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.8

ウェス色にこだわりぬかれた箱庭の中で繰り広げられる少年と犬たちの冒険譚。その景色はこれまたウェスの脳内できっちり作り込まれたファンタスティックジャパンなのです。ポリコレ的に大丈夫なのか日本人の私が心配>>続きを読む

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)

4.7

冒頭から引き込まれ、大好きな韓国ノワール、ブロマンスに期待膨らむが、実は予想外に甘く甘く切ないすれ違いのロマンス。

鉄砲玉みたいに弾け飛び天使のように美しいイム・シワンに哀愁と狂気のソル・ギョング!
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.0

ソン・ガンホ(好きすぎておかしくなりそう)が素晴らしいのは言わずもがな、タクシー運転手ユ・へジン、大学生リュ ・ジュンヨル、光州の人々の陽性と善性、その温かみが光州事件の陰惨さと悲しみを際立たせていた>>続きを読む

ナイルの娘(1987年製作の映画)

4.2

台湾の夜のネオン、バイク、花火、麻雀、扉と食卓と扉、ロト爺さん。
スクリーンでホウさん作品観れば必ず至福に包まれるってことを再確認した。

家では娘であり姉であり妹で、家族に振り回されずにはいられない
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あなたの旅立ち、綴ります(2016年製作の映画)

3.8

老年。夫とは別れ娘とは絶縁状態。財は成すも、ひとりの夜にのしかかる孤独。

とは言え金があるならいいじゃん!と思いつつ、予定調和なラストは承知しつつ...
シャーリー・マクレーン、アマンダ・セイフライ
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ハッピーログイン(2016年製作の映画)

3.7

チェ・ジウ!結婚おめでとう!

春に観るには最適。
恋愛細胞がじゃんじゃん細胞分裂してくれることでしょう。

カン・ハヌルが良い。
尹東柱の映画で、清廉さを凝結させたような演技が素晴らしかったが、この
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はじまりの街(2016年製作の映画)

4.0

トリノの秋が寂しくて、美しくて、温かかった。

孤独を紛らわせて走らせる少年の自転車。
チェーンが外れた車輪はペダルを漕げども前に進まず、そんな空回りの人生なんてこの世には数え切れないくらいあるのだろ
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我は神なり(2013年製作の映画)

3.5

耕せど耕せど永遠にやせた土地、みたいな絶望的な映画なので日曜の午後に観るのはやめたほうがいいみたい。

誰か救ってあげて〜〜

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.0

感情は水のように掴みにくくて、容れ物によって形を変えるように言葉にすると嘘っぽくなったりするけれど、その感触は誰もが体で知っている。
純愛と呼んでもいいし性愛ととらえてもいい。この原始的な感じが好き。
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殺人者の記憶法(2017年製作の映画)

3.9

アルツハイマーの殺人鬼の語りを通して見る人間の記憶の曖昧さ。真実を捉えることの不確かさ。虚と実が容易く逆転しまいがちなこの世の儚さ。
なんだかものすごく悲しかった。

ソル・ギョングは迫力あるね。
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エターナル(2016年製作の映画)

3.8

仕事帰りにただ時間が合うからと観たが、期待せず前情報も入れず観たのが吉と出て、心つかまれた。

恋愛の始まりには丁寧に交わし合う愛情も、歳月を経ていつしか乾ききってしまう。
しかし考えてみたら、大切な
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残像(2016年製作の映画)

3.9

スターリンの巨大な幕に日常が単色に染まる。肥大した権力に芸術も名声も尊厳も踏み躙られることはあまりに容易いが、しかし屍となっても国家の傀儡になることを拒んだ魂は滅びることはない。
その残像を見ながら歴
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ドリーム(2016年製作の映画)

3.7

いかなる人種であろうと、性別が何であろうと、そして才能の有無にかかわらず、人としての価値は等しいと改めて刻みたい。

差別を乗り越えてパイオニアとなった優秀な女性たちに心動かされると同時に、人は、無意
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

5.0

2017年ベストと言ってもいいかな。
民族も宗教も階級も超えて人々は寄り添うことができるはず、そんな願いが込められた映画。
嗚咽抑えきれないくらい泣いてしまう。

日頃から人に甘えるのも苦手で感動もの
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妻の愛、娘の時(2017年製作の映画)

3.8

フィルメックスで観たもの。とりあえず記録。

シルヴィア・チャンの監督、主演作品。

母の死を看取ったホェイイン(シルヴア・チャン)は、母を父と同じ墓に入れるため田舎にある父の墓を移そうとするが、田舎
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散歩する惑星(2000年製作の映画)

4.4

ロイ・アンダーソンのリビングトリロジーの一作目。
三作品の中で最も衝撃的で、含意が最も伝わりやすいものといえるかも。
終末的なエピソードに独自のユーモアを織り込んで、フィックスカメラがとらえる絵画的な
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おやすみなさいを言いたくて(2013年製作の映画)

4.2

戦場に向かうフォトジャーナリストの話という前情報も入れぬまま観たもので、冒頭の自爆テロ集団の儀式のシーンで度肝を抜かれる。

身の危険を顧みない主人公レベッカの行動に耐えかね、夫はレベッカに仕事を辞め
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イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

4.0

いやぁ!すごい面白い!
齢78にしてこの全く老成した感のないイエジー・スコリモフスキ。
17時からの11分の人間模様。誰一人として立派な人いないっていうむしろクズっていう乾ききった視線。笑える。
たか
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.5

カウリスマキ流、極上のトラジコメディ。哀歓のお伽話。好きだという以外に何も言えないでしょこれは。

私、日本に生まれて日本人は穏やかで親切だってずっと信じていたけど、それは幻想だったのだって、ヘイトの
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エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

5.0

極彩色の癒し。

できればずっと蓋をしておきたいのに忘れた頃にふと現れて全身を押さえつける私の重荷を、少し持ち上げてくれるような癒し。

大丈夫、怖れず生きろとホドロフスキー爺が言ってくれたから、きっ
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パターソン(2016年製作の映画)

4.3

無関係のようでいて実は緩く繋がっているのが人と人なのかな。などと、ノート手渡された瞬間に泣きそうになったよ。

マッチ箱から詩が生まれるとはなんて素敵なの?そう思いながら、やはり詩は、渇いた魂に給水す
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とんぼの眼(2017年製作の映画)

3.0

監視カメラの映像をコラージュしてストーリーを作り上げるというチャレンジングな作品。
現代美術家シュー・ビンのアイディアと執念、今の中国の勢いのようなものは伝わってきたが、監視カメラの映像という実在する
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