おぺちょぺさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

おぺちょぺ

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くれなずめ(2021年製作の映画)

4.2

私は本作の監督・脚本を務めた松居大悟の主催する劇団、ゴジゲンの作品が大好きだ。『アメリカン家族』を観て以降、大半の作品を劇場で鑑賞している。そんな私が本作を観た感想を以下に述べる。

ゴジゲンは活動休
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夏時間(2019年製作の映画)

4.5

韓国映画の作劇には毎度驚く。
独特なイメージカットが挟み込まれる『はちどり』と異なり、実景のみで構成される展開に序盤は盛り上がりに欠ける印象だった。ただ、じわりじわりと物語が熱を帯びていく。ラストの食
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21ブリッジ(2019年製作の映画)

4.1

銃を構えた瞬間の緊張感を出せるアクション映画って、案外少ない。何人もの犯人を射殺している主人公の警官だが、彼のバックボーンがしっかりと描かれている。彼が銃を構えても発砲しないシーンには説得力が生じるし>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.4

『アバウト・タイム』でも感じたんだけど、タイムループのギミックが雑な方が余白があっていいよね。

すっかり一大ジャンルになり、食傷気味になってきたこのテーマで存在感を発揮した時点で個人的に大満足。
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スタイルウォーズ(1983年製作の映画)

4.1

1980年代における黒人や貧困層の人々。彼らが自らの存在を誇示することができる方法が、グラフィティだった。
私は”ヒップホップ”文化が好きだけど、その3大要素の中でも唯一(?)明白な違法行為と認識され
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街の上で(2019年製作の映画)

4.5

珉亭のピンクチャーハンにびっくりしたこと、スズナリで観劇時にずーっとしゃべったりケータイいじったりするヤバい客がいたこと、下北沢THREEで進行方向別通行区分を観たこと......下北沢での思い出がバ>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8

不随意運動をフィクションで見る機会はなかなかない。フランシス・マクドーマンドの「くしゃみ」が映されていたことに大きな衝撃を受けた。それだけでけっこう満足した。

フランシス・マクドーマンドの演技は文句
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ザ・バッド・ガイズ(2019年製作の映画)

3.6

これだよね!やっぱこういうの時々観たいよね!半年に一回くらい猛烈に二郎系ラーメンが食べたくなる。そんな映画。

マ・ドンソクが品質保証のマークになっていることが本当にうれしい。今作もしっかり素手で殴り
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.0

エンドロールで観客の誰一人立ち上がらない、物音ひとつしないという異様な雰囲気だった。そこが一番感動したかも知れない。

アニメーション作品として、文句のつけようのないほどの完成度だった。その点について
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ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.3

この設定なら、もう少し面白くできたのではと思う。ブラムハウスってこともあって、期待しすぎたかな。

ゴア描写が相当えげつない点はいい。でも、どのシーンも暗かったり、見えにくい。もっとポーンと首を飛ばし
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ミナリ(2020年製作の映画)

4.2

まさに、”人間万事塞翁が馬”。
前評判で「何も起こらない」みたいな言説を目にしたけど、「アカデミー賞最有力!」みたいな売り方のせいかな。普段映画を観ない層も入ってるからだろうな。仮に何も起こらない(私
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.5

冒頭、眼前に現れる広大かつ複雑な地下空間。これが組み上げられたセットだなんて夢にも思わなかった。エンドロールのメイキングで涙が出た。

モルカーによってストップモーションアニメが注目されるようになり、
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野球少女(2019年製作の映画)

4.4

静かな炎。熱く冷静に。徹底してドライに、スインの闘志を描き出す。
長い歴史のある野球だが、一人として同じフォームやスタイルの選手はいない。つまり、未だに”正解”のないスポーツなのだ。だから、工夫によっ
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MISS ミス・フランスになりたい!(2020年製作の映画)

4.2

一見“おとぎ話”なのかもしれないけど......思っていた以上に脚本のクオリティが高い。
性的マイノリティに向けられる偏見を率直に描くだけでなく、主人公を演じるジェンダーレスモデルが結局はマイノリティ
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チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

4.3

朝早くから出かけて、昼過ぎくらいに帰宅してその後は部屋でゆったりする休日......みたいな映画。たぶんそれが一番の幸せ。

上質なユーモアが全編に散りばめられていて、観客にずっと構ってくれる。とても
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ノンストップ(2019年製作の映画)

4.2

韓国の娯楽大作はこのレベルにまで到達しているのかと感嘆した。日本だと三谷幸喜作品に相当するのかなと思うけど、韓国映画の方が正直何枚も上手。洋画の日本版ポスターに失望する案件が増えているが、とにかく「説>>続きを読む

機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

4.3

劇場版1作目がロボットバトルアニメだったのに対し、本作は中間管理職の悲哀が際立つ。組織の中で生きると必ず発生する怒り......思い当たる節がありすぎる。何年製作の映画なのか混乱するほど古さを感じない>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.3

“真顔”にも数え切れないほどの種類があって、私も一日の大半を真顔で過ごしていることに気づかされた。100分程度の作品だが、80分くらいまで展開が読めない。
全編突き放しているように見えて、心地よい距離
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.8

花束は綺麗だけど、”根”はないんですね。

「これ知ってる!」と思った。「これ私だ!」とも思った。
観賞後、どっと疲れた。生きて帰って来れたことに感謝したい。

私も大学時代に京王線沿線に住んでいて、
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EXIT(2019年製作の映画)

4.5

極上の人間賛歌。最高!
アクションゲーム好きは思わず笑いつつも一瞬で共感する、壁の不自然な”手すり”で一気に心を掴まれた。
手に汗握るクライミング、声を出して笑っちゃうようなコミカルなシーン.....
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.2

クライマックスのずっこけが最高。美しかった。

終盤に大きな事件があるとはいえ、会話劇でここまで緊張感を保たせるのは至難の業だと思う。役者の演技と脚本、カメラワークが素晴らしい。

優秀な実務家が腐り
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大頭脳(1968年製作の映画)

3.6

50年前の作品だが、笑いの基本がしっかり押さえられている。古さを感じない。

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.6

私は、人生で大切なことは知性と教養、そしてユーモアなんだと信じている。本作観賞後、それは間違っていないんだと確信できた。

もっと早く観ておくべきだった。生涯ベスト級に好きな作品。

ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

3.6

終盤のフラッシュより、そこに至るまでの過程の方が直視できないほどの地獄。

60分に満たない尺なので、サクッとギャスパー・ノエを飲み干せる(途中でむせる)作品。

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.7

前作の方向性を求めると肩透かしを喰らうので、別モノくらいに考えれば素直に楽しめると思う。前作のエッセンスが全て凝縮されているのは、アヴァンタイトルなんだよな。
前作の列車(閉鎖空間)から、今作はオープ
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ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

3.0

アニメーション作品としてとんでもないクオリティ。コマ割りを使った漫画的表現には衝撃を受けた。

ただ、ストーリーが......。本来は子供向けのアニメの脚本に対して苦言を呈すなんて行為は文字どおり大人
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ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

4.0

マクガフィン及びそれに関する設定が......はっきり言って、「ハイパースーパーウルトラビーム!だけど完全無敵バリアで効かないから〜!」みたいな小学生の遊びかっていうような雑さなんだけど、こういう大花>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.0

村上春樹原作でいうと、『ノルウェイの森』は自分の脳内で風景が出来上がっていたので映画版は違和感しかなかった。本作は原作未読だったので、物語世界に没入できた。

主人公のジョンス、いい顔してるな〜。作中
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.5

観終わった後にしばらく立ち上がれなかった。極限まで劇伴を排し、ラストの『四季』の爆発!
作品の展開が、肖像画を描く過程そのものだった。輪郭が浮かび上がり、少しずつ色付いていく。キャンバスには広大な余白
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ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

2.0

期待しすぎた!!!
掘り出し物というか、ミニシアター系作品だから細かい粗が許容されているのだろうか。映画版『82年生まれキム・ジヨン』の真逆だ。無理解な夫が開き直って正義面しはじめたり、なんのカタルシ
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.5

2020年の私的邦画ベスト。
観た者全員が、それぞれの心の中の”佐々木”に気づき、それを愛でる機会を持てる。私は男子校出身なので、彼らの関係性に強い郷愁を感じた。
一番好きなのは、カラオケのシーン。古
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

4.1

洪水のように押し寄せるセリフ、入り乱れるキャラクター......フィンチャー映画特有の脳がシビれるような感覚!!!待ってたぜ!!!

これまでのフィンチャー作品は、感情の出どころがわからなかったり、一
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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

4.2

しっかりモータウンサウンドの予習をしてから行ったので、上映中ずっとブチ上がってた。

“家族”であり”ライバル”という特殊な土壌が、数々のクラシックを生み出してきたんだな。

エンドロールのモータウン
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#生きている(2020年製作の映画)

3.8

空間を制限することで、そこに流れる空気が煮詰められて濃厚になる。そのスープをごくごくと飲み干せる快作。
マンションの部屋や廊下は狭いから、ゾンビが1体でもいれば舞台装置として存分に機能する。低予算なら
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薬の神じゃない!(2018年製作の映画)

4.2

痛快!傑作!最高!!!
正直、あらすじで展開はわかっちゃうと思うんだけど......わかっていても面白い。仲間を集めて、密輸入”アベンジャーズ”を結成する瞬間はブチ上がった。ラストシーンはちょっと仰々
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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

4.2

とにかく評判は聞いていたが、予想をはるかに超えてきた。
戦闘シーンは圧巻なんだけど、ギャグの切れ味に驚いた。笑いは、バトルとは全然違う”筋肉”が必要になると思うんだけど、そこまでちゃんと鍛えられてるの
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