髙橋佑弥さんの映画レビュー・感想・評価

髙橋佑弥

髙橋佑弥

映画(154)
ドラマ(1)

愛されし者(1998年製作の映画)

2.5

ジョナサン・デミ名声飛躍の二作『羊たちの沈黙』『フィラデルフィア』の後、満を辞して…感のあるトニ・モリスン『ビラヴド』映画化で、約三時間の野心的大作ながら、鈍重さ否めず。"語ること"についての物語でも>>続きを読む

逃亡地帯(1966年製作の映画)

3.0

『さらば愛しきアウトロー』で場面引用されたのが記憶に新しいが、ロウリーは「『セインツ』制作中、ケイシーに勧められて見た」という。脱獄囚が妻を目指す…という筋は酷似しているが、焦点は故郷の街の捻れた人間>>続きを読む

ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト(2013年製作の映画)

3.5

2010年代の黒沢清では断トツで面白い…が、ゆえに『Seventh Code』の評価が相対的に落ちる(本作のほうが遥かによい)。シネスコ使用のターニングポイントとしても重要。何発殴られても一滴も鼻血を>>続きを読む

クリストファー・ウォーケンのアクターズ・ラブ/舞台は恋のキューピット(1982年製作の映画)

5.0

ひたすら素晴らしい。原作はヴォネガットによるたった13頁の短編「こんどはだれに?」。忠実ながら慎ましく効果的な脚色が冴え渡る。話を阻害しない巧みな語り。場所の魅力。原作で記述のない行間がこの上なく映画>>続きを読む

アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

4.0

ウェス・アンダーソン初長編。徹底されてはいないが"形式"の萌芽は既に。以降の仕事を多く目にしていると、見慣れない画が多くて撮影が逆に新鮮だが、編集感覚はもう完成されている。本作の成功に、同じく当時テキ>>続きを読む

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.5

とにたてて物語に特出した点はないけれど、機能不全夫婦&親子関係の話が、インスタント"探偵映画"として提示されるのが楽しい。毒にも薬にもならない計画、調査、尾行…しかしそこがよい。物語が空洞だからこそ、>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

1.0

迂闊にも期待値を少し上げて見に行ってしまったのですけれど(失敗が運命づけられた企画だと思っていたら、悪い噂を全然目にしなかったため)、美点を拾い上げること不可能な出来で頭を抱えた。約二時間、説明のみが>>続きを読む

クイックチェンジ(1990年製作の映画)

4.0

ビル・マーレイ監督(共同)/脚本(共同)/主演作。ピエロ扮装版『狼たちの午後』で始まる、男女男の『アフター・アワーズ』的な一夜の不条理彷徨。J・デミやR・ハワードが候補に上がるも最終的には「われらこそ>>続きを読む

スパイ・ゲーム(2001年製作の映画)

4.0

再見。2011年の午後ローぶり。引退当日の老工作員が建物内を行ったり来たり/会議室で昔話披露…しかオンタイムでは起きていないのに優れた映画たりえてしまう驚き。全編、時限&建物/室内出入によるサスペンス>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.0

皆が言うほど酷くもなければ、皆が言うほど良くもない。"ただの"サスペンス/メロドラマたろうとする慎ましさには好感。コスチュームプレイでこそあれ、実はあまり"時代物"していないのは良い。ひたすらに動線と>>続きを読む

実録・安藤昇侠道(アウトロー)伝 烈火(2002年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ面白かった。導入部のトランス状態→ガラス割りも、バール格闘時の顔面も、「別室で話つけてきます」と言いつつ死ぬほど楽しそうにsexな遠藤憲一も、風呂に投げ込まれるカブトムシも…多幸感すら感じ>>続きを読む

ヴィタリナ(2019年製作の映画)

2.0

微妙。これは、ふつうに面白くない。天井破片落下&ヴェントゥーラのズボン裾降下はアガったし、飛行機や車などの唐突さは良かったが。本末転倒だけれども…この暗さの徹底は、ぼくの視力にはそろそろキツい。

2
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

3.5

巧い。明らかに大して面白い話ではない…にも関わらず、語り口の機能美だけで2時間弱もたせる。限定的な素材を規則的に複数回繋ぐのみで多くの場面を成立させる経済性。フランチャイズ題材と噛み合ったシステマティ>>続きを読む

戦火の馬(2011年製作の映画)

4.5

劇場公開時ぶりの再見。凄すぎる。『1941』以後のスピルバーグでベスト。2010年代ベストのひとつ。

2020/10/11

ヒットマン:インポッシブル(2016年製作の映画)

3.5

"車椅子"であることが映画的魅力/緊張に直結している誠実さ。乗り手の身体性の三者三様、"乗り物"性、車椅子コミュニティ(整備士の存在など)の豊かなディテール…etc。…が、風に吹かれるビニール袋のショ>>続きを読む

二重結婚者(1953年製作の映画)

3.5

再見(例によって全然覚えておらず)。
"重婚"を断罪するでなく、「出会ってしまった/好きになってしまった」事故的な"悲劇"として描くあたりが出色(変わらず妻を愛しているがゆえに)。ルピノとのロマンスパ
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Outrage(原題)(1950年製作の映画)

4.5

押し黙る劇伴。移動撮影、俯瞰、そして後方上空へと去りゆくカメラ。印象深く鮮烈なオープニングタイトルが改めて語り直される悪夢的"暴行"場面がひたすら苛烈。その後の異物化した"生活"描写の淡々とした地獄。>>続きを読む

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

2.5

再見。『エレファント・マン』と並び、あまりノレないリンチのひとつ。ホッパーは好きですが。

2020/10/06

PTU(2003年製作の映画)

3.5

再見。複数地点で同時進行する出来事を僅か87分で捌き切る手腕は見事ながら、同時にこの出来栄えを見ると「もしかすると、まだ縮められるのでは」という気すらする。明暗コントラストは過剰でノイズ…どこか抽象世>>続きを読む

ジャン・ドゥーシェ、ある映画批評家の肖像(2017年製作の映画)

3.0

映画単体としては御世辞にも良い出来とは言えないが、稀有な"映画批評家"題材ドキュメンタリーとして意義は大きい(日本で誰か蓮實重彦の映画作らなくて良いのですかね)。上映そのものというよりも、見ながら色々>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

2.5

再見。才気走ってるのは確か…と思いつつも、前はあれほど衝撃的でのめり込んだのに、久々に見たら驚くほどノレずショック。しつこい。『太陽を盗んだ男』を見返すのが怖くなった。

2020/07/27

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.5

スタンダード撮影には期待ほどノレなかったが、しっかりと"見えない"贅沢な暗さが素晴らしい。話自体は"西部劇"しているが、カメラは女性の周囲を離れない。幕切れも、紛れもなく正しい。とはいえ、個人的な好み>>続きを読む

幽霊伝説/フランケンシュタイン誕生秘話(1988年製作の映画)

3.5

再見(前に見たのは無字幕で、すっかり忘却の彼方だったので、実質初見)。原題が"haunted summer"=呪われた夏…であるのに対して、ずいぶん大仰な邦題が付いているが、あながちどちらも嘘ではない>>続きを読む

俺たちの明日(1984年製作の映画)

4.0

画面を覆うほどの白煙漂う工場町の閉塞は『ディア・ハンター』序盤のよう…と思ったら撮影地が同じらしい。"家庭不和"度も地に足がついていて絶妙。身体の躍動を割らずに収めるロングテイク(撮監バルハウス!)と>>続きを読む

ビルとテッドの大冒険(1989年製作の映画)

2.0

"時間SF"の文脈でも必見作なのは間違いないので、恥ずかしながら今更見たが、これは…大しておもしろくない…

2020/09/28

ダイアモンドは傷つかない(1982年製作の映画)

3.5

割とみんな最初からずっと駄目駄目で、終始やっていることは大して変わらないのに、こちらの「駄目だなあ」=呆れ感情が徐々に上がっていくようになっているのが絶妙。面白い。

2020/10/01

ハッスル&フロウ(2005年製作の映画)

4.0

元々"実力"自体はある…という地点からのスタートで、故に"向上"に頼らない話運びが良い。あくまで必要なのは機材やスタッフであり、それらが揃った後、最後に"機会"を得るためにアウェイな場所に赴いてひと芝>>続きを読む

Old Joy(原題)(2006年製作の映画)

4.0

一見、自由人風なオールダムの、友人を一方的に見やる静かな視線に泣く。最後の彷徨も。「宇宙は滴の形をしていて落下してる…」大傑作『river of grass』には及ばないが、それでも傑作。

2020
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

2.5

"弛緩"が面白さに直結していないと、この作劇で2時間はキツい。舟上と光靴踊りと麺は良いが、暴力表現は"奇抜"志向が過剰で前作から大きく後退。生真面目/小手先感も否めない『薄氷の殺人』(私は好き)の方が>>続きを読む

犬神の悪霊(たたり)(1977年製作の映画)

2.0

ボルテージ振り切ってることは確かだが…無茶苦茶。面白くはない。各場面がとにかく長すぎる。トリック撮影の茶目っ気はあるけれど。役者ならぬ役犬は皆すごい演技力で、人間に圧勝。

2020/10/01

TENET テネット(2020年製作の映画)

2.5

難解"なのは勿体ぶり混乱誘発台詞回しであって、筋は単純(アクション場面さえちゃんと見ていれば作中の"ルール"は判る)。だがどのみち話は面白くない。劣化007+ワイスピ…な長い前半を耐えた後に待つ"逆行>>続きを読む

死神の谷/死滅の谷(1921年製作の映画)

2.5

再見。ラングの中では相当イマイチな方と思う。昔に"お勉強"で見たDVDより遥かに綺麗な画質の上映(@シネマヴェーラ)で、死神の出現ショットには痺れたが…そもそも"三つの話"が全然面白くない。

202
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.5

名物TV番組ホスト"ミスター・ロジャース"の秘密に記者が迫る…という話なのかと思いきや、"秘密"なるものは全く明らかにならない。どんな人間なのかもわからないまま。そこがいい。パペット操作中のトム・ハン>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.0

本質がスケボー行為に無いことは理解しつつも、スケボー場面がとても良い。同時期公開の"スケボー映画"『mid90s』と比してもこちらに軍配。映画として特出して良い出来とは言えないが、自らの人格を歪めた最>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.0

周囲の熱狂ほどノレず。撮影/編集共にアッサリしているのは好感が持てるが、いちおう"スケボー映画"でもあるはずなのにスケボー場面がうまく撮れていない。スケボー仲間たちはあれだけ常時ツルんでるにも関わらず>>続きを読む