髙橋佑弥さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

髙橋佑弥

髙橋佑弥

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ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

3.5

傑作なのだが、それよりもISの処刑映像の完成度の高さにびっくり。拘束される男と銃口のクローズアップが高速反復切返。幾つにも割られるカット。引き延ばされるサスペンス。劇映画かと。「ISはメディア技術を持>>続きを読む

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)

2.0

自らの未熟な力量でも制御出来るよう、脚本を緩くしたのか、それとも抜群の脚本が野暮ったい演出で死んだのか。フィンチャーの洗練された手際を求めるのは酷にせよ、ボイルほどのチャカチャカ手数もない。台詞は早く>>続きを読む

私が愛したヘミングウェイ/ヘミングウェイ&ゲルホーン(2012年製作の映画)

2.0

記録映像"風"演出、反射の多用が煩い。やりすぎで小手先感。ヘミングウェイ役のクライヴ・オーウェンが予想以上のハマりぶり。

2018/04/03 (過去感想サルベージ)

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

4.0

白眉はやはり印刷シーン。活字が組まれ、輪転機が回る…人物の内面/私生活に必要以上に踏み込まず出来事はドンドン進む。端正だがエッジも効いてる。しかも、この内容で2時間切るという頭のおかしさ(116分)。>>続きを読む

青べか物語(1962年製作の映画)

4.0

主人公は観客の案内役に過ぎない。とにかく羅列されるエピソードの面白さ。足の不自由な妻を献身的に世話する夫、身分違いの叶わぬ恋の思い出を語る老船長、狂言心中の女、妻と枕を交わせない男…。喧嘩、酒、ガハハ>>続きを読む

イチかバチか(1963年製作の映画)

2.5

川島の最終作。公私様々な思惑が入り乱れる工場誘致劇。アングル、ポジションの工夫は面白い。…が逆にそのくらいか。全体としてはふつー。それでも最終局面の大団円はなかなかアガる。

2018/04/10 (
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わが町(1956年製作の映画)

3.0

車引き頑固親父一代。比律賓行き前夜に枕を交わした女が、帰ってみると自分の子を身ごもっており、一目会った翌日死亡。男手一つで娘を育て、嫁にやったら紆余曲折あって孫娘産んで死亡。孫娘を育て…と続く。いつの>>続きを読む

シルバー・グローブ/銀の惑星(1987年製作の映画)

2.5

下手くそなゲルマン、或いは実現まではしたが結局失敗した『DUNE』。前半はファウンドフッテージPOV描写が煩い…が、劇中で話が面白いのはその前半部だったりするのが困りモノ。金はかかってるんだろうが、後>>続きを読む

The Comedy(原題)(2012年製作の映画)

4.0

父親の財産を相続した中年男、無限に続く虚無休暇。ダチ達と酒を飲む、裸になってビール腹を晒す、ナンパする、性交する、遭遇した人に端から絡む、悪態を吐く、酒飲む、裸になる、ナンパ、性交、絡む、悪態…人生の>>続きを読む

コスモス(2015年製作の映画)

4.0

吊られた鳥、割れた唇、剥がれた口紅、痙攣…倒錯した混沌の館で現実と探偵物語が交感。身振り手振りや発作、文学引用や芝居じみた長台詞で溢れ出す感情。全ての出来事が同時に起こる無秩序。しかし全ては結局孤独な>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

1.5

オタク文化パッチワーク大全…だが、面白くない。主人公たちの年齢層が固まってるのも嫌。現実世界と仮想世界をリンクさせるサスペンスがつまらない。説教くさい。「人生つらいからって毎日映画ばかり見てるのもいい>>続きを読む

アルプス(2011年製作の映画)

4.0

"演じること"についての映画であり、ぎこちない身体性の映画。滑稽だが切実で、居た堪れない。物語の素晴らしい円環を担うダンスや、"演技"の動作は勿論だが、一方では初老の男女の日常の中にある性生活、ごそご>>続きを読む

保護色(1977年製作の映画)

4.5

理想に燃える若き教師の遂げられぬ正義。単純な二元論に陥らぬ魅力的な対立構造。手前/奥の構図、動くカメラ。密度の高い息詰まる群衆場面。顔の強度。終盤の夜明けの水辺、戦慄の展開…からの一転、微笑ましい決死>>続きを読む

コンスタンス(1980年製作の映画)

4.0

マザコン青年が死にゆく母親を看取り、失意の日々。職場で孤立、全て悪い方向へ進み、ノイローゼ。登山、落下、宙吊り。纏わりつく"Fate"。挿入されるヒマラヤ。画面外の音が良い。そして何より母親を失った主>>続きを読む

放浪記(1962年製作の映画)

5.0

ホント胸に刺さる映画であった。
腹が減る。金がない。仕方がないから今川焼き一個で済ます。それもないなら食わずに済ます。金がないのに本を買う。金がないから本を売る。なけなしの金を他人に貸す。金がない。腹
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洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

4.0

金なし飯なしの主人公が道端でぶっ倒れた時に、肉体労働者が握りめし恵んでくれるシーンで泣いた。

2018/03/19 (過去感想サルベージ)

暖簾(1958年製作の映画)

2.0

昆布屋の一代記。つまらなくはないけれど、正直長い。同監督の他作と比べて移動の快楽が希薄。店の入口から店、店から裏へとひと続きの三扉を移動するあたりは面白いけれど。役者の映画。乙羽信子がかわゆい

20
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.5

ヴェンダース、最近は随分冴えなくなってしまったが、『パリ、テキサス』は久々に見返してもやはり面白かった。移動の映画。色の映画。

2018/03/22 (過去感想サルベージ)

雁の寺(1962年製作の映画)

1.5

やたらフレーム内で、窓/扉/柱など構図が区切られる。手前/奥、過度に多層化される視覚情報。凝りすぎなアングル。ジグザグ廊下、コの字の動線、空間・移動の楽しさ。ワンカットたりとも退屈させまいという気概は>>続きを読む

あした来る人(1955年製作の映画)

3.0

一貫して人物の会話を正面からの切り返しで撮る。話はありがちだが、人物に対して真摯で誠実、肩に力は入らず、素直なアプローチで好感。クロスフェードが印象的。面白い。最後の締めは如何なものか…と思わなくもな>>続きを読む

女が階段を上る時(1960年製作の映画)

4.0

シネスコの魅力爆発。傑作。相米のオールタイムベストの一本なのだとか。

2018/03/25 (過去感想サルベージ)

怪猫トルコ風呂(1975年製作の映画)

3.0

なんじゃこりゃあ。とにかく室田日出男の思い切りの良さ、開き直りの潔さに痺れる。何よりあの顔はなんだ。あるはずのない光源が、汗でテカる濃い顔を下から照らす。「やめてください社長!」の2秒後には「おりゃあ>>続きを読む

知られぬ人(1927年製作の映画)

5.0

腕なし男、見世物劇団座長の娘、怪力男の三角関係。とにかくロン・チェイニーの倒錯した一途さに泣く。腕を引き換えにした狂気の愛。敵役の描写が秀逸で、一層胸を締め付ける。客観的に見たら超イイ奴なんだもん…。>>続きを読む

大奥浮世風呂(1977年製作の映画)

3.5

一見コミカルなのにボロ泣き。

2018/03/29 (過去感想サルベージ)

人妻集団暴行致死事件(1978年製作の映画)

4.0

ド傑作。惨憺たるやるせなさ。

2018/03/29 (過去感想サルベージ)

アメリカン・ハニー(2016年製作の映画)

4.0

"環境"映画。主人公が、主人公の半径数メートルが、主人公の視線の先が、主人公の関心の対象が執拗に映り続ける。軽薄で騒々しいベラベラ喋りやガンガン鳴る音楽…から風の音、虫の声等画面の外の豊かな環境音。蜂>>続きを読む

赤い天使(1966年製作の映画)

3.0

ヤバい。運び込まれる患者運び込まれる患者端から切断する軍医。ザクザクザクザク切って、ヤスリでガリガリ。コレラ蔓延、脱水症状、床に伏せって吐き続ける人々。ウオェッ…びしゃびしゃー。それにしても若尾文子、>>続きを読む

爛(ただれ)(1962年製作の映画)

2.5

入りと終わりの完璧さ。格好良すぎ。映画としては傑作かもしれないが、尋常じゃなく栄子うざすぎる。

2018/02/04 (過去感想サルベージ)

大幹部 無頼(1968年製作の映画)

4.0

”続編”と謳いながらも、話は前作と酷似。同じパターンで先輩格や可愛がってた弟分が死ぬ。しかし白眉はラスト、快活な学生バレーボールとのカットバックで描かれるドブ川での壮絶な斬り合い。「せめて好きになった>>続きを読む

女の賭場(1966年製作の映画)

2.5

手堅いけど普通でありましたとさ。

2018/02/06 (過去感想サルベージ)

セックス・チェック 第二の性(1968年製作の映画)

4.5

腰が抜けるほどの傑作!前半もやり過ぎなほどにストイックな”スポ根もの”として最高に面白いが、後半は話が進むにつれ、本作の真の姿は社会不適合なフリークスふたりの愛の話だとわかる。意義が消え去って初めて本>>続きを読む

わたしたちの家(2017年製作の映画)

4.0

まずリンチだし、リヴェットだし、次にロマンシス映画だし、姿を現さない家庭不和についての映画でもある。浮遊する撮影、穴、一つの家で共鳴する二つの世界。子供は辛いときこそ明るい。子供視点の親の恋愛は、なぜ>>続きを読む

最後の切札(1960年製作の映画)

2.5

主人公のガムシャラな意地をかけた奔走が、徒労に終わりすぎて泣ける。別にこれといって映画的に記憶に残るシーンはないのだが…。最後の最後で主人公の知人二人がいう台詞がお気楽すぎて泣ける。そりゃないよ。>>続きを読む

女の坂(1960年製作の映画)

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最悪。映画の内容が、ではない。なぜならほぼ見ていないに等しいから。まず着席早々原因不明の腹痛。腹を壊したらしい。痛みと戦い続けながら観るのはあまりに無謀だということで、唯一再見が容易な今作ではもう一層>>続きを読む