アラシサン弐さんの映画レビュー・感想・評価

アラシサン弐

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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.9

正直、こんなに明快で清々しいボーイ・ミーツ・ガールだと思ってなかった。
あとこんなに面白い配役だとは知らなかった。

ただやっぱり王道とは少しズレていて、二人の年齢が離れすぎててほぼ保護者同然の関係で
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

観た人によって主人公が最悪か最高か見方が変わりそうだ。
選択肢が膨大になった現代で、それでも歳を重ねた女性が自然と選択肢を絞られていってしまうことで鬱屈し、微妙に地に足つけなくて起こしてしまう不安定な
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.8

ある程度アメリカとロックの歴史に明るくないと置いてかれそうな内容ではあるけど、それを差し置いても上映時間が2時間半近くあることに観終わった後に気付くぐらい音楽体験として楽しかった。

エルヴィスのパフ
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大和(カリフォルニア)(2016年製作の映画)

3.7

不思議と引き込まれたし飽きなかった。

少女二人がドンキ行ったり酒飲んだりヘラヘラと不良行為してるだけに見えて、そこからアメリカの真似事としての日本文化や、米軍基地に威圧されたような青春を送る10代の
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.9

人気俳優同士の如何にもバズりそうなビジュアルの恋愛映画だけど、どうやら話題性だけの映画ではないかなと。

サブカルチャーが社会性や協調性に黙殺されていくのが、サブカルチャーで繋がってた二人が社会そのも
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.5

ゆるすぎてスタイリッシュという謎現象。

昨今、無理矢理にでもジェンダー論や多様性と結びつけようとする女性アクション物が乱立してる中で、こんなにも良い意味で肩に力が入ってなくて脳ミソ空っぽにして笑えて
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.0

この監督、性格悪いなぁ(褒め言葉)
岸井ゆきのさんの配役が天才すぎる。

観る前は承認欲求のぶつかり合いみたいな話かと思っていて、実際に人間の醜悪さは大いに滲み出てるのだけど、同時に監督流の「クリエイ
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

是枝監督がまたしても家族の在り方に対して新しい回答を提示してきた。

この作品では、赤ちゃんを産んだ人、捨てた人、預かる人、育てる人、売る人、買う人、さらにはそれを見る全くの外部の人にまで赤ちゃんと「
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はちどり(2018年製作の映画)

3.9

社会派でありながらも、ガツンと殴られたような感覚というよりも、後からジワジワと余韻が湧いてくる感覚がある作品で、作品事態が終始纏ってるローテンションな雰囲気も相まって、パラサイトと対になるような映画だ>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

3.9

運転手も記者も当初は自己の利益や興味から事件の中心に足を突っ込んで、実際に目撃したことが想像以上に酷くてドン引きする、ある種古典的な展開ではあるけど、その王道さゆえに突き刺さってくる内容。
ポスター詐
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三姉妹(2020年製作の映画)

4.2

精神衛生に悪そうな話なのに演者の圧倒的なエネルギーと不謹慎スレスレの独特なユーモアのおかげか、不思議と後味の悪さが無い作品。
上映館が少ないのもったいないな。

クライマックスのカオスな演技合戦だけで
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よこがお(2019年製作の映画)

3.9

刑事事件に対して、世間の反応がいかに不安定で人間の善良さが役に立たないかが見えるし、本当の意味で「誰でも加害者になり得る」ことが分かる。

メディアリンチだけでなく、嫉妬が入り込んでくるのがよりややこ
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永い言い訳(2016年製作の映画)

3.7

妻を亡くした夫の喪失と再生を描く作品、ではあるけど、夫が愛人を家に招いてヤりまくっちゃうようはダメ男ゆえに、喪失を覚えるまでにラグがあるのが面白い。

この監督が意地悪なのは、妻の喪失を一旦横に置いて
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.3

決して他人事ではないかもしれない世界ゆえの緊迫感で倫理観を揺さぶってくる。
プラン75が「義務」ではなく「制度」であることが現代社会の辛辣さを象徴している気がする。

監督がインタビューで「社会的に生
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そして父になる(2013年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

監督の作品に通底する、家族たらしめるのは「血の繋がりか共有した時間か」のテーマに一個の回答が提示された作品だと思った。

血の繋がる子供の写真をスクロールしていく中で、血の繋がらない子供に対しての自分
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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.8

人生を搾りきって何も生み出せなくなった老人が過去を掘り起こすことで、痛みと引き換えに現在の自分と自力で向き合っていく姿からは、人が老いていくまでに培ってきた人生に無駄な事はないと思わせてくれるし、老い>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.0

飲酒時の謎の無敵感と、その後の「もう二度と酒なんて飲まない」ってなってるときの両方を味わえる作品。

オッサンが酔っ払うと腕相撲大会はじまるのって万国共通なのね。

勿論アルコール中毒の怖さは描かれて
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パターソン(2016年製作の映画)

3.8

日々の営みって一分一秒同じことが続いている訳ではなくて、見かける人や聞こえてくる会話は違うし、時にはルーティンの間にトラブルや理不尽が挟まってきたりもする。

そんなどこの人間にでも当てはまるパターソ
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.0

いま流行りのリアル志向の恋愛邦画に分類される作品だと思うけど、鑑賞時の精神状態によってはかなり引きずりそうなエグみがある。

過度にエモさを誘う演出もなければ、それほど深いテーマである訳でもなく、淡々
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TOURISM(2018年製作の映画)

4.0

地方のどことなくアウトサイダー風な若者がヘラヘラと旅行してるだけの映像、なのに異様に引き込まれる雰囲気でずっと観てられる。
「イオンと変わんなくない?」とか言っちゃうの笑う。

一応、はぐれた相方を探
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

4.0

社会の流れから取り残されかけてる人達の健気さがあまりにも輝いてる。

この作品のなにが健気かって、ジェントリフィケーションに真っ向から抗う訳でも、居場所がなくなることに対して絶望してしまう訳でもなく、
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かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

3.7

静か。

原作は未読で前情報も特に無く鑑賞したのだけど、親の再婚に翻弄される娘の心情を描いた話かと思って観てると、途中から同級生の恋愛模様になって、かといって三角関係のような展開になるかと思いきやそう
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

3.9

同性愛を扱った作品であるけど、描かれていることは出会いから交際、倦怠期、破局、そしてその後の人生という、どこのカップルにもある恋愛のイニシエーションであって、実はド直球の恋愛映画なのではと思う。

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シリアスマン(2009年製作の映画)

3.5

ユダヤコミュニティの文化についてよく知らないまま観たので、この作品の真の面白さみたいなところには到達できなかった感じがある。

散らかり過ぎな感じもあるけど、大小色んな不条理がアラカルトで巡ってきてテ
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.8

エル・ファニングのこの「妖精味」は何なのだろう。
行動自体はそこらにいる11歳の少女相応であるのに、何というか良い意味で人間っぽくない。
ウィースポーツ懐かしい。

成功者であるにも関わらずなんとなく
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VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

3.8

デジタル性被害がテーマではあるけど、どこか浮世離れした世界観で、良い意味で現実味が無い。

モノクロで映された大阪のアンダーグラウンドも、日本だというのに架空の街の景色でも眺めているかのように違った顔
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夜を走る(2021年製作の映画)

4.3

こっっわ。
何を書いてもネタバレになりそうだけど、
「持たざること」へのストレスに少しでも身に覚えがある人は確実に閲覧注意なのは間違いない。

社会から虐げられてる人の堕とし方が変化球で、展開も監督半
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.7

この映画は、「正義」というものが今この世で最もややこしくて純粋な悪意を持った存在であることを再認識させてくるし、それが正論だけで放たれたとき、いかに人を凶暴にさせたり間違いを犯させたりするかを教えてく>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.0

ポン・ジュノ監督が描く暴力には爽快さは皆無で、むしろ暴力が持つ何もかもを台無しにしてしまう爆発力を緊張感の中で惜しげもなく行使してくるので、喪失感すら感じる。

「暴力を徐々に失っていく」方と、
「暴
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Love Letter(1995年製作の映画)

3.9

言ってしまえば中山美穂が一人で文通してるだけの話ではあるけれど、片方の抱えてる喪失が、もう片方へ喪失の原因となった男へのラブレターによって伝達される様は、なんとも形容しがたいむず痒さを感じる。

一方
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

3.8

大量の人と軍事力を投入して途中から目的が分からなくなってしまったベトナム戦争と、
大量の人と制作費を投入して途中から何を作ってるのか分からなくなってしまったこの映画が重なることの皮肉さよ。

戦場その
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スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.0

男二人が他愛無い話を駄弁りながら旅する姿からどうしようもない哀愁を感じる。

意気揚々と夢を語ってるけど微妙にズレてる姿から、いかに世間から隔絶された価値観で生きてる人なのかが分かる。
結末も中々に残
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狼たちの午後(1975年製作の映画)

3.8

追い詰められた社会的弱者が、犯罪に走って時の人になる流れは今も昔も変わらないんだな。
群衆を煽るシーンのエネルギーは後のジョーカーに通ずると思った。

この時代にゲイのベトナム戦争帰還兵だなんてもろに
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.8

庵野の贈り物。

冒頭30秒程で、物心ついた時から現在まで自分が培ってきた特撮への浪漫が物凄い熱量で頭から爪先まで巡り、終わる頃にはヲタク人生そのものを肯定して貰えたような、そんな感動を覚えた作品。
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.0

自分の価値基準や倫理観が散らかってきたときに小津映画を観ると、元の立ち位置に返ってこれる感覚がある。

娘を嫁がせようかとモジモジする父の姿をゆるりと2時間近く見守る、だけなのに実家のような安心感があ
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肉弾(1968年製作の映画)

4.0

良い意味で戦争を「おちょくってる」反戦映画だと思った。

不謹慎のボーダーを踏み越えてブラックユーモアを履き違えたような感じではなくて、ちゃんと戦争というモチーフに根ざしたシュールがあって、悲哀とユル
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