アラシサン弐さんの映画レビュー・感想・評価

アラシサン弐

アラシサン弐

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

コリン・ファレルの困り眉が最も効果を発揮してる映画。

何も無い狭いコミュニティの中で、島にも将来にも文句はなく現状を受け入れて過ごす男と、現状にウンザリし今よりも意識高く余生を過ごしたい男。
何とい
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イルマ・ヴェップ(1996年製作の映画)

3.8

アリシア・ヴィキャンデル版の予習。

実在のサイレント映画のリメイクを撮ろうとするノイローゼの監督に振り回される撮影現場と女優の人間模様を描いた作品だが、最後には監督の思い描いたリメイクのような映像も
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

3.9

自由を求めて堕ちていく人たちを描くアメリカン・ニューシネマの流れを汲んでいながらも、胸糞悪さよりも不思議と清々しさが残る作品。

抑圧から逃避した先でも男性からの卑猥な視線を浴びる女性たちの立場が伺え
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フィッシャー・キング(1991年製作の映画)

3.8

銃撃事件の発端となってしまった男と巻き込まれてしまった男の奇妙な友情とそれぞれの再生を描いた作品。

駅を行き交う人々のダンスシーン、パリーを追いかける騎士の亡霊、公園で全裸で踊り語りだすパリー、中華
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.0

ロバート・エガースが大予算アクション‥?と鑑賞前は身構えていたが、監督の作家性に身に覚えがある人には期待に沿うおどろおどろしさが提供されるであろう作品。

物語自体は古典的でありながらも“ウィッチ”“
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

4.2

生々しく作り込まれたディテールやディカプリオの執念に近い演技で、まるで一度死んでから復讐鬼として蘇る彼の壮絶な体験を彼目線で共に味わうような作品。

序盤に原住民とクマさんから襲撃される恐怖をビジュア
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イコライザー2(2018年製作の映画)

3.6

マッコールの友人が狙われて心情が垣間見える瞬間があったり、気前の良いタクシーのおっちゃんに再就職したこともあってか、前作の深夜ダイナーで読書してる得体の知れない感じからより人間らしさが見えるような続編>>続きを読む

イコライザー(2014年製作の映画)

3.8

・普段は冴えないけど裏では最強の男
・複数人相手でも完封なきまでに無双
・大爆発を背に去るスキンヘッド
というようなロマンに満ちた要素が満載のアクション。
立っているだけで勝てる気がしないデンゼル・ワ
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セブン・サイコパス(2012年製作の映画)

3.6

マーティン・マクドナー監督作品の登場人物達は、一見すると暴力性全開ながらも行動原理が人間臭い人物が多い。

この作品のサイコパス達も、みんな道徳心が溢れているのか欠如しているのかよく判らないある意味一
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ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)

3.8

この映画に出てくる殺し屋の“道理”とはヤクザ映画で言う“仁義”のようなニュアンスだと思うのだが、それが殺し屋同士の冷徹でダークな空気感の中にどうしようもなく人間臭さを漂わせていて、時に笑えたりほっこり>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.0

劇中の台詞に「ワインスタインがあと何人いるんだろう?」とあるように、単に権力を持つ老害を告発するだけではなく権力者がのさばってしまう構造という黒幕との闘いが描かれる。
それは巨大な城壁に少しづつジワジ
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

3.8

机上では到底不可能とされる事を成し遂げてしまったが故に難詰される機長の災難を描いた作品で、劇中で何度も回想されるリアリティに満ちたハドソン川への着水シーンに、まるで当事者達と共に観てる側も擬似的に事故>>続きを読む

13人の命(2022年製作の映画)

4.5

これは確実にAmazonが宣伝をサボり過ぎだと思う傑作。

実際に起こった事故を、発生から救出の全貌を淡々と切り取った映像にして2時間半近く飽きさせずに観せてくれるのはお見事。
登場人物たちの背景や心
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ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

4.2

亡くした側の喪失と亡くなった側の見守るしかないもどかしさをビジュアルで観させられるのが切ない。
触れ合うことが出来ないからこそ濃密に触れ合う“ろくろ回し”のシーンが後から効いてくる。

死んだ状態でい
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ミザリー(1990年製作の映画)

3.8

やっかいなファンに絡まれて可哀想。笑

シンプルな監禁脱出スリラーながらもキャシー・ベイツの振り切ってる怪演と下からの顔面アップなどの悪意あるカットや、クライマックスにかけて起こる中々カオスな画が強烈
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ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

4.0

とにかく多幸感が凄まじくて、細かい事など忘れてロッキー劇場のフィナーレによって力技で興奮させられてしまう良い完結編。
スタローンもロッキーシリーズも5のあの感じでは絶対に終わりたくなかったんだろうなと
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ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)

3.8

ラジー賞ノミネート作品な上に各所で黒歴史扱いされてるということでどれだけ酷い作品なのかと身構えていたけど、確かに前作までの熱さを期待すると肩透かしを食らう部分はあるけど、むしろ個人的には広いスケールか>>続きを読む

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.9

3ラストがあってからこの展開は辛い。
エキシビションの死亡フラグが凄い、
JBのそっくりさんかと思ってたら本物だった。

前作までよりも試合と特訓シーンが長くてエンタメに振ってる印象があるけど、ソ連国
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ロッキー3(1982年製作の映画)

4.0

ほとんどお約束の展開で変わらないのにずっと飽きさせずに観ていられる凄いシリーズ。

負け犬から全てを掴んだロッキーをもう一度負け犬にさせて、そこに大切な人の喪失も加わったリベンジとなるからかとことん盛
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ロッキー2(1979年製作の映画)

4.2

前作ラスト“あの試合”の直後から始まるので冒頭から引き込み方が尋常じゃない。

結婚して新婚生活が始まってから微妙にダメ男ぶりを発揮するロッキーの成長物語でもある。
奥さんが良い人すぎる。
ありえない
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

3.9

シンプルながらも後に続く全てのZ級サメ映画の始祖なだけあって、アイデアとロマン全開で展開分かってるのに結構引き込まれる。

サメ討伐の3オジさん達が海上でヘラヘラ楽しそう。
サメとの直接対決もあくまで
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アルマゲドン(1998年製作の映画)

3.9

巨大過ぎて鑑賞出来てなかった。
人と火薬の量と王道の展開にエアロスミス、大予算を使ってスケールをデカくすることにここまで悪びれずに振り切ってると清々しい。
爆弾の赤と青どっち切る?のやつ、アレ本当にや
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.2

物語自体はシンプルな逃亡劇なのにそこはコーエン兄弟なので一筋縄ではいかなくて、観客側を挑発するような突き放し方をされて観た後に虚無感すら残る作品だった。

ハビエル・バルデムがマジで殺人鬼史上トップレ
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

3.8

あらすじも教授についても前情報無しで鑑賞したのでかなり揺さぶられた。
サスペンスな前半から真実が判明した後も、どちらが本当なのか何度もミスリードさせられる。
思えば主人公が不安や孤独な時にチャーリーが
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.0

この監督は本当にドSな追い詰め方をするなぁ。
その場所で輝こうともがく人物を描いている点では「レスラー」の兄妹みたいな作品なのかもしれない。

「レスラー」が輝かしい存在であるために堕ちないよう踏ん張
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.2

社会制度に追い詰められていく若者の描き方に一切の容赦が無い。
ケン・ローチ作品を観てるかのよう。

とにかく現実の突き付け方がえげつなくて、生活、友人、進路、と徐々に一つ一つ奪われていくドライさによっ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

耳が聞こえないハンデを持つ人、を決してお涙頂戴の道具にはしないという監督の強い気概を感じる。

聾唖のボクサーが閉鎖寸前のジムで試合に望む、という誰もが王道で熱い展開にしたがるであろうプロットながらも
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そばかす(2022年製作の映画)

4.0

三浦透子さんに海とタバコが合い過ぎる。
彼女の歌う主題歌が最後に流れるのが何ともメタ的に救われた気持ちになる。

狭いスケールの中で決して大きな事件が起きるわけでもない話だけど、分からない人には一生分
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

3.7

トランプ政権下の上映年なだけあって、真実を報道することや報道の自由を真正面から正義として描いている縁があるが、政府側にも後ろめたさを持ってる人がいたり単なる政府批判で終わらないドラマになってると思う。>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

3.9

世に出てないだけで、こういった事件が実は多発して泣き寝入りさせられてると思うと非常に後に引くものがある重厚な社会派映画だった。

田舎には楽しみがないし出ていくことも入ってくることもない、が一番悪い方
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ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.3

人種間にある根本的な壁を表す秀逸なタイトル。
オープニングの車窓映像でオークランドがどんな街か説明されなくても感じ取ることが出来る。

3日間を問題行動ばっかり起こす相棒と治安の悪い街で何も無く過ごす
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Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック(2018年製作の映画)

4.0

海行きたいだけなのに。笑

先の見えない貧困層の若者を描いた話なのに、Fワードの洪水とヤクと汚物にまみれて倫理観がバグってる彼女たちからは悲壮感の欠片もなくて、むしろ汚らわしさ全開なのに謎の幸福感も貰
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.9

よくこんなシチュエーションで映画一本撮ろうと思ったなというような、正気の沙汰でない発想とクレイジーな画の連発でコント好きには堪らない作品。
銀魂とか好きな人は好きかも。

水死体役にハリーポッターって
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明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

3.9

ある意味、西部劇のアウトロー=イケてる存在という価値観へのリスペクトと終焉を同時に感じさせられる作品だった。

地元で名を挙げるも追い詰められ潮時を感じ、新しい人生を夢見てボリビアに渡ってみるも何か思
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暴力脱獄(1967年製作の映画)

4.0

やんちゃな邦題が付いてるが決してマッチョで暴力的なアクション物ではなくて、人間の繊細な心理や登場人物の余白も含めてとても深みを感じるドラマ。

主人公ルークのキャラクター像が本当に良い。
ボクシングで
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